※本記事は、MRKホールディングス株式会社の有価証券報告書(第49期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. MRKホールディングスってどんな会社?
女性の美と健康をサポートする補整下着の販売を中心に、多彩なライフステージ向けサービスを展開する企業です。
■(1) 会社概要
1978年にマルコとして設立され、婦人下着の販売を開始しました。1996年に大証二部へ上場し、2013年に東証二部へ移行しました。2016年にRIZAPグループと資本業務提携を結び同社グループ入りした後、2018年に持株会社体制へ移行し、現在のMRKホールディングスへ社名を変更しています。
現在の同社グループは、連結で1,720名、単体で35名の従業員を擁しています。筆頭株主は親会社のRIZAPグループで、第2位は事業会社である伊藤忠商事となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| RIZAPグループ | 56.97% |
| 伊藤忠商事 | 4.20% |
| MRKホールディングス社員持株会 | 1.89% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長執行役員は岡本雅文氏が務めています。社外取締役の比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡本雅文 | 代表取締役社長執行役員 | 1989年P&G Far East Inc.入社。シャルレ代表取締役社長、ラグーナホールディングス社長等を経て、2026年4月より現職。 |
| 塩田徹 | 取締役会長 | 2015年パナソニックヘルスケアホールディングス入社。当社代表取締役社長、RIZAPグループ専務取締役等を経て、2026年4月より現職。 |
| 中田剛史 | 取締役 | 1995年東芝入社。ローランド・ベルガー、アマゾンジャパン等を経て、2024年RIZAPグループ入社。2025年6月より現職。 |
| 巻田眞一郎 | 取締役(監査等委員)(常勤) | 1994年同社入社。経営企画管理部長、経理部長、執行役員管理本部長等を経て、2022年6月より現職。 |
社外取締役は、重光桜子(元ラブストック執行役員)、武藤元(元アゴラ総合法律事務所所長弁護士)、楠智(元中川特殊鋼顧問)です。
2. 事業内容
同社グループは、「婦人下着及びその関連事業」「マタニティ及びベビー関連事業」「婚礼・宴会関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■婦人下着及びその関連事業
体型補整を目的とした婦人下着やボディケア化粧品、オーダーメイドインソール、健康食品などを直営店舗やオンラインショップで販売しています。店舗ではボディメイクなどのアフターサービスを提供し、顧客満足度の向上に努めています。
主に一般顧客に対する商品の販売代金が主要な収益源となります。事業の運営は、子会社であるマルコや非連結子会社が行っており、店舗販売とEC販売の連携強化によって定期販売件数の増加を目指しています。
■マタニティ及びベビー関連事業
マタニティおよびベビー向けのアパレルや雑貨を、直営店舗や自社ECサイト、大手ECショッピングモールを通じて販売しています。ターゲット層のニーズに寄り添い、独自の監修シリーズなど商品展開の拡充を図っています。
主に一般顧客に対するアパレルや雑貨の販売代金が収益源となります。この事業の運営は子会社であるマルコが担っており、需要動向に応じた在庫コントロールの徹底により適正在庫の維持に努めています。
■婚礼・宴会関連事業
結婚式場やカフェ、レストランなどの飲食店運営のほか、法人向けの宴会やイベント会場の運営を行っています。非日常価値を提供する事業特性を踏まえ、地域特性に応じた高品質なホスピタリティの提供を目指しています。
結婚式の施行代金や、宴会・レストランでのサービス提供に対する料金が主な収益源となります。事業の運営は子会社であるMISELが担っており、人材採用やマーケティング強化を通じて全拠点の収益構造改善を図っています。
■その他(美容関連事業)
直営店舗においてヘアサロンなどの美容関連事業を運営しています。技術力と人的サービスを競争力の源泉としており、美容師の段階別育成プログラムや感性教育を通じたブランド人材の育成に注力しています。
一般顧客からのヘアサロンでの施術料金やサービス代金が主な収益源となります。事業の運営は子会社であるALTIQSが行っており、スタイリストの育成や集客力の強化に向けた先行投資を継続的に実施しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は主力である婦人下着事業の順調な推移や各種施策の奏功により、安定的な成長を続けています。利益面では一時的な落ち込みがあったものの、広告宣伝費の最適化や店舗統廃合によるコスト構造の改善が進み、直近では利益水準が大きく改善して増益基調に転じています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 188億円 | 195億円 | 196億円 | 212億円 | 212億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 9億円 | 6億円 | 7億円 | 10億円 |
| 利益率(%) | 3.9% | 4.4% | 3.2% | 3.3% | 4.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 5億円 | 2億円 | 3億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期とほぼ同水準を維持していますが、各種コストの適正化により売上総利益率は高い水準を維持しています。また、広告宣伝費や固定費の見直しによる全社的な経費削減が効果を発揮し、営業利益および営業利益率ともに前期を上回る結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 212億円 | 212億円 |
| 売上総利益 | 158億円 | 159億円 |
| 売上総利益率(%) | 74.6% | 75.0% |
| 営業利益 | 4億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 1.9% | 2.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料・賞与等が68億円(構成比44%)、販売促進費が7億円(同4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の婦人下着事業は、新商品の投入やECと店舗の連携強化により増収となりました。婚礼・宴会事業も認知度向上を背景に利用件数が増加し増収に貢献しています。一方で、マタニティ事業は在庫適正化のための新商品投入抑制により減収となり、美容関連事業も人材不足の影響でわずかに売上を落としています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 婦人下着及びその関連事業 | 185億円 | 186億円 |
| マタニティ及びベビー関連事業 | 12億円 | 11億円 |
| 婚礼・宴会関連事業 | 8億円 | 10億円 |
| その他 | 6億円 | 6億円 |
| 連結(合計) | 212億円 | 212億円 |
営業CFと投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、本業の利益や貸付金の回収等で得た資金を活用し、借入金の返済を進める改善型の資金繰り状況となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 17億円 | 13億円 |
| 投資CF | 4億円 | 5億円 |
| 財務CF | -26億円 | -15億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「消費者重視」の基本方針のもと、「より良い商品・正しい情報とサービスの提供・誠実な人柄」の理念を実践しています。お客様とのコミュニケーションを大切にし、喜びと感動を提供することで継続的な成長を目指すとともに、「なりたい自分になるためのきっかけとソリューションを提供する」をブランド価値として掲げています。
■(2) 企業文化
女性が活躍できる環境や働きやすい職場環境の整備を重視し、多様な経験を持つ人材の採用・育成に注力する文化があります。また、商品の回収・リサイクル活動やピンクリボン運動への参加、太陽光発電設備の設置など、社会課題の解決と事業成長の両立を目指すサステナビリティの価値観が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、企業価値の持続的な向上を図るため、成長性及び収益性の主要指標として以下の数値を重視しています。
・売上高成長率
・売上高営業利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
主力の補整下着事業の業績拡大を図りつつ、多彩な商品展開により新たな収益源となる事業の創出・育成を推進します。Web広告やSNSを活用して新規顧客を獲得し、DX化やAI導入による業務効率改善を進めます。さらに、働き方の柔軟化や給与制度の見直しを通じて従業員満足度を高め、強固な収益基盤の構築を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「美の総合企業」として、事業特性に応じた専門性の高い人材の確保・育成を通じて持続的な成長を図ることを方針としています。販売職の「ボディコンシェルジュ」を中心とした専門職育成や、ウェディングプランナー、美容師など、各事業でのキャリア形成を支援し、自律型人材の登用と定着を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 46.1歳 | 12.9年 | 4,846,715円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 41.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 66.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、グループ全体における女性管理職の割合(64.7%)、管理職の中途採用者の割合(97.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定の製造委託先への依存リスク
主力商品である体型補整用婦人下着は高度な技術が必要であり、製造可能な工場が限られています。災害や倒産等によりこれら特定の取引先からの商品供給が滞った場合、迅速な代替先の確保が難しく、同社の業績や営業活動に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 自社割賦販売に伴う未回収リスク
同社グループでは、顧客と直接割賦販売契約を結ぶ自社割賦での商品提供を行っています。急激な経済環境の変化や自然災害などにより、顧客からの債権回収が困難となり、予想を超えて未回収残高が増加した場合には、同社の業績に影響を与える可能性があります。
■(3) レピュテーション(風評)に関するリスク
顧客とのコミュニケーションを重視する同社にとって、ブランドイメージは極めて重要です。マスコミ報道やインターネット上での誹謗中傷、不適切な書き込みなどによりブランドイメージの低下が生じた場合、客数減少を招き、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 店舗展開に伴う固定資産の減損リスク
同社グループは全国各地に多数の店舗を展開し、積極的な設備投資を行っています。業績の悪化や経営環境の変化により店舗の収益性が低下し、事業計画に基づく十分なキャッシュ・フローが創出できないと判断された場合、減損処理が発生し業績に影響を及ぼす可能性があります。



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