※本記事は、和弘食品株式会社の有価証券報告書(第63期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 和弘食品ってどんな会社?
外食・中食業界向けの各種調味料や天然エキスなどの食品製造販売を手がけ、日清オイリオグループと提携しています。
■(1) 会社概要
1964年に生麺および各種スープの製造販売を目的として設立され、1967年にはスープ専業メーカーへと転換しました。1981年に天然エキスの製造販売を開始し、2004年にジャスダック証券取引所に株式を上場しました。その後、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。
現在の従業員数は連結で310名、単体で262名体制です。筆頭株主は創業家関連の資産管理会社とみられる和山商店で、第2位は資本業務提携先である事業会社の日清オイリオグループ、第3位は資産管理業務などを行う野村信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 和山商店 | 24.94% |
| 日清オイリオグループ | 19.24% |
| 野村信託銀行 | 4.92% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長CEOは加世田十七七氏が務めています。取締役9名のうち、社外取締役は2名であり、社外取締役比率は22.2%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加世田十七七 | 代表取締役社長CEO | 北海道拓殖銀行、電通北海道を経て2017年入社。管理本部長などを経て2022年より現職。 |
| 和山明弘 | 代表取締役会長 | 1981年入社。取締役、常務、副社長を経て1996年代表取締役社長。2022年より現職。 |
| 加地賢幸 | 常務取締役 | 北海道銀行で国際部長や常勤監査役等を歴任。ほくほくTT証券副社長を経て2025年より現職。 |
| 和山信一郎 | 取締役 | シジシージャパンを経て2016年入社。生産本部長などを経て2025年事業戦略室長。2026年より現職。 |
| 後藤政弘 | 取締役 | 1980年入社。常務等を経て2014年米国子会社社長。2020年より現職。 |
| 長岡宏 | 取締役 | 日清製油(現日清オイリオグループ)出身。同社執行役員等を経て出向し、2023年より現職。 |
| 藤井一真 | 取締役 | ホクリヨウ等を経て2019年入社。経理部専任部長、執行役員等を経て2025年より現職。 |
社外取締役は、白尾直樹(元ミスミ金型企業体代表執行役員社長)、三瓶由香(北海道銀行統合リスク管理部シニアマネージャー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」および「米国」の事業を展開しています。
■日本
同社が展開する日本国内での事業は、外食市場や中食業界向けに、各種調味料や畜肉・水産製品の調味料、天然エキスなどの食品製造販売を行っています。顧客のニーズに寄り添った多品種生産や、無化学調味料スープ等の開発に強みを持ちます。
収益源は、外食レストランや中食産業、コンビニエンスストアなどの顧客企業への製商品の販売代金です。また、提携先の日清オイリオグループを通じた販売も行われています。運営は主に同社が担っています。
■米国
米国事業は、北米を中心としたラーメンレストラン等の外食市場向けに、業務用調味料の製造および販売を展開しています。現地のニーズを把握した地域最適の企画提案や製品開発により事業を拡大しています。
収益源は、米国現地の販売先企業に対する製品の販売代金です。インフレ拡大や消費者の動向変化などの影響を受けつつも、新規顧客層の開拓を進めています。運営は主に米国子会社であるWAKOU USA INC.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、堅調なトップラインの拡大が確認できます。一方、利益面では原材料価格やエネルギーコストの高騰、事業拡大に伴う人件費等の増加が影響し、経常利益や当期利益は直近で伸び悩み、利益率はやや低下する傾向が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 115億円 | 135億円 | 154億円 | 162億円 | 173億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 10億円 | 15億円 | 16億円 | 16億円 |
| 利益率(%) | 4.1% | 7.7% | 10.0% | 9.9% | 9.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.5億円 | 2.4億円 | 3.3億円 | 6.1億円 | 8.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の拡大に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率は横ばいで推移しています。また、販売体制や生産体制の強化に伴う費用の増加などにより、営業利益はわずかに減少し、営業利益率も低下しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 162億円 | 173億円 |
| 売上総利益 | 47億円 | 50億円 |
| 売上総利益率(%) | 29.1% | 29.1% |
| 営業利益 | 16億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 9.8% | 9.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が10億円(構成比28%)、運送費及び保管費が9億円(同25%)を占めています。売上原価についての具体的な内訳データはありません。
■(3) セグメント収益
日本セグメントは外食向けの販売が好調に推移し、増収ならびに大幅な増益を達成しました。一方、米国セグメントは主要販売先の在庫調整による受注の伸び悩みや、営業・生産体制強化に伴う人件費の増加が影響し、増収となったものの減益となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 119億円 | 129億円 | 4億円 | 6億円 | 4.4% |
| 米国 | 43億円 | 45億円 | 13億円 | 11億円 | 23.5% |
| 調整額 | -3億円 | -3億円 | -0.3億円 | -0.5億円 | - |
| 連結(合計) | 162億円 | 173億円 | 16億円 | 16億円 | 9.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型の優良企業の状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15億円 | 15億円 |
| 投資CF | -8億円 | -15億円 |
| 財務CF | -0.8億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.5%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「誠実な企業活動を通して社会に貢献する」ことを経営理念に掲げています。常にお客様の満足度向上を目指し、風通しの良い社風の醸成と絶え間ない業務の改革・改善に努めるとしています。また、食文化の創造と発展を通じて企業価値を高め、着実に利潤を追求することで、取引先・社員・株主との相互繁栄を図ることを使命としています。
■(2) 企業文化
企業信条として「誠実(真心から発する至誠には感動させられぬ者はない)」を掲げ、お客様・商品・社員に対する「三つの誠実」を重視する文化があります。すべてのお客様の繁栄のための誠実な取引、安心・安全を第一とした誠実な商品作り、そして働く社員とその家族・地域の幸せのための誠実な会社づくりを組織の行動様式として実践しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、強固な財務体質と高収益を誇り「小粒だが光り輝く高付加価値企業」となることをビジョンとして掲げています。直近では新たに中期3ヶ年経営計画を策定し、持続的成長および企業価値の向上に向けた取り組みを推進しています。国内収益の拡大や海外への展開加速など、具体的な目標達成に向けたロードマップを描いています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「ワールドワイドへの展開加速」「独自価値の創出・強化」「国内収益の拡大体制構築」「グローバル全体での組織基盤強化」「新領域への進出」を成長戦略の柱としています。国内事業では、製造・営業両面での生産性向上による高収益構造の構築に注力し、海外事業では北米のラーメンレストラン市場の成長に合わせて生産能力の増強や新たな顧客層への拡大を進めます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社の強みである開発力や販売力を支えるため、社員一人ひとりの成長と多様な働き方の機会提供を重視しています。必要な業務スキルの明確化や多様なメディアでの研修を通じて能力向上を支援するとともに、次世代リーダー人材の発掘やグローバル人材の育成を計画的に進めています。また、各ライフステージに柔軟に対応できる制度の拡充にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.2歳 | 10.8年 | 5,412,641円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.5% |
| 男性育児休業取得率 | 28.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 62.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食品の安全性に対する懸念
製品の安全性を確保するため、仕入先に対する立会検査や自主検査体制による品質管理を徹底しています。しかし、予見不可能な品質的・衛生的な問題が発生した場合、企業イメージの低下や製品回収の費用発生により、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 法的規制の強化
食品製造業として「食品衛生法」や「製造物責任法」など多様な法的規制を受けています。今後、環境保護や食品リサイクル等に関連する法的規制がさらに強化された場合、対応に向けた新たな費用が発生し、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 原材料価格および物流費の高騰
原油相場や食糧資源価格の高騰による原材料の仕入価格上昇や、資源の需給切迫による数量確保の困難化は大きなリスクです。同社は複数仕入先からの調達や生産性向上による原価低減で対処していますが、コスト上昇分を完全に吸収できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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