※本記事は、シリウスビジョン株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
シリウスビジョンは、画像検査システムとその周辺機器の開発・販売を主軸に、パッケージングソフトウェアやネットワークデバイスを利用したクラウドサービスも手掛けています。同社グループは画像検査の単一セグメントで事業を展開しています。
単体従業員数は58名、連結従業員数は85名です。セグメントは画像検査関連事業の1つです。
主な国内グループ会社は、ウェブインパクト、UniARTS(クラウドサービス事業)などです。
同社グループは、事業構造再編費用を計上し、中国子会社では大幅な人員削減やオフィス移転・縮小などの構造改革を断行しました。また、ASEAN事業では事業規模の見直しや撤退も視野に入れています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
シリウスビジョンは、画像検査技術を核とする事業を展開しており、専門性の高い技術職が活躍する環境がうかがえます。従業員の平均年齢や勤続年数からは、一定の経験を積んだ人材が定着している傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数や平均年齢から、比較的安定したキャリアを築ける環境であると考えられます。多様な経験を持つ人材が活躍できるような、年齢構成の傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,045,000円 |
| 平均勤続年数 | 7.4年 |
| 平均年齢 | 44.7歳 |
| 単体従業員数 | 58人 |
| 連結従業員数 | 85人 |
| 単体のグループ内比率 | 68.2% |
退職給付制度
同社及び国内の連結子会社は、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)を採用しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「オンリーワン画像検査技術で世界の製品品質向上に貢献し、人々の生活に豊かさと幸福をもたらす」ことを目標に活動しており、その達成に向けて人材を最も重要な経営資源と考えています。
人材育成においては、IT技術の急速な発展や労働人口の減少といった経営環境の変化に対応するため、従業員個々人が主体的に考え、自己成長していくことを重視しています。具体的には、即戦力となる中途採用やシニア採用を積極的に行い、スキル研修やOJTを通じてプロ組織集団への成長を目指しています。また、自己研鑽やキャリア形成への支援、環境に応じた人事・評価・賃金制度の変革も推進しています。
社内環境整備においては、従業員個々人の力を最大限に発揮し、チームの力に転換する組織を目指すことを基本方針としています。多様な人材が活発なコミュニケーションを取りながら、心身ともに健康で安心して働ける職場環境の整備に取り組んでいます。ダイバーシティに配慮した雇用制度の設計、ワークライフバランスを前提とした働き方改革の推進、人材の最適配置とコミュニケーション活性化のためのローテーション、目標達成度に応じた公平な評価制度の構築などを通して、この方針を実現しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
シリウスビジョンは、画像検査システムとその周辺機器の開発・販売を主軸とする企業グループです。モノづくりの現場における目視検査ゼロの実現を目指し、事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、画像検査関連事業を単一セグメントとして事業を展開しています。主な事業内容は、画像検査システムとその周辺機器の開発・販売、パッケージングソフトウエア及びその関連製品の設計・製造、そしてネットワークデバイスを利用したクラウドサービスです。
収益は、一時点で顧客に移転される財やサービス、および一定の期間にわたり移転される財やサービスから得ています。画像検査事業では、ラベル印刷検査市場向けの「AsmilVision」や、グラビア印刷・紙器・パッケージ印刷市場向けの「GRACE」「PolarVision」といった製品を提供しています。また、AIを活用したシステム開発にも注力しており、株式会社UniARTSが「AI印刷検査」システムや新AI「Regulus」、小型卓上検査機「S-Comet」などを展開しています。株式会社ウェブインパクトは、「WEB給」などのプロダクト販売やシステム運用サービス、受託開発、官公庁向けシステムを堅調に提供しています。
地域別の売上高を見ると、日本が最も大きな割合を占めており、次いでアジア、中国と続いています。海外市場では、中国経済の悪化が長期化しており、希瑞斯(上海)視覚科技有限公司では大幅な人員削減やオフィス移転・縮小といった構造改革を進めています。ASEAN地域においても事業環境は厳しく、現地人員の適正化や固定費圧縮に取り組むとともに、今後の事業展開については事業規模の見直しや撤退を含めたあらゆる選択肢を視野に入れて検討を進めている状況です。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期間の業績推移を見ると、同社グループの売上高は変動があり、直近の当連結会計年度は減少傾向を示しています。利益面では、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益において損失を計上する期が見られます。当連結会計年度においては、売上高が減少し、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しました。この損失には、固定資産の減損損失や希望退職優遇制度に伴う事業構造再編費用といった特別損失が影響しています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは収入となっており、棚卸資産の減少や減損損失がその要因となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 41.4億円 | 17.3億円 | 22.9億円 | 23.1億円 | 20.6億円 |
| 経常利益 | 35百万円 | △3.7億円 | 1.2億円 | △85百万円 | △1.3億円 |
| 経常利益率 | 0.8% | △21.2% | 5.3% | △3.7% | △6.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7百万円 | △4.3億円 | 90百万円 | △1.6億円 | △7.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 1.65 | △92.66 | 19.61 | △35.13 | △157.46 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの連結従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて減少しています。また、連結従業員1人あたりの営業利益も、前期から当期にかけて損失額が拡大する傾向にあります。これらの指標の変動は、同社グループが直面している事業環境の厳しさや、減損損失などの一時的な要因が影響していることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 19.3百万円 | 24.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △0.9百万円 | △1.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、現在の財務状況と資金の流れから、事業の継続的な見直しと収益改善に取り組んでいる段階にあることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率はプライム市場の製造業平均を上回る水準にあります。
しかし、ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっており、前期と比較してもさらに低下しています。
手元資金である現金及び預金は増加傾向にありますが、純資産は減少しています。
これらの状況は、事業の収益性改善が今後の雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 25.5億円 | 17.8億円 |
| 自己資本比率 | 77.4% | 66.2% |
| ROE(自己資本利益率) | △6.3% | △35.0% |
| 現金及び預金 | 10.2億円 | 10.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは前期と比較して減少したものの、当期もプラスを維持しています。
これは主に棚卸資産の減少や減損損失によるものであり、税金等調整前当期純損失を計上している状況です。
投資活動によるキャッシュフローは、無形固定資産の取得による支出が投資有価証券の売却収入を上回り、引き続きマイナスとなっています。
その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、前期に引き続きマイナスで推移しています。
財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の増加によりプラスに転じています。
これらの資金の流れは、事業構造改革を進める中で、資金調達によって事業活動を支えている状況を示しており、今後の収益改善が雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.4億円 | 36百万円 |
| 投資CF | △3.6億円 | △97百万円 |
| 財務CF | 41百万円 | 1.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.2億円 | △61百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、前連結会計年度および当連結会計年度において重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在していると認識しています。
しかし、海外事業の見直しや撤退を含む事業ポートフォリオの検討、研究開発活動の凍結、事務所の解約と集約など、徹底したコストダウンを実行しています。
また、既存事業の営業活動強化や新規事業領域での収益基盤確立に努め、財務面では保有有価証券の売却や金融機関からの運転資金調達により、当面の事業資金を確保できる見込みであることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、市場ニーズの変化や技術的な変化が業績および財政状態に影響を及ぼすリスクを認識しています。
特に、デジタルサイネージのような通信手段で修正が可能な技術がパッケージ表面等に採用されるなど、大きな技術的な変化が発生した場合に影響を受ける可能性があります。
また、成長性の高い画像検査事業へ経営リソースをシフトするためのM&Aや新会社設立といった事業構造改革において、人材の士気維持や製品ポートフォリオ構築が困難な場合、あるいは想定外の問題が発見された場合に業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、優秀な人材の確保と育成が事業発展・拡大の重要な項目であると認識しています。
特に業界特有の専門知識と技術の継承が事業遂行に不可欠であり、的確な人材確保や育成ができなかった場合、または重要な人材の流出が発生した場合には、今後の事業展開を含めて業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
同社グループは、当連結会計年度において事業構造再編費用69百万円を特別損失として計上しています。
この費用は事業再編や人員削減等に伴うものであり、転職先を検討する際に留意すべき情報です。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
シリウスビジョンは、独自の画像検査技術を通じて世界の製品品質向上に貢献し、人々の生活に豊かさと幸福をもたらすことを目指しています。どのような価値観や文化を大切にし、どのような組織を目指しているのかを見ていきましょう。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「オンリーワンの画像検査技術で世界の製品品質の向上に貢献し、人々の生活に豊かさと幸福をもたらす」ことをミッションとして掲げています。画像検査市場は国内外で成長が大きい分野と分析されており、この市場において「世界ナンバーワンの画像検査システムを開発し、モノづくり現場の目視検査ゼロを目指す」ことをビジョンとして定義しています。
このビジョンは、持続可能な社会の到来を意味し、企業価値の増大と株主への利益に資すると考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「オンリーワン画像検査技術で世界の製品品質向上に貢献し、人々の生活に豊かさと幸福をもたらす」ことを目標に活動しています。高精度な検査技術の普及を通じて、資源の無駄を排除し、検査担当者の作業負荷を軽減することで、持続可能な社会の実現に貢献する考えです。
SDGs(持続可能な開発目標)の理念に共感し、積極的に推進しています。人材を最も重要な経営資源と位置づけ、特に人的資本を重視しており、従業員個々人が主体的に考え、自己成長していくことを不可欠と捉えています。
多様な人材が活発なコミュニケーションを取りながら、心身ともに健康で安心して働くことができ、全社員がパフォーマンスを発揮できる職場環境の整備を基本方針としています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、近年の業績低迷を受け、コスト体質の改善を進めています。具体的には、役員報酬の削減、技術開発拠点の再編による事務所コストの低減、研究開発投資の凍結、新規機械・新型ソフトウェア開発に関わる設備・人材投資の削減を実施してきました。
また、国内事業体制の再構築に伴う希望退職優遇制度の遂行や、海外拠点のリストラと海外事業体制の再編により、グループ事業構造およびコスト構造の抜本的な改革を実行しています。今後は、画像検査機の設計・開発部門および画像検査ソフトウェアの研究開発部門の要員を営業技術・顧客サポート部門にシフトする方針です。既存顧客向けに新たなソフトウェアサポートサービスを提供する仕組みを構築し、技術サポート業務の効率化とリピート営業の促進により、画像検査事業の利益向上を図っていくとしています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
シリウスビジョンは、取締役会と監査役会を設置する体制を採用しています。経営の透明性・公正性・健全性及び迅速な意思決定の維持・向上に努めることを重視しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社であるILホールディングスです。上位には複数の事業会社や金融機関、個人の株主が名を連ねています。特定の株主が過半数の株式を保有している状況ではなく、多様な株主によって支えられている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ILホールディングス | 5.19% |
| 千代田グラビヤ | 4.91% |
| GMOクリック証券 | 4.45% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表取締役は辻谷潤一氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 辻谷 潤一 | 代表取締役 | 2003年11月同社入社、2010年6月同社取締役検査装置部長、2017年4月同社代表取締役より現職。タクトピクセル代表取締役、ウェブインパクト取締役、希瑞斯(上海)視覚科技有限公司董事長、Willable取締役、UniARTS代表取締役CEOも務める。 |
| 鬼澤 裕彦 | 取締役 | 2002年10月中央青山監査法人入所、2012年8月センサータ・テクノロジーズ ジャパン入社、2021年8月同社入社、2025年3月同社取締役より現職。SiriusVision VIETNAM Co., Ltd.取締役、SiriusVision(THAILAND) Co., Ltd.取締役も務める。 |
| 重田 篤史 | 取締役 | 1995年4月アイ・ジーエス入社、2004年12月アットウエア設立取締役より現職。2019年6月同社取締役より現職。ウェブインパクト取締役、UniARTS取締役COOも務める。 |
社外取締役は、平川大氏(株式会社メディカルネット代表取締役会長CEO)、田坂正樹氏(株式会社ピーバンドットコム取締役会長)です。社外監査役は、宗宮英恵氏(弁護士)、岩瀬弘典氏(公認会計士)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は取締役5名で構成されています。社外取締役は経営陣から独立した立場で、客観的かつ中立的な視点から経営チェックを行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能するよう設計されています。業務執行取締役には固定報酬としての基本報酬と非金銭報酬としての株式報酬が支給され、社外取締役には基本報酬のみが支払われる体系です。長期安定的な株式保有を促進するため、譲渡制限付株式報酬制度も導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 60百万円 | 15.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 20百万円 | 3.9百万円 |
なお、基本報酬は金銭報酬です。また、通期連結業績予想の修正等を受け、取締役の報酬減額および監査役の報酬自主返納が行われており、上記の金額は減額・返納後のものです。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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