※本記事は、TOYO TIRE株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
TOYO TIREグループは、タイヤの製造販売を行うタイヤ事業と、自動車用部品の製造販売を行う自動車部品事業を主軸に展開しています。これら事業に関連する設備供給や資金運用なども含め、幅広い事業活動を行っています。
単体従業員数は3,766名、連結従業員数は9,941名です。事業セグメントはタイヤ事業と自動車部品事業の2つです。
主な国内グループ会社は、国内、(販売会社)、(製造会社)、(その他)、(製造・販売会社)などです。
国内においてはTOYO TIREが生産・販売を一手に担い、海外33社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
TOYO TIREは、グローバルに事業を展開するタイヤメーカーとして、安定した事業基盤を持つ企業です。同社グループでは、従業員の長期的なキャリア形成を支援し、多様な働き方を推進する環境づくりに注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期にわたって安定して働き続ける傾向が見られます。中堅層が厚く、経験豊富な人材が活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,880,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.0年 |
| 平均年齢 | 40.8歳 |
| 単体従業員数 | 3,766人 |
| 連結従業員数 | 9,941人 |
| 単体のグループ内比率 | 37.9% |
同社および連結子会社は、従業員の退職給付として、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型制度と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型制度を採用しています。退職一時金制度もあり、給与と勤務期間に基づいて一時金が支給されます。
なお、退職給付債務は185.1億円、年金資産は356.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
TOYO TIREは、人財を継続的な事業成長を支える最重要資本と位置づけ、人的資本開発を重視しています。不確実な事業環境下で「挑戦を続けられる人財」や「独自性を持って課題解決につなげられる人財」の育成に注力しています。
人財の能力やエンゲージメントを中長期的に高めるため、経営戦略と一体で人的資本への投資を推進しています。具体的には、2022年に研修体系を見直し、理念や役割期待、DX・ESGに関する知見を深めるための研修を各階層に組み込み、選抜型研修も刷新しました。部門長・本部長向けの研修ではマネジメント力とリーダーシップの向上を図り、中堅層向けの選抜型研修ではグローバルに活躍できる事業経営候補者の育成を強化しています。
また、国籍、性別、年齢にかかわらず多様な人財が活躍できる職場環境の整備をダイバーシティ推進の柱としています。新卒・キャリア採用のほか、障がい者雇用や定年退職者の再雇用にも積極的に取り組み、2024年には定年退職者再雇用制度を柔軟化しました。働きやすい環境の整備にも力を入れており、2023年には在宅勤務を選択肢に加えた新しい就業様式を導入し、2024年11月からは「在宅勤務100%選択可」を恒常的な制度としています。
さらに、育児・介護休業制度や男性が育児休暇を取得しやすい環境の整備、失効した年次有給休暇を育児・介護等の事由で復活させて使用できる制度など、従業員のライフイベントを支援する施策も充実させています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 72.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 68.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 76.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 69.8% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
㈱トーヨータイヤジャパンの労働者の男女の賃金の差異は、男性(主に営業職)と女性(主に事務職)の職種が異なることによる職責等に応じた人事処遇の差異によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 2.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 61.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 65.8% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 係長級層の女性比率(2025年) | 9.7% |
| 係長級から課長級以上の管理職層への女性登用比率(2023~2025年3か年平均) | 男性登用比率比1.24倍 |
働きやすい環境の整備
直近1年間の年次有給休暇取得率は、2024年4月から2025年3月の12ヶ月間での集計です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇取得率(直近1年間) | 71.4% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 研修受講後のアンケート調査に基づく受講者満足度目標 | 75%以上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
TOYO TIREグループは、タイヤ事業と自動車部品事業を主軸に、幅広い製品の製造と販売を手掛けています。同社グループは、これら二つの事業を基礎として、国内および海外で包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しています。
タイヤ事業
タイヤ事業は、乗用車用、ライトトラック用、トラック・バス用といった各種タイヤや、その他の関連製品の製造および販売を行っています。収益は、主にこれらのタイヤ製品の販売から得ています。
北米市場では、同社グループが強みとする大口径ライトトラック用タイヤやSUV用タイヤの需要が堅調に推移し、販売量と売上高が前期を上回りました。欧州市場では事業再編に伴うオペレーションの変更により販売量と売上高が前期を下回りましたが、セルビア工場からの地産地消を推進し、利益率の向上に取り組んでいます。国内市場では、重点商品への販売シフトと値上げ効果により売上高が前期を上回る結果となりました。
自動車部品事業
自動車部品事業は、自動車用防振ゴムなどの自動車部品の製造および販売を行っています。収益は、主に自動車メーカー向けの部品販売から得ています。
自動車メーカーの需要が安定したことにより、売上高は前期を上回りました。一方で、市況および物価高騰による原価の上昇を受け、営業利益は前期を下回る傾向が見られました。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| タイヤ事業 | 5,198億円 | 5,477億円 |
| 自動車部品事業 | 455億円 | 472億円 |
同社グループは、北米市場が売上高に大きく貢献しており、為替変動、特に米ドルを中心とした円高の影響が経常利益に影響を与える傾向があります。当連結会計年度において、American Tire Distributors, Inc.への販売実績が同社グループの総販売実績の10%以上を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は過去5期にわたり増加傾向にあり、直近の当連結会計年度も前期を上回りました。経常利益は直近の当連結会計年度で前期からわずかに減少しましたが、これは主に為替差益の減少によるものです。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益の計上と特別損失の計上により、直近の当連結会計年度で前期を下回る結果となりました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,936億円 | 4,972億円 | 5,528億円 | 5,654億円 | 5,949億円 |
| 経常利益 | 559億円 | 510億円 | 860億円 | 1,021億円 | 1,013億円 |
| 経常利益率 | 14.2% | 10.3% | 15.6% | 18.1% | 17.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 414億円 | 480億円 | 723億円 | 748億円 | 636億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 268.62 | 311.51 | 469.42 | 485.86 | 413.10 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性の向上が見られます。また、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、組織全体の収益創出力が高まっている傾向を示しています。これらの指標の改善は、同社グループが事業活動を通じて効率的に収益を生み出す体制を強化していることを示唆しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 54.3百万円 | 59.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 9.0百万円 | 9.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
TOYO TIREグループは、本業で安定した資金を生み出し、積極的な投資も行いながら、財務基盤を堅固にしています。事業活動で得た資金を効率的に活用し、将来に向けた成長と安定性を両立させている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
TOYO TIREグループの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)から安定していることが示されています。当期の自己資本比率は69.4%であり、プライム市場上場製造業の平均46.8%を上回る水準です。また、ROE(自己資本利益率)は12.8%となっており、プライム市場平均の9.4%と比較しても高い水準を示しています。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、不況時への耐性も備えていることがうかがえます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 4,726億円 | 5,227億円 |
| 自己資本比率 | 65.4% | 69.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 17.2% | 12.8% |
| 現金及び預金 | 866億円 | 1,173億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上等により、前期から増加し931億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出等により、前期から支出が増加し△231億円の支出となっています。この結果、フリーキャッシュ・フローは前期から増加し700億円のプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少や配当金の支払い等により、前期から支出が増加し△438億円の支出となっています。
同社グループは本業で安定的に資金を創出し、その資金を成長投資に充てながらも、手元に十分な余剰資金を確保している状況です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資余力も持ち合わせていることを示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 671億円 | 931億円 |
| 投資CF | △152億円 | △231億円 |
| 財務CF | △231億円 | △438億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 518億円 | 700億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、世界的な景気減速による自動車販売の落ち込みなど、自動車産業の景況が連結業績に影響を与える可能性があります。また、海外売上高比率が高く、為替変動が連結業績に影響を与える可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
TOYO TIREは、独自の理念体系に基づき、技術革新と挑戦を重んじる企業文化を築いています。お客さまの期待を超える感動を生み出し、豊かな社会づくりに貢献することを使命としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
TOYO TIREグループは、2017年1月1日付で「社是」「私たちの使命」「私たちのありたい姿」「私たちの持つべき価値観」を新たな理念体系として整備しました。同社グループの使命(ミッション)は、「お客さまの期待や満足を超える感動や驚きを生み出し、豊かな社会づくりに貢献します」と掲げられています。
目指す企業像(ありたい姿)としては、「たゆまぬ技術革新によって、一歩先の未来を創る企業」を目指しています。また、「挑戦心と独創的な発想にあふれた闊達な風土を持つ企業」、「企業活動に関わるすべての人びとと喜びを分かち合う企業」の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、理念の実践と体現を基本的な経営姿勢としています。「私たちの持つべき価値観(TOYO WAY)」として、「公正さ」「誇り」「主体性」「感謝」「結束力」を掲げています。
これらの価値観は、社会に正しく役立つ行動、仕事への高い誇り、自ら主体となって取り組む姿勢、人や社会への感謝、仲間との知恵と力の結集を促すものです。同社グループは、国籍や性別、年齢などにかかわらず、多様な価値観や経験を有する人財が活躍できる職場環境を整備し、ダイバーシティを推進することを人的資本経営の重要な柱の一つと位置づけています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な成長を支える経営基盤構築の一環として、多様な人財が有機的に協働し、働きがいを持って活躍できる仕組みの整備に取り組んでいます。また、個性と質と能力を極める育成システムの構築を掲げ、人的資本への投資を推進しています。
サステナビリティに関する取り組みでは、「価値創出」「価値創出を支える基盤」「リスクマネジメント」の3領域で7つのマテリアリティを特定し、社会課題の解決と社会的価値の創出に努めています。具体的には、多様な人材の挑戦と働きがいを創出すること、サプライチェーンのサステナビリティを促進すること、モノづくりの根幹である品質と安全性を守り抜くことなどを重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
TOYO TIREの取締役会は、経営方針や重要事項の意思決定、業務執行の監督を担っています。また、経営会議や各種専門委員会、監査役会がそれぞれの機能を果たし、企業統治体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
TOYO TIREの筆頭株主は事業会社である三菱商事です。上位株主には、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託銀行も名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱商事 | 20.01% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12.12% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.40% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 3.58% |
| JPモルガン証券 | 2.37% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性12名・女性1名)で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長&CEOは清水隆史氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 清水 隆史 | 代表取締役 社長&CEO | 1985年4月 同社入社、2015年11月 同社代表取締役社長、2022年3月 同社代表取締役社長&CEOより現職。 |
| 山田 保裕 | 取締役 会長 | 1983年4月 三菱商事㈱入社、2019年3月 同社取締役会長より現職。2025年6月 ㈱フジクラ 社外取締役(監査等委員)現任。 |
| 守屋 学 | 取締役 執行役員 技術統括部門管掌 | 1989年4月 同社入社、2020年2月 同社執行役員 技術統括部門管掌、2021年3月 同社取締役執行役員 技術統括部門管掌より現職。 |
| 蓮見 清仁 | 取締役 執行役員 事業統括部門管掌 | 1996年4月 同社入社、2021年10月 同社執行役員 事業統括部門管掌、2025年3月 同社取締役執行役員 事業統括部門管掌より現職。 |
社外取締役は、森田研氏(元パナソニック ホールディングス代表取締役専務)、武田厚氏(元日鉄鋼板代表取締役社長)、米田道生氏(元日本取引所グループ取締役兼代表執行役グループCOO)、荒木由季子氏(元山形県副知事)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は社外取締役4名を含む8名で構成されています。社外取締役は、客観的な立場から経営の監視・監督に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして、株主利益と連動した報酬体系を採用しています。業務執行取締役および取締役会長の報酬は、固定報酬としての基本報酬、株式報酬、短期・中長期の業績連動報酬で構成されています。監督機能を担う社外取締役には基本報酬のみを支払う方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 3.5億円 | 69.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 44百万円 | 22.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 74百万円 | 9.2百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、清水隆史氏(1.86億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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