福田組 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

福田組 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する福田組は、新潟を本拠地として建築・土木工事を幅広く請け負う建設事業と、物件の売買や開発、賃貸を行う不動産事業を主力として展開しています。直近の連結業績は、民間建築工事の受注が好調に推移し、適正な価格転嫁も進んだことから増収増益を達成しており、堅調な経営を続けています。


※本記事は、株式会社福田組の有価証券報告書(第99期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 福田組ってどんな会社?


建築・土木工事を主体とする建設事業と不動産事業を展開する総合建設会社です。

(1) 会社概要


1902年に新潟市で土木建築請負業として創業し、1927年に会社を設立して総合建設業者となりました。1970年に道路舗装部門を分離して福田道路を設立し、1975年に東京証券取引所市場第二部などに上場、1983年に同市場第一部への指定を受けています。その後も関連会社の設立等を重ねて事業を拡大しています。

現在の従業員数は連結で2,226名、単体で840名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は関連財団である公益財団法人福田育英会で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は関係団体の福田組共栄会となっています。

氏名 持株比率
公益財団法人 福田育英会 8.21%
日本マスタートラスト信託銀行 その他信託口 5.68%
福田組共栄会 3.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役会長執行役員会長は福田勝之氏、代表取締役社長執行役員社長は荒明正紀氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
福田勝之 代表取締役会長執行役員会長 1979年日本興業銀行入行。福田道路代表取締役社長を経て、2003年福田組代表取締役社長。2009年より現職。
荒明正紀 代表取締役社長執行役員社長 1982年入社。新潟本店管理部長、常務執行役員東北支店長、営業本部長などを経て、2019年より現職。
齋藤秀明 取締役専務執行役員新潟本店長 1984年入社。東京本店土木部長、執行役員土木部副部長、常務執行役員土木部長などを経て、2025年より現職。
山賀豊 取締役常務執行役員建築部長、タイフクダ担当 1981年入社。九州支店建築部担当部長などを経て、2021年取締役執行役員建築部長に就任。2024年より現職。
大塚進一 取締役常務執行役員営業本部・東京本店担当 1985年入社。審査部長、上席執行役員東北支店長、執行役員東京本店長などを経て、2025年より現職。
砂田修一 取締役執行役員土木部長 1987年入社。東北支店土木部副部長、執行役員土木部副部長などを経て、2024年より現職。
小見年雄 取締役執行役員管理部長、内部統制担当、IR担当、開発事業担当 1989年入社。執行役員管理部副部長兼経営企画部長などを経て、2023年取締役に就任。2024年より現職。


社外取締役は、永塚重松(元第四北越銀行常務)、上原小百合(テレビ新潟放送網取締役)、中田義直(税理士)、若槻良宏(弁護士・元新潟県弁護士会会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設事業」「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。

建設事業


建築・土木工事の受注・施工を主体とし、建設工事関連資機材の製造販売や賃貸なども行っています。官公庁からの公共投資や民間企業からの多様な建設需要に対して、これまでに蓄積した高度な技術力で対応しています。

顧客からの工事請負代金や資機材の販売・賃貸料などを主な収益源としています。事業の運営は福田組を中心に、福田道路や北日本建材リースなどの子会社、および高建などの関連会社が担っています。

不動産事業


宅地や建物などの不動産売買、賃貸および開発に関する事業を展開しています。建設事業で培ったノウハウや地域の情報網を活かし、多様化する不動産ニーズに応える価値あるサービスを提供しています。

顧客からの物件売却代金や、賃貸物件からの家賃収入などを主な収益源としています。事業の運営は福田組が行っているほか、子会社の福田アセット&サービスなどが展開しています。

その他


建設工事関連以外の製品の販売や賃貸、各種サービスの提供のほか、福祉施設の経営なども行っています。周辺領域でのサービス展開を通じて、グループ全体の事業基盤を多角的にサポートしています。

製品の販売代金や福祉施設の利用料などを主な収益源としています。福田道路などの子会社が各種サービスを提供し、デザイン工房が福祉施設を運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は一時的な落ち込みを経て再び回復傾向にあり、順調に推移しています。経常利益も資材価格の高止まりなどの影響を受けつつも、適正な価格転嫁や民間建築工事の好調な受注に支えられ、直近では利益率とともに改善傾向を示しており、安定した収益基盤を維持しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 1,798億円 1,544億円 1,622億円 1,666億円 1,680億円
経常利益 91億円 55億円 55億円 80億円 81億円
利益率(%) 5.1% 3.5% 3.4% 4.8% 4.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 45億円 33億円 21億円 34億円 32億円

(2) 損益計算書


売上高は前期から微増にとどまりましたが、採算性の高い工事の進行や適正価格での受注努力により売上総利益は大きく増加しています。これに伴い、営業利益も堅調に推移しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 1,666億円 1,680億円
売上総利益 137億円 153億円
売上総利益率(%) 8.2% 9.1%
営業利益 77億円 78億円
営業利益率(%) 4.6% 4.6%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が48億円(構成比45.0%)と最も大きな割合を占め、次いで退職給付費用が1億円(同1.2%)となっています。

(3) セグメント収益


建設事業は大型の民間建築工事の完成により増収となりました。一方、不動産事業は前期に大型の不動産販売案件があったことによる反動減で大きく減収となっています。その他の事業は連結子会社の福祉施設の入居率向上により増収となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
建設 1,604億円 1,649億円
不動産 56億円 23億円
その他 6億円 7億円
連結(合計) 1,666億円 1,680億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

福田組のキャッシュ・フローの状況は、営業活動において不動産事業受入金の増加が収入を押し上げたものの、仕入債務の減少が支出要因となりました。投資活動では、有形固定資産の取得に伴う支出が大きくなりました。財務活動では、借入金の返済や配当金の支払いが支出の主な要因となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 59億円 26億円
投資CF -20億円 -11億円
財務CF -14億円 -26億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「わが社は挑戦する企業体質のもと 人間と環境を大切にし 感動的価値の創造をめざします」を経営理念に掲げています。また、「わが社は誠実と創造をもって事にあたり 建設を通じ社会に貢献します」という社是のもと、建設事業を通じて社会の発展に貢献していくことを存在意義として事業を展開しています。

(2) 企業文化


グループ全体の共通精神として、フクダグループスピリット「100年先も誠実」を掲げています。全役職員が常に誠実であることを心に刻み、地域の人々との絆を深めながら、いのちと暮らしを守る建設物とサービスを提供し、次の世代へつないでいくことを重視する文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


新たな長期ビジョン「FUKUDA VISION 2035」に向けた第1フェーズとして「中期経営計画2030」を策定し、段階的な企業価値の向上を目指しています。最終年度である2030年度の連結目標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高:1,900億円
* 営業利益:95億円
* 営業利益率:5.0%

(4) 成長戦略と重点施策


「誇る、繋ぐ、挑む。そして、未来を創る。」をスローガンに、経営基盤の強化に重点を置いた戦略を推進します。具体的には、人財の確保と成長への投資を最優先としながら、顧客とのリレーション強化やDXによる生産性向上を図り、主要事業の一層の強化とマルチステークホルダーへの付加価値提供に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


会社の持続的な成長には社員の成長が不可欠であると考え、「誠実」に先を見据える自律的な人財の育成を目指しています。社員の健康や働きがい、安全を追求し、多様な人財が個性を活かして生き生きと働き続けられる環境の整備を推進するなど、積極的な人的資本への投資を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 42.9歳 16.8年 8,308,584円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.9%
男性育休取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 55.2%
男女賃金差異(正規雇用) 55.9%
男女賃金差異(非正規) 50.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ストレスチェック高ストレス者割合(6.9%)、一級土木施工管理技士2次検定合格率(52.9%)、人間ドック・健康診断受診率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設投資の動向による影響

国や地方公共団体の財政状態の変化による公共投資の減少や、経済情勢の変化に伴う民間建設投資の縮小が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は毎月の受注状況や中長期的な市場動向を的確に把握し、必要な対策を講じています。

(2) 開発事業における不確実性

建設投資事業の変化に対応するため開発事業を展開していますが、許認可の遅延や販売不振など、想定外の要因により計画が遅れるリスクがあります。事業リスクや環境変化の兆候を早期に把握し、事業計画の点検と見直しを随時行うことでリスクの低減を図っています。

(3) 建設資材・労務単価の価格高騰

建設工事に必要な資材や労務単価が急激に変動した場合、コスト増により収益性が低下する可能性があります。これに対し、請負契約において価格変動に基づく請負代金の変更規定(スライド条項等)を導入するよう協議を進めるほか、先行調達や代替工法の提案などで対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。