※本記事は、ユアサ・フナショク株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ユアサ・フナショクグループは、食品・食材の卸売を中核とする商事部門、ビジネスホテルを経営するホテル部門、不動産賃貸を行う不動産部門の3つの事業を展開しています。子会社11社と関連会社1社で構成され、グループ全体で多角的な事業活動を行っています。
単体従業員数は216名、連結従業員数は303名です。セグメントは商事部門、ホテル部門、不動産部門の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ワイ・エフ物流(商事部門)、ホテルサンライト(ホテル部門)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ユアサ・フナショクは、食品流通や米穀事業を核に、ホテルや不動産事業も展開する企業です。多様な事業を通じて地域社会に貢献することを目指しており、従業員の働きがいや成長を重視する姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が心身ともに健康で安心して長く働ける環境づくりに注力しています。平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高いことから、長期的なキャリア形成が可能な環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,349,874円 |
| 平均勤続年数 | 18.0年 |
| 平均年齢 | 42.0歳 |
| 単体従業員数 | 216人 |
| 連結従業員数 | 303人 |
| 単体のグループ内比率 | 71.3% |
同社および連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型および非積立型の確定給付制度を採用しています。確定給付型は、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度です。
退職一時金制度があり、給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。なお、確定給付債務は10.0億円、年金資産は10.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ユアサ・フナショクグループは、「食を通じて人々の豊かな暮らしを提案する」という企業理念のもと、多角的なビジネスモデルを持続的に発展させるための最大の鍵を「人材」と位置付けています。人材戦略では、「部門間連携の強化」と「各部門の専門性の高度化」を最重要テーマに設定し、経営戦略と同期させて推進しています。
従業員の報酬は、各人の役割の大きさや職務の責任範囲に応じて設定される「基本給・資格手当・役割手当」と、個人の業績および会社業績への貢献度を反映する「賞与」により構成されています。人事考課を経た定期昇給や物価対策を始めとする臨時の昇給も取り入れ、賃金規程および人事評価制度に基づき、公平・公正な評価プロセスを経て客観的に決定されています。また、特定の資格取得や専門スキルの獲得を達成した従業員に対しては、奨励金や取得費用支援といったインセンティブを付与し、個人の成長が直接待遇に報いられる仕組みを構築しています。
人的資本の価値向上、多様性を含む人材の確保・育成に関する方針として、性別や学歴等に囚われない採用、中途採用によるキャリアの多様化、管理職登用の促進に取り組んでいます。また、有給休暇や男性の育児休業取得率向上、時間外・休日労働の削減、研修制度、資格取得奨励制度による社員教育の継続実施を通じて、従業員が安心して長く働ける環境づくりを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。労働者の男女の賃金の額の差異は、労働者の人員数について労働時間を基に換算し算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 13.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 51.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 83.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 57.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ユアサ・フナショクは、食品・食材の卸売を主軸とする商事部門を中心に、ホテル部門と不動産部門の3つの事業を展開しています。同社グループは、これらの多角的な事業を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ユアサ・フナショクグループは、食品・食材の卸売を主軸とする商事部門、ビジネスホテルの経営を行うホテル部門、そして不動産賃貸を行う不動産部門の3つの事業柱で構成されています。これらの事業は、それぞれ異なる顧客層と収益源を持っています。
商事部門
同社グループの中核をなす商事部門は、米の集荷・販売に加え、小麦粉、澱粉、砂糖、油脂、飼料、畜産、加工食品、酒類など多岐にわたる食品・食材の卸売を手掛けています。収益は、これらの商品の仕入れと販売から得ています。運営は、ユアサフナショク・リカー、ワイ・エフ石油、ニュー・ノザワ・フーズ、太陽商事、東京太陽、ワイケイフーズ、日本畜産振興といったグループ会社が担っています。この部門は同社グループ全体の収益の大部分を占めており、前期に比べて売上高を伸ばしています。
ホテル部門
ホテル部門では、ビジネスホテルやレストランの経営を通じてサービスを提供しています。収益は、宿泊客やレストラン利用客からのサービス料から得ています。運営は、ユアサ・フナショクおよびホテルサンライトが行っています。この部門は前期に比べて売上高が大きく増加しています。
不動産部門
不動産部門は、主に不動産の賃貸事業を展開しています。収益は、賃貸物件からの賃料収入から得ています。運営は、主にユアサ・フナショクが行っており、一部の子会社にも事務所などを賃貸しています。この部門の売上高は前期からわずかに増加しています。
同社グループは、本邦以外の外部顧客への売上高はなく、海外事業は展開していません。また、特定の主要顧客への売上高集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 商事部門 | 1,194億円 | 1,224億円 |
| ホテル部門 | 34.5億円 | 37.3億円 |
| 不動産部門 | 2.7億円 | 2.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
ユアサ・フナショクグループの過去5期間の業績推移を見ると、売上高は継続的に増加傾向を示しています。経常利益も同様に、着実に増加を続けています。親会社株主に帰属する当期純利益は、期間中に増減を繰り返しながらも、直近の連結会計年度では増加となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,099億円 | 1,179億円 | 1,196億円 | 1,231億円 | 1,264億円 |
| 経常利益 | 10.2億円 | 17.6億円 | 22.1億円 | 31.2億円 | 33.6億円 |
| 経常利益率 | 0.9% | 1.5% | 1.8% | 2.5% | 2.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 23.4億円 | 11.1億円 | 27.1億円 | 20.5億円 | 22.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 129.99 | 61.89 | 150.76 | 116.17 | 128.19 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
ユアサ・フナショクグループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。これは、従業員一人ひとりの生産性が向上している傾向を示しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、収益性の改善が見られます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 390.8百万円 | 417.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 8.7百万円 | 9.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ユアサ・フナショクの財務状況は、事業活動と投資活動を通じて資金がどのように動いているかを示しています。これらの資金の流れから、同社グループの経営の安定性や将来に向けた投資の方向性を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場平均と比較して高い水準にあり、安定した状態を示しています。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、不況時への耐性も備わっていると考えられます。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回っていますが、着実に利益を積み上げています。これらの財務状況は、同社グループが事業を継続し、従業員の雇用や給与を安定的に維持するための基盤となっていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 393億円 | 439億円 |
| 自己資本比率 | 60.5% | 61.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.4% | 5.5% |
| 現金及び預金 | 106億円 | 134億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益や仕入債務の増加により、前期から大きく増加しプラスとなっています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出があったものの、前期と比較してマイナス幅が縮小しています。これにより、事業活動で得た資金が投資を上回るフリーキャッシュフローはプラスに転じています。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の減少や配当金の支払いなどにより、前期に引き続きマイナスとなっています。これらの資金の流れは、同社グループが本業で安定的に資金を生み出し、事業投資を行いながらも、手元資金を確保していることを示しています。この状況は、同社グループの雇用安定性や将来的な成長性にとって良好な基盤であると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.7億円 | 41.4億円 |
| 投資CF | △16.5億円 | △6.2億円 |
| 財務CF | △3.2億円 | △7.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △10.8億円 | 35.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、米穀や畜産の仕入価格の変動、食肉の輸入制限措置などに伴う相場の動向が業績に影響を与える可能性があると認識しています。また、多数の取引先と掛売り取引を行っており、取引先の倒産など予期せぬ事態により債権回収に問題が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
従業員退職給付債務について、数理計算上の前提条件が経済情勢の変化や年金資産の運用環境によって変動した場合、費用負担が増加し業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ユアサ・フナショクは、食品流通を核にホテルや不動産事業を展開する総合食品商社です。地域の食生活に貢献し、持続可能な社会の実現を目指す企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ユアサ・フナショクグループは、食品流通事業を主軸に、ビジネスホテルの経営や不動産賃貸事業も手掛ける総合食品商社です。安定的な成長と収益力を兼ね備えた力強い企業づくりを進めています。
同社グループは、安心・安全な商品の提供を通じて、地域の生活者の健康で豊かな食生活に貢献することを目指しています。その中で、企業価値の最大化を図ることを経営方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ユアサ・フナショクグループは、公正で透明性の高い経営を重視し、コーポレート・ガバナンスの強化とコンプライアンス体制の確立に取り組んでいます。国連SDGsの趣旨に賛同し、「ちばSDGsパートナー」に登録されるなど、持続可能な社会への貢献を重要な価値観としています。
特に「食」や「宿泊サービス」に関わる環境・社会課題に対し、責任を果たすことを目指しています。また、性別や学歴にとらわれない採用や中途採用によるキャリアの多様化、管理職登用の促進を通じて、ダイバーシティを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ユアサ・フナショクグループは、コーポレート・ガバナンスの有効性確保を重要な課題と捉え、コンプライアンス体制の強化に取り組んでいます。また、人材の育成と公正で透明性の高い経営を推進しています。
商事部門では、食品の品質に対する消費者意識の高まりに応え、より安全・安心な商品の取り扱いを進めることを重点テーマとしています。ホテル部門では、快適で魅力ある客室と質の高いサービスの提供に努め、集客力強化を継続的に図っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ユアサ・フナショクは、監査役設置会社として、取締役会と監査役会を設置しています。取締役会は社外取締役を含む構成で、公正で透明性の高い経営を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、投資事業有限責任組合や事業会社が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。筆頭株主は光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信であり、複数の事業会社や投資ファンドが主要な株主として同社を支えています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 光通信KK投資事業有限責任組合無限責任組合員光通信 | 8.52% |
| 昭和産業 | 7.58% |
| UH Partners 2投資事業有限責任組合無限責任組合員UH Partners 2 | 7.52% |
| 株式会社榎本武平商店 | 5.44% |
| NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE IEDP AIF CLIENTS NON TREATY ACCOUNT | 5.16% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は12名(男性11名・女性1名)で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は山田共之氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山田 共之 | 取締役社長 (代表取締役) | 1981年3月 同社入社、2007年5月 同社執行役員千葉支店長、2011年6月 同社取締役、2019年4月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 奥田 良三 | 常務取締役 低温食品本部長、 千葉支店長 | 1985年4月 同社入社、2013年4月 同社業務用商品本部副本部長兼食品原料部長、2016年6月 同社取締役、2021年4月 同社常務取締役より現職。 |
| 林 伸二 | 常務取締役 食品本部長、 米穀本部担当 | 1983年4月 同社入社、2018年4月 同社執行役員松戸支店長、2019年6月 同社取締役、2024年4月 同社常務取締役より現職。 |
| 石橋 宏 | 常務取締役 管理本部長、 経営企画室長 | 1987年4月 同社入社、2021年4月 同社執行役員管理本部長兼経営企画室長兼総務部長、2021年6月 同社取締役、2026年4月 同社常務取締役より現職。 |
| 大山 修一 | 常務取締役 ホテル事業本部長、 管理部長 | 1988年4月 山野株式会社入社、2019年10月 同社執行役員ホテル事業本部長兼管理部長、2023年6月 同社取締役、2026年4月 同社常務取締役より現職。 |
| 野田 聡 | 取締役 業務用商品本部長、 業務商材部長、 飼料畜産本部担当 | 1995年4月 同社入社、2023年4月 同社執行役員業務用商品本部長兼業務商材部長、2025年6月 同社取締役より現職。 |
| 三木 智史 | 取締役 食品本部副本部長、 東京支店長 | 1993年4月 同社入社、2023年4月 同社執行役員東京支店長、2025年6月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、和氣満美子氏(弁護士)、足立政治氏(公認会計士)です。
同社は監査役設置会社の体制を採用しており、取締役会と監査役会を設置しています。社外取締役は弁護士や公認会計士としての専門知識と経験を経営に活かし、社外監査役は金融機関での経験を活かして独立した立場から監査機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定の金銭報酬と非金銭報酬(譲渡制限付株式)で構成されています。非金銭報酬は社外取締役を対象外としています。業績連動報酬は採用していません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 9名 | 1.1億円 | 12.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 16百万円 | 4.0百万円 |
役員報酬の総額は1.36億円であり、対象となる役員の合計人数は14名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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