B-R サーティワン アイスクリーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

B-R サーティワン アイスクリーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場するB-R サーティワン アイスクリームは、アイスクリーム製品の製造および販売を行う企業です。米国バスキン・ロビンス社等との契約に基づき全国展開しています。直近の業績は売上高343億円、経常利益29億円と増収増益を達成し、過去最高の売上を更新するなど好調に推移しています。


※本記事は、B-R サーティワン アイスクリーム株式会社の有価証券報告書(第53期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. B-R サーティワン アイスクリームってどんな会社?


同社は米国発祥の高品質なアイスクリームを提供し、全国に店舗を展開するアイスクリーム専門店チェーンです。

(1) 会社概要


同社は1973年に不二家と米国バスキン・ロビンス社との合弁事業として設立されました。1974年に東京・目黒に第一号店を出店して以降、国内に販売拠点を拡大し、1979年には自社工場を建設しました。1987年に店頭登録を行い、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。2025年には国内拠点数が1,500ヶ所を突破し、海外への輸出も開始しています。

現在の従業員数は連結で301名、単体で282名となっています。筆頭株主は事業会社のダンキン ブランズ インターナショナル ホールディングス リミテッドおよび不二家で、第3位は金融機関のジェーピー モルガン チェース バンクです。

氏名 持株比率
ダンキン ブランズ インターナショナル ホールディングス リミテッド(常任代理人 三井住友銀行) 36.76%
不二家 36.76%
ジェーピー モルガン チェース バンク(常任代理人 みずほ銀行) 0.55%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役会長 兼 社長 CEOのジョン・キム氏が経営を牽引しており、取締役の半数を占める6名が社外取締役となっています。

氏名 役職 主な経歴
ジョン・キム 代表取締役会長 兼 社長 CEO 2003年ザ コカ・コーラ カンパニー入社。日本マクドナルドホールディングス等を経て2019年同社専務執行役員。2022年より現職。
安齊正明 取締役シニアアドバイザー 1983年同社入社。東日本営業本部長等を歴任し、2017年取締役副社長、2022年取締役副社長COO。2025年より現職。
白井康平 取締役CFO 2000年JPモルガン証券会社入社。アマゾン・ジャパン等を経て2021年同社専務執行役員最高財務責任者。2023年より現職。


社外取締役は、パウロ A.P.ニコラス(インスパイア ブランズ インク副社長)、ピーター・ジャンセン(インスパイア ブランズ インク副社長)、河村宣行(不二家 代表取締役社長)、瓜生徹(不二家 取締役副社長)、セオドール・ガイルド(元マッキンゼー シニアパートナー)、阿部絵美麻(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、アイスクリーム製品の製造および販売等の単一セグメントで事業を展開しています。

米国バスキン・ロビンス社からノウハウ等の提供を受け、アイスクリーム類の製造、販売、およびフランチャイズ方式による専門店チェーンの組織化を行っています。北海道から沖縄まで全国に1,500ヶ所以上の販売拠点を展開し、高品質で楽しく夢のあるアメリカンタイプのアイスクリームを消費者へ提供しています。

収益源は、フランチャイジーからの製品卸売代金や店舗用設備の賃貸料、および小売売上高に応じたロイヤリティー収入です。運営は主にB-R サーティワン アイスクリームが行うほか、ハワイでの店舗運営は連結子会社の31 Aikalima LLCが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績は、売上高および経常利益ともに右肩上がりで成長を続けています。積極的な新商品投入やキャラクターとのコラボレーション効果、デジタル化の推進が奏功し、客数が増加しました。売上高は220億円から343億円へと大きく伸長し、利益率も7%台から8%台へと向上し過去最高益を更新しています。

項目 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 220億円 248億円 307億円 343億円
経常利益 17億円 19億円 24億円 29億円
利益率(%) 7.7% 7.5% 7.8% 8.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 12億円 15億円 18億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。原価高騰の環境下でも、適切な価格設定とサプライチェーンの最適化により、売上総利益率および営業利益率は前年を上回る水準を維持しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 307億円 343億円
売上総利益 151億円 170億円
売上総利益率(%) 49.2% 49.6%
営業利益 24億円 28億円
営業利益率(%) 7.7% 8.1%


販売費及び一般管理費(143億円)のうち、広告宣伝費が37億円(構成比26%)、運賃及び保管費が22億円(同15%)、給料手当及び賞与が15億円(同10%)を占めています。売上原価(173億円)については、原材料費の高騰や為替の影響を受けつつも、工場での製造管理の最適化により原価の抑制を図っています。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で稼いだ資金で積極的な設備投資を行いながら、借入金の返済や株主還元も進めている健全な状態を示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 35億円 45億円
投資CF -32億円 -43億円
財務CF 13億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


企業理念は「We make people happy. ~アイスクリームを通じて、人々に幸せをお届けします。~」です。高品質で楽しく夢のあるアメリカンタイプのアイスクリームを提供し、全てのお客様に安心・安全で美味しいアイスクリームと「FUN(楽しいこと、嬉しいこと、感動すること)」に満ちたひとときを届けることを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、市場のパイオニアとしてアイスクリームショップ文化を根付かせてきた自負を持ち、お客様の支持を第一に考える文化があります。法令遵守や衛生管理を徹底し、安心・安全な商品の提供を基盤としながら、従業員が自ら能動的に働き、イノベーションを創出できる多様性を尊重する組織風土の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


持続的な利益成長と株主還元政策につなげるため、自己資本利益率(ROE)8%を安定的に超える水準を維持することを経営指標の目標としています。また、2031年12月期に向けた長期経営計画において、以下の目標を掲げています。

・税金等調整前当期純利益:31億円

(4) 成長戦略と重点施策


長期経営計画の達成に向け、以下の4つの柱を軸とした戦略を推進しています。新店舗デザインの導入や店舗オペレーションの簡素化を通じた生産性向上にも取り組んでいます。

・ブランドパワー強化(新作フレーバー投入やキャラクターコラボ等)
・デジタル化(会員アプリの拡大やモバイルオーダー推進)
・スマート31(サプライチェーンの最適化や働き方改革)
・販売拠点拡大(多様な立地への出店や海外展開)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業の継承と更なる発展を目指し、イノベーションを創出してグローバルに活躍できる多様な人材の育成を方針としています。階層別研修や自己啓発支援を通じてキャリア形成を促すとともに、人事評価制度の適正運用やジョブローテーションによりパフォーマンスの最大化と経営視点を持つ人材の育成を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.3歳 11.1年 8,675,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 62.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 71.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 82.4%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(53.5%)、女性育児休業取得率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製品の安全性に関するリスク

同社は全国の販売拠点でアイスクリームを提供しており、工場や店舗での衛生管理を徹底しています。しかし、予見不可能な原因により製品の安全性に疑義が生じ、製品回収や製造物責任賠償などが発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 安定的な原材料調達の影響

原材料の約40%を海外から輸入しており、為替変動や調達価格上昇の影響を受けます。複数社購買や為替予約等によるヘッジを行っていますが、想定を超える価格高騰が生じた場合、製造原価が上昇し利益を圧迫するリスクがあります。

(3) 物流網の課題と配送料上昇

国内の物流業界におけるドライバー不足や環境規制などの課題により、配送料が上昇傾向にあります。石油価格の変動を含め、物流コストの増加が同社の事業に影響を与える可能性があります。拠点の見直しや積載率向上等の効率化を継続的に進めています。

(4) 自然災害や新たな感染症の発生

大規模地震や大型台風などの自然災害、あるいは新たな感染症の発生により、工場での生産や店舗での営業が困難になるリスクがあります。同社は危機管理委員会を通じた迅速な対応や、モバイルオーダーの導入等により事業継続に向けた体制を整えています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。