丸大食品 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

丸大食品 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所 プライム市場に上場しており、ハム・ソーセージや調理加工食品などの加工食品事業および食肉事業を主力としています。直近の業績は、売上高が前期比2.7%増、営業利益が75.4%増となり、増収増益を達成しました。また、親会社株主に帰属する当期純利益も黒字転換しています。


#記事タイトル:丸大食品転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、丸大食品株式会社 の有価証券報告書(第77期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 丸大食品ってどんな会社?


ハム・ソーセージ等の加工食品や食肉の製造・販売を行う、関西を地盤とする大手総合食品メーカーです。

(1) 会社概要


1954年に大阪市でハム・ソーセージの製造販売を創業し、1958年に設立されました。1963年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、1972年には東京・大阪両証券取引所市場第一部に指定されています。2020年には神戸プリンなどで知られるトーラクを子会社化するなど事業を拡大しています。

連結従業員数は1,902名、単体では647名体制です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は取引先持株会である丸大共栄会、第3位は大手総合商社の兼松となっています。兼松とは原材料の仕入取引などで関係があります。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.93%
丸大共栄会 8.23%
兼松 4.87%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は佐藤勇二氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤勇二 代表取締役社長 1983年入社。執行役員、安曇野食品工房社長、常務執行役員などを経て、2021年6月より現職。
百済徳男 取締役会長 1960年入社。購買部長、取締役、常務取締役、代表取締役社長、代表取締役会長を経て、2021年6月より現職。
福島成樹 専務取締役食肉事業部長品質保証部担当 1987年入社。執行役員、上席執行役員、取締役、丸大ミート社長、常務取締役などを経て、2025年4月より現職。
田中利雄 取締役 1985年入社。執行役員総務人事部長、取締役品質保証部担当などを経て、2023年4月丸大サービス社長に就任。2025年4月より現職。


社外取締役は、淵﨑正弘(元日本総合研究所社長)、金子啓子(元パナソニック情報セキュリティ本部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「加工食品事業」、「食肉事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 加工食品事業


ハム・ソーセージ部門では「燻製屋」シリーズや「いつも新鮮」シリーズなどを、調理加工食品部門ではレトルトカレー、デザート、ヨーグルトなどを製造・販売しています。一般消費者や業務用ルートを通じて顧客へ提供されています。

商品の販売による代金が主な収益源です。運営は主に丸大食品が行っているほか、戸田フーズ、安曇野食品工房、トーラク、マルシンフーズなどが製造および販売を担っています。

(2) 食肉事業


牛肉、豚肉、鶏肉などの食肉を国内外から調達し、加工および販売を行っています。量販店や外食産業などが主な顧客です。

食肉製品の販売による代金が収益源となります。運営は丸大食品のほか、丸大ミート、丸大フード、ミートサプライなどが事業を展開しています。

(3) その他事業


グループ各社や従業員向けに、損害保険の代理店業務などのサービスを提供しています。

保険手数料などが収益源となります。運営は丸大サービスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあります。利益面では原材料価格高騰などの影響を受け、第75期および第76期に経常損失や当期純損失を計上しましたが、第77期においては価格改定やコスト削減などの効果により、経常利益および当期純利益ともに黒字転換を果たし、V字回復しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,230億円 2,186億円 2,220億円 2,288億円 2,350億円
経常利益 2億円 -4億円 -9億円 36億円 61億円
利益率(%) 0.1% -0.2% -0.4% 1.6% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 2億円 -41億円 -122億円 42億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は2.7%増加し、売上総利益率は0.6ポイント改善しました。販売費及び一般管理費は微増にとどまり、営業利益は前期比75.4%の大幅な増益となりました。営業利益率も改善しており、収益性が向上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,288億円 2,350億円
売上総利益 347億円 371億円
売上総利益率(%) 15.2% 15.8%
営業利益 31億円 55億円
営業利益率(%) 1.4% 2.3%


販売費及び一般管理費のうち、配送費が126億円(構成比40%)、給与手当が58億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


加工食品事業は主力品の販売確保やデザート類の拡大により増収となり、価格改定効果等で大幅な増益を達成しました。食肉事業は量販店向け販売が堅調で増収となりましたが、コスト高等の影響で減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
加工食品事業 1,524億円 1,577億円 21億円 49億円 3.1%
食肉事業 763億円 772億円 9億円 5億円 0.6%
その他 1億円 1億円 0.5億円 0.3億円 23.8%
調整額 10億円 10億円 - - -
連結(合計) 2,288億円 2,350億円 31億円 55億円 2.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 100億円 54億円
投資CF -49億円 -29億円
財務CF -24億円 -32億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「至誠通天」を社是とし、日々の活動に精一杯の真心を込め、誠意を尽くすことにより、社会に貢献することを経営理念としています。また、美味しさと健康を追求し、安全、安心な食品を通してお客様の幸せな食生活に貢献することを経営方針・未来像として掲げています。

(2) 企業文化


「変革」をスローガンに掲げ、お客様に喜ばれる美味しさ、夢と働きがいのある企業、時代の変化に対応した新しい価値を創ることを価値観としています。お客様には安全・安心でよりよい商品づくりを追求し、従業員には自己成長できる職場づくりと幸福を目指すなど、各ステークホルダーに対する行動指針を定めています。

(3) 経営計画・目標


同社は原則として毎年改定を行うローリング方式の中期経営計画として、2025年4月を起点とする三ヵ年数値計画を策定しています。「食を通じて人と社会に貢献する企業」を目指し、最終年度である2028年3月期の連結業績目標を掲げています。

* 売上高:2,500億円
* 営業利益:70億円
* 営業利益率:2.8%
* ROE:6.9%

(4) 成長戦略と重点施策


「新たな顧客価値の創造」「収益構造の改革」「事業領域の拡大」「人財の育成」「持続可能な社会への貢献」の5つを基本方針としています。具体的には、伸長市場への商品開発、ポートフォリオ見直し、事業展開エリア拡大、人的資本強化、環境課題への対応などを推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


グループ会社全体の教育体系を充実させ、若手社員から次世代幹部候補までの階層別研修や自己啓発支援を行っています。また、複線型キャリアを想定した専門職制度の設計やダイバーシティ推進など、多様な働き方ができる職場環境の整備を進めています。さらに健康経営の推進や仕事と子育ての両立支援にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.6歳 19.0年 5,996,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.6%
男性育児休業取得率 71.4%
男女賃金差異(全労働者) 51.6%
男女賃金差異(正規雇用) 72.5%
男女賃金差異(非正規) 92.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(62.1%)、食品廃棄物再生利用実施率(90.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 減損リスク


経営環境の著しい悪化等で生じる収益性の低下等による、保有する固定資産についての減損損失の発生や、子会社等の事業計画未達、不動産や有価証券などの資産の時価変動リスクがあります。対策として、十分な将来キャッシュ・フロー向上施策の構築と実行、事業計画の達成状況のモニタリング、遊休資産の活用と売却を行っています。

(2) 得意先の経営破綻リスク


予期せぬ得意先の経営破綻が発生するリスクがあります。これに対して、情報収集、与信管理、債権保全等を行うことでリスク管理に努めています。

(3) 市況変動のリスク


畜産物による疫病の発生、セーフガード発動による仕入数量の制限や仕入価格の上昇懸念、国際的な需給の変化、原油価格変動による影響などのリスクがあります。対策として、原材料調達ルートの分散化などによる安定的な原材料の確保や、高付加価値商品の開発等への取り組みを行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。