※本記事は、モビルス株式会社 の有価証券報告書(2025年8月期、2024年9月1日 ~ 2025年8月31日、2025年11月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
モビルスは、コンタクトセンター向けのSaaSソリューションとプロフェッショナルサービスを提供する企業です。顧客体験(CX)の向上とコンタクトセンターの効率化・高度化を支援しています。
単体従業員数は107名、連結従業員数は109名です。同社グループの事業セグメントはSaaSソリューション事業の1つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)vottiaなどです。
同社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
モビルスは、SaaSソリューション事業を展開する企業です。同社は、顧客サポート領域における社会課題解決に貢献し、持続的な企業価値向上を目指しています。従業員の成長支援や多様性を重視した働き方を推進しており、ダイナミックな環境でキャリアを築きたい方に適した職場であると言えるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
モビルスでは、平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は比較的短い傾向にあります。これは、新しい人材が積極的に加わり、組織が常に変化・成長していることを示唆しています。活気があり、自身のスキルアップやキャリア形成を積極的に進めたい方にとって魅力的な環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,723,000円 |
| 平均勤続年数 | 2.92年 |
| 平均年齢 | 39.3歳 |
| 単体従業員数 | 107人 |
| 連結従業員数 | 109人 |
| 単体のグループ内比率 | 98.2% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
モビルスは、顧客サポート領域の事業を通じて社会課題解決に貢献し、持続的な企業価値向上を目指しています。その実現のため、人的資本を重要なサステナビリティ課題と位置づけ、人材の多様性確保と育成、社内環境整備に注力しています。
具体的には、研修プログラムに加えて定期的なキャリアアンケートを実施し、従業員一人ひとりのスキルやキャリア志向性を把握しています。管理職研修やコーチング研修を受けた上長との1on1ミーティングを定期的に実施することで、従業員の多様性を活かした成長を支援する仕組みを構築しています。
また、キャリア採用による幅広い年代の雇用や、技術者を中心とした多国籍人材の積極採用を通じてダイバーシティを推進しています。働きやすい環境づくりの一環として、テレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークやフレックス勤務制度も導入しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。
任意開示
同社が独自に開示している人的資本に関する指標です。基準日は2025年8月31日です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員に占める女性の割合 | 29.0% |
| 従業員に占める外国籍者の割合 | 15.0% |
| 男性の育児休業取得率 | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
モビルスは、コンタクトセンター向けのSaaSソリューションと、それに付随するプロフェッショナルサービスを提供している企業です。顧客サポートの現場における課題解決とデジタル活用を支援し、効率化と高度化を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「CX-Branding Tech.」をミッションに掲げ、主にコンタクトセンター向けにSaaS(Software as a Service)と呼ばれるクラウド環境下で独自のソリューションを提供しています。また、顧客の投資収益率(ROI)を実現するためのコンサルテーションサービス、データ構築サービス、カスタマイズ開発サービスなどのプロフェッショナルサービスも展開しています。
同社グループは、市場の基盤を確立した「問い合わせチャネルの多様化を実現するソリューション群」、収益化が進む「オペレータの業務をAIで支援するソリューション群」、そして未来の成長に向けた「消費者向けAI自動応答ソリューション群」という、異なる成長フェーズにある3つのソリューション群を組み合わせて事業を展開しています。これにより、安定した事業基盤と継続的なイノベーションの両立を図っています。
SaaSサービスでは、モビエージェント、モビボット、モビボイス、セキュリティスイート、MooA CommNavi、MooA KnowledgeBase、maestraといったプロダクトをクラウド環境で提供しています。利用者は月額または年額の利用料を支払うことで、常に最新のソフトウェアを利用できる収益モデルとなっています。プロフェッショナルサービスでは、初期導入サポート、カスタマイズ開発、トレーニング、コンサルティング、AI教師データ作成など、SaaSサービスの導入効果を最大化するための支援を提供しています。
同社グループの事業はSaaSソリューション事業の単一セグメントであり、海外の外部顧客への売上高はありません。また、特定の顧客への売上集中もありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
モビルスは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しており、それ以前の期間については連結経営指標等の記載はありません。当連結会計年度の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに黒字を達成しています。
| 項目 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 18.5億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 81百万円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 4.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 91百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 15.29 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前期との比較はできませんが、従業員1人あたりの売上高と営業利益は、同社グループの事業規模と収益性を測る指標となります。これらの数値は、組織全体の効率性や、従業員一人ひとりが生み出す価値の大きさを示すものとなります。
| 指標 | 2025年8月期 |
|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 17.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
モビルスは、事業活動で得た資金を将来の成長に向けた投資に積極的に充てている段階にあります。財務基盤の状況や資金の流れから、同社グループの現在の経営状態を読み解きます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
モビルスの財務基盤を見ると、自己資本比率は61.6%となっており、プライム市場の非製造業平均24.2%と比較して高い水準を示しています。これは、同社グループの財務の安定性を示す一つの指標となります。
ROE(自己資本利益率)は6.6%であり、プライム市場平均の9.4%を下回っています。手元資金である現金及び預金は10.4億円を確保しており、事業運営に必要な流動性を維持している状況です。
これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性を検討する上で参考となる情報です。
| 指標 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 12.4億円 | 14.5億円 |
| 自己資本比率 | - | 61.6% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 6.6% |
| 現金及び預金 | 13.5億円 | 10.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
モビルスのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは2.7億円のプラスとなりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費及びその他の償却費の計上、契約負債の増加によるものです。
一方で、投資活動によるキャッシュフローは△6.2億円のマイナスとなっています。これは主に、ソフトウエア開発の無形固定資産の取得や敷金及び保証金の差入による支出が要因です。
財務活動によるキャッシュフローは0.3億円のプラスであり、長期借入金の返済があったものの、非支配株主からの払込みによる収入がありました。結果として、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは△3.5億円のマイナスとなっています。
この状況は、本業で資金を生み出しつつも、将来の成長に向けた積極的な投資を行っている段階を示しています。このような投資フェーズは、事業の拡大や新たな価値創造への意欲を反映しており、中長期的な成長が期待できる一方で、短期的な資金流出を伴うことがあります。
| 項目 | 2024年8月期(前期) | 2025年8月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 2.7億円 |
| 投資CF | - | △6.2億円 |
| 財務CF | - | 0.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △3.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主要顧客であるコンタクトセンター業界のソフトウエア投資動向が悪化した場合、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、SaaS製品の売上は新規顧客の獲得と既存顧客の継続率が重要であり、これらが想定通りに進まない場合も経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業発展のために優秀な人材の獲得と育成を重要視しています。しかし、人材の確保や育成が計画通りに進まない場合、事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
モビルスは、「CX-Branding Tech.」を掲げ、「すべてのビジネスに、一歩先行くCXを。」というミッションのもと、顧客サポート領域の社会課題解決と持続可能な社会の実現を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「CX-Branding Tech.」として「すべてのビジネスに、一歩先行くCXを。」というミッションを掲げています。大手コンタクトセンター向けチャットサポートシステムを中心としたコミュニケーションプラットフォームの開発を行っています。顧客サポートの領域における事業を通して社会課題の解決に寄与し、持続的な企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、大規模コンタクトセンターのオペレーションを効率化するテクノロジーを強みとしています。プロダクト開発では、ユーザーとなる大企業が機能性や仕様の検討に参画し、現場の意見を取り入れることで最適な仕様を追求しています。システム提供にとどまらず、初期導入サポートからコンサルティング、カスタマイズ開発まで幅広いサービスを提供し、顧客の成功まで支援するカスタマーサクセスを重視しています。
また、顧客ニーズを機敏に実現できるチームを有していることを差別化要素の一つとしています。人材育成においては、研修プログラムに加え、定期的なキャリアアンケートや上長との1on1ミーティングを通じて従業員の多様性を活かした成長を支援する仕組みを構築しています。キャリア採用や多国籍の採用を積極的に行いダイバーシティを推進するとともに、テレワークとオフィスワークのハイブリッドワークやフレックス勤務により、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、新技術への対応と開発体制の強化を重要な経営課題と認識しています。生成AIを含めた最先端のAIテクノロジーに対応した製品・機能・サービスを提供するため、技術習得活動や開発活動を強化していく方針です。
また、コーポレート・ガバナンス体制の強化も重要な課題としています。経営の公平性、透明性、健全性を確保するため、社外取締役や監査役監査体制、内部監査、内部統制システムの整備等により強化を図っています。さらに、事業規模拡大のため、優秀な人材の確保と育成に注力しています。特に技術力のあるエンジニアの採用を強化し、評価制度や社内キャリアパス制度、教育研修の充実を通じて人材育成に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
モビルスは監査役制度を採用しており、取締役会と監査役会が経営の意思決定と監査を担っています。取締役会は常勤2名と非常勤2名で構成され、監査役会は常勤1名と非常勤2名で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
モビルスの株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社のテクマトリックスです。その他にも複数の事業会社や個人が上位株主として名を連ねており、多様な主体によって支えられていることがうかがえます。筆頭株主であるテクマトリックスとは資本業務提携契約を締結し、事業連携を進めています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| テクマトリックス | 28.45% |
| 阮 明徳 | 6.65% |
| グローバル・イノベーション・ファンドⅢ | 6.06% |
| トランス・コスモス | 6.06% |
| 長澤 信治 | 5.82% |
持株比率は小数点第2位未満を切り捨てて表示されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.29%です。代表取締役社長は石井智宏氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石井 智宏 | 代表取締役社長 | 1998年4月ソニー入社。2009年8月さわかみ投信執行役員就任。2011年8月クオンタムリープ入社、エグゼクティブパートナー。2014年12月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 加藤 建嗣 | 取締役CFO | 2002年4月大和証券SMBC入社。2016年9月帝エンタープライズジャパン取締役副社長就任。2018年5月同社入社、CFO就任。2018年11月同社取締役CFO就任より現職。 |
社外取締役は、鈴木猛司氏(テクマトリックス取締役常務執行役員)、吉崎浩一郎氏(グロース・イニシアティブ代表取締役)です。
同社は監査役制度を採用しており、監査役が独立した立場から取締役の職務執行を監査する体制をとっています。社外取締役は経営陣から独立した客観的な立場から、事業推進や業務執行の監督において助言・提言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
モビルスの役員報酬は、取締役については固定報酬としての基本報酬と、中長期的な企業価値向上を目的とした譲渡制限付株式報酬で構成されています。業績連動報酬は採用していません。監査役の報酬は株主総会で決定された総額の範囲内で監査役会が決定しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 36百万円 | 18.0百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 6百万円 | 2.9百万円 |
| 社外監査役 | 4名 | 11百万円 | 2.8百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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