※本記事は、和弘食品株式会社 の有価証券報告書(第62期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 和弘食品ってどんな会社?
北海道を拠点とする業務用調味料メーカーです。ラーメンスープや天然エキス等の開発・製造に強みを持ちます。
■(1) 会社概要
同社は1964年に生麺および各種スープの製造販売を目的として設立されました。1965年に別添用スープの製造・販売を開始し、1967年にはスープ専業メーカーへ転換しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2012年には米国子会社WAKOU USA INC.を設立しました。2022年に東証スタンダード市場へ移行しています。
2025年3月31日現在、従業員数は連結298名、単体261名です。筆頭株主は株式会社和山商店で、第2位はその他の関係会社である日清オイリオグループ株式会社、第3位は資産管理業務を行う野村信託銀行株式会社です。日清オイリオグループとは業務提携を行っており、製品の共同開発や販売協力関係にあります。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 和山商店 | 24.97% |
| 日清オイリオグループ | 19.26% |
| 野村信託銀行 | 3.35% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは加世田十七七氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加世田 十七七 | 代表取締役社長CEO | 北海道拓殖銀行、電通北海道を経て2017年入社。管理本部長等を歴任し、2022年6月より現職。 |
| 和 山 明 弘 | 代表取締役会長 | 1981年入社。常務、代表取締役副社長を経て1996年代表取締役社長に就任。2022年6月より現職。 |
| 和 山 信 一 郎 | 取締役 | シジシージャパンを経て2016年入社。生産本部長等を歴任し、2025年4月より事業戦略室長兼開発部長。 |
| 後 藤 政 弘 | 取締役 | 1980年入社。常務取締役商品部長等を歴任し、2014年WAKOU USA INC. Presidentに就任(現任)。2020年6月より現職。 |
| 長 岡 宏 | 取締役 | 日清製油入社。日清オイリオグループ執行役員等を経て2023年同社出向。2025年4月より営業本部長兼営業企画部長兼事業戦略室。 |
社外取締役は、加地賢幸(ほくほくTT証券代表取締役副社長)、白尾直樹(YNG代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」および「米国」事業を展開しています。
■(1) 日本セグメント
各種調味料(ラーメンスープ、つゆ、たれ等)や天然エキスの製造販売を行っています。主な顧客は外食産業や中食産業(コンビニエンスストア等)、食品加工メーカーです。北海道の食材を活用した製品開発や、顧客のプライベートブランド商品の共同開発も行っています。
収益は、製品の販売代金として顧客から受け取ります。運営は主に和弘食品が行っています。また、その他の関係会社である日清オイリオグループ株式会社に対して製品を販売するほか、同社より一部原材料を購入しています。
■(2) 米国セグメント
北米を中心とした業務用調味料市場に対し、ラーメンスープ関連製品を主力として製造販売を行っています。現地の食文化やニーズに合わせた製品開発を展開し、日本食ブームを背景とした市場拡大に対応しています。
収益は、製品の販売代金として現地の顧客から受け取ります。運営は連結子会社であるWAKOU USA INC.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は着実に増加しており、直近5期間で成長傾向が続いています。利益面でも、経常利益および当期純利益ともに増加基調にあり、特に直近の第62期では売上高、各利益ともに過去最高水準となっています。利益率も高い水準を維持しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 100億円 | 115億円 | 135億円 | 154億円 | 162億円 |
| 経常利益 | -1.8億円 | 4.7億円 | 10.4億円 | 15.4億円 | 16.1億円 |
| 利益率(%) | -1.8% | 4.1% | 7.7% | 10.0% | 9.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2.3億円 | 4.6億円 | 12.5億円 | 10.9億円 | 12.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加し、売上総利益および営業利益も拡大しています。売上総利益率はほぼ横ばいですが、営業利益率は前年並みの水準を維持しています。増収効果に加え、生産性の向上やコスト管理が寄与し、安定した収益構造となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 154億円 | 162億円 |
| 売上総利益 | 43億円 | 47億円 |
| 売上総利益率(%) | 28.2% | 29.1% |
| 営業利益 | 15億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 9.7% | 9.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が8.5億円(構成比27.0%)、運送費及び保管費が7.7億円(同24.7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
日本セグメントは増収となったものの、成長投資等の影響により減益となりました。一方、米国セグメントは売上が大きく伸長し、利益も大幅に増加しました。米国市場の好調さが全体の利益成長を牽引する形となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 117億円 | 119億円 | 4.4億円 | 3.7億円 | 3.1% |
| 米国 | 37億円 | 43億円 | 10億円 | 13億円 | 29.1% |
| 連結(合計) | 154億円 | 162億円 | 15億円 | 16億円 | 9.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
和弘食品は、積極的な設備投資と財務活動により、事業基盤の強化を図っています。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、利益計上や減価償却費の計上による収入が、棚卸資産の増加や税金等の支払いによる支出を上回ったことで、収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や子会社株式の取得による支出が増加し、支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払いによる支出が、長期借入れによる収入を上回ったことで、支出となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 16億円 | 15億円 |
| 投資CF | -6億円 | -8億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | -0.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は企業信条として「誠実」を掲げ、「お客様に誠実」「商品に誠実」「社員に誠実」の「三つの誠実」を基本方針としています。経営理念では、誠実な企業活動を通じた社会貢献、顧客満足度の向上と業務改革、食文化の創造と発展による企業価値の創造および取引先・社員・株主の相互繁栄を目指しています。ビジョンとして、商品開発・生産技術・品質保証体制で他社の追随を許さない「プロのためのプロ企業」となり、高収益を誇る高付加価値企業となることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、常にお客様の満足度の向上を目指し、「風通しの良い社風の醸成」を図るとともに、絶え間なく業務の改革・改善に努める文化を持っています。また、安心と安全を第一に誠実な商品作りを行う姿勢や、社員とその家族および地域の幸せのために誠実な会社づくりを行うことを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2023年11月に中期経営計画「ザ・グレートリセット」を策定しました。「既存事業の磨き込みと進化」、「事業領域の拡大と新たな価値創造」、「組織改革と人財育成」の3つの基本方針を掲げ、具体的な施策を実行しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
国内事業では、業務用調味料市場の開拓・拡大に注力し、生産能力強化のための設備投資や生産性向上による高収益構造の構築を目指しています。海外事業では、米国子会社を中心にラーメンスープ関連製品の展開を強化し、売上拡大と工場稼働率上昇による製造原価率低減を図り、高収益体制の構築に取り組んでいます。また、エネルギー価格高騰等の環境変化に対応するため、社員の意識変革や業務の構造的な変革を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「組織改革と人財育成」を中期経営計画の基本方針の一つに掲げています。個々人のスキルアップや働きがいの増進を支援し、次世代リーダーの発掘・育成や計画的なジョブローテーションを行っています。また、多様な働き方に対応した制度の拡充や有給休暇取得の促進、生産性向上による労働時間削減などを通じ、ワークライフバランスの向上に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.2歳 | 10.9年 | 4,926,998円 |
※平均年間給与は、基準内賃金のほか基準外賃金及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.8% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.5% |
| 男女賃金差異(正規) | 79.9% |
| 男女賃金差異(非正規) | 65.3% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食品の安全性について
製品の安全性を確保するため、原材料の安全性確認や工場の立会検査、FSSC22000による自主検査体制などを整備しています。しかし、予見不可能な品質的・衛生的な問題が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料価格及び物流費等の高騰について
原油相場や食糧資源価格の高騰、物流コストの上昇などは業績に影響を与える可能性があります。これに対し、複数の仕入先からの調達、生産性向上による原価低減、製品価格の改定などで対処しています。
■(3) 人材確保、育成について
事業の継続的発展のため、多様な人材の確保や育成に努めていますが、雇用環境の悪化等により計画通りに進まない場合、中長期的な事業展開や成長に影響を与える可能性があります。



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