不二家 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

不二家 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場し、洋菓子および製菓事業を主軸に展開する食品メーカーです。当連結会計年度の業績は、主力製品の販売強化や価格改定等の施策が奏功し、売上高は1,099億84百万円(前期比4.2%増)、経常利益は31億30百万円(同48.7%増)の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社不二家 の有価証券報告書(第130期、自 2024年1月1日 至 2024年12月31日、2025年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 不二家ってどんな会社?


菓子食品および洋菓子の製造販売、喫茶・飲食店の経営等を行い、「ペコちゃん」等のキャラクターでも知られる企業です。

(1) 会社概要


1938年に株式会社不二家へ商号変更し、1962年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。翌1963年にはフランチャイズ制を導入して店舗網を拡大し、1965年に市場第一部へ指定替えとなりました。2008年には山崎製パン株式会社と業務資本提携契約を締結して同社の連結子会社となり、グループの総合力を活かした経営体制を構築しています。

連結従業員数は2,436名、単体では1,392名が在籍しています。筆頭株主は親会社であり製パン業界大手の山崎製パン株式会社で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)です。親会社との連携を強化しつつ、不二家ブランドの強化と企業価値向上に取り組んでいます。

氏名 持株比率
山崎製パン 54.39%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 4.60%
不二家不二栄会持株会 3.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性2名(社外取締役を含む)の計16名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は河村宣行氏が務めています。社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
山田憲典 代表取締役会長 1960年山崎製パン入社。同社取締役副社長を経て、2007年6月より現職。
河村宣行 代表取締役社長 1977年同社入社。菓子事業本部長、専務取締役等を経て、2019年3月より現職。
飯島幹雄 取締役副会長 1997年山崎製パン入社。同社代表取締役副社長、東ハト代表取締役会長等を務め、2022年3月より現職。
瓜生徹 取締役副社長 1987年山崎製パン入社。同社横浜第二工場長、不二家専務取締役洋菓子事業本部長等を経て、2025年3月より現職。
富永寿哉 専務取締役 1986年同社入社。菓子事業本部営業本部長、常務取締役菓子事業本部長等を経て、2025年3月より現職。
古田健 常務取締役 1990年同社入社。平塚工場長、菓子事業本部生産本部長等を経て、2025年3月より現職。
荒畑克也 取締役 1986年山崎製パン入社。同社管理部部長代理、不二家執行役員経理本部経理部長を経て、2025年3月より現職。


社外取締役は、高橋俊裕(元日本郵政公社副総裁)、中野武夫(元みずほ信託銀行取締役会長)、村岡香奈子(弁護士)、酒井美紀(俳優・親善大使)、神長善次(元特命全権大使)です。

2. 事業内容


同社グループは、「洋菓子事業」「製菓事業」および「その他」事業を展開しています。

洋菓子事業


ケーキ、ベーカリー、デザート、アイスクリーム等の洋菓子の製造・販売および喫茶、飲食店の経営を行っています。主な顧客は一般消費者であり、直営店やフランチャイズ加盟店を通じて製品を提供しています。また、外食チェーン企業向けの製品提案や海外輸出など、広域流通企業との取り組みも行っています。

収益は、直営店やレストランにおける一般消費者への製品販売や飲食サービスの対価、およびフランチャイズ加盟店等への製品販売対価やロイヤリティ収入から構成されます。運営は、不二家、株式会社ダロワイヨジャポン、株式会社不二家神戸、および持分法適用関連会社のB-R サーティワン アイスクリーム株式会社等が主に行っています。

製菓事業


チョコレート、キャンディ、ビスケット、飲料および乳製品等の菓子食品の製造・販売を行っています。スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店を通じて、一般消費者に製品を提供しています。「カントリーマアム」や「ルック」、「ミルキー」などの主力ブランドを有しています。

収益は、卸売業者や小売店等への製品販売対価として得ています。運営は主に不二家が行っており、製造面では日本食材株式会社や不二家乳業株式会社などが担っています。また、海外においては不二家(杭州)食品有限公司や不二家ベトナム Co.,Ltd.が事業を展開しています。

その他


キャラクターグッズ等の通信販売、ライセンス事業、不動産の賃貸および管理、事務受託業務およびアウトソーシング受託等を行っています。これらは報告セグメントに含まれない事業として区分されています。

収益は、通信販売による商品代金、ライセンス使用料、不動産賃貸料、および事務受託手数料等から構成されます。運営は不二家、株式会社不二家システムセンター、不二家テクノサービス株式会社、不二家保険サービス株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2020年12月期から2024年12月期までの5期間を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあり、直近では約1,100億円に達しています。利益面では、原材料価格高騰等の影響を受けつつも、価格改定や生産効率化等の取り組みにより、2023年12月期の落ち込みから2024年12月期は回復基調にあります。

項目 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期
売上高 991億円 1,048億円 1,006億円 1,055億円 1,100億円
経常利益 30億円 52億円 55億円 21億円 31億円
利益率(%) 3.1% 5.0% 5.5% 2.0% 2.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 32億円 34億円 10億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、売上総利益も増加していますが、売上総利益率はほぼ横ばいで推移しています。販管費の増加が見られますが、増収効果が上回り、営業利益および営業利益率は前年から改善しています。全体として、コストコントロールを進めつつ収益性を高めている傾向が見て取れます。

項目 2023年12月期 2024年12月期
売上高 1,055億円 1,100億円
売上総利益 338億円 365億円
売上総利益率(%) 32.0% 33.1%
営業利益 14億円 23億円
営業利益率(%) 1.3% 2.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が102億円(構成比30.0%)、運賃及び倉庫料が69億円(同20.2%)を占めています。

(3) セグメント収益


洋菓子事業は売上高が微減となりましたが、利益面では損失幅が縮小しており、効率化等の改善効果が見られます。製菓事業は増収増益を達成し、全社の利益を牽引しています。その他事業も増収となりましたが、利益は微減となりました。

区分 売上(2023年12月期) 売上(2024年12月期) 利益(2023年12月期) 利益(2024年12月期) 利益率
洋菓子事業 309億円 309億円 -20億円 -11億円 -3.7%
製菓事業 714億円 757億円 71億円 75億円 9.9%
その他 32億円 34億円 6億円 5億円 15.9%
調整額 -9億円 -8億円 -43億円 -46億円 -
連結(合計) 1,055億円 1,100億円 14億円 23億円 2.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た資金に加え、財務活動(借入等)による資金調達を行いながら、設備投資等の投資活動を積極的に実施している「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2023年12月期 2024年12月期
営業CF 68億円 43億円
投資CF -80億円 -69億円
財務CF -12億円 17億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.9%でプライム市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.0%でプライム市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「常により良い商品と最善のサービス(ベストクオリティ・ベストサービス)を通じて、お客様ご家族に、おいしさ、楽しさ、満足を提供する」ことを経営理念として掲げています。この理念のもと、お客様の立場に立った商品作りと店舗作りを目指し、企業活動を展開しています。

(2) 企業文化


同社は「Smile makes the heartful world ~笑顔がつくる こころあたたまる世界~」という価値観を掲げ、商品・サービスを通してこころあたたまる絆や記憶を提供することを目指しています。また、「不二家グループの行動規範」を制定し、法令遵守と社会倫理の遵守を企業活動の原点としています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、洋菓子、製菓の両事業を併せ持つ強みを活かし、売上と利益の確保に努めています。また、親会社である山崎製パンとの連携を強化し、グループ全体の総合力を発揮することで、持続的な企業価値の向上と不二家ブランドの強化を図り、事業の発展を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


洋菓子事業では、生産ラインの効率化による生産性向上、店舗の改装や新業態の出店、冷凍スイーツ自販機の設置推進、広域流通企業との取り組み強化などにより収益性の確保と販路開拓を進めます。製菓事業では、製品価格の見直しや新設備導入による品質・コスト改善、主力ブランドの強化、海外事業(中国、ベトナム)の拡大に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「不二家 人事方針」に基づき、従業員の成長支援と能力発揮の場を提供することを掲げています。採用・育成においては価値観に共感する人材を求め、自律的かつ主体的な変革を推進できる人材を育成します。また、安全・健康で心理的安全性の高い職場環境を整備し、多様性を尊重して多様な人材が活躍できる組織づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2024年12月期 36.1歳 12.0年 5,463,660円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.4%
男性育児休業取得率 86.6%
男女賃金差異(全労働者) 41.3%
男女賃金差異(正規雇用) 68.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 63.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、研修受講者数(486人)、労働安全教育受講人数(10,744人)、係長級にある者に占める女性社員比率(23.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 「食」の安全性


原材料や製造工程のトラブルにより製品の安全性が低下し、食品事故が発生するリスクがあります。これに起因する製品回収や販売停止は、同社グループの業績やブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。これに対し、食品関連法令の遵守や国際的な食品安全マネジメントシステムの運用など、管理体制の強化に努めています。

(2) 原材料・エネルギー価格の高騰


異常気象、自然災害、世界的な需給状況の変化、為替変動、地政学的リスク等により、原材料やエネルギー価格が上昇し、調達コストが増加する可能性があります。同社は、価格変動情報の収集、調達先や産地の分散、生産効率化等により、これらの影響の軽減に努めています。

(3) 海外事業展開のリスク


海外での事業展開において、現地の政治・社会情勢の変化、テロ・暴動、自然災害、パンデミック、為替変動等の不測の事態が発生した場合、事業活動に支障をきたす可能性があります。これに対し、基幹人材の派遣や現地情勢の把握、情報収集体制の整備等の対策を講じています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。