記事タイトル:「光ビジネスフォーム転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」
※本記事は、光ビジネスフォーム株式会社の有価証券報告書(第58期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. 光ビジネスフォームってどんな会社?
光ビジネスフォームは、コンピュータ用帳票の企画・製造からデータ出力サービスまでを一貫して提供する企業です。
■(1) 会社概要
1968年にビジネスフォームの製造販売を目的として設立されました。1988年に日本証券業協会東京地区協会店頭に登録し、1999年にはデータプリントサービス(DPP)センターを新設しました。2004年のジャスダック上場等を経て、2022年に東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。
同社の従業員数は単体で391名です。筆頭株主はESG投資事業組合で、第2位は内外カーボンインキ、第3位は資産管理業務を行う信託銀行(香港上海銀行東京支店が常任代理人)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ESG投資事業組合 | 10.79% |
| 内外カーボンインキ | 10.22% |
| THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LIMITED・HONG KONG PRIVATE BANKING DIVISION CLIENT A/C 8028・394841(常任代理人 香港上海銀行東京支店) | 6.17% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は松本康宏氏です。取締役会における社外取締役の比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松本康宏 | 代表取締役社長 | 1984年同社入社。新宿営業所長、執行役員等を経て、2017年常務取締役営業本部長に就任。2019年3月より現職。 |
| 大宮健 | 専務取締役経営企画室長 | みずほ信託銀行コンプライアンス統括部長を経て2014年同社入社。取締役総務部長、常務取締役管理本部長等を歴任し2025年4月より現職。 |
| 渡邊宏志 | 常務取締役営業本部長 | 1997年同社入社。営業企画部長、営業副本部長、取締役などを経て、2025年4月より現職。 |
| 岡野寛 | 取締役管理本部長兼人事総務部長兼経理部長 | みずほ銀行の支店長を経て2023年同社入社。執行役員人事総務部長、取締役人事総務部長などを歴任し2025年5月より現職。 |
社外取締役は、横山友之(Blue Seed代表取締役)、小河満美子(オランジェ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「印刷事業」および「その他の事業」を展開しています。
**(1) 印刷事業**
連続フォーム、シートフォーム、応用用紙、統一伝票、封筒、パンフレットなどのビジネスフォーム等の製造販売と、データプリントサービス(DPP)を提供しています。企業や官公庁などの顧客に対し、情報伝達に必要なフォーマットの企画・設計からデータ出力、メーリングサービスまでを担います。
収益は、顧客からのビジネスフォーム等の製品販売代金や、データプリントサービスの委託費用として受け取ります。事業の運営は主に光ビジネスフォームが行っており、デジタルプリンターを活用した環境配慮型の製品提供も進めています。
**(2) その他の事業**
印刷事業に関連するサプライ品や機器類の販売、ならびに情報処理に関するWEBシステムの開発・運用・保守などを手がけています。顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きに合わせ、データベースやサーバの構築を含むソリューションを提供します。
収益は、システム開発や保守サービスの提供に対する利用料や、機器類・サプライ品の販売代金として顧客から受け取ります。事業の運営は主に光ビジネスフォームが行い、継続的な収益を得るリカーリングビジネスの確立を目指しています。
3. 業績・財務状況
同社の単体業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績を見ると、売上高はピークを迎えた後に減少傾向にあります。これはペーパーレス化の進展等による従来型の印刷需要の減少が影響しています。利益面でも売上高の減少に伴い低下傾向にありましたが、直近では原価低減や業務効率化の推進により経常利益は増益に転じています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 96億円 | 120億円 | 99億円 | 79億円 | 77億円 |
| 経常利益 | 12億円 | 20億円 | 13億円 | 2億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 12.9% | 16.5% | 13.3% | 2.8% | 3.6% |
| 当期利益 | 8億円 | 13億円 | 8億円 | 2億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い売上総利益も微増に留まっていますが、売上原価の減少と効率的な販管費のコントロールにより、営業利益および営業利益率は前年度を上回る水準を確保しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 79億円 | 77億円 |
| 売上総利益 | 16億円 | 17億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.4% | 21.3% |
| 営業利益 | 2億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 2.3% | 2.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が7億円(構成比48.2%)、法定福利費が1億円(同8.2%)を占めています。売上原価においては、経費が30億円(構成比49.1%)、労務費が21億円(同35.1%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社は印刷関連事業の単一セグメントですが、製品区分別の売上高を見ると、主力であるデータプリントサービス(DPP)が堅調に推移している一方、印刷関連やWEB、BPOの分野では減少傾向が見られます。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 印刷関連 | 26億円 | 25億円 |
| DPP | 45億円 | 47億円 |
| WEB | 3億円 | 1億円 |
| BPO | 6億円 | 5億円 |
| 合計 | 79億円 | 77億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
光ビジネスフォームのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に利益の創出や売上債権の増減により増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資や有価証券の取得により資金が使用されました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い、自己株式の取得、借入金の返済などにより資金が使用されました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2億円 | 3億円 |
| 投資CF | 0.3億円 | -2億円 |
| 財務CF | -4億円 | -5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「顧客中心主義」を経営方針に掲げています。コンピュータの進歩と共に歩んできた歴史を背景に、顧客の多種多様なニーズに対し、最新の設備と技術を駆使して迅速、柔軟にかつ責任をもって対応することを重視しています。最適な製品やサービスを「光のごとく速やかに」提供し、良きパートナーとして役立つことを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「社会との調和を重視」する文化を根底に持っています。公正で透明性の高い経営を通じて、社会と調和し信頼される企業としての努力を続けています。特に情報産業に携わる企業として情報のセキュリティを不可欠と認識し、個人情報の保護管理に万全の体制を敷くなど、高い倫理観に基づいた行動を実践しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は当面の期間を飛躍するための基礎固めの時期と位置づけ、人的資本への投資と設備投資を積極的に行っています。企業価値を増大させるため、資本の効率的な運用と収益性の向上に努めています。
・自己資本当期純利益率(ROE):7%以上
・売上高経常利益率(ROS):10%以上
・PBR:2026年度までに1倍
■(4) 成長戦略と重点施策
ペーパーレス化が進む中、一段の効率化に取り組むと同時に、顧客のDXの動きに合わせた「WEB」や「BPO」を重点分野として事業拡大を図ります。そのために生産体制の抜本的な見直しを行い、拠点の機能を分散・整備しています。また、印刷からデジタルプリンターへの移行による環境負荷軽減や、ハイブリッド型情報提供など新たなビジネス展開を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、経営戦略の実現を牽引する多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。ジョブ型人事制度の要素を取り入れた新人事制度の浸透を図り、若年層の自発的な成長やキャリア層の自律的な貢献を促しています。また、重点分野に係る教育研修の拡充やキャリア採用の推進、働き方改革や子育て支援などの健康経営にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 42.3歳 | 15.3年 | 5,607,751円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 13.2% |
| 男性育児休業取得率 | 40.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 80.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 67.6% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の育児休業取得率(100%)、育児休業後の復職率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
**(1) 景気動向による影響**
同社は官公庁や金融、一般事業会社など幅広い業種の顧客と取引を行っています。国内の景気変動や消費動向、それに伴う顧客側のビジネス環境の変化によって、受注量の減少や受注単価の低下が発生し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
**(2) ビジネスフォーム市場変化の影響**
デジタル化やネット化の進展に伴い、従来型のコンピュータ用事務帳票類などの市場は縮小傾向にあります。これに適切に対応できない場合や、売上計上時期が変動することによって、同社の業績に影響が生じるリスクがあります。
**(3) BPO市場変化の影響**
BPO市場はアウトソーシングの受け皿として実績を積み上げていますが、継続的に受注する案件もあれば、極めて短期一過性に終わる案件もあり得るため、市場環境の激変が同社の業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。



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