※本記事は、林兼産業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
林兼産業グループは、機能性素材、加工食品、肉類、配合飼料、水産物の製造・仕入販売を主な事業としています。同社グループは、これらの多様な食品関連事業を国内外で展開しています。
単体従業員数は310名、連結従業員数は462名です。セグメントは食品事業、飼料事業、その他の事業の3つです。
主な国内グループ会社は、キリシマドリームファーム(食品事業)、平安海産(飼料事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
林兼産業は、食品事業を中心に展開する企業です。同社グループの給与水準や働き方に関する特徴は、安定した事業基盤のもとで形成されています。人材育成や多様な働き方を推進する取り組みを通じて、従業員が長期的に活躍できる環境づくりを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
林兼産業では、従業員の平均年齢が43.8歳、平均勤続年数が19.3年となっています。このデータからは、従業員が比較的長く会社に在籍し、経験を積んでいる傾向がうかがえます。安定した環境でキャリアを築きたいと考える方にとって、参考となる情報です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,378,418円 |
| 平均勤続年数 | 19.3年 |
| 平均年齢 | 43.8歳 |
| 単体従業員数 | 310人 |
| 連結従業員数 | 462人 |
| 単体のグループ内比率 | 67.1% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、当社および連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も設けられています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付制度における退職給付債務は16.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
林兼産業は、コーポレートスローガン「おいしさを、生きるちからに。」を具現化するのは従業員一人ひとりであるとの考えに基づき、人財戦略を経営基盤の大きな柱と位置付けています。中期経営計画「Challenge2028」では、人的資本投資の強化を重要戦略に掲げ、企業文化を形成する人的資本や無形資産といった非財務面の価値向上を目指しています。
従業員の給与は、人事制度に基づき、所属、社員種別、等級、役職、評価結果、勤務実態等を踏まえて個別に決定されます。人事制度は、事業環境の変化や会社の業績動向、人材確保・定着の必要性、社内の公平性等を総合的に勘案し、必要に応じて見直しが行われています。同社は、経営戦略と整合した人財戦略のもと、従業員の挑戦と成長を促し、その貢献に報いる人事制度の運用に努めています。
人財戦略の重点施策として、「学び続ける組織風土の醸成」「次世代リーダーの育成」「エンゲージメント向上」の3つを推進しています。具体的には、全従業員を対象とした参加型研修や職位・役割に応じた階層別研修、自発的なキャリア形成を支援する公募型資格昇格研修などを体系的に整備しています。
次世代リーダー育成のためには、若手・中堅層が経営視点で考える機会を提供するジュニアボード制度や、外部動画学習サービスによる公募型経営研修を実施しています。エンゲージメント向上に向けては、従業員意識調査を定期的に実施し、結果を施策に反映するPDCAサイクルを運用するとともに、働き方改革や男性従業員の育児休暇取得促進にも注力しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 53.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 83.3% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 正社員における女性の構成比率 | 21.4% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均残業時間(月) | 12.7時間 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
林兼産業は、食品事業と飼料事業を主軸に展開する企業グループです。同社グループは、機能性素材、加工食品、肉類、配合飼料、水産物の製造・仕入販売を主な事業としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
林兼産業グループは、当社、連結子会社6社、持分法適用関連会社2社の計9社で構成されています。事業は「食品事業」と「飼料事業」の2つの報告セグメントに区分されており、これらに加えて報告セグメントに含まれない不動産事業も行っています。
食品事業
機能性素材、加工食品、肉類等の製造・仕入販売を行っています。収益は、機能性素材、加工食品、肉類の販売から得ています。当期は肉類の販売数量が増加した一方、機能性素材の国内向け販売数量やレトルト商品の取り扱い量が減少しました。セグメント利益は「霧島黒豚」の農場肥育成績改善などにより増加しています。
飼料事業
配合飼料、水産物等の製造・仕入販売を行っています。収益は、配合飼料や水産物の販売から得ています。当期は養魚用飼料の販売数量が減少したことなどにより、売上高が減少しました。水産物では、ブリの取扱量が減少したものの、養鰻場の譲受により活鰻の取扱量が増加しています。
主要な顧客として、当期はUmios株式会社と株式会社兵殖への販売実績が総販売実績の10%以上を占めています。前期は中国への売上高がありましたが、当期は本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の90%を超えるため、地域ごとの売上高の記載は省略されています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 飼料事業 | 268億円 | 232億円 |
| 食品事業 | 224億円 | 224億円 |
| その他の事業セグメント | 38百万円 | 5百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増減を繰り返しながら推移しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近2期連続で増加傾向を示しています。当期は売上高が減少したものの、利益は増加しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 404億円 | 425億円 | 474億円 | 493億円 | 456億円 |
| 経常利益 | 9.2億円 | 4.7億円 | 9.1億円 | 13.6億円 | 16.7億円 |
| 経常利益率 | 2.3% | 1.1% | 1.9% | 2.8% | 3.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.1億円 | 3.3億円 | 7.5億円 | 10.6億円 | 12.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 80.57 | 37.82 | 85.90 | 123.42 | 153.70 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から減少しています。一方、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から増加しています。これは、売上高が減少する中でも、利益創出の効率性が向上していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 109.7百万円 | 98.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.4百万円 | 2.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
林兼産業は、本業で安定的に資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行い、財務基盤の強化を進めている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
林兼産業の自己資本比率は当期で48.1%となっており、前期の42.7%から増加しています。これはプライム市場上場製造業の平均と比較しても高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期で10.1%となり、前期の9.2%から向上しました。プライム市場上場企業の平均を上回る水準となっています。手元資金である現金及び預金は当期で19.6億円となり、前期の31.6億円から減少しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 118億円 | 136億円 |
| 自己資本比率 | 42.7% | 48.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.2% | 10.1% |
| 現金及び預金 | 31.6億円 | 19.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
林兼産業の営業活動によるキャッシュフローは、当期に7.1億円の増加となりましたが、前期の11.1億円からは減少しています。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上があったものの、売上債権や棚卸資産の増加があったためです。
投資活動によるキャッシュフローは、当期に△6.4億円の減少となりました。前期は8.9億円の増加でしたが、当期は減少に転じています。これは投資有価証券の売却収入があった一方で、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出があったためです。
財務活動によるキャッシュフローは、当期に△12.7億円の減少となりました。前期の△13.6億円から減少幅は縮小しています。長期借入金やリース債務の返済による支出が主な要因です。
フリーキャッシュフローは当期に76百万円の増加となり、前期の20.0億円から大幅に減少しています。本業で資金を生み出しつつ、投資活動も行っています。財務活動では借入金の返済を進めており、財務体質の改善に努めている状況です。このような資金の流れは、事業の継続的な成長と財務の健全性維持に向けた取り組みを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 11.1億円 | 7.1億円 |
| 投資CF | 8.9億円 | △6.4億円 |
| 財務CF | △13.6億円 | △12.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 20.0億円 | 76百万円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、魚肉ねり製品や養魚用飼料の販売において特定の取引先への依存度が高い状況です。また、農畜水産物を多く取り扱っており、市場での需給状況や天候不順、自然災害、疾病の発生などにより相場が大きく変動する可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループはコンプライアンス経営宣言のもと、法令遵守と企業倫理の徹底に取り組んでいます。しかし、個人的な不正行為等を含め、コンプライアンスに関するリスクや社会的に信用が毀損されるリスクを回避できない可能性があり、万一法令違反等が発生した場合には業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
林兼産業は、「売り手によし、買い手によし、世間によし、三方よし」を規範とし、豊かな食文化の実現に貢献することを目指す企業です。飼料の生産から食品の販売までを一貫して手掛ける垂直型メーカーとして、「安全・安心」で「良質」な製品を提供しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「売り手によし、買い手によし、世間によし、三方よし」を規範とし、豊かな食文化の実現に貢献することを経営理念としています。飼料の生産から食品の販売まで取り扱う垂直型メーカーとして、「安全・安心」で「良質」な製品を提供しています。
また、同社グループは、『「生きる力」を生みだす食糧品メーカーである林兼産業は食の可能性をひろげる商品を生みだすことで誰もが幸せに生きられる未来をつくるために活動します。』をパーパスとしています。コーポレートスローガンは『おいしさを、生きるちからに。』です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「売り手によし、買い手によし、世間によし、三方よし」を規範とし、ステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重しています。社内集会や広報を通じて、企業文化・風土の醸成に努めています。
サステナビリティを巡る課題については、「自然環境の保全に積極的に取り組む」「良き企業市民として積極的に社会貢献活動を行う」「国際社会の一員として関係地域の発展に努める」旨を「行動憲章」に定め、実践しています。
新中期経営計画「Challenge2028」では、行動指針を人材育成・評価制度と連動させ、組織マネジメントに組み込むことで「浸透」から「定着」へと進化させるフェーズと位置付けています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、新中期経営計画「Challenge2028」に基づき、人的資本に関する取組みを推進しています。具体的には、①学び続ける組織風土の醸成、②次世代リーダーの育成、③エンゲージメント向上の3つを重点施策としています。
また、事業を通じて健康と環境の課題解決に取り組むSDGsの実践、温室効果ガス削減の取組み、動物の飼養管理など、サステナビリティ経営を進めています。
コーポレート・ガバナンスの充実も図っており、取締役会の監査・監督機能の強化と透明性の確保に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
林兼産業は監査等委員会設置会社であり、取締役会による監査・監督機能の強化と経営の透明性確保に努めています。社外取締役が経営の意思決定の迅速化とガバナンスの充実を支える体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
林兼産業の株主構成を見ると、創業者の遺志を継ぐ公益財団法人が筆頭株主となっています。その他、事業関連会社が上位に名を連ねており、安定した基盤のもとで事業が展開されていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 公益財団法人中部財団 | 9.87% |
| Umios | 6.93% |
| 恵比須商会 | 5.21% |
| 立花証券 | 4.87% |
| 松岡 | 4.41% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は中部哲二氏が務めています。社外取締役比率は45.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中部 哲二 | 代表取締役社長 | 1994年4月同社入社。2008年6月同社取締役開発部担当。2014年4月同社専務取締役経営企画室担当兼東京支社担当兼事業改革担当。2020年4月より同社代表取締役社長。 |
| 三代 健造 | 専務取締役 事業統括本部長 兼飼料事業部長 | 1991年4月同社入社。2010年4月同社飼料事業部研究開発部長。2018年6月同社取締役飼料事業部副事業部長。2024年6月より同社専務取締役事業統括本部長兼飼料事業部長。 |
| 戸倉 信一 | 取締役 事業統括本部 食品事業部長 | 1991年4月同社入社。2020年10月ベツケイ代表取締役社長。2024年6月同社取締役経営管理本部長兼経理部長。2025年6月より同社取締役事業統括本部食品事業部長。 |
| 中嶋 一貴 | 取締役 経営管理本部長 | 1984年4月山口銀行入行。2015年6月北九州銀行取締役。2022年6月同社常任監査役。2023年6月同社取締役監査等委員。2025年6月より同社取締役経営管理本部長。 |
| 安部 克彦 | 取締役 事業統括本部食品事業部副事業部長 | 2000年4月ベニレイ入社。2018年4月トライデント・シーフード・アジア・インク日本支社Director。2020年2月ウォーターベアーズ代表取締役社長。2024年6月より同社取締役事業統括本部食品事業部副事業部長。 |
| 鈴田 修士 | 取締役 経営管理本部副本部長 | 1990年4月オリックス入社。2019年7月ジャパンインベストメントアドバイザー執行役員。2023年3月とこしえラボ代表。2024年6月より同社取締役経営管理本部副本部長。 |
社外取締役は、田中姿子氏(スノーバレーボールジャパン代表理事)、岩村修二氏(弁護士・監査等委員長)、山尾哲之氏(元テラオカ代表取締役社長・監査等委員)、三田村知尋氏(元マルハニチロ常務取締役・監査等委員)、伊勢﨑俊博氏(元ワイエム証券代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監査・監督機能の強化と経営の透明性確保を図っています。監査等委員である取締役4名全員が社外取締役で構成されており、経営の中立性と監視機能の充実が特徴です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
林兼産業の役員報酬は、取締役(監査等委員を除く)に対して月額報酬、賞与、譲渡制限付株式報酬を支給する体系です。月額報酬は固定報酬と業績連動報酬で構成され、連結および個別の経常利益を評価指標としています。監査等委員の報酬は固定の月額報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.3億円 | 21.3百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 26百万円 | 4.3百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。