ダントーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダントーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダントーホールディングスはスタンダード市場に上場し、建設用陶磁器等の製造・販売・施工を行うタイル関連事業や不動産事業、発電機事業等を展開しています。直近の業績は売上高が減少傾向にあり営業赤字が続くものの、固定資産売却益等の特別利益の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は黒字に転換しました。


※本記事は、ダントーホールディングス株式会社の有価証券報告書(第198期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ダントーホールディングスってどんな会社?


ダントーホールディングスは、長年の伝統を持つタイル関連事業を中心に、不動産事業や新規事業などを展開する企業です。

(1) 会社概要


1885年に淡陶社として設立され、淡路焼を継承して事業を開始しました。1966年に東京証券取引所市場第一部に上場を果たしています。2006年には持株会社制への移行に伴い、現在のダントーホールディングスへ社名を変更しました。2022年にスタンダード市場へ移行したほか、2025年にはダントー・ネオエネルギーを設立し、再生可能エネルギー事業への取り組みも開始しています。

同社グループは、連結で165名、単体で10名の従業員を抱えています。筆頭株主は事業会社の大建エンタープライズで、第2位も事業会社の淡路交通となっています。

氏名 持株比率
大建エンタープライズ 30.40%
淡路交通 29.73%
NATIONAL FINANCIALSERVICES LLC 14.92%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。取締役7名中1名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
前山達史 代表取締役社長 1992年入社。総務部長や常務等を経て2024年より現職。
加藤友彦 取締役会長 淡路交通代表取締役社長。2025年より現職。
田中靖久 取締役総務部長 2002年入社。総務部長を経て2024年より現職。
吉田薫 取締役 1985年入社。淡陶社代表取締役会長。2025年より現職。
小西智晴 取締役 1993年入社。ダントータイル代表取締役社長。2025年より現職。
福重正実 取締役 タッチストーン・キャピタル・マネージメント代表取締役社長。2025年より現職。


社外取締役は、村島雅弘(村島国際法律事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、建設用陶磁器等事業、不動産事業、発電機事業、および再生可能エネルギー事業を展開しています。

建設用陶磁器等事業


内装、外装、床、モザイクタイルおよびタイル施工用材料等の関連製品を製造し、住宅や商業施設、オフィス向けに提供しています。

製品の販売代金や工事代金から収益を得ています。運営は主に淡陶社やダントータイルが行っています。

不動産事業


国内外の不動産アセット・マネジメントおよび投資アドバイザリー業務を提供しています。富裕層や海外投資家向けの不動産投資需要に対応しています。

アセットマネジメント業務の受託報酬やアドバイザリー報酬から収益を得ています。運営は同社やタッチストーン・キャピタル・マネージメント等が行っています。

発電機事業


地方自治体や老人福祉施設向けに、IoT機能を搭載した次世代型モデルを含むLPガス発電機の開発、製造、販売を行っています。

製品の販売代金から収益を得ています。運営はダントーパワーが行っています。

再生可能エネルギー事業


蓄電施設案件の開発や権利確保を通じて、将来のエネルギー問題解決に寄与する再生可能エネルギー関連事業を展開しています。

土地および権利の引渡しによる売買代金から収益を得ています。運営は主にダントー・ネオエネルギーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は概ね50億円前後で推移していますが、経常赤字が継続しています。利益率もマイナス水準で推移しており、外部環境の悪化やコスト高騰の影響を受けた厳しい事業環境が伺えます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 50億円 46億円 56億円 53億円 49億円
経常利益 -10億円 -11億円 -10億円 -10億円 -7億円
利益率(%) -20.5% -23.3% -17.2% -18.6% -13.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.7億円 2億円 -4億円 -2億円 -4億円

(2) 損益計算書


売上高は減少したものの、売上総利益は微増となり売上総利益率が改善しています。営業赤字は縮小傾向にあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 53億円 49億円
売上総利益 14億円 15億円
売上総利益率(%) 25.5% 29.7%
営業利益 -10億円 -7億円
営業利益率(%) -18.6% -13.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料・手当が6.3億円(構成比30%)、手数料が2.4億円(同11%)、役員報酬が2.1億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメントごとの売上推移を見ると、主力の建設用陶磁器等事業は厳しい市場環境が続き減収となりました。不動産事業も保有資産の売却を行ったものの減収となっています。一方で、新規事業である再生可能エネルギー事業が新たに売上に貢献し始めています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
建設用陶磁器等事業 47億円 42億円
不動産事業 6億円 5億円
発電機事業 -億円 0.2億円
再生可能エネルギー事業 - 2億円
連結(合計) 53億円 49億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、市場環境の変化に対応するための資産を保有しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、タイル事業における販売体制強化や高付加価値商品の拡販、不動産事業の新規顧客開拓による事業拡大、発電機事業及び再生可能エネルギー事業の収益伸長により、赤字体質からの脱却と営業黒字体質の構築を目指しています。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有価証券報告書に具体的な記載がありません。
財務活動によるキャッシュ・フローについても、有価証券報告書に具体的な記載がありません。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -8億円 -3億円
投資CF 6億円 21億円
財務CF 1億円 -5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人と地球環境に優しい製品づくり」などのものづくり理念と、「タイルのある快適な暮らしをご提案します」などのお役立ち理念をグループ共有の企業理念としています。長年培ってきた技術を活かし、資源の有効利用と環境保全に心がけ、社会に貢献し満足をお届けする企業を目指しています。

(2) 企業文化


明治初頭以来、真摯にタイルづくり一筋に励んでおり、その輝かしい伝統を背景としています。時代時代の環境に柔軟に対応しながら、末永く存続できる企業体制を構築することで、持続可能な社会の実現に向けて課題に取り組む文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


各種施策の実施により業績回復に努めており、継続した利益の出る企業体質の確立を目指しています。その指標として「営業利益」や「経常利益」などの損益項目を重視しています。また、育児休業を取得した社員の職場復帰率100%の維持を目標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


タイル事業では、自社工場生産によるブランド「A.a.Danto」を中核に、商業施設やオフィス分野を中心としたインテリア市場でのシェア拡大を目指します。不動産事業では、アセットマネジメント事業の運用資産残高の積み上げと新規事業を今後の成長ドライバーと位置づけています。さらに、蓄電所の建設から運営までを本格化させ、安定的な収益基盤の構築に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材は同社グループの持続的な成長を支える最も重要な資本であると考え、それぞれの社員の個性や特性を尊重し、働きがいをもって仕事に取り組める環境整備に努めています。目標管理制度および人事評価制度を導入することで、社員一人ひとりのポテンシャルを最大限に活かし、人的資本の強化を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 52.6歳 23.0年 5,492,808円

※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規労働者) -
男女賃金差異(非正規労働者) -

同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の一部記載がありません。なお、連結子会社の淡陶社において女性管理職比率を開示しています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境の変動と競争激化

主力の建設用陶磁器等事業において、住宅着工戸数の減少や厳しい価格競争の激化、個人消費の動向の変化等が発生した場合、同社グループの経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 原材料やエネルギーの価格高騰

製品の製造過程において使用されるエネルギーや重金属など、原材料の価格が急激に高騰した場合、製造コストの上昇を招き、同社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 製造物責任と品質問題

製品の品質については滑り抵抗などの社内基準やISO品質マネジメントシステムを活用して製造していますが、万一、製品事故や品質問題が発生した場合、製造物責任賠償等により経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 在庫の過剰滞留

多品種の製品を取り扱うため、品目ごとに標準在庫を設定して運営していますが、販売予測と実際の需要に乖離が生じ、多量の滞留在庫が発生した場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。