※本記事は、ユアサ・フナショク株式会社の有価証券報告書(第55期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ユアサ・フナショクってどんな会社?
食品・食材の卸売を中核とし、ビジネスホテル経営や不動産賃貸事業を展開する総合食品商社です。
■(1) 会社概要
1937年1月に湯浅商店として設立され、肥料・米・雑穀・小麦粉・各種飼料の卸販売を開始しました。1972年3月に船橋食品を吸収合併してユアサ・フナショクに商号変更し、1973年にはホテル事業を開始しました。1975年12月に上場を果たし、近年も物流網や新規拠点の拡充を積極的に進めています。
従業員数は連結で303名、単体で216名です。筆頭株主は光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信で、第2位は事業会社の昭和産業、第3位はUH Partners 2投資事業有限責任組合無限責任組合員UH Partners 2となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信 | 8.52% |
| 昭和産業 | 7.58% |
| UH Partners 2投資事業有限責任組合無限責任組合員UH Partners 2 | 7.52% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は山田共之氏が務めています。社外取締役比率は16.7%(12名中2名)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田 共之 | 取締役社長(代表取締役) | 1981年3月同社入社。2001年4月旭支店長、2007年5月執行役員千葉支店長、2011年6月取締役、2015年4月常務取締役を経て、2019年4月より現職。 |
| 奥田 良三 | 常務取締役低温食品本部長、千葉支店長 | 1985年4月同社入社。2013年4月業務用商品本部副本部長兼食品原料部長、2016年4月執行役員、2016年6月取締役を経て、2021年4月より現職。 |
| 林 伸二 | 常務取締役食品本部長、米穀本部担当 | 1983年4月同社入社。2012年4月松戸支店長、2018年4月執行役員松戸支店長、2019年6月取締役を経て、2024年4月より現職。 |
| 石橋 宏 | 常務取締役管理本部長、経営企画室長 | 1987年4月同社入社。2012年4月経理部長、2020年4月総務部長、2021年4月執行役員、2021年6月取締役を経て、2026年4月より現職。 |
| 大山 修一 | 常務取締役ホテル事業本部長、管理部長 | 1988年4月山野入社。2005年4月同社パールホテル太田支配人、2019年10月執行役員ホテル事業本部長兼管理部長、2023年6月取締役を経て、2026年4月より現職。 |
| 野田 聡 | 取締役業務用商品本部長、業務商材部長、飼料畜産本部担当 | 1995年4月同社入社。2017年4月食品原料部長、2025年4月執行役員業務用商品本部長兼業務商材部長、飼料畜産本部担当を経て、2025年6月より現職。 |
| 三木 智史 | 取締役食品本部副本部長、東京支店長 | 1993年4月同社入社。2017年4月東京支店副支店長、2023年4月執行役員東京支店長、2025年4月執行役員食品本部副本部長兼東京支店長を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、和氣満美子氏(弁護士・東京簡易裁判所民事調停委員)、足立政治氏(公認会計士・元有限責任監査法人トーマツ代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「商事部門」、「ホテル部門」、「不動産部門」の報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 商事部門
メーカーから小麦粉、澱粉、砂糖、油脂、飼料、畜産、加工食品、酒類などを仕入れ、小売業や外食産業などの顧客に幅広く販売しています。また、米の集荷および販売も手がけ、食品流通においてトータルな提案を行っています。
卸売販売によるマージンが主な収益源です。運営は同社を中心に、ユアサフナショク・リカー、ワイ・エフ石油、ニュー・ノザワ・フーズ、太陽商事、東京太陽、ワイケイフーズなどが各専門分野の商材を仕入れて販売しています。
■(2) ホテル部門
東京エリアを中心に「パールホテル」などのブランドでビジネスホテルを展開し、客室やレストランなどのサービスを提供しています。ビジネス客だけでなく、レジャー客や訪日外国人の宿泊需要にも幅広く対応しています。
顧客からの宿泊料や飲食代などが主な収益源となります。運営は主に同社および子会社のホテルサンライトが行っており、快適で魅力ある客室とクオリティの高いサービスの提供に努めています。
■(3) 不動産部門
千葉県などの地域において、商業施設等の賃貸用不動産および事務所等の物件を保有し、顧客に提供しています。事業環境の変化に対応しながら、安定的な収益基盤の確保を図っています。
保有する不動産の賃貸料収入が主な収益源です。運営は主に同社が行っており、一部の物件については子会社のワイ・エフ石油ほかグループ企業に対しても事務所等として賃貸しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の連結業績を見ると、売上高は緩やかな右肩上がりで推移し、継続的な成長を実現しています。経常利益も売上拡大に連動して増加傾向にあり、利益率も着実に改善しています。家庭用商品の値上げや物価高騰等の影響がある中でも、堅調なインバウンド需要の取り込みや物流の効率化により安定した業績を確保しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1099億円 | 1179億円 | 1196億円 | 1231億円 | 1264億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 18億円 | 22億円 | 31億円 | 34億円 |
| 利益率(%) | 0.9% | 1.5% | 1.8% | 2.5% | 2.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 23億円 | 10億円 | 24億円 | 17億円 | 20億円 |
■(2) 損益計算書
売上高と売上総利益はともに増加しており、堅調な収益構造を維持しています。原材料費や輸送コスト、人件費の高騰といった厳しい経営環境の中にあっても、売上総利益率および営業利益率を前年度からわずかに改善させており、コストコントロールや適正な価格転嫁が着実に進んでいることが伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1231億円 | 1264億円 |
| 売上総利益 | 96億円 | 100億円 |
| 売上総利益率(%) | 7.8% | 7.9% |
| 営業利益 | 27億円 | 29億円 |
| 営業利益率(%) | 2.2% | 2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃・保管料が23億円(構成比32%)、給料手当が18億円(同25%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である商事部門は、食品・米穀・業務用商品などのトータル営業や物流の効率化が進み、着実な増収を達成しています。ホテル部門も、各種イベントやスポーツ大会、企業研修などの宿泊需要を取り込むとともに、インバウンド需要の増加により稼働率が上昇し、順調な売上拡大を見せています。不動産部門も安定して推移しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 商事部門 | 1194億円 | 1224億円 |
| ホテル部門 | 34億円 | 37億円 |
| 不動産部門 | 3億円 | 3億円 |
| 連結(合計) | 1231億円 | 1264億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業型のキャッシュ・フロー(健全型)となっています。
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は61.1%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 41億円 |
| 投資CF | -17億円 | -6億円 |
| 財務CF | -3億円 | -7億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「食品流通事業を中心にビジネスホテルの経営、不動産賃貸事業を行う総合食品商社として、安定的な成長と収益力を備えた力強い企業づくり」を進めることを経営方針として掲げています。安心・安全な商品の提供を通じて地域の生活者の健康で豊かな食生活に貢献するなかで、企業価値の最大化を図ることを使命としています。
■(2) 企業文化
同社グループは、常に変化していく顧客ニーズに的確に対応し、地域に密着した営業を展開する文化を持っています。食品メーカーや小売業などの取引先との連携を強化し、物流機能や情報機能のレベルアップに継続的に取り組むとともに、コンプライアンス体制の強化や公正で透明性の高い経営を重んじています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、営業基盤の拡充と経営の一層の効率化を進め、安定的かつ継続的に利益を確保することを重視しています。中短期的な数値目標として、2027年3月期に以下の目標を掲げています。
・売上高:1300億円
・営業利益:29億円
・経常利益:34億円
・当期純利益:25億円
■(4) 成長戦略と重点施策
商事部門では、加工食品から米穀までのフルライン体制の強みを活かし、商品供給の的確化と物流の効率化を図ります。ホテル部門では、クオリティの高いサービスの提供により集客力を強化し、既存ホテルの変革で事業の最適化を進めます。各部門の取り組みに加え、一段と厳しさを増す経営環境に耐えうる強固な財務体質の構築を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、「食・住・泊」にわたる多様な顧客ニーズを的確に捉え、部門間のシナジーを最大限に発揮するため、「部門間連携の強化」と「各部門の専門性の高度化」を最重要テーマに掲げています。柔軟な働き方の推進や育児との両立支援に注力し、多様な人材が心身ともに健康で安心して長く働ける職場環境づくりを進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.0歳 | 18.0年 | 5,349,874円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 13.6% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 51.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 83.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 57.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 取引先の信用リスク
同社グループは多数の取引先と掛売り取引を行っています。信用情報の収集や与信限度額の定期的な見直しなどにより信用リスクの回避に努めていますが、倒産などの予期せぬ事態により債権回収に問題が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 商品相場や市況の変動
米穀および畜産の仕入価格は比較的短期間に大きく変動する場合があります。米の作況や流通状況、食肉の輸入制限措置などに伴う相場の動向によっては、仕入コストが上昇し、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 食品の安全性と品質管理
同社グループは、精米工場の稼働やレストランの経営を行っており、厳正な衛生管理や品質管理を行っています。しかし、社会全般における異物混入や表示違反などの品質問題が生じた場合や、鳥インフルエンザなどの蔓延により流通に支障が出た場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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