ユアサ・フナショク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユアサ・フナショク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の総合食品商社です。食品・食材の卸売を行う商事部門を中核に、ホテル運営や不動産賃貸も展開しています。直近の連結業績は、売上高が前期比2.9%増の1,231億円、経常利益が40.9%増の31億円と増収増益を達成しました。


※本記事は、ユアサ・フナショク株式会社 の有価証券報告書(第54期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ユアサ・フナショクってどんな会社?


食品流通事業を主軸に、ホテル経営や不動産事業も手掛ける千葉県船橋市発祥の総合食品商社です。

(1) 会社概要


同社は1937年に湯浅商店として設立され、肥料や穀物の卸販売を開始しました。1972年に現社名へ変更し、1973年にはホテル事業に進出しました。1975年に東京証券取引所市場第二部へ上場を果たし、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。現在では食品商社としての機能に加え、ビジネスホテル経営や不動産賃貸など多角的な事業展開を行っています。

同グループは連結子会社11社、関連会社1社を含む計315名の従業員(単体217名)で構成されています。筆頭株主は投資事業などを行う光通信で、第2位は製粉・食用油大手の昭和産業です。昭和産業とは長年の取引関係にあり、仕入先としての協力関係を維持・強化しています。

氏名 持株比率
光通信 9.64%
昭和産業 7.58%
株式会社UH Partners 2 7.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名、計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は山田共之氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
山田 共之 取締役社長(代表取締役) 1981年同社入社。旭支店長、執行役員千葉支店長、常務取締役などを経て、2019年4月より現職。
奥田 良三 常務取締役低温食品本部長、千葉支店長 1985年同社入社。松戸支店長、執行役員業務用商品本部長兼食品原料部長などを経て、2021年4月より現職。
林 伸二 常務取締役食品本部長、米穀本部担当 1983年同社入社。松戸支店長、執行役員松戸支店長などを経て、2024年4月より現職。
石橋 宏 取締役管理本部長、経営企画室長 1987年同社入社。経理部長、総務部長、執行役員管理本部長兼経営企画室長兼総務部長を経て、2021年6月より現職。
大山 修一 取締役ホテル事業本部長、管理部長 1988年山野入社。同社パールホテル支配人、執行役員ホテル事業本部長などを経て、2023年6月より現職。
野田 聡 取締役業務用商品本部長、業務商材部長、飼料畜産本部担当 1995年同社入社。食品原料部長、執行役員業務用商品本部長兼業務商材部長などを経て、2025年6月より現職。
三木 智史 取締役食品本部副本部長、東京支店長 1993年同社入社。東京支店副支店長、執行役員東京支店長、執行役員食品本部副本部長を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、和氣満美子(あたらし橋法律事務所所属弁護士)、足立政治(公認会計士、コーユーレンティア社外監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「商事部門」「ホテル部門」「不動産部門」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。

商事部門


食品メーカー等から小麦粉、澱粉、砂糖、油脂、飼料、畜産、加工食品、酒類、米穀などを仕入れ、小売業や外食産業等へ販売しています。また、米の集荷・販売も行っています。消費者の食生活の多様化に対応し、加工食品、低温食品、酒類、業務用商品、飼料・畜産、米穀のトータル営業を推進しています。

収益は、商品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は、同社のほか、ユアサフナショク・リカー(酒類)、ワイ・エフ石油、ニュー・ノザワ・フーズ(米穀)、太陽商事、東京太陽、ワイケイフーズ(加工食品)などの子会社や関連会社が行っています。

ホテル部門


「パールホテル」などのブランドでビジネスホテルやレストランの経営を行っています。機能・サービスの充実と快適な客室の提供に努め、ビジネス客や観光客、インバウンド需要の取り込みを図っています。

収益は、宿泊料やレストラン利用料として利用者から受け取ります。運営は、同社および子会社のホテルサンライトが行っています。

不動産部門


所有する不動産の賃貸事業を行っています。安定的な収益確保を目的とし、一部の子会社に対して事務所等の賃貸も行っています。

収益は、賃貸先からの賃料収入として受け取ります。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は緩やかな増加傾向にあり、直近では1,231億円に達しています。利益面では、経常利益が連続して増加しており、利益率も改善傾向にあります。特に直近の経常利益は31億円となり、順調な業績拡大を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,089億円 1,099億円 1,179億円 1,196億円 1,231億円
経常利益 2億円 10億円 18億円 22億円 31億円
利益率(%) 0.2% 0.9% 1.5% 1.8% 2.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -1億円 23億円 10億円 24億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しています。これに伴い営業利益率も上昇しており、収益性が向上しています。販売費及び一般管理費は増加しましたが、増収効果と利益率改善により、営業利益は大きく伸長しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,196億円 1,231億円
売上総利益 83億円 96億円
売上総利益率(%) 7.0% 7.8%
営業利益 19億円 27億円
営業利益率(%) 1.6% 2.2%


販売費及び一般管理費のうち、運賃・保管料が19億円(構成比28%)、給料手当が18億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


商事部門は食品や米穀等の販売単価上昇等により増収増益となりました。ホテル部門はインバウンド需要の回復等により大幅な増収増益を達成しました。不動産部門も安定的に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
商事部門 1,165億円 1,194億円 16億円 20億円 1.7%
ホテル部門 28億円 34億円 8億円 13億円 37.0%
不動産部門 2億円 3億円 2億円 3億円 94.8%
調整額 -1億円 -1億円 -8億円 -8億円 -
連結(合計) 1,196億円 1,231億円 19億円 27億円 2.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業活動にかかる運転資金を主に営業活動によるキャッシュ・フローで獲得し、自己資金や金融機関からの資金調達も活用して将来に備えています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や棚卸資産の増減などが影響し、前年同期比で収入が減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増減や配当金の支払いなどにより、前年同期比で支出が減少しました。

これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末から減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 28億円 6億円
投資CF -9億円 -17億円
財務CF -9億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、食品流通事業を中心にビジネスホテルの経営、不動産賃貸事業を行う総合食品商社として、安定的な成長と収益力を備えた力強い企業づくりを進めることを方針としています。また、安心・安全な商品の提供を通じて地域の生活者の健康で豊かな食生活に貢献する中で、企業価値の最大化を図っていくとしています。

(2) 企業文化


地域に密着した営業展開を重視する文化があります。また、コーポレート・ガバナンスの有効性確保を課題とし、コンプライアンス体制の強化に取り組むとともに、人材の育成、公正で透明性の高い経営を行うことを掲げています。食品の品質に対する消費者意識が高まる中、より安全・安心な商品の取り扱いを進める姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、営業基盤の拡充と経営の一層の効率化を進め、安定的かつ継続的に利益を確保することを重視しています。具体的には、2026年3月期において以下の数値目標を見込んでいます。

* 連結売上高:1,250億円
* 営業利益:28億円
* 経常利益:32億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:22億円

(4) 成長戦略と重点施策


商事部門では、顧客ニーズへの的確な対応、物流・情報・リテールサポート機能の向上に取り組みます。加工食品から米穀までのフルライン体制強化と物流効率化によるローコストオペレーションを推進します。ホテル部門では、機能サービスの充実と客室の快適性向上を図り、東京エリアを中心に事業環境の再検討や既存ホテルの変革を進め、事業の最適化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、少子高齢化や労働力減少に対するリスク管理として、ダイバーシティ推進による労働力確保やDX推進による業務の少人化に取り組んでいます。性別や学歴にとらわれない採用、中途採用によるキャリアの多様化、管理職登用の促進を進めるとともに、研修制度や資格取得奨励制度による社員教育を継続的に実施しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.1歳 18.0年 5,097,199円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 68.2%
男女賃金差異(正規雇用) 82.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 78.2%


※連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 取引先の信用リスク


多数の取引先と掛売り取引を行っており、信用情報の収集や与信限度額の見直し等でリスク回避に努めていますが、取引先の倒産など予期せぬ事態により債権回収に問題が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市況変動による影響


米穀や畜産などの仕入価格は比較的短期間に大きく変動する場合があります。米の作況や流通状況、食肉の輸入制限措置などに伴う相場の動向によっては、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) 投資有価証券の価格変動


保有する投資有価証券の大部分は上場株式であり、今後の株式市況の動向によっては、評価損益の変動などを通じて業績に影響を与える可能性があります。

(4) 金利動向の影響


有利子負債には変動金利による借入が含まれており、今後の金利動向によっては支払利息の増加などにより業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。