※本記事は、日和産業株式会社 の有価証券報告書(第121期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日和産業ってどんな会社?
配合飼料の製造販売を主力とし、養鶏・養豚・養牛用等の飼料を供給するほか、畜産物の生産販売も手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
1924年に日本家畜飼料として設立され、1948年に日和産業へ商号変更しました。1961年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1975年には畜産事業を行う東和畜産を設立しました。その後、各地に工場や農場を開設して事業基盤を拡大し、市場区分の見直しに伴い2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。
連結従業員数は178名、単体では137名です。筆頭株主は十文字チキンカンパニーで、第2位は同社の配合飼料事業における主要な仕入先である豊田通商、第3位は東北グレーンターミナルとなっており、事業上の関係が深い企業が上位株主に名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 十文字チキンカンパニー | 8.31% |
| 豊田通商 | 7.52% |
| 東北グレーンターミナル | 6.37% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中橋太一郎氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中橋太一郎 | 取締役社長(代表取締役) | 2007年同社入社。管理本部長、営業本部長などを経て2024年6月より現職。 |
| 中橋正敏 | 取締役相談役 | 1973年同社入社。総務部長を経て1999年社長、2017年会長を歴任。2024年6月より現職。 |
| 松本幸久 | 取締役三原工場長 | 1975年同社入社。2009年執行役員三原工場長を経て、2013年6月より現職。 |
| 安井秀夫 | 取締役管理本部長総務部長 | 1978年同社入社。2011年執行役員管理本部副本部長を経て、2018年6月より現職。 |
| 東杢比野敏 | 取締役鹿児島工場長 | 1984年同社入社。鹿児島工場副工場長を経て2023年6月より現職。 |
| 脇村常雄 | 取締役監査等委員 | 1983年同社入社。総務部長、常勤監査役などを経て2025年6月より現職。 |
社外取締役は、河崎司郎(元三菱東京UFJ銀行瓦町支社長)、吉田憲史(吉田公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飼料事業」および「畜産事業」を展開しています。
■飼料事業
畜産用、水産用等の配合飼料を製造販売しています。また、得意先が生産した畜産物の売買も行っています。
主な収益源は、畜産事業者等への配合飼料の販売です。運営は主に日和産業が行っており、一部の養牛用配合飼料については関連会社のみちのく飼料に製造を委託しています。また、配合飼料の一部は得意先を通じて連結子会社の東和畜産にも販売しています。
■畜産事業
畜産物の生産、販売を行っています。具体的には、肉鶏及び肉豚の肥育、販売事業を展開しています。
生産した畜産物を市場や得意先に販売することで収益を得ています。運営は連結子会社の東和畜産が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は2023年3月期まで増加傾向にありましたが、直近2期は減少に転じています。利益面では、2023年3月期に原材料高騰等の影響で経常赤字となりましたが、その後回復し、経常利益は増加傾向にあります。2025年3月期は減損損失の計上等により純利益が減少しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 399億円 | 449億円 | 547億円 | 529億円 | 486億円 |
| 経常利益 | 4億円 | 2億円 | -1.0億円 | 9億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 0.9% | 0.5% | -0.2% | 1.7% | 2.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.3億円 | 1億円 | 3億円 | 6億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は販売数量の減少や価格改定の影響により減少しましたが、売上原価も減少したことで売上総利益は増加しました。販管費は増加しましたが、営業利益は前期と同水準を維持しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 529億円 | 486億円 |
| 売上総利益 | 31億円 | 36億円 |
| 売上総利益率(%) | 5.9% | 7.3% |
| 営業利益 | 9億円 | 9億円 |
| 営業利益率(%) | 1.7% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、飼料価格安定基金負担金が12億円(構成比47%)、運賃保管料が6億円(同21%)を占めています。
■(3) セグメント収益
飼料事業は減収となりましたが、原材料価格が落ち着いたことにより増益となりました。畜産事業は増収となりましたが、相場変動の影響等により営業損失となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 飼料事業 | 512億円 | 467億円 | 10億円 | 11億円 | 2.3% |
| 畜産事業 | 17億円 | 19億円 | -2億円 | -1億円 | -6.8% |
| 連結(合計) | 529億円 | 486億円 | 9億円 | 9億円 | 1.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
日和産業は、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金を示しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却等による資金の増減を表しています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等による資金の変動を示しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 21億円 | 24億円 |
| 投資CF | 2億円 | -3億円 |
| 財務CF | -4億円 | -1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「お客様第一主義」を掲げています。安全で良品質な配合飼料を安定的にお客様に供給することにより、飼料畜産業界の発展に寄与することを経営方針としています。食が人々の健康の基本であり、安全かつ高品質な飼料の提供が人々の健康と安定的な食糧確保につながると考えています。
■(2) 企業文化
同社では、早期より社員へ広い権限と責任を与え、その中で考働させることで社会人の良識と高い職業観を有する社員への成長を促す文化があります。性別や国籍等に関係なく能力等を公正に評価し、多様な人材を登用する方針を持っています。また、サステナビリティを重視した経営を行っています。
■(3) 経営計画・目標
来期の業績見通しとして、以下の数値を目標として掲げています。
* 売上高:500億円
* 営業利益:4億円
* 経常利益:4億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:3億円
■(4) 成長戦略と重点施策
飼料事業並びに畜産事業において持続的な成長と企業価値の向上のため、販売の強化に加え、設備の更新等による固定費や生産コストの削減に注力することで、業績の向上に努めていく方針です。
* 多様化する顧客ニーズに対応した製品の開発
* 多様な人材確保及び育成
* 家畜疾病の予防
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループでは、性別、国籍等に関係なく、その能力、識見、人格等を公正に評価し、多様な人材を管理職に登用する方針です。また、多様な人材が能力を発揮し、広い視野を持てるよう、早期から社員に広い権限と責任を与え、その中で考働させる育成を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.2歳 | 17.6年 | 5,000,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年間有給休暇平均取得日数(14日)、年間平均所定外労働時間(135時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 穀物相場リスク
配合飼料原料の大半を占めるとうもろこし等の仕入価格は米国のシカゴ穀物相場を基準としており、穀物相場は主生産地での作付状況や天候条件によって変動します。穀物相場の予想しがたい高騰によって、売上原価に影響を及ぼすおそれがあります。
■(2) 為替相場リスク
仕入原料の大半は輸入品のため、為替相場の変動により仕入コストが影響を受けることがあります。為替予約を行うことによりリスク低減を図っておりますが、予期せぬ円安が発生した場合は、売上原価が増加することで損失を被ることがあります。
■(3) 畜産物相場リスク
畜産物相場は需給関係等により変動するため、相場低迷時には顧客である畜産事業者が十分な収入を得られず、同社グループの債権回収に困難を来すことがあります。また、連結子会社において肉豚・肉鶏を生産しており、販売価格の低下により売上高に影響を及ぼすおそれがあります。



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