テイカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テイカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する化学メーカーです。酸化チタンや界面活性剤などの化学工業製品に加え、圧電材料などの電子材料分野も展開しています。当連結会計年度の業績は、導電性高分子薬剤等の販売好調により、売上高557億円、経常利益37億円、当期純利益24億円と増収増益を達成しました。


※本記事は、テイカ株式会社 の有価証券報告書(第159期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テイカってどんな会社?


化学工業製品、圧電材料の製造販売および化学工業薬品の輸送保管を主な事業とする企業です。

(1) 会社概要


1919年に帝国人造肥料として設立され、1949年に東証へ上場しました。1951年に岡山工場で酸化チタンの製造を開始し、1961年には界面活性剤事業へ進出しています。2018年には米国TRS Technologies,Inc.を買収して圧電材料事業を拡大し、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。

同グループの連結従業員数は838名、単体では552名です。筆頭株主は海外のカストディ銀行であるCACEIS BANKで、第2位は資産管理を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は総合商社の三井物産となっており、機関投資家や事業会社が上位を占めています。

氏名 持株比率
CACEIS BANK/QUINTET LUXEMBOURG SUB AC / UCITS CUSTOMERS ACCOUNT 9.27%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 7.94%
三井物産 7.81%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名、計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長執行役員は出井俊治氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
出井俊治 代表取締役社長執行役員 1986年テイカ入社。岡山研究所長、営業部長、東京支店長などを歴任。2017年取締役就任、専務執行役員を経て2022年6月より現職。
岩崎多摩太郎 取締役常務執行役員 1989年テイカ入社。テイカ倉庫代表取締役社長、テイカ取締役上席執行役員岡山工場長などを経て2025年6月より現職。
村田悦宏 取締役常務執行役員 1992年テイカ入社。ジャパンセリサイト社長、テイカ東京支店長、TFT社長、テイカ上席執行役員営業部長などを経て2025年6月より現職。
中村弘 取締役上席執行役員 1990年第一勧業銀行入行。みずほ銀行千葉支店長等を経て2022年テイカ出向。人事部長、総務部長を歴任し2025年6月より現職。
中務康介 取締役(常勤監査等委員) 1983年テイカ入社。総務部長、人事部長などを歴任し、常務執行役員を経て2023年取締役常務執行役員、2025年6月より現職。


社外取締役は、山本浩二(大阪府立大学名誉教授)、尾﨑まみこ(神戸大学名誉教授)、井上剛(元第一稀元素化学工業代表取締役社長)、古島礼子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「機能性材料事業」「電子材料・化成品事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 機能性材料事業


酸化チタン、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、表面処理製品などの製造・販売を行っています。汎用的な塗料用途から、化粧品原料や環境浄化触媒などの機能性用途まで幅広く展開しており、顧客は国内外の塗料メーカーや化粧品メーカーなどです。

製品の販売による対価を収益としています。製造は主にテイカが行い、販売は同社および子会社のテイカ商事などが担当しています。また、一部原材料の購入において子会社のジャパンセリサイトと連携しています。

(2) 電子材料・化成品事業


圧電材料、導電性高分子薬剤、界面活性剤、硫酸、無公害防錆顔料などの製造・販売を行っています。電子部品や日用品、工業用薬品など多様な分野に製品を供給しており、海外市場への展開も進めています。

製品販売による対価を主な収益源としています。製造は同社が行うほか、タイやベトナムの現地法人が界面活性剤を、米国のTRS Technologiesが圧電単結晶製品を製造しています。販売は同社、テイカ商事、TFTなどが担っています。

(3) その他


同社製品等の物流や設備工事に関する事業です。具体的には、化学工業薬品などの輸送・保管業務や、工場設備のエンジニアリング、荷役請負業務を行っています。

サービスの提供による対価を収益としています。運営は主に子会社のテイカ倉庫が輸送・保管を行い、その子会社であるテイカM&Mがエンジニアリングおよび荷役請負業務を担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は384億円から557億円へと拡大基調にあります。経常利益は一時的な減少も見られましたが、直近では37億円まで回復しました。利益率は6〜9%程度で推移しています。当期は増収増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も前期比で増加しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 384億円 464億円 548億円 530億円 557億円
経常利益 27億円 42億円 47億円 28億円 37億円
利益率(%) 7.1% 9.0% 8.6% 5.3% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 19億円 28億円 30億円 19億円 24億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益および営業利益も大きく伸長しました。売上総利益率は16%台から18%台へ改善しています。これに伴い営業利益率も向上しており、コスト管理と高付加価値製品へのシフトが進んでいることが伺えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 530億円 557億円
売上総利益 87億円 102億円
売上総利益率(%) 16.4% 18.3%
営業利益 23億円 35億円
営業利益率(%) 4.4% 6.3%


販売費及び一般管理費のうち、運送費及び保管費が22億円(構成比33%)、給料及び手当が11億円(同17%)を占めています。また、研究開発費は11億円(同17%)となっています。

(3) セグメント収益


機能性材料事業は微粒子酸化チタン等の販売が好調で増収増益となりました。電子材料・化成品事業は導電性高分子薬剤等が大きく伸び、売上高・利益ともに2桁成長を記録しています。その他事業は減収となりましたが、全体としては主力2事業が牽引する形となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
機能性材料事業 281億円 285億円 15億円 15億円 5.1%
電子材料・化成品事業 237億円 261億円 18億円 18億円 6.8%
その他 13億円 11億円 3億円 3億円 29.9%
調整額 -16億円 -18億円 -0億円 -1億円 -
連結(合計) 530億円 557億円 23億円 35億円 6.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 50億円 51億円
投資CF -39億円 -71億円
財務CF 15億円 17億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「化学の力で感動の素を創り、世界に夢と笑顔を届けます」を理念として掲げています。この理念のもと、社会貢献と企業価値の増大、地球環境との調和、コンプライアンスの徹底などを骨子とした経営方針を定めています。

(2) 企業文化


「全員参加の経営」を掲げ、「まじめに感動素材」のスローガンのもと、顧客と真摯に向き合い、妥協のない試行錯誤を通じてより良いソリューションを実現する姿勢を重視しています。また、グループのシナジーを高め、持続的社会価値と高収益を創出する企業となるべく、ESGやSDGsへの取り組みも推進しています。

(3) 経営計画・目標


長期経営ビジョン「MOVING-10」に基づき、中期経営計画(2024-2026年度)「MOVING-10 STAGE2」を策定しています。最終年度である2027年3月期に向け、以下の連結数値目標を掲げています。

* 売上高:680億円
* 営業利益:60億円
* 営業利益率:9%以上
* ROE:7%以上
* EBITDA:105億円

(4) 成長戦略と重点施策


収益性を重視し、分野別の戦略を実行しています。ライフサイエンス分野では化粧品原料や医療用圧電市場でのトップメーカーを目指し、環境エネルギー分野では導電性高分子薬剤事業の収益化や環境配慮型製品の創出を進めます。汎用製品については市場環境に応じた構造改革を行い、新規事業の育成にも注力します。

* 総投資予定額:220億円(うち成長投資115億円)
* 株主還元方針:総還元性向40%以上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


グローバルに活躍できる中核人材の育成を重視し、若手から海外現地法人への派遣を行っています。また、役割等級制度を導入して年功要素を撤廃し、成果や能力向上を評価する人事制度へと刷新しました。「自ら考える力」「チャレンジする意欲」を醸成するとともに、ダイバーシティ推進や柔軟な働き方の実現に向けた環境整備にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.2歳 19.1年 6,520,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.6%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 69.7%
男女賃金差異(正規雇用) 78.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 86.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向に伴う需要変動リスク


日本、アジア、欧米などの主要市場における景気減速は、同社グループ製品の需要減少を招く可能性があります。汎用製品の需要低迷や海外品の流入などが販売に影響を与える恐れがあります。これに対し、成長事業への重点投資や新規顧客開拓、コストダウンにより収益確保に努めています。

(2) 燃料や原材料の価格変動リスク


原油価格の変動や酸化チタン鉱石の需給状況により、原材料価格や輸送コストが高騰する可能性があります。製品価格への転嫁が遅れた場合、業績に影響を及ぼす恐れがあります。情報収集と価格転嫁の迅速化、商品スワップの利用、調達ソースの多様化などで対応しています。

(3) 海外事業におけるカントリーリスク


タイ、ベトナム、米国などに生産拠点を展開しており、各国の法律・規制の変更、政治的混乱、貿易摩擦などの地政学リスクが存在します。これらが発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 産業事故・自然災害の発生リスク


化学工場として保安防災に努めていますが、火災・爆発等の事故や、地震・洪水などの自然災害による被害を完全に排除することは困難です。操業停止や損害賠償などにより、財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。