ハマイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハマイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハマイは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、LPG容器用や高圧ガス容器用バルブなどの製造販売を主力とする老舗メーカーです。直近の業績は、製品の値上げ浸透などにより売上高が増収となった一方、原材料費高騰の影響から営業利益および経常利益は減益となりましたが、純利益は増益を記録しています。


※本記事は、株式会社ハマイの有価証券報告書(第94期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハマイってどんな会社?


ハマイは、LPG容器用や高圧ガス容器用のバルブ製造を主力とし、長年の実績と高い技術力を持つ老舗メーカーです。

■(1) 会社概要


1927年にガス溶断器の製造を目的として創立され、1953年よりプロパンガス容器用バルブの製造を開始しました。1991年に現在のハマイへ社名を変更し、2004年にジャスダック市場へ上場を果たしました。2013年には韓国に製造販売拠点となるハマイコリアを設立するなど、海外への事業展開も進めています。

同社グループの従業員数は連結で297名、単体で271名です。筆頭株主は従業員などの持株組織であるミスヂ持株会となっており、第2位は事業会社の第一生命保険、第3位には投資組合が名を連ねています。

氏名 持株比率
ミスヂ持株会 16.39%
第一生命保険 8.15%
光通信KK投資事業有限責任組合 5.32%

■(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は河内茂が務めています。社外取締役は2名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
河内茂 代表取締役社長 2004年入社。大多喜工場次長や同工場長、取締役を経て、2025年2月より現職。
吉村真介 取締役管理本部長 2014年入社し取締役就任。常務、専務、代表取締役専務を経て、2025年2月より現職。
丸岡信行 取締役生産本部長兼府中工場長 1985年入社。府中工場副工場長を経て、2019年に取締役就任。2025年2月より現職。
川村信之 取締役製品研究開発室長 1987年入社。事業開発室製品研究開発部長を経て、2019年3月より現職。
横澤直人 取締役営業本部長兼事業開発室長 2004年入社。営業本部次長等を経て2023年に取締役就任。2025年3月より現職。
川西浩文 取締役兼大多喜工場長 1998年入社。大阪営業所所長や営業本部次長等を経て、2026年3月より現職。
岡田信次郎 取締役常勤監査等委員 2012年同社顧問に就任。監査役を経て、2021年3月より現職。


社外取締役は、手塚幸一(税理士)、吉羽真一郎(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「バルブ事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。

■バルブ事業


LPG容器用バルブや高圧ガス容器用バルブ、設備弁、配管用バルブなどの製造および販売を行っています。ガス容器や配管設備に不可欠な高品質な各種バルブ製品を、国内外の多様な産業の顧客へ向けて幅広く提供しています。

製品の販売代金を主な収益源としています。同社が製造販売を担うほか、関連会社の北陸ハマイなどが国内の代理店として製品の販売を行っています。また、韓国市場では子会社のハマイコリアが製造販売拠点として機能しています。

■不動産賃貸事業


バルブ事業の展開に加えて、店舗用ビルや老人ホーム施設といった不動産の賃貸事業を行っています。旧本社跡地などの保有資産を有効活用し、本業とは異なる領域で安定した収益基盤の構築を図っています。

不動産の賃貸借契約に基づく賃料を主な収益源としています。これらの賃貸物件の管理や運営は、同社が主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

■(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が概ね右肩上がりで成長を続けており、順調な事業規模の拡大が見られます。経常利益率も安定して高い水準を維持しており、原材料費高騰等による一時的な利益の減少はあるものの、最終的な純利益もしっかりと確保する底堅い収益構造を構築しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 95億円 112億円 111億円 121億円 127億円
経常利益 5億円 12億円 11億円 13億円 12億円
利益率(%) 5.3% 10.5% 10.1% 11.0% 9.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 6億円 8億円 4億円 8億円

■(2) 損益計算書


売上高が増加した一方で、原材料費などのコスト上昇圧力が影響し、売上総利益は微減となりました。その結果、営業利益および営業利益率も前期と比較して低下しており、収益性の面ではやや課題を残す形となっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 121億円 127億円
売上総利益 24億円 24億円
売上総利益率(%) 20.2% 18.6%
営業利益 12億円 11億円
営業利益率(%) 10.3% 8.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料が3億円(構成比22%)、役員報酬が2億円(同13%)を占めています。

■(3) セグメント収益


主力のバルブ事業は、製品値上げの浸透や需要増により増収となりましたが、原材料費等のコスト上昇圧力が強く利益は圧迫されています。一方、不動産賃貸事業は安定した賃料収入を維持しており、全体としての収益を下支えする構造となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
バルブ事業 115億円 121億円 9億円 7億円 5.9%
不動産賃貸事業 6億円 6億円 4億円 4億円 66.6%
連結(合計) 121億円 127億円 12億円 11億円 8.6%


営業で利益を出し、手元の資金で投資を行いながら借入の返済を進める、優良企業の典型的なパターンです。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 5.4億円 6.5億円
投資CF -4.4億円 -4.4億円
財務CF -3.1億円 -2.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

■(1) 経営理念


同社は「安全でより良き製品を作り、社会の繁栄と人々の幸福に貢献する」を企業理念に掲げています。確かな品質管理体制を維持して顧客の信頼に応えることを基本方針とし、高圧ガス関連機器の用途開発の発展を通じて社会への貢献を目指しています。

■(2) 企業文化


コンプライアンスの推進や人権の尊重を重視し、安全で働きやすい企業風土の醸成に努めています。また、顧客の「困った」を価値に変える姿勢や、従業員満足度の向上が持続的な成長に繋がるという価値観を共有し、多様性を尊重しながら働きがいのある職場づくりを推進しています。

■(3) 経営計画・目標


収益性と効率性を重視した経営を推進し、持続的な成長を実現するため、以下の指標を目標として掲げています。

* 売上高営業利益率:10%以上
* 経営の効率性指標:総資産利益率(ROA)や投下資本利益率(ROIC)の向上

■(4) 成長戦略と重点施策


「2026中期経営計画」の総仕上げとして、カーボンニュートラルを見据えた戦略を展開しています。水素事業への投資拡大や新クリーンエネルギー分野への進出を図るほか、アジア市場での展開強化を推進します。また、既存事業では技術開発力の向上による新規市場へのメニューアップや、DX化による生産・購買管理分野の強化に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

■(1) 人材戦略・方針


組織が求める能力と個々が目指す姿を共有し、「人財開発プログラム」を通じた体系的かつ個別のアプローチで現場力を高める方針です。メーカーとして不可欠な製造工程の専門技能教育を徹底するとともに、新規開発に向けた若手の登用や女性が活躍できる環境整備など、多様な人材の活用とモチベーション向上を図っています。

■(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.4歳 13.4年 5,781,772円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 20.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.4%
男女賃金差異(正規雇用) 74.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 95.5%

※女性管理職比率については、女性活躍推進法等に基づく公表義務の対象ではないため記載が省略されています。

また、同社は「人的資本に関する戦略」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性就業者比率(16.6%)、新規採用者に占める女性の割合の目標値(20%以上)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

■(1) LPGガス容器弁の需要減少と競争激化

規制緩和やLPGガスの容器の大型化等の影響により、市場全体として需要は減少傾向にあります。需給バランスの変化に伴って受注競争が一段と激化した場合、同社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

■(2) 材料費の価格変動による収益影響

同社グループが製造する製品群においては、主材料の原価に占める割合が比較的大きくなっています。そのため、原材料価格の大幅な変動が発生し、価格転嫁が適切に進まない場合には、収益が圧迫されるリスクがあります。

■(3) 海外市場における事業展開リスク

韓国や中国をはじめとする東アジアなど、海外市場への展開を進めています。進出先における政治・経済情勢の変化、法規制や税制の改定、現地での予期せぬ紛争等の発生が事業展開の妨げとなるリスクを抱えています。

■(4) 製品の品質保証とリコール発生リスク

同社のバルブ製品は多岐にわたる設備機器に組み込まれます。厳格な品質管理体制を敷いていますが、予期せぬ事象により製品不具合に起因したリコールや多額の費用負担が発生した場合、同社の信用低下や業績悪化につながる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。