キムラユニティー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

キムラユニティー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証プレミア上場。トヨタグループ向けの物流サービスを主力とし、モビリティサービス、情報サービス、人材サービスも展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高611億円で前期比微減となりましたが、営業利益は46億円と増益を確保しました。


※本記事は、キムラユニティー株式会社 の有価証券報告書(第54期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. キムラユニティーってどんな会社?


物流サービスを中核に、車両リースや整備を行うモビリティ、システム開発、人材派遣など多角的に事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1951年3月に合資会社木村製凾所として創業し、格納器具製品事業を継承しました。その後、車両整備、保険、包装、運送へと事業を拡大し、1973年10月に現在の法人を設立しました。1995年に名証二部へ上場し、2001年には東証二部へ上場を果たしています。近年では、米国、中国、東南アジアなどへの海外展開を推進するとともに、物流とITを融合させた独自のサービス開発に注力しています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は2,377名、単体では1,636名です。筆頭株主は木村で、第2位は海外物流事業等で業務・資本提携を行っている豊田通商です。第3位は絲丹となっています。

氏名 持株比率
木村 29.46%
豊田通商 9.74%
絲丹 3.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性3名(取締役3名、監査役0名)の計14名で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表取締役社長は成瀬茂広氏、代表取締役会長は木村幸夫氏が務めています。社外取締役は3名で、取締役全体の30%を占めています。

氏名 役職 主な経歴
成瀬 茂広 取締役社長(代表取締役) 1983年トヨタ自動車入社。同社物流管理部部長などを経て2019年キムラユニティー顧問。2021年6月より現職。
木村 幸夫 取締役会長(代表取締役) 1973年同社設立時取締役。1991年代表取締役社長を経て、2016年4月より現職。
小山 幸弘 取締役副社長 1981年キムラ本社入社。同社経理部長、執行役員、専務取締役などを経て2021年6月より現職。
木下 毅司 取締役副社長 1982年キムラ本社入社。同社トヨタ営業部長、執行役員、常務取締役などを経て2021年6月より現職。
増田 賢宏 専務取締役 1993年トヨタ自動車入社。同社物流管理部長などを経て2025年1月キムラユニティー顧問。2025年6月より現職。
水野 重明 取締役 1982年キムラシステム入社。キムラユニティー情報サービス部長、執行役員などを経て2025年6月より現職。
木村 忠昭 取締役 2004年監査法人トーマツ入所。公認会計士。2008年アドライト代表取締役就任(現任)。2020年6月より現職。


社外取締役は、江山純(元豊田通商常務執行役員)、鈴木シュヴァイスグート絵里子(Kind Capital代表取締役)、苅谷公平(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「物流サービス事業」、「モビリティサービス事業」、「情報サービス事業」、「人材サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 物流サービス事業


自動車部品メーカー等を主要顧客とし、部品の包装・梱包、入出庫作業、格納器具製品(パレット等)の製造・販売を行っています。顧客の工場内や物流センターにおいて、効率的な物流オペレーションを提供しています。

収益は、顧客からの作業請負料や製品販売代金から得ています。運営は主にキムラユニティーが行っているほか、海外では米国子会社KIMURA, INC.や中国子会社などが現地でのサービスを提供しています。

(2) モビリティサービス事業


法人および個人を対象に、車両のリース、整備、販売(新車・中古車)、保険代理店業務などを提供しています。車両管理のアウトソーシング(BPO)や交通事故削減コンサルティングなども手掛けています。

収益は、車両リース料、整備代金、車両販売代金、保険手数料などから得ています。運営はキムラユニティーおよび子会社のスーパージャンボが行っています。

(3) 情報サービス事業


物流やモビリティ分野のノウハウを活かしたシステム開発、保守運用、ネットワーク関連サービスを提供しています。顧客の業務効率化を支援するソリューションを提供しています。

収益は、システム開発の請負代金や保守サービス料などから得ています。運営は主にキムラユニティーが行っています。

(4) 人材サービス事業


製造・物流現場やオフィスワーク向けの人材派遣サービス、アウトソーシングサービスを提供しています。

収益は、派遣先企業からの人材派遣料や業務委託料から得ています。運営は主に子会社のビジネスピープルが行っています。

(5) その他


太陽光発電による売電事業を行っています。

収益は、電力会社への売電収入から得ています。運営はキムラユニティーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの業績推移です。売上高は2024年3月期まで増加傾向にありましたが、2025年3月期はわずかに減少しました。一方、経常利益は一貫して増加傾向にあり、利益率は改善を続けています。当期純利益も増益基調を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 518億円 571億円 591億円 615億円 611億円
経常利益 28億円 37億円 40億円 49億円 51億円
利益率(%) 5.4% 6.4% 6.7% 8.0% 8.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 15億円 18億円 22億円 22億円 28億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較します。2025年3月期は売上高が微減となりましたが、売上原価の低減により売上総利益が増加しました。その結果、営業利益および営業利益率ともに向上し、収益性が高まっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 615億円 611億円
売上総利益 120億円 124億円
売上総利益率(%) 19.5% 20.3%
営業利益 41億円 46億円
営業利益率(%) 6.7% 7.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が28億円(構成比36%)、荷造運賃が10億円(同13%)を占めています。売上原価については、労務費や経費などが主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


2025年3月期において、主力である物流サービス事業は売上が微減したものの、利益は増加し収益性が向上しました。モビリティサービス事業は減収増益、情報サービス事業は増収増益となり、特に情報サービス事業の利益率の高さが目立ちます。人材サービス事業は増収ながら減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
物流サービス 436億円 432億円 47億円 49億円 11.4%
モビリティサービス 147億円 145億円 8億円 10億円 7.0%
情報サービス 22億円 24億円 2億円 4億円 15.3%
人材サービス 18億円 18億円 0.3億円 0.2億円 1.0%
その他 0.5億円 0.4億円 0.1億円 0.1億円 25.0%
調整額 △8億円 △7億円 △17億円 △17億円 -
連結(合計) 615億円 611億円 41億円 46億円 7.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金(営業CFプラス)の範囲内で投資を行い(投資CFマイナス)、借入金の返済や配当支払いなどを実施している(財務CFマイナス)ことから、「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあると言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 55億円 48億円
投資CF △2億円 △10億円
財務CF △28億円 △47億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「会社はお客様のためにあり 社員とともに会社は栄える」を経営理念として掲げています。この理念を基盤とし、顧客の困りごとやニーズに応えることで更なる価値創造を実現することを目指しています。また、前提条件として「安全・健康・品質・コンプライアンスの徹底は、企業存続の生命線」と定めています。

(2) 企業文化


全ての従業員が参画する「One Team経営」をテーマとし、「もっといい会社・もっといい現場」を目指す文化があります。また、「安全・健康・品質・コンプライアンスの徹底」を最優先事項とし、人に寄り添い、プラス思考で主体性とスピード感を持った企業風土づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2027年3月期を最終年度とする「中期経営計画2026」を推進しています。最終年度の数値目標は以下の通りです。

* 売上高:700億円
* 営業利益:53億円
* 経常利益:58億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:38億円
* ROE(自己資本利益率):12.0%

(4) 成長戦略と重点施策


「中期経営計画2026」の達成に向け、「キムラの強みの実践と発信(キムラブランドの確立)」を推進します。事業戦略としては、「物流サービス事業×情報サービス事業」「モビリティサービス事業×情報サービス事業」の掛け合わせによるDX戦略を展開します。また、財務戦略として資本コストを意識した経営によるPBR向上、ESG戦略としてCO2削減や人的資本の拡充に取り組みます。

* 物流サービス事業:エリア戦略の推進強化、現場+ITによるソリューション提供、豊田通商との連携強化による海外進出検討。
* モビリティサービス事業:車両管理システム「KIBACO」を軸としたビジネス拡大、フリート戦略の展開。
* 人的リソースの確保と育成:次世代人財の早期育成、経営職制度の導入による柔軟な人財配置。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財の採用・定着と育成」を最重要課題と位置付けています。男女を問わずビジョンを持つ人財を発掘し、次世代人財を早期育成する仕組みを構築します。また、経営職制度の新設により、役職に関係なく情熱と行動力のある人財を登用する方針です。定着率向上に向けては、職制による従業員への寄り添いや職場環境の改善を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.6歳 18.1年 6,176,169円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.6%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 54.8%
男女賃金差異(正規雇用) 63.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 75.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、CO2排出量削減実績(2,051t-CO2(対2018年度比43.6%削減))、ストレスチェック結果(総合健康リスク109P)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人財の確保及び育成について


同社グループは「人財」を最も重要な経営資源と位置付けていますが、獲得競争の激化により必要な人財を適時確保できない場合や、育成が計画通りに進まない場合、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 安全・品質管理について


安全・健康および品質の確保に努めていますが、万が一重大な問題が発生した場合、多額のコスト発生や社会的信用の低下を招き、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 特定取引先への依存について


同社グループの売上高において、トヨタ自動車およびそのグループ企業への依存度が高くなっています(2025年3月期提出会社ベースで売上高の40.2%)。そのため、同社の発注政策の変更等が業績に影響を与える可能性があります。

(4) 海外進出について


米国、中国、東南アジア、南米などで事業を展開しており、現地の法規制変更、政治・治安の混乱、雇用環境の変化、為替変動などが事業運営に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。