※本記事は、永大産業株式会社の有価証券報告書(第92期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 永大産業ってどんな会社?
住宅資材や木質ボードの製造販売を手掛け、木を活かした豊かな住環境の創造に貢献する企業です。
■(1) 会社概要
永大産業は1946年7月に設立され、合板の製造販売を開始しました。1964年に東京・大阪証券取引所市場第一部に指定されました。2008年に小名浜合板(現・永大小名浜)を完全子会社化し、2011年にはベトナムに子会社を設立して海外展開を推進。2019年には合弁でENボードを設立しました。
現在の従業員数は連結で1454名、単体で964名です。筆頭株主は永大産業取引先持株会で、第2位は主要販売先かつ仕入先である住友林業、第3位は同じく仕入先かつ販売先である大日本印刷となっており、事業会社を中心とした強固な取引関係に基づく資本提携が構築されています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 永大産業取引先持株会 | 9.44% |
| 住友林業 | 5.22% |
| 大日本印刷 | 5.06% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役(執行役員社長)は枝園統博氏が務めています。取締役10名のうち、社外取締役の比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 枝園統博 | 代表取締役(執行役員社長) | 1984年3月入社。営業本部東京特販営業部長、事業本部建材事業部長などを経て、2019年4月より現職。 |
| 石井直樹 | 取締役(常務執行役員)事業本部長 | 1987年3月入社。営業本部東京特販営業部長、事業本部長などを経て、2017年6月より現職。 |
| 田部忠光 | 取締役(常務執行役員)永大小名浜代表取締役社長兼関東住設産業代表取締役会長 | 1987年3月入社。事業本部内装システム事業部長、営業本部長などを経て、2026年4月より現職。 |
| 小島孝弘 | 取締役(常務執行役員)営業本部長 | 1988年3月入社。営業本部東京営業部長、事業本部海外事業部長などを経て、2026年4月より現職。 |
| 西岡秀晃 | 取締役(上席執行役員)コーポレート本部長兼同本部総務部長 | 1986年4月大和銀行入行。2015年10月同社入社。総務部長などを経て、2026年4月より現職。 |
| 藤本八郎 | 取締役(執行役員)ENボード代表取締役社長 | 1990年3月入社。事業本部総合研究所長、永大小名浜代表取締役社長などを経て、2024年4月より現職。 |
| 長友庄一郎 | 取締役(執行役員)コーポレート本部経営管理部長 | 1993年3月入社。事業本部マーケティング部長、経営管理部長などを経て、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、藤井義久氏(元京都大学大学院農学研究科教授)、岡野紘司氏(弁護士法人御堂筋法律事務所パートナー)、粕井隆氏(東邦ビジネスコンサルタント設立代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「住宅資材事業」「木質ボード事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 住宅資材事業
建材分野(フローリング、階段等)、内装システム分野(室内ドア、収納等)、住設分野(システムキッチン等)で構成されています。最新トレンドを反映したデザインや施工性に優れた製品を提供し、一般住宅や非住宅の内装部材として顧客へ届けています。
収益は、製品の販売対価として顧客から受け取ります。運営は主に永大産業が行い、一部製品を永大小名浜、関東住設産業、Eidai Vietnam Co.,Ltd.が製造しています。
■(2) 木質ボード事業
素材パーティクルボードや化粧パーティクルボードの製造販売を行っています。建築廃材等をマテリアルリサイクルして資源を循環させ、寸法安定性に優れた木質素材として、住宅や建築物の構造材や内装部材向けに提供しています。
収益は、製品の販売対価として顧客から受け取ります。運営は永大産業、永大小名浜、およびENボードが行っており、住宅資材事業向けにも基材として供給しグループ内の相乗効果を生み出しています。
■(3) その他事業
不動産有効活用事業(所有不動産の有効活用)や太陽光発電事業を展開しています。自社が保有する資産を有効活用することで、安定的な収益確保や環境負荷の低減に貢献しています。
収益は、不動産の賃貸料や太陽光発電による売電収入として受け取ります。運営は永大産業が主体となって行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間では、売上高は緩やかな増加傾向にありますが、利益面は原材料価格や物流費の高騰などの影響を受け、経常利益は黒字と赤字を繰り返す不安定な推移となっています。特に直近では減損損失の計上により大幅な最終赤字を記録しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 594億円 | 698億円 | 717億円 | 712億円 | 738億円 |
| 経常利益 | 1億円 | -13億円 | 3億円 | -4億円 | 5億円 |
| 利益率(%) | 0.1% | -1.9% | 0.4% | -0.6% | 0.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 0億円 | 9億円 | -1億円 | -29億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加と販売価格の適正化により、売上総利益は改善しています。生産性の向上や経費削減にも製販一体となって取り組み、営業利益は黒字転換を果たしました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 712億円 | 738億円 |
| 売上総利益 | 148億円 | 160億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.7% | 21.7% |
| 営業利益 | -3億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | -0.4% | 1.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が47億円(構成比31%)、荷造運送費が45億円(同30%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の住宅資材事業は、新設住宅着工戸数が低迷する中でも既存販売先でのシェアアップや販売価格の適正化により増収となりました。木質ボード事業も新規販売先の開拓等により増収を確保しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 住宅資材事業 | 609億円 | 621億円 |
| 木質ボード事業 | 102億円 | 116億円 |
| その他事業 | 1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 712億円 | 738億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.3%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -23億円 | 12億円 |
| 投資CF | -21億円 | -20億円 |
| 財務CF | -12億円 | -15億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
経営の基本理念に「木を活かし、よりよい暮らしを」を掲げ、地球、社会、人との共生を通じて、豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けることを目指しています。すべての世代の安全と使い勝手に配慮した製品の提供により、豊かな住環境を創造します。
■(2) 企業文化
持続可能な木材資源を用い、無駄なく利用し、循環を促し再利用するという環境配慮型の事業活動を重視しています。また、従業員の安全を大前提とし、「お取引先様及びエンドユーザー様にご満足いただくこと」を最優先に、お客様の声に耳を傾ける誠実な企業風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2026」において、安定した経営基盤の構築と収益力の強化を目指しています。将来的な目標として、売上高経常利益率3%以上を掲げて業容拡大に取り組んでいます。
* 売上高:765億円
* 営業利益:16億円
* 経常利益:14億円
* ROE:4.7%
■(4) 成長戦略と重点施策
主力の住宅資材事業では、既存販売先のシェア拡大に加え、リノベーション需要の獲得や非住宅分野の販売強化により新築依存からの脱却を図ります。木質ボード事業では生産性の向上と安定生産体制の確立を急ぎ、材料から製品までの一貫生産による相乗効果を追求します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長に向け、組織基盤の強化と人的資本への投資を重要課題に位置付けています。ダイバーシティを推進し、多様な人材が公平な機会のもとで力を発揮できる環境を目指すとともに、キャリア自律の尊重や教育制度の充実を通じて、自己成長を継続的に支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.7歳 | 19.3年 | 5,876,094円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.2% |
| 男性育児休業取得率 | 82.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 67.3% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 98.6% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 新築住宅需要への依存
同社グループは住宅用の木質建材や設備機器を主力としているため、新設住宅着工戸数の増減が業績に強い影響を与えます。景気動向や金利上昇、少子化などに伴う住宅市場の縮小リスクに対し、リフォームや非住宅分野への販売を強化し、新築依存からの脱却を図っています。
■(2) 原材料価格と為替相場の変動
フローリング用基材となる合板の一部や接着剤の原材料などを海外から調達しているため、国際市場価格や為替相場の変動に大きく影響されます。調達コストの上昇リスクに対しては、国産材の積極的な活用やパーティクルボードの利用拡大を進めることで影響の抑制に努めています。
■(3) 競争激化による販売価格低下
縮小する住宅市場において、ハウスメーカー等からの価格引き下げ要求や同業他社との受注競争が激化しています。販売価格の下落圧力による収益悪化リスクに対し、長年培った木質材料の加工技術を活かした高付加価値製品の投入や、適正な販売価格への改定による対応を進めています。



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