note 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

note 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

noteは東証グロース市場に上場し、クリエイターがコンテンツを発表・販売できるメディアプラットフォーム「note」を運営しています。直近の決算では売上高が前期比25.0%増と伸長し、営業利益および経常利益も大幅な増益を達成するなど、増収増益の成長トレンドを継続しています。


※本記事は、株式会社note の有価証券報告書(第14期、自 2024年12月1日 至 2025年11月30日、2026年2月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. noteってどんな会社?


個人や法人が文章、画像、音声、動画等を投稿・販売できるCtoCメディアプラットフォーム「note」を運営する企業です。

(1) 会社概要


同社は2011年に株式会社ピースオブケイクとして設立され、2014年にメディアプラットフォーム「note」を開始しました。2019年には法人向け高機能プラン「note pro」をリリースし、2020年に現社名へ変更しました。2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たし、2025年にはGoogle International LLCとの資本業務提携を行うなど、事業基盤の拡大を進めています。

現在の従業員数は連結158名、単体154名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役CEOを務める加藤貞顕氏で、第2位は資本業務提携先であるGoogle International LLC、第3位は金融機関のGOLDMAN SACHS INTERNATIONALとなっています。

氏名 持株比率
加藤 貞顕 33.66%
Google International LLC 5.88%
GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL 5.79%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役CEOは加藤貞顕氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
加藤 貞顕 代表取締役CEO アスキー、ダイヤモンド社を経て2011年に同社設立、代表取締役CEO就任。
今 雄一 取締役CTO ディー・エヌ・エーを経て2013年に同社入社。開発本部長を兼務。
鹿島 幸裕 取締役CFO 外務省、ブーズ・アンド・カンパニー等を経て2018年に同社入社。Organization Success本部長を兼務。


社外取締役は、田邉美智子(公認会計士)、水野祐(弁護士)、竹川美奈子(LIFE MAP合同会社代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディアプラットフォーム事業」および「IP・コンテンツクリエーション事業」を展開しています。

(1) メディアプラットフォーム事業


個人クリエイター向けのCtoCメディアプラットフォーム「note」や、法人向けSaaS「note pro」を提供しています。「note」は文章や画像等のコンテンツを自由に投稿・販売できる場であり、読者はそれを応援・購読できます。「note pro」は企業のオウンドメディア構築を支援するサービスです。また、企業協賛型のコンテスト開催などの法人向けサービスも行っています。

収益は、「note」における有料コンテンツの決済手数料やプラットフォーム利用料、「note pro」の月額サブスクリプション利用料、および法人顧客からのコンテスト協賛金等から構成されています。運営は主にnoteが行っていますが、一部開発等はnote AI creativeが行っています。

(2) IP・コンテンツクリエーション事業


「note」等のプラットフォームから生まれたクリエイターやコンテンツの発掘・育成を行い、書籍化や映像化などのメディア展開を支援しています。クリエイターの作品を広く世に届けるためのエージェント機能やコンテンツ制作を担っています。

収益は、読者や企業に対するコンテンツや作品の販売売上等から得ています。運営は、連結子会社であるTales & Co.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績を見ると、売上高は順調に拡大しており、成長軌道に乗っています。利益面でも、経常利益および当期純利益ともに黒字化を達成し、利益率も向上傾向にあります。プラットフォームの規模拡大に伴い、収益性が高まっていることが読み取れます。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 33.1億円 41.4億円
経常利益 0.8億円 2.6億円
利益率(%) 2.3% 6.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.1億円 4.3億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も拡大しています。営業利益率も改善しており、効率的な事業運営が進んでいます。コスト管理と売上成長のバランスが取れていることが伺えます。

項目 2024年11月期 2025年11月期
売上高 33.1億円 41.4億円
売上総利益 31.1億円 38.8億円
売上総利益率(%) 93.9% 93.6%
営業利益 0.5億円 2.6億円
営業利益率(%) 1.6% 6.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が11億円(構成比30%)、支払手数料が10億円(同27%)、通信費が6億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


メディアプラットフォーム事業は、「note」の会員数やコンテンツ数の増加、「note pro」の契約数拡大により増収増益となり、全社の成長を牽引しています。IP・コンテンツクリエーション事業は立ち上げフェーズであり、先行投資的な側面がありますが、売上高は増加しています。

区分 売上(2024年11月期) 売上(2025年11月期) 利益(2024年11月期) 利益(2025年11月期) 利益率
メディアプラットフォーム事業 33.0億円 40.8億円 1.1億円 3.3億円 8.0%
IP・コンテンツクリエーション事業 0.1億円 0.7億円 -0.1億円 -0.1億円 -20.2%
調整額 - -0.1億円 -0.4億円 -0.6億円 -
連結(合計) 33.1億円 41.4億円 0.5億円 2.6億円 6.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得たキャッシュに加え、財務活動(借入や増資等)でも資金を調達し、それらを投資活動に振り向ける「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。成長のための投資を積極的に行っている段階と言えます。

項目 2024年11月期 2025年11月期
営業CF 2.3億円 3.9億円
投資CF -0.1億円 -7.5億円
財務CF -0.4億円 12.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「だれもが創作をはじめ、続けられるようにする」をミッションに掲げています。インターネット上の「街」として、個人・法人を問わずあらゆる人が集まり、創作活動や情報発信をはじめとした多様な活動の本拠地となることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、ミッションドリブンな組織運営に加え、「個と組織の成果創出のためのプロフェッショナルなカルチャー」の醸成を重視しています。成果創出に向けて組織一丸となり、互いに切磋琢磨し合いながら成長できる環境づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は中長期的な財務ターゲットとして、以下の目標を掲げています。収益性とのバランスを意識しながら戦略的投資を行い、売上高の継続的な成長と利益の拡大の両立を目指しています。

* 2028年11月期から2030年11月期頃に連結売上高100億円
* EBITDAマージン30〜40%の達成

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「note」を中心としたプラットフォームの拡大に加え、AI領域およびIP領域での事業展開を通じてエコシステムの拡張を目指しています。「AI時代のコンテンツ流通のハブ」となることを掲げ、以下のテーマに重点的に取り組みます。

* 多言語対応によるグローバル展開の開始
* 他社サービスとの連携強化を通じた「note」の拡大
* AIトレンドへの対応や法人向けサービスの強化
* AI関連事業およびIP関連事業の拡大
* 事業提携やM&Aの推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は事業成長のために「従業員個人や組織全体でのパフォーマンス最大化」を重視しています。プロフェッショナル人材の厳選採用や育成、個と組織の成果最大化に向けたカルチャー醸成、生産性向上とクリエイティビティの発揮を重点テーマとし、人的資本への積極投資を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年11月期 39.4歳 3.9年 7,639,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 30.5%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.5%
男女賃金差異(正規雇用) 85.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 31.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ハイグレード人材の採用割合(50.0%)、従業員一人当たりのAIツール利用金額(約20万円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合優位性について


コンテンツ産業において独自のポジションを確立していますが、高い資本力や知名度を有する企業の参入や、価格優位性に優れた類似サービスの登場により競争が激化した場合、ユーザー流出等が生じ、事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 解約リスクについて


主力サービスである「note」や「note pro」は継続的な利用料収入が収益の柱です。プラットフォームの魅力低下や顧客ニーズへの対応遅れ等により解約数が急激に増加した場合、財政状態および経営成績に悪影響を与える可能性があります。

(3) サイト運営の健全性等について


ユーザーが自由にコンテンツを投稿できる仕組みであるため、不適切なコンテンツや誹謗中傷、著作権侵害などが発生するリスクがあります。これらに対し十分な対応ができない場合、レピュテーションリスクが顕在化し、事業運営に支障をきたす可能性があります。

(4) 特定のカテゴリー収益について


売上構成において、ビジネス・投資・IT等といった特定のカテゴリーへの依存度が高くなる傾向があります。何らかの事由により当該カテゴリーの流通金額が減少した場合、全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。