ウッドワン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウッドワン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場する同社は、住宅建材及び住宅設備機器の製造販売を主力事業としています。第73期は、国内住宅市場の低迷が続く中、高付加価値商品の拡販や海外事業の好調、事業再編効果により、売上高は0.6%の増収、経常利益は黒字転換を果たし、増収増益の決算となりました。


※本記事は、株式会社ウッドワン の有価証券報告書(第73期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ウッドワンってどんな会社?


ニュージーランドの自社森林で育てた木材を活用し、住宅建材や設備機器を製造販売する木質建材メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1952年に有限会社中本林業として設立され、1974年に株式会社住建産業として再発足しました。1978年には大阪証券取引所市場第二部及び広島証券取引所に上場を果たしています。1990年にニュージーランドに現地合弁子会社(現・連結子会社)を設立して海外展開を加速させ、2002年に現在の株式会社ウッドワンへ商号変更しました。

同社グループの連結従業員数は2,178名、単体では1,179名です。筆頭株主は中本不動産株式会社で、第2位は持株会、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。中本不動産株式会社は創業家関連の企業と推測され、同社グループはニュージーランドでの森林経営から製品製造までを一貫して行う体制を構築しています。

氏名 持株比率
中本不動産 9.41%
住建持株会 4.29%
日本マスタートラスト信託銀行 4.04%

(2) 経営陣


同社の役員は男性15名、女性0名の計15名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中本祐昌氏が務めています。社外取締役比率は約13.3%です。

氏名 役職 主な経歴
中本 祐昌 代表取締役社長戦略統括本部本部長商品企画開発部長資材部長 1984年入社。Juken Sangyo (Phils.) Corp.社長、フォレストワン社長等を歴任し、2001年より現職。
川戸 宏之 常務取締役海外経営企画本部長 1981年入社。Juken New Zealand Ltd.専務取締役、製造本部本部長等を経て、2024年より現職。
奥田 清人 常務取締役営業本部本部長西日本営業部長 1979年入社。福岡支店長、物流部長、営業本部副本部長等を経て、2020年より現職。
久保 好永 取締役構造システム営業部長 1983年入社。東京支店長、営業推進部長、東日本営業部長等を経て、2023年より現職。
向原 政昭 取締役総務人事部長 1983年入社。総務人事部総務課長、経営統括本部社長室長等を経て、2020年より現職。
松本 真明 取締役製造本部本部長東海製造部長 1983年入社。住建(上海)有限公司工場長、ベルキッチン社長等を経て、2023年より現職。
野口 貴博 取締役経理部長 1986年広島銀行入行。融資企画部長、広島西支店長を経て2019年に入社。2020年より現職。
伊永 成伸 取締役情報システム部長 1991年日本興業銀行入行。みずほ銀行IT・システム統括第一部参事役を経て2020年に入社。2021年より現職。
坪井 寿之 取締役Juken NewZealand Ltd.担当 1984年入社。Juken Sangyo (Phils.) Corp.工場長、本社製造部長等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、秦清(弁護士・元広島弁護士会会長)、石橋三千男(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「住宅建材設備事業」および「発電事業」を展開しています。

(1) 住宅建材設備事業


床材・造作材などの木質総合建材や、キッチンなどの住宅設備機器の製造および販売を行っています。また、ニュージーランドでの植林を含む山林経営も手掛けており、原材料の調達から製品の製造までを一貫して行う体制を整えています。

主な収益源は、顧客への製品販売による対価です。運営は同社に加え、ニュージーランドのJuken New Zealand Ltd.、フィリピンのJuken Sangyo (Phils.) Corp.、インドネシアのPT. Woodone Integra Indonesia、国内の株式会社ベルキッチンなどが担当しています。

(2) 発電事業


間伐材等由来の木質バイオマス、一般木質バイオマス、建設資材廃棄物などの燃料を用いたバイオマス発電を行い、電気を販売しています。環境負荷の低減と資源の有効活用を目的とした事業です。

収益は、発電した電気を電力会社等へ販売することによる売電収入です。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、売上高は600億円台半ばで推移していますが、利益面では変動が見られます。2024年3月期には経常損失を計上しましたが、2025年3月期には黒字回復を果たしました。当期純利益も同様に赤字から黒字へと転換しており、収益性の改善傾向がうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 591億円 666億円 658億円 648億円 652億円
経常利益 21億円 21億円 7億円 -13億円 5億円
利益率(%) 3.5% 3.2% 1.0% -2.0% 0.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 17億円 11億円 -23億円 18億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微増ながら、売上総利益率が改善し、営業利益は黒字転換しました。販売費及び一般管理費は減少傾向にあり、コストコントロールが進んでいることがわかります。特に海外子会社の事業再編効果などが利益改善に寄与しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 648億円 652億円
売上総利益 157億円 177億円
売上総利益率(%) 24.3% 27.1%
営業利益 -9億円 13億円
営業利益率(%) -1.4% 2.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が45億円(構成比28%)、運送費が37億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益


住宅建材設備事業は、国内の新設住宅着工戸数が減少する厳しい環境下でしたが、高付加価値商品の拡販や海外事業の好調により増収となり、利益面でも大幅に改善しました。発電事業は、定期点検による稼働停止や燃料費高騰の影響を受け、減収減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
住宅建材設備事業 637億円 641億円
発電事業 11億円 11億円
連結(合計) 648億円 652億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業の営業活動で資金を獲得しつつ、借入金等による資金調達を行いながら投資活動を進める「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 40億円 40億円
投資CF -51億円 -36億円
財務CF 15億円 1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「業界一流のメーカーとして、本業を極め、本業に徹し、一流の商品をお客様にご提供することを通じて、社会の発展に貢献する」を経営理念としています。顧客ニーズに沿った商品開発に注力するとともに、自然環境の保護と社会の発展に貢献することを目指して企業活動を展開しています。

(2) 企業文化


同社は、社是である「挑む」精神を大切にしています。持続的な価値向上には従業員の成長とスキルアップが重要であると考え、従業員がやりがいを持って挑み、成長し続けられる組織づくりを目指しています。また、公正かつ健全な企業風土の醸成にも努めています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、事業の拡大と安定的な収益を獲得するために、グループ全体で連結売上高1,000億円を目指しています。また、企業価値の向上と財務体質の強化を図るための経営指標として、自己資本利益率(ROE)の向上に取り組んでいます。

* 連結売上高1,000億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、ニュージーランドでの育林事業により安定した原材料を確保しつつ、高度な木材加工技術の向上を図ります。新成長市場であるアジアや国内のリフォーム・非住宅市場などで市場開拓を進め、国内外の製造ネットワークの整備による効率化とコスト低減を推進します。また、バイオマス発電や再生可能エネルギー利用によるカーボンニュートラルの実現など、環境経営にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人材ビジョンとして「木と人を観る力・活かす力で、独創的な新市場を創り続け、『木のぬくもりと豊かな暮らし』を世界の人々に提供し続けるプロフェッショナル人材」を掲げています。人事ポリシーに基づき、成果や組織貢献に報いる仕組みを整備し、各人と会社の成長のためにチャレンジする行動力のある人材の育成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.7歳 20.0年 4,934,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.7%
男性育児休業取得率 68.7%
男女賃金差異(全労働者) 74.4%
男女賃金差異(正規) 73.2%
男女賃金差異(非正規) 108.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給取得率(64.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新設住宅着工戸数の減少等の影響


同社グループは住宅建材等を扱っており、国内の新設住宅着工戸数の減少や、職人不足による工期遅れが販売減につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、リフォーム市場や非住宅市場の開拓、海外販路の拡大、省施工商品の開発などで影響軽減を図っています。

(2) 原材料の調達リスク及び価格変動


木材の調達難や価格高騰が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はニュージーランド子会社での持続可能な山林経営により原材料の主要供給元を確保することでリスクを軽減し、調達先の多様化などで安定調達に努めています。

(3) 木質バイオマス燃料の安定確保


バイオマス発電では燃料の安定確保が重要ですが、競合の稼働や災害等による供給中断・減少、価格高騰が業績に影響する可能性があります。同社はフィリピン子会社からの輸入燃料活用による自社調達比率の向上や、供給業者の分散などでリスク分散を図っています。

(4) 為替変動による影響


ニュージーランド子会社での現地通貨の為替変動や、海外子会社の外貨建て借入金において、為替差損益が発生する可能性があります。同社は為替変動の影響度合いを勘案し、必要に応じて為替予約等によるリスクヘッジを行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。