Japan Eyewear Holdings 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Japan Eyewear Holdings 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するアイウェア企業です。「金子眼鏡」「フォーナインズ」ブランドを展開し、眼鏡の製造・販売を行っています。戦略的な価格改定やインバウンド需要の取り込み等により、売上収益186億円、営業利益60億円と力強い増収増益トレンドを継続しています。


※本記事は、Japan Eyewear Holdings株式会社 の有価証券報告書(第7期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年04月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. Japan Eyewear Holdingsってどんな会社?


高級眼鏡ブランドを擁し、企画から製造・販売までの一貫生産体制を敷くアイウェア企業です。

(1) 会社概要


1958年に金子眼鏡商会として創業し、ブランド展開や自社工房の設立を進めました。2019年にファンドからの出資を受けて持株会社体制を再編し、2021年にはフォーナインズをグループ化しました。2023年に現社名へ変更して東京証券取引所スタンダード市場へ上場、2025年にはプライム市場へ移行しています。

従業員数は連結で637名、単体で13名です。筆頭株主は創業家関連の資産管理会社である金子インベストで、第2位は信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)、第3位は投資ファンドである日本企業成長投資1号投資事業有限責任組合となっています。

氏名 持株比率
金子インベスト 37.66%
日本カストディ銀行(信託口) 6.44%
日本企業成長投資1号投資事業有限責任組合 4.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性1名の計5名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長 CEOは金子真也氏が務めており、社外取締役比率は40.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
金子 真也 代表取締役社長 CEO 1981年金子眼鏡入社。1999年旧金子眼鏡代表取締役社長。2019年金子ホールディングス等代表取締役社長を経て、2023年5月より現職。
柴田 俊一 取締役 CFO 日本マクドナルド、すかいらーく等を経て2019年金子眼鏡入社。フォーナインズ代表取締役等を歴任し、2023年5月より現職。
秋里 英寿 取締役(監査等委員) ボストンコンサルティンググループ等を経て、日本企業成長投資パートナーに就任。旧Japan Eyewear Holdings等を経て2023年5月より現職。


社外取締役は、中井ちはる(元・有限責任監査法人トーマツ)、森口倫(桃尾・松尾・難波法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「金子眼鏡事業」および「フォーナインズ事業」を展開しています。

(1) 金子眼鏡事業


福井県鯖江市に自社工場を持ち、企画・デザインから製造・販売までの一貫生産体制を構築して高品質な眼鏡を提供しています。年齢や性別を問わず幅広い層をターゲットとし、クラシックなデザインを中心にファッション性の高いアイウェアを取り揃えています。

収益は、直営店での小売販売が売上の約9割を占めており、店舗で個人顧客から直接代金を受け取っています。国内の主要都市のみならず、フランスやアジアの海外店舗運営、海外各国への卸売も展開しており、事業の運営は主に金子眼鏡が行っています。

(2) フォーナインズ事業


「眼鏡は道具である」というコンセプトのもと、機能性とモダンなデザインにこだわった高級ブランド眼鏡の企画・デザインと販売を行っています。主な顧客層は40代から50代の男性であり、製造は主に外部の協力工場へ委託して行っています。

収益は、直営店を通じた個人顧客からの小売販売(約55%)と、国内外に広がる約1,000店舗の取扱店に対する卸販売(約45%)から得ています。シンガポールでの海外直営店展開も進めており、事業の運営は主にフォーナインズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間において、売上収益と税引前利益は継続して力強い成長を遂げています。積極的な国内外への新規出店や、ブランド価値の向上を背景とした戦略的な価格改定による単価上昇が奏功し、利益率も大幅に改善して高水準を維持しています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上収益 71億円 107億円 135億円 167億円 186億円
税引前利益 5億円 13億円 33億円 49億円 56億円
利益率(%) 7.3% 12.2% 24.4% 29.5% 30.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 3億円 22億円 40億円 38億円

(2) 損益計算書


売上収益の順調な拡大に伴い、売上総利益および営業利益も増加しています。一貫生産体制の強みを活かし、高単価かつ高品質な製品を効率的に販売することで、約8割という高い売上総利益率と32.0%という優れた営業利益率を確保しています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上収益 167億円 186億円
売上総利益 131億円 147億円
売上総利益率(%) 78.9% 78.7%
営業利益 53億円 60億円
営業利益率(%) 32.0% 32.0%

(3) セグメント収益


金子眼鏡事業は、国内外におけるブランド浸透や新規出店、インバウンド需要の堅調な推移により大きく増収増益となりました。フォーナインズ事業も、価格改定の効果や海外卸売上の好調に支えられ、着実に売上と利益を伸ばしています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期) 利益(2025年1月期) 利益(2026年1月期) 利益率
金子眼鏡 108億円 125億円 41億円 47億円 37.6%
フォーナインズ 59億円 62億円 18億円 19億円 30.1%
調整額 - - -5億円 -6億円 -
連結(合計) 167億円 186億円 53億円 60億円 32.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としており、資金需要に応じて自己資金、借入、エクイティファイナンス等で調達します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の流れを示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得・売却等による資金の増減を表します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、配当金の支払い等、資金調達や返済に関する資金の流れを示しています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 53億円 54億円
投資CF -24億円 -14億円
財務CF -34億円 -49億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「アイウェアを通して、世界中の人々に『夢』『感動』『幸福』を提供し続ける。アイウェアを通して、世界中の人々の文化的生活の向上に寄与することを目指す。アイウェアを通してもたらせる繁栄を、関係する全ての人々と共有し、ともに成長し、社会に貢献する」を基本理念としています。日本発の世界トップクラスの高価格アイウェアブランドを目指しています。

(2) 企業文化


「クラフツマンシップの伝統と革新を世界へ」という長期ビジョンを掲げています。純粋な情熱と妥協なき精神のもと、アイウェアを一本一本丁寧に魂を込めて作るクラフツマンシップを原点としています。鯖江の眼鏡づくりの伝統に革新を加え、全従業員が職人としての気質を持ちながら価値を創造する文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長と高い収益性の実現を目指す観点から、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として「EBITDA(営業利益+減価償却費+識別可能資産償却費)」を重視し、これらの向上を目指しています。サービスレベルの向上や人材投資、ステークホルダーへの収益還元を通じて、経営基盤と収益体質の強化を実現します。

(4) 成長戦略と重点施策


既存店の収益拡大、新規出店、インバウンド需要の取り込みを軸に国内売上を拡大し、アジア展開により海外売上の伸長を目指します。ブランドイメージを高める店舗デザインや専門性の高い接客を通じた継続的な単価向上を図るとともに、海外直営店や卸売を国内インバウンドと連携させる循環型の成長モデルの確立に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


労働環境の整備を極めて重要なテーマと位置づけ、従業員の健康や安心・安全の確保に留意した働きやすい職場環境の実現を目指しています。即戦力となる中途採用を中心に多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用し、外国籍人材の登用や社内研修・資格取得の促進等を通じて、優秀な人材の確保と育成を進める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 42.1歳 6.2年 6,102,245円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.0%
男性育児休業取得率 65.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 73.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 142.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(67.0%)、月間平均残業時間(19時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インバウンド需要減少や景気低迷の影響


販売国の経済状況や個人の嗜好変化により売上が左右されるリスクがあります。また、パンデミック等の感染症拡大や自然災害による店舗休業、国際情勢の変動等による訪日観光客の減少が起きた場合、見込んでいたインバウンド需要の確保が遅れ、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格の変動と安定供給の懸念


主要原材料であるアセテートやチタンなどは市況商品であり、価格が急騰した際に製品価格への転嫁が遅れると収益性が低下します。また、原材料やレンズの生産元が特定の業者に限定されているため、仕入先での不測の事態によって必要な資材の適正価格での安定確保が困難になるリスクが存在します。

(3) 医師法等に関連する法規制の変更


眼鏡販売時の度数測定補助行為について、人体に危害を生じさせるおそれがなく医行為に該当しないと判断して事業を行っています。しかし、将来的な法令改正や解釈変更により当該行為が医行為に該当すると判断された場合、ビジネスモデルの抜本的な転換を迫られ、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。