中部飼料 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

中部飼料 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

中部飼料は東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場する配合飼料の総合メーカーです。鶏、豚、牛用の畜産飼料や水産飼料の製造販売を主力とし、鶏卵や肥料、畜産用機器の販売も展開しています。直近の業績では、鶏卵販売の増加や原料ポジションの改善等により増収増益を達成しています。


記事タイトル:中部飼料転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、中部飼料の有価証券報告書(第79期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 中部飼料ってどんな会社?


同社は、畜水産飼料の製造販売を主力とし、日本の畜水産業を支える配合飼料の総合メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1949年に設立され、愛知県で飼料や雑穀の製造販売を開始しました。1961年に東京・名古屋の証券取引所市場第2部に上場し、1976年には畜産用機器の開発と販売を始めて事業を拡大しました。2006年に両市場の第1部へ指定され、2015年には日本ハムと資本業務提携を締結しています。

筆頭株主および第3位株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位株主は日本生命保険相互会社となっています。連結従業員数は508名、単体では444名体制で全国に事業を展開しています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.13%
日本生命保険相互会社 5.18%
日本カストディ銀行(信託口) 4.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長は藤田京一が務めており、取締役7名のうち3名が社外取締役となっています。

氏名 役職 主な経歴
藤田京一 代表取締役社長 1980年同社入社。八戸工場長、飼料本部長、事業本部長などを経て、2019年に取締役副社長に就任。2025年4月より現職。
伊藤敏宏 取締役副社長事業本部長兼管理本部長 1985年日本生命保険相互会社入社。同社法人情報センター長等を経て2015年同社入社。営業推進部長などを歴任し、2025年4月より現職。
全屋和夫 専務取締役飼料本部長 1985年同社入社。開発営業部長、本社工場長、鹿島工場長などを経て、2020年取締役飼料副本部長に就任。2025年4月より現職。
平野晴信 取締役相談役 1995年名古屋銀行入行。スマック社長等を経て2010年同社取締役。2019年代表取締役社長に就任し、2026年4月より現職。


社外取締役は、亀井淳(元イトーヨーカ堂代表取締役社長)、柴田由紀(元アイシン広報部長)、束村博子(名古屋大学名誉教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「飼料」および「その他」事業を展開しています。

(1) 飼料


鶏、豚、牛用の畜産飼料や、魚用の水産飼料を製造し、全国の生産者向けに販売しています。畜水産物の生産性向上や環境に配慮した高品質な飼料を提供し、日本の食卓の安全と美味しさを支えています。

飼料の販売代金が主な収益源です。運営は主に中部飼料が行っているほか、関連会社のみらい飼料が原料を仕入れて畜産用飼料を製造販売し、豊洋水産が水産用飼料の研究開発や水産物の生産販売を担っています。

(2) その他


消費者向けの特殊卵や畜産物の販売、環境問題に対応した畜産用機器の製造販売、配合肥料の製造販売、工場跡地を活用した不動産賃貸、および保険代理店業務などを幅広く展開しています。

鶏卵や肥料、機器の販売代金などが収益源です。運営は中部飼料が鶏卵販売などを行うほか、中部エコテックが畜産用機器を、吉林華中緑色生態農業開発が肥料を、ダイコクが保険代理店業務を担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、原材料価格や為替相場の変動による影響を受けつつも売上高は2,000億円前後の高水準で安定して推移しています。経常利益は一時的に落ち込む時期もありましたが、販売価格の改定や原料ポジションの改善、特殊卵の販売強化などが奏功し、当期は大幅な増益を達成して利益率も改善傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1934億円 2435億円 2342億円 2098億円 2118億円
経常利益 46億円 21億円 45億円 48億円 72億円
利益率(%) 2.4% 0.8% 1.9% 2.3% 3.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 29億円 5億円 30億円 29億円 49億円

(2) 損益計算書


当期の売上高は前期から微増となりましたが、飼料の販売量増加や製品の利益率改善により、売上総利益は約32億円増加しました。結果として営業利益も前期の43億円から66億円へと大きく伸長し、収益性の向上が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2098億円 2118億円
売上総利益 186億円 218億円
売上総利益率(%) 8.9% 10.3%
営業利益 43億円 66億円
営業利益率(%) 2.0% 3.1%


販売費及び一般管理費(152億円)のうち、飼料価格安定基金負担金が54億円(構成比36%)、運賃が38億円(同25%)、従業員給料及び手当が22億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の飼料事業は、平均販売価格が下落したものの販売量が増加したことで、前期と同水準の売上高を確保しています。一方、その他事業は、主力の特殊卵「ごまたまご」の販売強化や、堆肥入り配合肥料がけん引し、前期比で増収を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
飼料 1914億円 1912億円
その他 184億円 206億円
連結(合計) 2098億円 2118億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期は、営業利益により資金を獲得し、借入金の返済や設備投資などを手元資金で賄っている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.8%で市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 120億円 72億円
投資CF -38億円 -36億円
財務CF 8億円 -37億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「日本の畜水産業界を担う皆様の良きパートナーでありたい。そして食卓に安心と美味しさをお届けしたい」という思いから、「飼は食を司る」との使命感を掲げています。日本の畜水産業の持続的な発展に寄与し、食卓に安全で美味しい畜水産物を届けることで日本の食の一端を担うことを目指しています。

(2) 企業文化


社是として「特性ある仕事をして社会に貢献する」を掲げています。独立系メーカーとして自社一貫生産設備を活かし、顧客と共に課題を見つけ出して解決することを重視しています。顧客と確かな信頼関係を築き、共に成長していく姿勢が創業以来の同社のDNAとして深く根付いています。

(3) 経営計画・目標


2025年3月期から2027年3月期の中期経営計画において、「中長期的な企業価値の向上とさらなる成長を実現するため、収益力向上と規模拡大により強い収益基盤を構築する」「資本コストを意識した経営を実践する」という基本方針を定めています。環境分野では以下の目標を掲げています。

* 2030年までに温室効果ガス排出量を2020年度比で30%削減する

(4) 成長戦略と重点施策


飼料事業の収益力向上と規模拡大、その他事業の成長加速、サステナビリティ経営の推進の3つを基本戦略としています。飼料事業では環境配慮型飼料や低魚粉飼料の開発と拡販を図ります。その他事業では特殊卵や配合肥料の販売強化、畜産用機器の海外展開を進め、積極的な採用と多様性を育む人的資本投資も実行します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な視点から新たな価値を創造し、高い専門性をもって事業を牽引する人材が不可欠との考えから、性別や国籍を問わず多様な人材を積極的に採用する方針です。階層別・課題別研修による専門能力の向上や、時差出勤・在宅勤務等の導入による働きやすい職場づくりを推進し、多様な人材が長期的に活躍できる環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.3歳 14.8年 7,853,807円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.3%
男性育児休業取得率 44.4%
男女賃金差異(全労働者) 71.2%
男女賃金差異(正規雇用) 74.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 50.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用者に占める女性の割合(28.0%)、管理職候補者である係長級の役職者に占める女性の割合(4.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 政治・地政学的な情勢変化の影響


同社の売上高の大半は飼料事業が占めているため、国内外の政治や地政学的な情勢変化の影響を受けます。中東情勢の緊迫化による原油価格の変動やサプライチェーンの混乱が生じ、エネルギーコストや物価上昇による事業コストが増加した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 家畜や魚類の疾病発生


鳥インフルエンザや豚熱、口蹄疫などの家畜伝染病の発生、あるいは赤潮などの飼育環境の悪化による魚類の疾病発生リスクが常に存在します。これらの疾病等により飼育数量が大きく減少したり、消費者の買い控えによる需要減少が起きたりした場合、飼料の販売量減少を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 配合飼料の原料価格の変動


配合飼料の原料は90%以上を輸入に依存しており、穀物相場や為替、海上運賃等の動きによって原料コストが大きく変動します。急激な相場変動が生じた際にコスト増加分を販売価格に転嫁できない場合や、飼料価格安定制度に基づく基金負担金が増減した場合、収益性が悪化し業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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