※本記事は、日本食品化工株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本食品化工は、とうもろこし等の加工製品およびその二次加工製品の製造販売を主軸とする企業グループです。原材料の購入、技術輸出、運送業など多岐にわたる事業を展開しています。
単体従業員数は452名、連結従業員数は452名です。セグメントは澱粉部門、糖化品部門、ファインケミカル部門、副産物部門の4つです。
主な国内グループ会社は、当社、三菱商事、AMSCO、当社、日食サービス&ファシリティーズ、ミナト流通サービスなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本食品化工は、食品加工分野で事業を展開しており、安定した事業基盤を持つ企業です。同社グループでは、従業員の成長と事業の発展を両立させるための人材戦略を重視しており、働きがいのある職場環境の実現を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の長期的なキャリア形成を支援する方針がうかがえます。平均勤続年数や平均年齢から、従業員が長く働き続けられる環境が整っている傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,599,000円 |
| 平均勤続年数 | 17年10ヶ月 |
| 平均年齢 | 41歳10ヶ月 |
| 単体従業員数 | 452人 |
| 連結従業員数 | 452人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
退職給付制度について、同社は従業員の退職給付に充てるため、非積立型の確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しています。この制度は国内および海外の従業員に適用されます。退職一時金制度では、退職給付として、給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。なお、退職給付債務は36.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「多様なWell-beingのために」をコーポレートメッセージに掲げ、長期経営ビジョンNSK2030の実現に向けて、変革に挑戦する人材が不可欠であると認識しています。従業員一人ひとりの成長と事業の発展が共にある姿を目指し、人的資本への投資を積極的に行っています。
人事ビジョンでは、経営戦略との一貫性を明確化し、「成長機会の提供」「DE&I」「適材適所」の3つの柱を掲げています。企業理念を体現し自律的に価値創出へ挑戦し続ける人材の育成を目指しており、当事者意識、利他の精神、イノベーション・挑戦、個の尊重、公明正大の5つの行動特性をコンピテンシーとして人事評価に反映しています。
給与その他の給付については、役割・成果・行動特性を適切に反映する処遇制度を構築・運用することを基本方針としています。昇給昇格はコンピテンシー評価を重視し、賞与は成果評価と会社業績を反映する業績連動係数を活用することで、個人の成果と企業価値向上との連動を図っています。
具体的な取り組みとして、2025年度は新たなコンピテンシーに基づく人事評価の実施やフィードバック強化による考課制度の見直しを行っています。キャリア形成支援ではコーチング研修やキャリアカウンセリングサービスを導入し、中堅社員層を対象としたアンガーマネジメント研修も開始しています。女性活躍推進では、女性リーダー創出と働きやすい職場環境整備のため、女性社員向けキャリアカウンセリングや育児フレックス制度導入検討、育児休業中社員への情報端末貸与、女性コミュニティイベント開催などに取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.2% |
| 男性育児休業取得率 | 71.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 67.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 61.5% |
人材育成及び社内環境整備
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 係長級以上の女性比率(2026年3月31日時点) | 7.3% |
| 障がい者雇用率(2025年度実績) | 3.1% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本食品化工は、とうもろこし等の加工製品およびその二次加工製品の製造販売を主軸とする企業グループです。幅広い製品群を通じて、多様な産業に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、とうもろこし等の加工製品およびその二次加工製品の製造販売を主要な事業としています。澱粉、糖化品、ファインケミカル、副産物の4つの製品区分で事業を展開しています。
澱粉部門では、製紙向け需要が減少する一方で、米菓市場向けや外食産業向けの販売が増加しています。糖化品部門は、外食産業向けの業務用販売で需要回復が見られるものの、屋外イベントでの消費伸び悩みや物価上昇の影響を受けています。
ファインケミカル部門は、国内市場向け製品の販売が一部減少しましたが、海外市場向け製品の販売が増加傾向にあります。副産物部門では、一部製品の販売価格が上昇したことにより、売上が増加しています。
同社グループの売上高は、日本国内が大部分を占めていますが、タイ国での売上も存在します。また、三菱商事株式会社が主要な顧客の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 糖化品 | 400億円 | 396億円 |
| 澱粉 | 140億円 | 143億円 |
| 副産物 | 65.0億円 | 68.0億円 |
| ファインケミカル | 21.5億円 | 22.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近の業績は、売上高が前期からわずかに増加しました。営業利益は増加傾向を示しましたが、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は減少しています。
売上高の増加は、夏の猛暑による糖化製品の販売数量増加や、原料価格高騰に伴う製品価格の適正化が進んだことが主な要因です。一方で、利益の減少は、穀物相場の下落や輸入品の影響による副産物の販売価格下落、製造費用の上昇などが影響しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | 627億円 | 630億円 |
| 経常利益 | - | - | - | 19.1億円 | 15.7億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | 3.1% | 2.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | 15.3億円 | 11.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | 310.56 | 238.55 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期と比較して減少しています。これは、従業員数が増加した一方で、売上高の伸びが緩やかであったことによるものです。
一方、従業員1人あたり営業利益は前期から増加傾向にあります。この傾向は、同社グループが事業効率の改善に取り組んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 141.8百万円 | 139.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.7百万円 | 2.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、堅実な事業活動を通じて安定した資金を創出し、財務基盤を強化しています。将来に向けた投資も継続しており、安定性と成長性のバランスが取れた経営状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は59.6%であり、前期から増加しています。これはプライム市場の製造業平均と比較しても高い水準を示しており、強固な財務体質を構築していることがうかがえます。
ROE(自己資本利益率)は4.0%で、前期から減少しました。手元資金である現金及び預金は3.4億円となっており、前期から増加しています。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営基盤を維持しており、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与する要素であると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 284億円 | 302億円 |
| 自己資本比率 | 56.7% | 59.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.4% | 4.0% |
| 現金及び預金 | 2.4億円 | 3.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは68.6億円の収入となり、前期から増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益に減価償却費や仕入債務の増加額を加算したことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは30.6億円の支出となり、前期から支出額が減少しました。これは主に、工場設備への投資などの有形固定資産の取得による支出によるものです。財務活動によるキャッシュフローは37.0億円の支出となり、前期は収入でしたが当期は支出に転じました。これは主に、短期借入金の減少額や配当金の支払額によるものです。
結果として、フリーキャッシュフローは37.9億円の収入となり、前期の支出から大幅に改善しました。本業で安定的に資金を創出し、投資を賄った上で余剰資金を生み出していることから、同社グループは安定した財務状況にあり、雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 36.9億円 | 68.6億円 |
| 投資CF | △57.6億円 | △30.6億円 |
| 財務CF | 21.0億円 | △37.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △20.7億円 | 37.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、原料とうもろこしを主として米国から輸入しており、その価格はシカゴ穀物相場や為替相場、海上輸送運賃等の変動により調達諸費用が変動するリスクがあります。また、工場のボイラー用燃料に原油価格と連動性の高い都市ガスや重油を使用しており、原油価格の高騰は生産コストの上昇要因となります。これらの価格変動を製品販売価格に転嫁できない場合、業績に影響を与える可能性があります。
また、食品業界や製紙業界等に澱粉及びその加工製品を販売しており、中東情勢やウクライナ情勢といった地政学リスクの高まりにより原燃料相場の高止まりと調達不安が続いています。競合製品の輸入動向や国内市場の動向によっては、業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループでは、2022年に元社員による資金横領の不正行為が発覚しました。これを受け、内部統制の強化、内部通報制度の信頼向上、組織風土の改善、不正を予防・早期発見する体制の構築に関する施策を実行し、再発防止に取り組んでいます。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本食品化工は、でん粉・糖の事業を通じて生活者の多様なWell-beingに貢献し、長期的な企業価値の向上を目指しています。同社グループは「多様なWell-beingのために」というコーポレートメッセージを掲げ、持続的な成長を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
日本食品化工は、でん粉・糖の事業を通じて生活者の多様なWell-beingに資する価値提供を推進し、長期的な企業価値の向上に努めることを経営の基本方針としています。同社は「多様なWell-beingのために」というコーポレートメッセージを掲げ、2022年に策定した「長期経営ビジョンNSK2030」の実現に取り組んでいます。
同社グループは、高付加価値製品を提供するソリューション事業と、コスト競争力のある生活必需品素材を提供するプライマリー事業、そしてコーンオイルなどの副産物事業を柱としています。これらの事業体制を通じて、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
日本食品化工は、社会的・環境的な潮流変化を的確に捉え、個々がより高い意欲を持って事業に参画することを重視しています。同社グループはサステナビリティ経営を事業活動の根幹に据え、重要課題として「炭素・環境保全」「豊かな社会の実現」「人材の育成と組織風土の醸成」「社会的信頼性の向上」「地域とのつながり」の5項目を設定しています。
同社は、変革を求め挑戦する人材が不可欠であるとし、従業員の成長と事業の発展が共にある姿を目指す「人事ビジョン」を策定しています。このビジョンは「成長機会の提供」「DE&I(個の尊重と公平な機会提供)」「適材適所」の3本柱を礎としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
日本食品化工は、生産面において主原料であるとうもろこしの安定調達のため、米国以外の供給先の確保や副原料・資材の複数購買に努めています。販売面では、食の高度化・多様化に対応するため、食品・飲料素材分野で培った技術力を活かした提案型営業を推進しています。
未病領域の健康志向製品や低・脱炭素領域の環境配慮型製品の提供を重点テーマとして販売強化を図っています。グローバル市場展開も重要な課題であり、タイの関連会社AMSCOでの食の高度化・多様化への対応や、同社グループ技術の海外展開に向けたマーケティング、製品供給体制、人材育成の強化に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本食品化工は、監査等委員会設置会社として、業務執行者に対する取締役会の監督機能強化とコーポレート・ガバナンスの向上に取り組んでいます。取締役会は、法令で定められた事項や経営に関する重要事項の決定、業務執行状況の監督を主な役割としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日本食品化工の筆頭株主は三菱商事であり、同社グループの資本構成において大きな割合を占めています。上位株主には複数の事業会社が名を連ねており、安定した基盤のもとで事業が展開されていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱商事 | 60.49% |
| 三和澱粉工業 | 4.11% |
| 堀内運輸 | 2.10% |
| 小林 利香 | 1.67% |
| 上田八木短資 | 1.25% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
日本食品化工の役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.0%です。代表取締役は荒川健氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 荒川 健 | 代表取締役 | 1987年三菱商事入社、同社執行役員消費財本部長等を経て、2021年同社社長、2021年6月同社代表取締役社長、2026年4月同社代表取締役より現職。 |
| 伊藤 剛 | 取締役 常務執行役員 業務・調達担当 | 1989年日本食品化工入社、業務部長、経営企画室長、総務部長、執行役員等を経て、2024年4月同社取締役常務執行役員業務・調達担当より現職。 |
| 丹野 格 | 取締役 執行役員 経営企画・海外事業・営業担当 | 1993年三菱商事入社、Asia Modified Starch Co., Ltd.社長等を経て、2022年4月日本食品化工執行役員経営企画・海外事業担当、2025年4月同社取締役執行役員経営企画・海外事業・営業担当より現職。 |
| 石川 宏明 | 取締役 執行役員 サステナビリティ・総務人事・経理・情報システム担当 | 1992年三菱商事入社、泰MC商事会社取締役副社長等を経て、2023年6月日本食品化工取締役執行役員総務人事・経理・情報システム担当、2024年6月同社取締役執行役員サステナビリティ・総務人事・経理・情報システム担当より現職。 |
| 浅見 彰宏 | 取締役 | 1998年三菱商事入社、日本農産工業執行役員、伊藤ハム米久ホールディングス常務執行役員等を経て、2025年4月三菱商事食料本部穀物飼料部長、2025年6月日本食品化工取締役より現職。 |
社外取締役は、佐藤幸一郎氏(元三井化学常務執行役員モビリティ事業本部長・監査等委員)、嵜山淳子氏(合同会社サキコンサルティング代表社員・監査等委員)、井上惠子氏(弁護士・監査等委員)です。
日本食品化工は監査等委員会設置会社であり、業務執行に対する取締役会の監督機能強化と経営の透明性・公正性の向上を図っています。社外取締役は、経営監督機能の強化を目的として選任されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日本食品化工の役員報酬は、役位や常勤・非常勤の別に応じた月例の固定報酬である基本報酬を主軸としています。業務執行を担う取締役(監査等委員および社外取締役を除く)には、中長期的な業績向上と企業価値増大への貢献を目的とした株式報酬も支給されます。監査等委員である取締役および社外取締役の報酬は、業務執行を担わない立場であるため基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 33百万円 | 5.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 0百万円 | 0.0百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 19百万円 | 6.3百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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