北海道コカ・コーラボトリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北海道コカ・コーラボトリング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北海道コカ・コーラボトリングはスタンダード市場および札幌証券取引所に上場し、北海道全域を対象とした飲料の製造・販売事業を展開しています。主力商品の販売拡大や自動販売機ビジネスの成長により、当期の売上高は591億円、経常利益は26億円と増収増益を達成しました。地域に根ざした事業活動を推進しています。


※本記事は、北海道コカ・コーラボトリングの有価証券報告書(第64期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 北海道コカ・コーラボトリングってどんな会社?


北海道を拠点に飲料の製造・販売を手がけ、自動販売機等の付帯事業も展開しています。

(1) 会社概要


1963年1月に清涼飲料水の製造販売を目的に北海道飲料として設立、同年10月に北海道コカ・コーラボトリングへ商号変更し本社工場を新設しました。1973年に上場を果たし、その後は運送、自動販売機オペレーション、機器メンテナンスなどの関連事業を行う子会社を設立・再編し、総合的な飲料ビジネスを展開しています。

従業員数は連結で1,173名、単体で240名です。筆頭株主は親会社の大日本印刷で、第2位は栗林商会、第3位は創業家等の個人株主である北島喜代子氏です。

氏名 持株比率
大日本印刷 56.97%
栗林商会 9.48%
北島喜代子 1.69%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は酒寄正太氏で、取締役9名のうち社外取締役は3名(比率33.3%)です。

氏名 役職 主な経歴
酒寄 正太 代表取締役社長 大日本印刷で商印事業部や情報イノベーション事業部の要職を歴任後、同社へ入社し常務、専務を経て現職。
山田 雄亮 専務取締役カスタマーマーケティング本部長、営業企画本部、事業推進本部担当 同社入社後、営業企画部長や広報・CSR推進部長等を歴任。北海道サービス社長を経て同社取締役に就任し現職。
小松 剛一 取締役広報・サステナビリティ推進部、技術部、生産管理部担当 同社入社後、技術部長を経て北海道コカ・コーラプロダクツ社長等を歴任し現職。
田中 直幸 取締役グループ経営企画部長、グループ経営管理部担当 大日本印刷入社後、各関連会社の企画管理部長や経営管理本部副本部長を歴任し同社顧問を経て現職。
菅原 一機 取締役営業企画本部長、営業企画部長 同社入社後、営業企画室長、エリア営業本部長などを経て現職。
菅沼 耕二 取締役 大日本印刷入社後、各事業部の企画管理部長や事業推進本部副本部長を経て現職。


社外取締役は、冨岡俊介(弁護士)、上田恵一(公認会計士)、日浅尚子(元道新文化センター社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「飲料の製造・販売事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

飲料の製造・販売事業


北海道全域を対象に、コカ・コーラなどの炭酸飲料、コーヒー、茶系飲料、ミネラルウォーターなどの製造および販売を行っています。スーパーマーケットなどの量販店や飲食店などのほか、自動販売機を通じた製品提供を展開し、道民の生活に密着したサービスを提供しています。

収益は主に顧客への製品販売から得られます。親会社の同社および北海道コカ・コーラリテール&ベンディング、北海道ベンディングが販売と自動販売機のオペレーションを行い、北海道コカ・コーラプロダクツが製造を担います。商品の運送や荷役は幸楽輸送、自動販売機の修理等は北海道サービスが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、一時的な落ち込みを経て順調に拡大しています。特に直近では価格改定の効果や自動販売機ビジネスの伸長により、売上高が順調に推移し、利益率も改善傾向にあります。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 520億円 516億円 564億円 569億円 591億円
経常利益 11億円 8億円 17億円 22億円 26億円
利益率(%) 2.1% 1.6% 3.1% 3.9% 4.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 6億円 13億円 15億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高と売上総利益がともに増加しており、原価高騰の中で価格改定が寄与しています。収益改善の取り組みが奏功し、営業利益および営業利益率も上昇傾向を示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 569億円 591億円
売上総利益 181億円 188億円
売上総利益率(%) 31.9% 31.8%
営業利益 22億円 26億円
営業利益率(%) 3.9% 4.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が57億円(構成比35%)、運搬費が21億円(同13%)、減価償却費が15億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


飲料の製造・販売事業の単一セグメントです。夏場の好天や価格改定、および量販店や飲食向けの販売伸長により、売上高は前年を上回って推移しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
飲料の製造・販売事業 569億円 591億円
連結(合計) 569億円 591億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、飲料の製造・販売事業を単一セグメントとして展開しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより、収入となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、製造設備や販売機器などの有形固定資産の取得による支出が主な要因となり、使用となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどが主な要因となり、使用となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 36億円 32億円
投資CF -20億円 -32億円
財務CF -7億円 -7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「私たちは知的に活性化された豊かで創発的な社会に貢献します。」を経営理念に掲げています。北海道の健全な発展とともに事業を成り立たせるため、「北の大地とともに」というスローガンのもと、道民と支えあいながら社会的責任を果たし、生活者やパートナーにさわやかさと潤いを提供することを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、地域社会との共存共栄を重視し、変革にチャレンジする活力ある創発的な企業づくりを目指しています。長年培ってきたCSR活動を事業と結びつけた「サステナビリティ活動」へ進化させ、環境・社会・経済の3つの領域に沿って持続可能な北海道の実現に向けた取り組みを推進しています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画(2024年~2026年)において、持続的な企業価値向上のための経営指標として以下の数値目標を掲げています。

* 自己資本利益率(ROE)4.0%の達成

(4) 成長戦略と重点施策


「飲料事業の継続成長」と「第2の柱の創出」を基本方針としています。飲料ビジネスでは現場・本部・企画・グループが一体となったエリアマーケティングを強化し、自動販売機ビジネスではグループの総合力を活かし、物流・機器メンテナンス・BPO領域でシナジーの最大化を図ります。需要予測AIの活用によるDX変革も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「社員の可能性を最大限に引き出し、エンゲージメントと生産性の好循環を生み出す」を人事戦略に掲げています。戦略実行の源泉となる人への投資を強化し、次世代リーダーの育成や専門スキルの向上を通じて組織力の最大化を図る方針です。また、多様性の尊重(DEI)を推進し、ウェルビーイングな職場環境の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.2歳 16.3年 5,790,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.8%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 70.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 95.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性リーダー比率(7.6%)、1人当たりの研修時間(14時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) コカ・コーラ商標の契約依存


同社の売上の大部分はザ コカ・コーラカンパニーが所有する商標を使用した飲料から生じています。そのため、ボトラー契約の更新状況や、万が一の商標の侵害、ブランドイメージの毀損が発生した場合、同社の財政状態および経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製品の品質管理に関するリスク


お客様に高品質で安全な商品を提供するため、国際的な品質や食品安全のマネジメントシステム認証を取得し予防活動を推進しています。しかし、予測せぬ品質事故が発生した場合、その原因を問わずブランドイメージを著しく損ねる恐れがあり、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 飲料業界の競争激化と天候要因


飲料市場は成熟期にあり、他社との販売シェア獲得競争が激化しています。量販店などでのシェア減少が業績に影響するほか、飲料の売上は天候の影響を受けやすい特性があるため、最需要期である夏場の冷夏や冬季の大雪などが業績変動のリスクとなります。

(4) 道内の景気と消費動向の変動


同社グループは北海道の市場を中心として事業活動を展開しています。原材料やエネルギー費の高騰、労働人口の減少に加え、インフレによる物価高の影響で急速に個人消費が減少した場合、同社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。