テイカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テイカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プライム市場上場のテイカは、酸化チタンや界面活性剤等の化学工業製品や圧電材料などを製造・販売するメーカーです。直近の業績は、電子材料事業の伸長によって増収を確保したものの、競争激化や原材料高騰により営業利益・経常利益は減益となり、汎用酸化チタン事業の減損損失を計上したことで最終赤字となっています。


※本記事は、テイカ株式会社の有価証券報告書(第160期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テイカってどんな会社?


化学工業製品や圧電材料などの機能性素材を幅広く展開し、グローバルニッチ市場で成長を目指す企業です。

(1) 会社概要


同社は1919年に過燐酸肥料の製造を目的として設立され、1949年に東京証券取引所へ上場しました。1951年に酸化チタン、1961年に界面活性剤の製造を開始して事業基盤を確立しています。近年はグローバル展開を加速させており、2001年にタイ、2014年にベトナムで子会社を設立したほか、2018年には米国企業を買収して圧電材料事業を拡大しています。

従業員数は連結で862名、単体で577名体制で事業を運営しています。筆頭株主は事業会社の三井物産で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は事業会社の三菱商事です。

氏名 持株比率
三井物産 7.81%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.28%
三菱商事 7.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長執行役員は出井俊治氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
出井俊治 代表取締役社長執行役員 1986年同社入社。岡山研究所長、営業部長等を経て2018年TFT社長に就任。2022年より現職。
岩崎多摩太郎 取締役常務執行役員 1989年同社入社。テイカ倉庫社長、岡山工場長等を経て2025年より現職。
村田悦宏 取締役常務執行役員 1992年同社入社。ジャパンセリサイト社長、東京支店長等を経て2025年より現職。
中村弘 取締役上席執行役員 1990年第一勧業銀行入行。みずほ銀行各支店長を経て2022年同社に出向。2025年より現職。
中務康介 取締役(常勤監査等委員) 1983年同社入社。総務部長、人事部長等を歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、山本浩二(大学教授など)、尾﨑まみこ(大学教授など)、井上剛(第一稀元素化学工業元社長など)、古島礼子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「機能性材料事業」、「電子材料・化成品事業」および「その他」事業を展開しています。

機能性材料事業


酸化チタン、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、表面処理製品などの製造・販売を行っています。これらの製品群は汎用の建築塗料から化粧品原料等の機能性用途まで幅広く提供されており、国内外の顧客の多様なニーズに応えています。

主な収益源は、自社で製造した化学工業製品の販売による代金です。事業の運営は主にテイカが行い、子会社のテイカ商事やジャパンセリサイトを通じて原材料の購入や製品の販売を行う体制を構築しています。

電子材料・化成品事業


圧電材料、導電性高分子薬剤、界面活性剤、硫酸、無公害防錆顔料などの製造・販売を行っています。日用品需要向けの界面活性剤や、AIサーバーおよび自動車向け等の高機能電子材料を開発・供給しています。

主な収益源は、これらの化成品や電子材料の販売による代金です。運営はテイカが中心となり、海外ではタイやベトナム、米国の製造子会社がそれぞれの地域で製造・販売活動を展開しています。

その他


化学工業薬品などの輸送・保管や、工場設備のエンジニアリング、荷役請負業務などの各種サービスを展開しています。同社グループの事業活動を物流面から支える役割を担っています。

主な収益源は、製品の輸送費や保管料、およびエンジニアリングや請負業務の手数料です。運営は、テイカの製品物流を担うテイカ倉庫と、その子会社であるテイカM&Mが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は増加傾向にありますが、経常利益は原材料価格の高騰や競争激化により減少傾向にあります。直近では成長事業が牽引して増収となったものの、汎用用途の酸化チタン事業における減損損失の計上等により最終赤字となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 464億円 548億円 530億円 557億円 574億円
経常利益 42億円 47億円 28億円 37億円 27億円
利益率(%) 9.0% 8.6% 5.3% 6.7% 4.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 25億円 29億円 26億円 22億円 -4億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は増加したものの、製造原価の上昇や競争激化等の影響で売上総利益が減少し、営業利益および営業利益率の低下につながっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 557億円 574億円
売上総利益 102億円 90億円
売上総利益率(%) 18.3% 15.7%
営業利益 35億円 22億円
営業利益率(%) 6.3% 3.8%


販売費及び一般管理費のうち、運送費及び保管費が21億円(構成比31%)、研究開発費が12億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


電子材料・化成品事業は需要が好調に推移し増収増益となりましたが、機能性材料事業は海外メーカーとの競争激化や在庫調整局面の継続により減収となり、営業赤字を計上しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
機能性材料事業 285億円 262億円 15億円 -6億円 -2.3%
電子材料・化成品事業 261億円 300億円 18億円 25億円 8.3%
その他 11億円 12億円 3億円 3億円 24.1%
連結(合計) 557億円 574億円 35億円 22億円 3.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 51億円 45億円
投資CF -71億円 -62億円
財務CF 17億円 -12億円


企業の収益力を測るROEは-1.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「化学の力で感動の素を創り、世界に夢と笑顔を届けます」を経営の理念として掲げています。また、これを実現するための経営方針として、「全員参加の経営、社会貢献と企業価値の増大、地球環境との調和、コンプライアンスの徹底、情報の開示」を骨子として事業活動に取り組んでいます。

(2) 企業文化


持続的社会価値と高収益を創出する企業となるため、ESG(環境・社会・ガバナンス)を最重要課題と認識し、事業活動を通じてSDGsの課題解決に貢献する文化を重視しています。また、事業環境の変化を捉え、技術要素の進化をスピード感を持って進める姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


次の100年に向けた長期経営ビジョン「MOVING-10」の最終年度となる2030年3月期に向け、新中期経営計画「MOVING-10 STAGE3」において以下の目標を掲げています。

* ROE 8%以上
* 営業利益 45億円
* 電子材料事業 売上高2倍以上
* 医療・圧電関連事業 売上高60億円以上
* 新規事業開発 売上高10億円以上

(4) 成長戦略と重点施策


成長事業の重点拡大と資本政策の刷新を通じて企業価値向上を図ります。具体的には、機能性材料事業の構造改革を進める一方、電子材料事業などの強みを持つ成長領域へ経営資源をシフトします。戦略投資を積極的に活用し、在庫回転期間の短縮やシステム革新による経営基盤の強靭化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


環境・社会・ガバナンスの観点を持ち合わせ、グローバルに活躍できる人材がポテンシャルを発揮できるよう、継続的かつ集中的な育成を重視しています。人事制度の刷新を通じて社員の成長を支援し、キャリアデベロップメントプログラムによる自律的なキャリア形成や、社員のライフスタイルに合わせたワークライフバランスの向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.5歳 17.0年 6,674,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.4%
男性育児休業取得率 55.6%
男女賃金差異(全労働者) 73.5%
男女賃金差異(正規雇用) 81.4%
男女賃金差異(パート・有期) 85.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向に伴う需要変動


主要市場である日本やアジア、欧米での景気減速により、化学製品や素材の流通量が減少し、製品需要が落ち込むリスクがあります。同社は新規市場や顧客の開拓、製造原価の低減を図ることで対応しています。

(2) 為替相場や燃料・原材料の価格変動


アジアや欧米への輸出入を行っているため為替変動の影響を受けるほか、原油価格や主要原料である酸化チタン鉱石の価格高騰が製品価格へ転嫁しきれない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は仕入先との連携や為替予約等によりリスクの最小化に努めています。

(3) 環境関連規制への対応


化学物質管理や環境負荷低減に関する国内外の法令改正に準拠していますが、予想を上回る規制強化や範囲拡大により、新たな対策コストや追加設備投資が必要となる場合、財務状況に影響を与える恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。