協立エアテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

協立エアテック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

協立エアテックは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、ビル空調・防災関連機器や住宅向け全館空調システム等の製造販売を主力事業とする企業です。直近の業績トレンドでは、主力のダンパーや吹出口などの販売が底堅く推移し増収となったものの、原材料価格の高騰等の影響を受けて減益となっています。


※本記事は、協立エアテックの有価証券報告書(第55期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 協立エアテックってどんな会社?


同社は、ビル空調・防災関連機器や住宅向け全館空調システムの製造販売を展開する空調機器メーカーです。

(1) 会社概要


1971年に協立工業所として設立され、空調設備関連機材の設計・製作を開始しました。1990年に現在の協立エアテックへ商号を変更しています。1993年には空調ユニットシステム「FASU」、2003年には24時間住宅用換気システムの製造販売を開始するなど事業を拡大し、2004年に株式を上場しました。

現在の従業員数は連結で333名、単体で311名です。大株主の構成をみると、筆頭株主は創業者・役員である久野幸男氏であり、第2位には同社社員持株会、第3位には金融機関である住友生命保険相互会社が名を連ねており、役員や従業員、取引先が安定した資本基盤を形成しています。

氏名 持株比率
久野幸男 10.97%
協立エアテック社員持株会 10.12%
住友生命保険相互会社 7.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は久野幸男氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
久野幸男 取締役社長(代表取締役) 1971年同社入社。技術部長、代表取締役常務などを経て、2001年4月より現職。常熟快風空調有限公司董事長やマスク代表取締役社長も務める。
宮田正昭 取締役営業統括本部本部長 2000年同社入社。東京支店支店長を経て、2010年3月より現職。マスク取締役や常熟快風空調有限公司董事も務める。
柿原秀規 取締役技術本部本部長 2011年同社入社。ES・C部部長を経て、2017年3月より現職。


社外取締役は、衣目修三(衣目公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、空調・防災関連機器の製造販売並びにこれらに付帯する事業の単一セグメントですが、主に以下の3つの事業領域を展開しています。

(1) ビル用設備機器の製造販売


同社グループの主力事業であり、オフィスビルや大型商業施設などの建築物向けに、空調用ダンパーや吹出口、空調ユニットシステム(ファスユニット等)の製造販売を行っています。快適な空間づくりと防災機能に直結する空調設備部材を、顧客の要望に合わせて提供しています。

収益源は、設備工事会社や販売代理店等の顧客への製品販売代金です。開発や製造は主に同社および中国の連結子会社である常熟快風空調有限公司が担当し、同社を通じて国内外の市場へ製品を供給する体制を構築しています。

(2) 住宅用設備機器の製造販売


戸建住宅や集合住宅向けに、全館空調システムや24時間換気システムの開発および製造販売を行っています。壁かけ式全熱交換型空気清浄機「えあくるん」や、ふく射冷暖房システム「クール暖」など、独自の住宅用空調換気システムを展開し、居住空間の快適性向上に貢献しています。

収益源は、住宅メーカーや建築会社への製品販売およびシステム提供による代金です。事業の運営は主に同社が主体となって行っており、既存顧客を中心とした分譲住宅への受注確保や、ウェブを通じた販売促進策を展開しています。

(3) 空調資材の販売


自社製造の製品群に加えて、顧客の多様なニーズにワンストップで対応するため、ガラリやパンカーをはじめとする各種空調資材の仕入および販売を行っています。これにより、ビル空調や住宅空調の現場で必要となる周辺部材を総合的に提供しています。

収益源は、設備業者等への資材販売代金です。同社が販売を手掛けるほか、連結子会社であるマスクが空調資材の販売事業を担っており、グループ全体で取り扱い商材の拡充と営業力の強化を図っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は建設需要や設備投資の持ち直しを背景に概ね100億円台から110億円台へと増加傾向にあります。一方で経常利益は、原材料価格の高騰や労務費などの経費増加の影響を受け、直近では減益基調となっており、利益率の改善が今後の課題となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 99億円 106億円 119億円 117億円 119億円
経常利益 7億円 6億円 7億円 7億円 6億円
利益率(%) 6.9% 5.3% 6.2% 6.2% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 4億円 5億円 5億円 5億円

(2) 損益計算書


売上高は増加したものの、原材料の仕入価格上昇などにより売上総利益率は悪化しています。また、各種コストの増加もあり、営業利益率も前期から低下しており、収益性の確保に向けた価格転嫁やコスト削減の取り組みが求められる状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 117億円 119億円
売上総利益 29億円 29億円
売上総利益率(%) 25.1% 24.4%
営業利益 7億円 6億円
営業利益率(%) 5.8% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与が6億円(構成比27.6%)、発送配達費が6億円(同25.4%)を占めています。売上原価の主な構成要素である当期製造費用(69億円)のうち、原材料費が50億円(構成比72.0%)、労務費が13億円(同19.0%)を占めています。

(3) セグメント収益


ビル空調向けは堅調な設備投資に支えられ吹出口の販売が伸びました。また住宅向けも微増となりましたが、商品(空調資材)の販売はやや減少しており、全体としては微増収となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
ビル用 ダンパー 32億円 32億円
ビル用 吹出口 22億円 24億円
ビル用 ファスユニット等 1億円 1億円
住宅用 空調・換気システム等 39億円 40億円
商品(空調資材) 23億円 22億円
連結(合計) 117億円 119億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

協立エアテックは、空調・防災関連機器の製造販売を主軸とする企業です。

当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権や仕入債務の減少、法人税等の支払いにより、前年同期比で減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や定期預金の預入による支出が主な要因となり、前年度に引き続き支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いにより、前年度に引き続き支出となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 10億円 3億円
投資CF -6億円 -4億円
財務CF -2億円 -1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類・社会の進歩発展に貢献すること」を経営の基本理念として掲げています。また、「常にお客様を第一に考え、品質の満足のいく製品づくりを通じ、人にやさしい空気調和のシステムづくりに貢献する」という経営基本方針のもと、グループの企業価値向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「良き企業市民として、環境を大事にする企業を目指すとともに、より良い地球環境の実現と地域の繁栄に寄与する」という価値観を重視しています。また、品質マネジメントシステムの国際標準であるISO9001の運用等を通じて法令遵守や社会倫理を徹底し、持続可能で健全な企業経営を行う文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


同社は、安定的かつ持続的に企業価値を高めることを目指しており、収益性と資本効率の向上を重視した経営計画を推進しています。具体的な中長期の経営目標として、以下の数値を掲げています。

・連結営業利益率:10%
・連結株主資本利益率(ROE):10%

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、主力製品であるダンパーや吹出口、空調ユニットシステムの拡販に加えて、独自の全館空調システム等の販売体制充実を重点施策としています。また、カーボンニュートラルに向けたエコ素材の拡販や、生産体制における人間とロボットの協業化による工数削減・経費低減活動を推進し、利益率の改善を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、持続的な成長を確保するため、性別や国籍、新卒・中途採用の区別なく能力に応じた管理職登用を行っています。採用後は、社内教育や外部講習への参加を奨励し、その費用負担を行うことで従業員一人ひとりのスキルアップとキャリア形成を支援し、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 46.6歳 20.6年 5,767,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 59.9%
男女賃金差異(正規雇用) 61.5%
男女賃金差異(パート・有期) 49.0%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性労働者の育児休業取得率(100%)、2030年のCO2排出量削減目標(2019年比で30%削減)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設需要や設備投資の動向


主力製品であるダンパーや吹出口は設備投資向けであるため、国内の経済情勢や建設需要の動向に大きく依存しています。民間設備投資や住宅着工件数の落ち込み、または同業者間での価格競争による単価下落が発生した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料価格および為替相場の変動


主要製品である吹出口の主材料にはアルミが使用されています。国際的なアルミ相場の高騰や、部材の海外調達に伴う為替相場の変動は製造原価を直接押し上げる要因となります。これらの調達コストの上昇分を適切に販売価格へ転嫁できない場合、収益性が低下するリスクがあります。

(3) 製品の品質保証と賠償責任


同社は独自の品質基準を設けて生産を行っていますが、万一製品に重大な欠陥が生じた場合、製品の補修工事やリコール対応、損害賠償が発生するおそれがあります。生産物賠償責任保険等で影響の最小化を図っているものの、品質問題は社会的信用の低下や業績悪化につながる可能性があります。

(4) 取引先の信用と貸倒れリスク


同社は取引先の財務状態に応じた与信設定や継続的な信用状態の把握を行い、不良債権の発生防止に努めています。しかし、景気後退等の影響で取引先の経営状況が悪化し、売掛債権等の回収遅延や貸倒れが発生した場合、同社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。