※本記事は、株式会社TMH の有価証券報告書(第14期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. TMHってどんな会社?
半導体製造装置・部品の販売および修理サービスを主力とし、越境ECとエンジニアリング力を組み合わせたソリューションを提供しています。
■(1) 会社概要
2012年に大分県で設立され、半導体製造装置部品の修理・販売を開始しました。2018年には越境ECサイト「LAYLA-EC」を稼働し、デジタル化を推進。2024年12月に東京証券取引所グロース市場および福岡証券取引所Q-Boardへ上場を果たしました。2025年には韓国に子会社を設立し、グローバル展開を加速させています。
連結従業員数は45名(単体43名)です。筆頭株主は創業者の資産管理会社で、第2位はベンチャーキャピタル、第3位は創業者個人となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ET Family Asset | 54.08% |
| SBI AI&Blockchain投資事業有限責任組合 | 6.76% |
| 榎並 大輔 | 2.69% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は榎並大輔氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 榎並 大輔 | 代表取締役社長 | 2006年東芝入社。2012年3月より現職。 |
| 香月 賢一 | 取締役戦略SCM事業部長 | 1992年東芝入社。2017年2月より現職。 |
| 関 真希 | 取締役経営管理部長 | 2007年日立物流入社。デロイトトーマツコンサルティングを経て、2017年2月より現職。 |
社外取締役は、野木村修(元ルネサスセミコンダクタパッケージ&テストソリューションズ社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「半導体製造フィールドソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開していますが、サービスの内容により以下の2つに分類されます。
■(1) 部品販売・修理サービス
越境ECサイト「LAYLA-EC」等を活用し、半導体製造装置の部品販売および修理サービスを提供しています。世界中のサプライヤーや在庫情報を集約し、半導体工場へ安定的に部品を供給します。
主な収益源は、半導体工場からの部品代金や修理サービス料です。運営は主にTMHが行っています。
■(2) 装置販売サービス
中古半導体製造装置の買取りおよび売却支援を行っています。エンジニアリング力を活かし、装置の解体、搬出、設置、プロセスチューニングまでを一貫してサポートします。
主な収益源は、半導体工場等への装置販売代金や関連するエンジニアリングサービス料です。運営は主にTMHが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2025年11月期より連結決算を作成しているため、当期の連結数値のみを表示します。売上高は86億円、経常利益は3.4億円、当期純利益は2.5億円となりました。
| 項目 | 2025年11月期 |
|---|---|
| 売上高 | 86億円 |
| 経常利益 | 3.4億円 |
| 利益率(%) | 3.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.5億円 |
■(2) 損益計算書
2025年11月期より連結決算へ移行したため、当期の数値のみを表示します。売上高に対して売上総利益率は11.2%、営業利益率は4.1%となっています。
| 項目 | 2025年11月期 |
|---|---|
| 売上高 | 86億円 |
| 売上総利益 | 10億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.2% |
| 営業利益 | 3.6億円 |
| 営業利益率(%) | 4.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.5億円(構成比24%)、役員報酬が1.2億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
当期は中古機械装置販売などの大型案件が寄与し、装置販売サービスが売上の大半を占めています。
| 区分 | 売上(2025年11月期) |
|---|---|
| 部品販売・修理サービス | 12億円 |
| 装置販売サービス | 74億円 |
| その他 | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 86億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業赤字を資産売却+借入で補填する「救済型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2025年11月期 |
|---|---|
| 営業CF | -24億円 |
| 投資CF | 0.0億円 |
| 財務CF | 4.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は51.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「Technology Makes Happiness」を経営理念として掲げ、先端技術で豊かな社会を創ることを目指しています。日本の半導体産業の復活に貢献し、お客様の最良のパートナーとなることで豊かな社会の構築に貢献することを使命としています。
■(2) 企業文化
最高のバリューを提供し続けることをビジョンとし、以下の3つを重視しています。
1. 社員第一主義
2. 最高のバリュー提供
3. コンプライアンス遵守
■(3) 経営計画・目標
同社は中長期的な目標として、2028年11月期までに以下の数値目標を掲げています。
* 売上高(流通総額):180億円
* 営業利益:17億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、大手半導体製造装置メーカーの代理店ビジネス推進や、積極的なM&Aによる成長を目指しています。また、「LAYLA-EC」を活用した収益基盤の拡張に加え、人材プラットフォーム「LAYLA-HR」や情報メディア「SEMICON.TODAY」によるトータルソリューションの高度化を図ります。さらに、アジア地域を中心としたグローバル展開を加速させ、販路拡大を進める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業の拡大および高度化のため、優れた経験や専門的知見を有する人材の確保と育成を重視しています。特にエンジニアの継続的な確保や、営業分野での提案力強化、管理部門の人材確保を進めています。また、グローバル展開を見据え、国籍や年齢、性別にとらわれない多様な人材の活躍を促進し、社員一人ひとりが長期的に活躍できる環境づくりに取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月期 | 43.6歳 | 3.3年 | 6,580,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、月平均残業時間(17.5時間)、外国籍比率(27.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) マクロ経済環境について
海外サプライヤーからの輸入や国内半導体工場への販売を行っているため、世界経済や半導体市場の動向、地政学的リスクの影響を受けます。景気変動や技術革新、貿易政策の変更などが、同社の業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替変動について
海外からの部品輸入などで外貨(主に米ドル)を使用しているため、円安による仕入コスト上昇のリスクがあります。価格転嫁が困難な場合や、価格上昇による顧客の購買抑制が生じた場合、利益率が悪化する可能性があります。
■(3) 前受金(契約負債)のキャッシュ・フローへの影響
装置販売サービスではリードタイムが長く、前受金を受領する場合があります。多額の前受金がある場合、利益とキャッシュ・フローの乖離が大きくなるほか、キャンセル時の返金が発生すればキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 利益率の変動について
装置販売は部品販売に比べて利益率が低い傾向があり、案件ごとの利益率にもばらつきがあります。獲得案件の構成によっては、全体の利益率が変動する可能性があります。極端に利益率の低い案件を受注しないよう管理していますが、影響を受ける可能性があります。



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