キムラユニティー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

キムラユニティー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場するキムラユニティーは、物流サービス、モビリティサービス、情報サービス、人材サービスを展開しています。直近の業績は国内物流の新規拡販等により売上高と経常利益が増加したものの、減損損失等の計上により最終減益となりました。


※本記事は、キムラユニティー株式会社の有価証券報告書(第55期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. キムラユニティーってどんな会社?


物流、モビリティ、情報、人材の4事業を展開し、顧客の課題解決に向けたサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1951年に合資会社木村製凾所として創業し、1973年に現在の法人が設立されました。1990年にキムラユニティーへ商号を変更し、1991年には子会社を吸収合併して物流やモビリティ等の事業基盤を確立しました。その後、1995年に名証第二部、2001年に東証第二部へ上場を果たしています。

現在の従業員数は連結で2,328名、単体で1,688名です。筆頭株主は木村で、第2位には海外物流事業等で資本業務提携を結んでいる豊田通商が名を連ねています。第3位株主は絲丹となっています。

氏名 持株比率
木村 29.43%
豊田通商 9.73%
絲丹 3.51%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性3名の計14名で構成され、女性役員比率は21.4%です。代表取締役社長は成瀬茂広が務めています。社外取締役比率は21.4%です。

氏名 役職 主な経歴
成瀬 茂広 取締役社長(代表取締役) 1983年トヨタ自動車入社。同社物流管理部長等を経て、2019年同社顧問に就任。取締役副社長等を経て2021年6月より現職。
木村 幸夫 取締役会長(代表取締役) 1973年10月同社設立取締役に就任。1991年に代表取締役専務、同年6月に代表取締役社長を歴任し、2016年4月より現職。
木下 毅司 取締役副社長物流サービス事業補佐 1982年キムラ本社入社。同社トヨタ営業部長、執行役員、取締役、常務取締役などを歴任し、2021年6月より現職。
小山 幸弘 取締役副社長モビリティサービス事業・管理本部担当、女性活躍推進担当 1981年キムラ本社入社。同社経理部長や専務取締役を歴任。KIMURA,INC. CEOやスーパージャンボ社長を兼務し、2021年6月より現職。
増田 賢宏 専務取締役社長補佐 1993年トヨタ自動車入社。同社元町工場工務部長や物流管理部長などを歴任。2025年1月同社顧問に就任し、同年6月より現職。
水野 重明 取締役情報サービス事業担当、IS事業部長 1982年キムラシステム入社。同社情報サービス部長、執行役員を経て、2024年4月にIS事業部長に就任。2025年6月より現職。
木村 忠昭 取締役 2004年監査法人トーマツ入所。2008年に公認会計士登録を行い、同年アドライト代表取締役に就任。2020年6月より現職。


社外取締役は、江山純(元豊田通商サプライチェーン本部エグゼクティブアドバイザー)、鈴木シュヴァイスグート絵里子(Kind Capital代表取締役)、苅谷公平(苅谷公認会計士・税理士事務所開設)です。

2. 事業内容


同社グループは、「物流サービス事業」、「モビリティサービス事業」、「情報サービス事業」、「人材サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

物流サービス事業


顧客の荷物の入出庫、包装、梱包、出荷などの倉庫内オペレーションや、オーダーに応じた鉄製・木製格納器具の製造を行っています。主に自動車部品等を対象に、効率的で高品質な物流サービスを提供しています。

収益源は、顧客からの物流業務の請負代金や格納器具の販売代金です。事業の運営は主に同社や子会社であるKIMURA,INC.、天津木村進和物流有限公司などが行っています。

モビリティサービス事業


法人や個人顧客に向けて、自動車リース、車両点検・整備、中古車および新車の販売、カー用品の販売、保険代理店業務などを幅広く展開しています。車両管理システムを用いた安心・安全な車社会の実現を支援しています。

収益源は、リース契約に基づく利用料、車両整備代金、車両販売代金、および保険募集に伴う代理店手数料です。運営は主に同社や子会社のスーパージャンボが行っています。

情報サービス事業


ソフトウェアの請負開発や、開発後の包括的な保守サービス、ネットワーク関連サービスを提供しています。物流やモビリティ事業と連携したITソリューションを展開し、業務効率の向上やDX化を支援しています。

収益は、顧客からのシステム開発や保守サービスの対価として、開発進捗や保守期間に応じたシステム利用料・開発代金を受け取っています。事業の運営は主に同社が行っています。

人材サービス事業


顧客企業に対して、人材派遣サービスやアウトソーシングサービスを提供しています。地域ごとの労働市場動向に応じたタイムリーな人材戦略を展開し、物流現場などでの安定的な人材確保と現場力の向上を支援しています。

収益は、派遣先企業からの人材派遣や業務委託に伴うサービス提供の対価として、契約期間に応じた利用料を受け取っています。運営は主に子会社のビジネスピープルが行っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、太陽光発電による売電サービスを展開しています。環境保全の取り組みの一環として、持続可能な社会の実現に貢献しています。

収益源は、発電した電力の販売に伴う売電収入です。本事業の運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は概ね増加傾向にあり、直近の期では増収に転じています。経常利益も毎年着実に成長を続けており、利益率も段階的に向上しています。安定した事業基盤を背景に、着実な成長を遂げていることが分かります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 571億円 591億円 615億円 611億円 645億円
経常利益 37億円 40億円 49億円 51億円 58億円
利益率(%) 6.4% 6.7% 8.0% 8.4% 8.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 18億円 22億円 22億円 28億円 31億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しており、売上総利益率は安定して推移しています。さらに営業利益および営業利益率も向上しており、本業における収益力の改善と高付加価値化が着実に進んでいることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 611億円 645億円
売上総利益 124億円 129億円
売上総利益率(%) 20.3% 20.0%
営業利益 46億円 50億円
営業利益率(%) 7.5% 7.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が31億円(構成比39%)、荷造運賃が11億円(同14%)を占めています。また、主力であるサービス事業の売上原価においては、労務費が197億円(構成比52%)、経費が180億円(同47%)を占めています。

(3) セグメント収益


国内物流での新規拡販により物流サービス事業が好調に推移し、全体の増収を牽引しました。また、モビリティサービスや情報サービスなどの各セグメントも堅調に推移し、全事業において収益性の改善が進んだことで、全体として安定した成長を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
物流サービス事業 431億円 459億円
モビリティサービス事業 145億円 148億円
情報サービス事業 24億円 27億円
人材サービス事業 11億円 11億円
その他 0.4億円 0.4億円
連結(合計) 611億円 645億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金で借入金の返済や投資を賄う「健全型」の傾向を示しています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.1%で、いずれもスタンダード市場の平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 48億円 37億円
投資CF -10億円 -4億円
財務CF -47億円 -36億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として「会社はお客様のためにあり 社員とともに会社は栄える」を掲げています。「安全・健康・品質・コンプライアンスの徹底は、企業存続の生命線」を前提とし、すべての従業員が参画する「One Team経営」をテーマに掲げ、「もっといい会社・もっといい現場」を目指して価値創造を実現していく方針です。

(2) 企業文化


同社は人を大切にし、人と人のつながりで社会課題を解決する文化を重視しています。安全で健康な職場づくりや働きがいのある環境を追求し、すべての従業員が成長と挑戦を行える風土を醸成しています。また、コンプライアンスの徹底を通じた公正で透明性の高い企業活動を実践しています。

(3) 経営計画・目標


2027年3月期を最終年度とする「中期経営計画2026」において、増収増益と資本コストを意識した経営を目指しています。収益性向上と最適な資本構成の追求により、中長期的な企業価値の向上を図る方針です。

* 売上高:700億円
* 営業利益:53億円
* 経常利益:58億円
* ROE:12.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


物流品質の安定化に向けた「エリア戦略」の推進や、ITと現場力を組み合わせた拡販戦略による最適ソリューションの提供を進めます。2024年問題への対応としてトラック稼働率向上に取り組み、独自のクラウド型車両管理システム「KIBACO」を活用したフリート戦略による収益拡大や、全社的なDX推進による業務効率化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人」を最も重要な経営資源と位置づけ、人材の確保・育成・定着を軸とした戦略を推進しています。採用活動の高度化や多様なチャネルの活用で安定的に人材を確保し、階層別研修やOJTを通じて現場力と専門性の向上を図っています。さらに、働きやすい環境の整備やキャリア支援により、長期的に活躍できる組織づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.6歳 17.8年 6,258,514円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.9%
男性育児休業取得率 71.8%
男女賃金差異(全労働者) 56.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 65.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 78.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 優秀な人財の確保・育成に関するリスク


同社グループは人材を最も重要な経営資源と位置付けていますが、労働力確保の競争は厳しくなっています。必要な人材を適時に確保できない場合や、計画通りの育成が進まない場合には、サービス品質の維持や今後の事業展開、業績の成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 安全・品質に係る重大な問題の発生


物流およびモビリティ事業の特性上、安全と品質の確保は重要な経営課題です。管理体制には万全を期していますが、万が一、重大な安全・品質に関する問題が発生した場合には、多額の対応コストが生じるとともに社会的信用の低下を招き、財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 特定の大口顧客への取引依存


同社グループはトヨタ自動車向けの売上高が全体の約2割、グループ全体を含めると約4割を占めています。新たな業態の開発や海外展開により収益基盤の多様化を推進していますが、同社の発注政策や動向の変化によっては、経営成績に影響を受ける可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。