※本記事は、古林紙工株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
古林紙工は、印刷紙器およびプラスチック包材の製造・販売を主な事業内容とする企業です。同社グループは、連結子会社6社および非連結子会社1社とともに、パッケージ関連事業を国内外で展開しています。
単体従業員数は236名、連結従業員数は527名です。同社グループの事業セグメントは、日本、中国の2つです。
主な国内グループ会社は、複合工業、ライニングコンテナー(容器関連の製造・販売)、金剛運送(貨物の運送)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
古林紙工は、紙工品製造を主軸とする企業であり、安定した事業基盤を持つことが特徴です。従業員の定着や育成に力を入れ、長期的なキャリア形成を支援する環境づくりに取り組んでいます。多様な働き方を推進し、社員一人ひとりが能力を発揮できる職場づくりを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も中堅層が中心となっています。これは、長期的なキャリアを築きやすい環境が整っていることを示しています。人材の定着を重視する傾向があると言えます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,664,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.1年 |
| 平均年齢 | 41.2歳 |
| 単体従業員数 | 236人 |
| 連結従業員数 | 527人 |
| 単体のグループ内比率 | 44.8% |
同社は、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。提出会社は積立型の確定給付企業年金および非積立型の退職一時金制度を採用しており、国内連結子会社は非積立型の退職一時金制度を採用しています。
退職一時金制度も採用していますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。2025年12月31日時点の退職給付債務は12.6億円、年金資産は15.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、事業の継続的な発展には人材の確保と成長が不可欠であると認識し、人材育成と社内環境整備を重要な方針としています。特に「変化対応力」を備えた次世代経営幹部の育成に注力しており、各拠点への配置を通じて職務執行の責任を持たせることで、経営者マインドの育成を図っています。また、国籍、性別、年齢、入社形態にとらわれない管理職への登用を含め、柔軟な人事制度への変革を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は公表義務の対象外のため、記載を省略しています。男性労働者の育児休業取得率は公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 51.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 63.5% |
多様性・登用
「指標および目標」は、連結グループにおける記載が困難であることから、提出会社単体で記載されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
古林紙工は、印刷紙器とプラスチック包材の製造・販売を主軸とする企業グループです。日本と中国の2つの地域セグメントで事業を展開し、お客様のニーズに応じたパッケージを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、印刷紙器およびプラスチック包材の製造・販売を主な事業内容としています。包装を通じて社会に貢献するという社是のもと、高品質な製品を適正な価格で提供し、お客様からの信頼を得ることを重視しています。特に、省資源や易廃棄といった環境に配慮したパッケージの開発・促進にも力を入れ、持続可能な社会への貢献を目指しています。
収益は主に、日本と中国の各地域におけるパッケージ製品の製造・販売から得ています。同社グループは、お客様との個別契約に基づき、設定された基準を満たす製品を生産し、確実に納品することを徹底しています。また、設計などの付加価値を生み出すサービスも市場に先駆けて提供しています。
日本
日本セグメントでは、主に印刷紙器とプラスチック包材の製造・販売を行っています。収益は、国内の顧客へのパッケージ製品の販売から得ています。運営は、古林紙工が製造・販売を担い、連結子会社の複合工業、ライニングコンテナー、金剛運送が製造委託や運送を担っています。
当連結会計年度においては、前連結会計年度中の設備投資による生産体制の刷新や、サービス・製造コストの上昇に伴う価格見直し交渉が進んだことで、売上高は増加しました。
中国
中国セグメントでは、主に印刷紙器の製造・販売を行っています。収益は、中国(台湾を含む)の顧客へのパッケージ製品の販売から得ています。運営は、連結子会社の台湾古林、上海古林国際印務、古林包装材料製造(上海)が行っています。
当連結会計年度においては、米中摩擦の影響や個人消費の伸び悩みにより、既存取引先の受注量が減少しました。中国国内向けなどへの新規受注獲得を進めているものの、売上高は減少傾向にあります。
同社グループの売上高は、日本セグメントが大部分を占めており、中国セグメントの売上高は前期から減少しています。主要な顧客としては、花王、レンゴー・リバーウッド・パッケージング、味の素といった企業が挙げられ、特定の顧客への売上集中が見られます。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 151億円 | 154億円 |
| 中国 | 29.7億円 | 24.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は直近2期で減少傾向にありますが、当連結会計年度は前期比でわずかに減少しました。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度において前期から増加に転じています。営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度に大きく増加しており、本業での資金創出力が高まっていることが示されています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 161億円 | 171億円 | 179億円 | 181億円 | 179億円 |
| 経常利益 | 1.9億円 | 4.9億円 | 7.0億円 | 3.9億円 | 4.7億円 |
| 経常利益率 | 1.1% | 2.9% | 3.9% | 2.1% | 2.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.4億円 | 3.3億円 | 4.4億円 | 2.5億円 | 3.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 123.25 | 299.69 | 396.95 | 222.81 | 285.05 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、当連結会計年度に前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から大きく増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループが効率的な事業運営を進めていることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 33.0百万円 | 33.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.3百万円 | 0.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、自己資本比率が高水準で推移しており、本業で着実に資金を生み出しながら投資も継続しています。財務基盤は安定しており、事業運営に必要な流動性も確保されている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が当期49.1%と、プライム市場の製造業平均(46.8%)と比較して高い水準にあり、安定した経営基盤を示しています。ROE(自己資本利益率)は当期3.3%と、プライム市場平均(9.4%)を下回っていますが、前期から改善傾向にあります。手元資金である現金及び預金も当期17.7億円を確保しており、事業運営における流動性を維持しています。これらの財務状況は、長期的な視点での雇用や給与の安定性につながる要素と言えます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 102億円 | 108億円 |
| 自己資本比率 | 45.4% | 49.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.8% | 3.3% |
| 現金及び預金 | 20.8億円 | 17.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが当期10.6億円と前期から増加しています。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費、売上債権の減少などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは△7.2億円の支出となっており、有形固定資産の取得や関係会社出資金の払込による支出が主な内容です。前期と比較して投資による資金使用額は減少しています。財務活動によるキャッシュフローは△6.7億円の支出となり、前期の資金獲得から支出に転じています。これは借入金の減少や配当金の支払いが影響しています。結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは当期3.3億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、余剰資金を生み出している状況です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.9億円 | 10.6億円 |
| 投資CF | △10.2億円 | △7.2億円 |
| 財務CF | 6.1億円 | △6.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △6.3億円 | 3.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、パッケージ専業メーカーとして多くの競合先と受注競争を行っており、一部市場では競争の激化により受注価格が変動するリスクがあります。また、中国と台湾に連結子会社を有しており、現地通貨を円換算する際の為替レートが大幅に変動した場合、同社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業継続的な発展には、人材の確保と育成が不可欠です。少子高齢化に伴う労働人口の減少が進む中で、人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、同社グループの事業、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
古林紙工は、「包装を通じて社会に奉仕する」という社是のもと、お客様からの信頼を重視した事業活動を展開しています。ESGを経営の根幹に据え、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「私たちは、包装を通じて社会に奉仕します。優秀な製品・確実な納品・適正な価格」を社是として掲げています。お客様のニーズを汲み取り、他にはない製品を開発し、約束を必ず守るという信念で事業に取り組んでいます。
単に利益を追求するだけでなく、「包装を通じて社会に奉仕する」ことを愚直に追い求め、ESGを重視した経営を実践しています。これにより、さらなる企業価値の向上と持続的成長を目指す事業会社として邁進していく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社是を基本とし、企業集団全体で共有する企業行動憲章と行動基準を定めています。これにより、使命や考え方、行動を普遍的なものとして社内に浸透させています。
お客様には「優秀な製品」「確実な納品」「適正な価格」を提供し、信頼を得る受注活動を進めています。設計をはじめとした付加価値サービスについても、市場に先駆けてお客様に評価される活動を進めています。
ESGを経営の根幹に据え、事業を通じて社会的課題の解決に努めています。ISO9001(品質)とISO14001(環境)の認証を取得し、品質・環境マネジメントシステムを構築しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、ESGを経営の根幹に据え、事業を通じて社会的課題の解決を図ることを目指しています。そのために、コーポレート・ガバナンス体制の強化を最重要課題と位置付け、実効性のある体制構築を進めています。
人財(人材)の育成も重要なテーマです。次世代経営幹部の育成、多能工化、社内環境整備を進めています。年功序列型からジョブ型報酬への移行や、国籍・性別・年齢・入社形態を意識しない管理職への登用など、柔軟な人事制度への変革を図っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
古林紙工は監査役会設置会社であり、取締役会が経営に関する重要事項を審議・決定しています。また、取締役会の下には指名・報酬委員会が設置されており、社外取締役や社外監査役が選任されることで、企業統治の効率性と監督機能の強化が図られています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
古林紙工の株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社アダチメディカルレンタルリースであり、創業家である古林敬碩氏や古林雅敬氏、古林能敬氏も上位株主として名を連ねています。また、明治安田生命保険相互会社のような機関投資家も主要株主として同社グループを支えています。このように、創業家や関連会社が上位に位置しており、経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アダチメディカルレンタルリース | 8.09% |
| 古林 敬碩 | 7.13% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 5.41% |
| 古林 雅敬 | 4.75% |
| レンゴー | 3.79% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
古林紙工の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は古林雅敬氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 古 林 雅 敬 | 代表取締役社長 社長執行役員 執行役員会議長 | 1999年4月同社入社、2009年6月取締役、2025年3月代表取締役社長より現職。 |
| 古 林 敬 碩 | 代表取締役会長 会長執行役員 取締役会議長 | 1966年3月同社入社、1982年7月取締役、2006年4月代表取締役社長、2012年6月代表取締役会長より現職。 |
| 米 島 明 | 取締役 執行役員 国内グループ 統括経理部長 兼経営企画部長 | 1991年4月同社入社、2019年6月執行役員、2025年3月取締役より現職。 |
社外取締役は、土堤内清嗣氏(元ソフト99コーポレーション専務取締役・指名・報酬委員会委員)、中西克誠氏(元サノヤスホールディングス代表取締役副社長・指名・報酬委員会議長)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役2名と社外監査役2名を選任することで、取締役会の監督機能と監査機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
古林紙工の役員報酬は、株主総会で決議された年間報酬額の範囲内で、貢献度や業績評価を総合的に勘案して決定されています。報酬は固定報酬と業績連動報酬で構成されており、業績連動報酬の指標には連結EBITDAが採用されています。また、非金銭報酬として譲渡制限付株式報酬制度も導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 2.2億円 | 44.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 13百万円 | 3.3百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、古林敬碩氏(1.70億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。