※本記事は、日和産業株式会社の有価証券報告書(第122期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日和産業ってどんな会社?
畜水産向けの配合飼料を安定的かつ安全に供給し、食の根幹を支える老舗の飼料メーカーです。
■(1) 会社概要
1924年に日本家畜飼料として設立され、1948年に現在の日和産業へと社名を変更しました。1961年には大阪証券取引所市場第二部に株式を上場し、1975年には子会社である東和畜産を設立して畜産事業にも参入しています。その後、2013年に東京証券取引所市場第二部に株式を上場し、事業を拡大してきました。
現在の従業員数は、連結で179名、単体で134名体制となっています。筆頭株主は事業会社の十文字チキンカンパニーで、第2位は総合商社の豊田通商、第3位はサイロ運営などを行う東北グレーンターミナルです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 十文字チキンカンパニー | 8.70% |
| 豊田通商 | 7.52% |
| 東北グレーンターミナル | 6.37% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中橋太一郎氏が務めており、社外取締役比率は25.0%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中橋太一郎 | 取締役社長(代表取締役) | 2007年4月同社入社。管理本部長、営業本部長などを経て2024年6月より現職。 |
| 中橋正敏 | 取締役相談役 | 1973年6月同社入社。総務部長、社長、会長などを経て2024年6月より現職。 |
| 松本幸久 | 取締役三原工場長 | 1975年4月同社入社。執行役員三原工場長を経て2013年6月より現職。 |
| 安井秀夫 | 取締役管理本部長総務部長 | 1978年4月同社入社。執行役員管理本部副本部長を経て2018年6月より現職。 |
| 東杢比野敏 | 取締役鹿児島工場長 | 1984年4月同社入社。執行役員鹿児島工場副工場長を経て2023年6月より現職。 |
| 脇村常雄 | 取締役監査等委員 | 1983年7月同社入社。総務部長、管理本部長、常勤監査役などを経て2025年6月より現職。 |
社外取締役は、河崎司郎(元新日本有限責任監査法人マネージングディレクター)、吉田憲史(吉田公認会計士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飼料事業」および「畜産事業」を展開しています。
■飼料事業
養鶏用、養豚用、養牛用、養魚用といった畜産・水産向けの配合飼料を製造・販売しています。また、得意先が生産した畜産物の売買もあわせて展開し、畜水産業界の発展を支援しています。
主な収益源は、畜水産事業者等に対する配合飼料の販売代金や、畜産物の売買による収入です。事業の運営は主に日和産業が担っており、養牛用配合飼料の一部については関連会社であるみちのく飼料に製造を委託しています。
■畜産事業
自社グループの農場において、安全で高品質な畜産物の生産および販売事業を展開しています。飼料メーカーとしてのノウハウを活かした飼育実績を構築しています。
主な収益源は、生産した畜産物を市場や得意先に対して販売して得られる代金です。事業の運営は、同社の連結子会社である東和畜産が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は飼料原料価格の変動等により直近で減収となっているものの、経常利益については着実な改善傾向が続いており、利益率は上昇傾向にあります。
| 項目 | 118期 | 119期 | 120期 | 121期 | 122期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 449億円 | 547億円 | 529億円 | 486億円 | 456億円 |
| 経常利益 | 2億円 | -1億円 | 9億円 | 11億円 | 14億円 |
| 利益率(%) | 0.5% | -0.2% | 1.7% | 2.4% | 3.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 3億円 | 6億円 | 3億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が減少する中で、売上総利益は増加しており、売上総利益率および営業利益率ともに改善しています。原価の低減や販売価格の適正化が利益を押し上げました。
| 項目 | 121期 | 122期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 486億円 | 456億円 |
| 売上総利益 | 36億円 | 41億円 |
| 売上総利益率(%) | 7.3% | 9.1% |
| 営業利益 | 9億円 | 15億円 |
| 営業利益率(%) | 1.9% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、飼料価格安定基金負担金が12億円(構成比45%)、運賃保管料が5億円(同20%)、従業員給与手当が2億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
飼料事業では原材料価格の影響を受けつつも底堅い売上を維持しており、畜産事業も安定した売上規模を確保しています。
| 区分 | 売上(121期) | 売上(122期) |
|---|---|---|
| 飼料事業 | 467億円 | 437億円 |
| 畜産事業 | 19億円 | 19億円 |
| 連結(合計) | 486億円 | 456億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 121期 | 122期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 24億円 | 12億円 |
| 投資CF | -3億円 | -11億円 |
| 財務CF | -1億円 | 3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は61.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
お客様第一主義を掲げ、安全で良品質な配合飼料を安定的にお客様に供給することにより、飼料畜産業界の発展に寄与することを経営方針として掲げています。
■(2) 企業文化
食が人々の健康の基本であり、安全かつ高品質な配合飼料を提供することが人々の健康を守り、なおかつ安定的な食糧の確保につながるという考え方を重視し、サステナビリティを意識した経営を行っています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と企業価値向上のため、以下の業績目標を掲げて取り組んでいます。
* 売上高500億円
* 営業利益5億円
■(4) 成長戦略と重点施策
販売の強化に加えて、設備の更新等による固定費や生産コストの削減に注力することで、業績の向上を目指しています。また、多様な人材の確保および育成、家畜疾病の予防などにも並行して取り組む方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
性別や国籍等に関係なく、能力や人格等を公正に評価し、多様な人材を管理職に登用する方針です。また、早期から社員へ広い権限と責任を与え、社会人の良識と高い職業観を有する人材への成長を促しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 122期 | 43.6歳 | 16.2年 | 5,000,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年間有給休暇平均取得日数(13日)、年間平均所定外労働時間(139時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 穀物相場・為替相場の変動リスク
配合飼料原料の大半を占めるとうもろこし等の仕入価格は米国のシカゴ穀物相場を基準としており、天候等による相場高騰が原価に影響を及ぼす可能性があります。また、原料の大半が輸入品のため、為替相場の変動(円安)により仕入コストが増大するリスクがあります。
■(2) 畜産物相場の変動リスク
畜産物相場は需給関係や生産コストと関係なく騰落することがあり、相場低迷時には畜産事業者に対する債権回収に困難を来す可能性があります。さらに、自社の子会社が生産する畜産物の販売価格が低下した場合、売上高に影響を及ぼすおそれがあります。
■(3) 家畜等の疾病による影響
畜水産事業者において鳥インフルエンザや豚熱などの伝染性疾病が発生した場合、配合飼料の販売に支障を来すリスクがあります。また、自社グループの農場においても伝染病が発生した際、生産物の大量処分や飼育制限が課されることで、業績に影響を及ぼすおそれがあります。



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