古林紙工 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

古林紙工 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

古林紙工はスタンダード市場に上場し、印刷紙器やプラスチック包材の製造および販売を主力事業として展開しています。直近の業績では、売上高が179億円と前年より減収となったものの、生産体制の刷新や価格見直しの効果により、経常利益は5億円、当期純利益は4億円と増益を達成しており、堅調な推移を見せています。


※本記事は、古林紙工の有価証券報告書(第96期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 古林紙工ってどんな会社?


印刷紙器およびプラスチック包材の製造・販売を主力とし、国内外でパッケージを提供する企業です。

(1) 会社概要


1934年に大阪市で古林紙器印刷所として創立されました。1947年に古林紙工へ改組・商号変更し、1962年に大阪証券取引所市場第二部へ上場しました。その後、台湾や中国の上海に合弁会社や製造拠点を設立し、海外展開を推進しています。2022年に東京証券取引所のスタンダード市場へ移行しました。

従業員数は連結で527名、単体で236名です。大株主については、筆頭株主はアダチメディカルレンタルリースで、第2位は古林敬碩氏、第3位は明治安田生命保険相互会社となっています。

氏名 持株比率
アダチメディカルレンタルリース 8.09%
古林敬碩 7.13%
明治安田生命保険相互会社 5.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は古林雅敬氏が務めており、社外取締役は2名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
古林敬碩 代表取締役会長会長執行役員取締役会議長 1966年同社入社。東京事業部営業部長等を経て2006年代表取締役社長に就任。2012年より代表取締役会長、2025年より会長執行役員を務め現職。
古林雅敬 代表取締役社長社長執行役員執行役員会議長 1999年同社入社。開発本部長等を経て2016年副社長執行役員に就任。2022年生産本部長などを歴任し、2025年より現職。
古林能敬 取締役内部監査担当兼法務担当 2010年弁護士登録。大船法律事務所等を経て2013年同社非常勤顧問に就任。2014年取締役内部監査担当となり、2019年より法務担当を兼務し現職。
米島明 取締役執行役員国内グループ統括経理部長兼経営企画部長 1991年同社入社。経理部長を経て2019年執行役員に就任。経営企画部長、国内グループ統括経理部長を歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、土堤内清嗣(元ソフト99コーポレーション専務取締役)、中西克誠(元サノヤスホールディングス代表取締役副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」および「中国」の報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 日本


印刷紙器およびプラスチック包材の製造・販売を行っており、菓子、食品、石鹸洗剤、日用雑貨品等の消費財用カートンや複合成型容器、フィルム包材を顧客に提供しています。

収益は、主に顧客への製品販売による対価として得ています。運営は古林紙工のほか、複合工業、ライニングコンテナーなどの子会社が行い、金剛運送が製品等の運送を担っています。

(2) 中国


台湾を含む中国市場において、日本と同様に印刷紙器およびプラスチック包材の製造・販売を展開し、現地の顧客向けにパッケージ製品を供給しています。

収益モデルは、製造した製品の顧客への販売による売上です。運営は台湾古林股份有限公司、上海古林国際印務有限公司、古林包装材料製造(上海)有限公司などの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の売上高は161億円から181億円の間で推移しており、当期は179億円となりました。経常利益率は1%台から3%台で推移し、当期は2.6%となっています。当期利益は1億円から4億円の間で安定して利益を計上しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 161億円 171億円 179億円 181億円 179億円
経常利益 2億円 5億円 7億円 4億円 5億円
利益率(%) 1.1% 2.9% 3.9% 2.1% 2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 3億円 4億円 2億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高は微減となりましたが、売上総利益は増加し、売上総利益率も改善しています。これに伴い、営業利益および営業利益率も前年を上回る結果となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 181億円 179億円
売上総利益 27億円 30億円
売上総利益率(%) 14.7% 16.6%
営業利益 2億円 4億円
営業利益率(%) 1.0% 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、運送諸掛が5.3億円(構成比21%)、給料及び手当が3.1億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


日本セグメントは生産体制の刷新や価格見直しの効果により増収を達成しました。一方、中国セグメントは個人消費の伸び悩み等により減収となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
日本 151億円 154億円
中国 30億円 25億円
連結(合計) 181億円 179億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 4億円 11億円
投資CF -10億円 -7億円
財務CF 6億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.3%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は49.1%といずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「私たちは、包装を通じて社会に奉仕します。優秀な製品・確実な納品・適正な価格」という社是を掲げています。単に利益を求めるのみではなく、包装を通じて社会に奉仕することを愚直に追い求め、ESGを重視した経営を実践することで、さらなる企業価値の向上と持続的成長を目指す事業会社として邁進しています。

(2) 企業文化


社是に準拠するに当たり、経営理念を基本として、企業集団全体とする企業行動憲章、行動基準を定めています。使命や考え方、行動を普遍的なものとして社内に浸透させており、お客様のニーズを汲み取り何処にも出来ないようなものを開発し、約束したことは必ず守るという信念で事業活動に取り組む文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


事業計画を定め、会社として達成すべき目標を明確にするとともに、さらなる企業価値の向上を図っています。厳しい経営環境にあっても安定して利益が確保できるよう、各部門での従来からの課題解決に取り組み、受注活動の強化や生産体制の整備を通じて、企業価値の向上と持続的な成長を目指す方針を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


ESGを経営の根幹に据え、事業を通じて社会的課題の解決を図ることを重視しています。受注活動では、ターゲット市場を明確化し、企画開発力や提案力の強化、付加価値の高い専門技術の評価向上を進めます。生産体制では、設備の刷新やスマートファクトリー化による生産能力の増強を図り、コーポレートガバナンスや人材育成の強化にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業の継続的発展には人財の確保と成長が課題であるとし、人財育成、多能工化、社内環境整備を進めています。変化対応力を備えた次世代経営幹部の育成に向けて各拠点に配置を行い、経営者マインドを育成します。また、男女関係なく働ける職場づくりを推進し、ジョブ型報酬への移行など柔軟な人事評価・登用を取り入れています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.2歳 17.1年 5,664,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.8%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 51.0%
男女賃金差異(正規雇用) 73.8%
男女賃金差異(パート・有期) 63.5%


※男性育児休業取得率は有報にハイフンで記載されているため算出されていません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気の動向と市況変化


国内の物価上昇や景気変動による消費需要の変化、および中国における雇用環境の軟調や外需の不透明感などが、受注活動や業績に影響を与えるリスクがあります。幅広い業種の顧客との取引によりリスクの分散を図っています。

(2) 受注価格の競争激化


パッケージ専業メーカーとして多くの競合と受注競争を行っており、競争激化による価格変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。高品質で低コストの新製品を迅速に提供し、付加価値の向上により価格競争に対応する方針です。

(3) 原材料価格の変動


原油価格、需給関係、為替相場、物流費の高騰などにより原材料の購入価格が著しく上昇し、販売価格への転嫁が進まない場合、収益を圧迫するリスクがあります。営業部門と購買部門が連携し、交渉や管理を推進して対応しています。

(4) 環境に関する法的規制の強化


気候変動や廃棄物処理、リサイクルなどを規制する環境関連の法規制が厳格化した場合、対応コストの増加が業績に影響する可能性があります。省エネルギーや材料使用の効率化、非化石電力への転換など環境に配慮した取り組みを進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。