高橋カーテンウォール工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高橋カーテンウォール工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高橋カーテンウォール工業は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、ビル外壁用のプレキャストコンクリートカーテンウォール事業と、各種施設向けプール等のアクア事業を展開しています。直近の連結業績は売上高73億円、経常利益2億円となり、資材高や人手不足による建設工期の延期等の影響で減収減益となりました。


※本記事は、高橋カーテンウォール工業株式会社の有価証券報告書(第61期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 高橋カーテンウォール工業ってどんな会社?


同社はプレキャストコンクリートを用いたオーダーメイドのビル外壁材や、水施設などを提供するメーカーです。

(1) 会社概要


1965年に高橋商会として設立され、プレキャストコンクリート工事の設計・製造・施工を開始しました。1981年に現在の高橋カーテンウォール工業へ商号を変更し、1990年に店頭登録(現スタンダード市場)を果たしました。1993年にはプール事業を担うアクア施設部を新設しています。

現在の従業員数は連結、単体ともに186名です。筆頭株主は創業者一族であり代表取締役社長執行役員を務める高橋武治氏で、第2位および第3位の株主も同社の役員や個人株主で構成されています。

氏名 持株比率
高橋武治 18.27%
高橋敏男 10.24%
高橋宗敏 6.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は高橋武治氏が務めています。社外取締役は1名で、取締役総数に対する比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
高橋武治 代表取締役社長執行役員 1999年第一勧業銀行退職。2000年同社入社。2003年取締役、2004年代表取締役社長就任。2023年より現職。大連高連幕墻有限公司副董事長等を兼任。
高橋宗敏 取締役上席常務執行役員 営業本部長兼経営・IT企画室担当役員兼スパジオ事業部長 2016年同社入社。工務部課長、経営・IT企画室長を経て、2022年取締役就任。2025年より現職。


社外取締役は、小出斉氏(元イーブックイニシアティブジャパン社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「PCカーテンウォール事業」「アクア事業」および「その他」事業を展開しています。

PCカーテンウォール事業

プレキャストコンクリートカーテンウォールをはじめとするオーダーメイドのビル外壁材や、建築用プレキャストコンクリート部材の設計・製造・施工を行っています。オフィスビル等の外壁を建設現場に供給しています。

同社がゼネコンなどの顧客から工事代金を受け取る収益モデルです。事業の運営は同社が主体となって行い、中国の大連高連幕墻有限公司へ設計業務を委託しています。

アクア事業

ホテル、学校、スポーツ施設のプールや、各種温浴施設などの水施設・水空間・水環境の企画・提案・設計・施工を行っています。ステンレス製で耐久性の高いオリジナルプール等を提供しています。

施設運営者やゼネコンから設計・施工代金を受け取る収益モデルです。新設だけでなくメンテナンスやリニューアル需要も取り込んでおり、同社が事業を運営しています。

その他

報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸事業や保養所の管理を行っています。

入居者等から賃貸料を受け取る収益モデルです。不動産賃貸事業はタカハシテクノが、保養所管理はアシェルがそれぞれ運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績をみると、売上高は73億円から122億円の範囲で推移しています。経常利益も波があり、直近の2025年12月期は建設業界の人手不足や資材高騰に伴う工期見直しの影響等により、減収減益となりました。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 122億円 75億円 73億円 94億円 73億円
経常利益 21億円 2億円 4億円 7億円 2億円
利益率(%) 17.3% 3.3% 6.1% 7.2% 2.5%
当期純利益 14億円 2億円 3億円 4億円 2億円

(2) 損益計算書


直近の業績では、売上高の減少に伴い売上総利益と営業利益が大きく落ち込んでいます。利益率も低下しており、利益面で厳しい状況にあることが読み取れます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 94億円 73億円
売上総利益 15億円 11億円
売上総利益率(%) 16.1% 15.0%
営業利益 6億円 1億円
営業利益率(%) 6.3% 1.5%


当期の販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が5億円(構成比46%)、地代家賃が1億円(同12%)、雑費が1億円(同12%)を占めています。また、完成工事原価のうち外注費が16億円(構成比27%)、材料費が14億円(同22%)となっています。

(3) セグメント収益


主力であるPCカーテンウォール事業は、工場稼働率の低下により売上・利益ともに減少しました。一方、アクア事業はインバウンド復活によるホテルプールの増加等で増収増益を達成しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
PCカーテンウォール事業 86億円 62億円 6億円 0.2億円 0.3%
アクア事業 7億円 10億円 0.3億円 1億円 9.3%
その他 0.6億円 0.6億円 - - -
調整額 - - - - -
連結(合計) 94億円 73億円 6億円 1億円 1.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

高橋カーテンウォール工業のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益や売上債権の減少により、前連結会計年度から大幅に資金が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出により、資金が減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済や配当金の支払いにより、資金が減少しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は大きく増加しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -19億円 25億円
投資CF -1億円 -4億円
財務CF 3億円 -10億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は「全従業員の物心両面の幸福を追求し、社会の進歩発展に貢献する」という経営理念を掲げています。プレキャストコンクリート製品やプールの供給を通じて持続可能な社会づくりに貢献する意思が込められており、近年は特に脱炭素技術の開発に力を入れています。

(2) 企業文化

人を第一に考える会社として、会社のバリューである「挑戦・一丸・誠実」を実践できる人材の育成を重視しています。国籍、性別、年齢等にかかわらず、多様な人材が活躍できる職場を目指し、働きやすく成長を実感できる環境の整備に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標

景気低迷期を除き、経常利益率10%以上を目標に掲げています(景気低迷期は5%以上)。資本効率の指標としてはWACC(加重平均資本コスト)を採用しており、当期のROIC(投下資本利益率)との差を埋めるための改善に努めるとしています。

- 経常利益率:10%以上

(4) 成長戦略と重点施策

主力のPCカーテンウォール事業では、デザイン面や脱炭素等の環境性能向上について顧客の要望に応えつつ、床・バルコニー部材も積極的に受注して事業拡大を図ります。アクア事業においては、拡大するステンレスプールの需要を取り込み、撤退する他社からのメンテナンス案件の引き継ぎや周辺分野への進出を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は「人」を第一に考え、将来に向けた人材の確保と育成を最重要の経営課題としています。新卒・中途ともに採用を推進し、入社後のジョブローテーションやOJTによる育成、外部研修や資格取得支援を通じて、社員の成長と自己啓発を積極的に支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 44.6歳 14.9年 6,734,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※女性管理職比率および男女賃金差異は、公表項目として選択しなかったため記載が省略されています。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定期健診受診率(100.0%)、書籍購入サポートプランの利用率(24.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 受注減少および受注単価低下のリスク

建設需要の縮小や競合品の普及により、PCカーテンウォールの受注高が減少する可能性があります。また、建設業界の需給バランス変化に伴う価格競争により受注単価が低下するリスクに対して、高付加価値化と差別化で対応しています。

(2) 資材価格の高騰と調達遅延のリスク

原材料価格の高騰等により資材の調達コストが想定以上に上昇した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、世界的な物流停滞の影響で一部資材の調達が遅れるリスクがあり、早期調達や調達先の多様化、価格転嫁の協議を進めています。

(3) 人材不足・高齢化に伴うリスク

工場や工事現場において技術労働者の減少と高齢化が進行しており、新規入職者の確保や世代交代が進まない場合、生産体制に支障をきたす恐れがあります。採用推進や職場環境の改善、協力会社への支援を通じて人材の確保・育成に注力しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。