※本記事は、シリウスビジョン株式会社の有価証券報告書(第47期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. シリウスビジョンってどんな会社?
画像検査システムや関連ソフトウェア、クラウドサービスの開発と販売を手がけるメーカーです。
■(1) 会社概要
1966年に大平工業として設立され、ホットスタンピングマシンの製造を開始しました。1987年にナビタスへ社名を変更し、1989年に株式を店頭登録しています。2011年に画像検査ソフトウェアの開発・販売会社を設立し、2019年に持株会社化を行いました。2021年には現在のシリウスビジョンへ商号を変更し、特殊印刷機関連事業から撤退して画像検査事業へ経営資源を集中させています。
現在の従業員数は連結で85名、単体で58名です。筆頭株主はILホールディングスで、第2位は千代田グラビヤ、第3位はGMOクリック証券となっています。グループは同社および連結子会社5社で構成され、中国や東南アジアにも販売拠点を有して事業を展開しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ILホールディングス | 5.19% |
| 千代田グラビヤ | 4.91% |
| GMOクリック証券 | 4.45% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表取締役の辻谷潤一氏を中心に経営を担っています。取締役5名のうち2名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 辻谷潤一 | 代表取締役 | 2003年同社入社。執行役員IDP部長、取締役検査装置部長等を経て2017年より現職。UniARTS代表取締役CEO等も兼任。 |
| 鬼澤裕彦 | 取締役 | 2002年中央青山監査法人入所。センサータ・テクノロジーズジャパンを経て2021年同社入社。経理部長等を経て2025年より現職。 |
| 重田篤史 | 取締役 | 1995年アイ・ジーエス入社。2004年アットウエア設立取締役。2019年より現職。UniARTS取締役COO等も兼任。 |
社外取締役は、平川大(元メディカルネット代表取締役社長)、田坂正樹(元インフロー代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、画像検査関連事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■画像検査関連事業
同社グループは、画像検査システムとその周辺機器の開発および販売、パッケージングソフトウェアや関連製品の設計および製造を主力としています。主にラベル印刷メーカーや紙器・パッケージ製造メーカー向けに、目視検査をAIによる自動検査に置き換えるシステムを提供し、モノづくり現場における品質向上に貢献しています。
収益源は、自社開発の画像検査装置やソフトウェアの販売代金、クラウドサービスの利用料および技術サポートなどのサービス提供料です。システムやソフトウェアの開発、販売は同社が主体となり、クラウドシステム開発やAI関連サービスの提供はUniARTS、ウェブソフトウェア開発はウェブインパクトが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高は減少傾向にあります。特にラベル印刷検査市場などの設備投資の低迷が影響し、利益面でも経常損失が継続する厳しい状況です。固定資産の減損計上や事業構造再編費用の発生もあり、当期純損失が拡大しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 41.4億円 | 17.3億円 | 22.9億円 | 23.1億円 | 20.6億円 |
| 経常利益 | 0.3億円 | -3.7億円 | 1.2億円 | -0.8億円 | -1.3億円 |
| 利益率(%) | 0.8% | -21.2% | 5.3% | -3.7% | -6.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5.4億円 | -5.2億円 | 2.7億円 | -4.1億円 | -7.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い、売上総利益も前年を下回っています。コスト構造の抜本的な改革を進めているものの、売上減少の影響をカバーできず、営業損失は拡大する結果となりました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 23.1億円 | 20.6億円 |
| 売上総利益 | 11.3億円 | 10.1億円 |
| 売上総利益率(%) | 49.0% | 48.8% |
| 営業利益 | -1.1億円 | -1.4億円 |
| 営業利益率(%) | -4.9% | -6.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が3.7億円(構成比32%)、支払手数料が1.4億円(同12%)、役員報酬が1.3億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは、画像検査関連事業の単一セグメントのため、事業ごとの利益を開示していません。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
シリウスビジョンは、安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項とし、事業活動に必要な資金を確保しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業運営の根幹を支える源泉となっています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、画像検査関連事業における積極的な研究開発投資に充てられています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達や返済など、事業運営に必要な資金の動きを示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.4億円 | 0.4億円 |
| 投資CF | -3.6億円 | -1.0億円 |
| 財務CF | 0.4億円 | 1.3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
ミッションとして「オンリーワンの画像検査技術で世界の製品品質の向上に貢献し、人々の生活に豊かさと幸福をもたらす」こと、ビジョンとして「世界ナンバーワンの画像検査システムを開発し、モノづくり現場の目視検査ゼロを目指す」ことを掲げています。持続可能な社会の実現と企業価値の増大を通じ、社会への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループの行動指針として「オンリーワン技術」「ナンバーワン製品」「ファーストワン行動」を実践し、顧客の信頼を得ることを基本としています。また、従業員一人ひとりが主体的に考え自己成長を追求しつつ、チームの力に転換していく組織風土を重視し、活発なコミュニケーションと多様性を尊重しています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「SIRIUS2028」を策定しており、持続的成長と企業価値の最大化を目指しています。積極的な研究開発活動を継続しながら、収益基盤の回復を最優先としています。なお、具体的な数値目標に関する記載は有価証券報告書内にありません。
■(4) 成長戦略と重点施策
「探索」活動による新市場へのビジネス展開と、「深化」活動による既存ビジネスの伸長を事業戦略の中核としています。当面は研究開発活動の凍結や海外子会社の規模縮小などによる収益基盤の安定化を図るとともに、営業技術や顧客サポート部門への人員シフト、既存顧客向けの新サービス構築により利益向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
有能な人材確保のため、即戦力となる中途採用やシニア採用を積極的に行い、多様な環境で活躍できる人材を獲得しています。スキル研修やOJTを通じてプロ組織集団への成長を目指すとともに、自己研鑽やキャリア形成を支援し、ワークライフバランスを前提とした働き方改革や社内環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 44.7歳 | 7.4年 | 7,045,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は関連法令の規定による公表義務に基づく公表項目として選択していないため、有報には本稿の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業構造改革について
成長性の高い画像検査事業へ経営リソースをシフトするため、M&Aや新会社の設立など外部の経営資源を積極的に活用しています。しかし、確保した人材が文化的背景の違いから士気を維持できない場合や、想定外の重大な問題が買収後に発見された場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 市場ニーズ・技術変化の動向
製品のパッケージ記載等に関する全品検査のニーズが高まり、画像検査装置の需要が拡大しています。一方で、デジタルサイネージのような通信手段による表示技術の採用など、意匠性や技術的な環境変化が急速に進んだ場合、同社の画像検査システムが市場の要請に対応できなくなり、業績に影響を与える恐れがあります。
■(3) ソフトウエアエンジニアの確保
オリジナルソフトウエアの開発・販売を行う同社では、高度な技術を持つエンジニアの存在が不可欠です。しかし、労働市場ではソフトウエアエンジニアが慢性的に不足しています。社内で十分なスキルを持つ人材を確保できない場合、外部委託費用の増加や開発の遅延を招き、業績やキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 特定部材や外注先への依存
画像検査装置は、同社が供給するソフトウエアのほか、搬送機器やカメラ・照明などの撮像機器で構成されています。半導体不足や金属素材の高騰により、これらの部材や関連機器の調達価格が上昇した場合、製品価格の高騰を招き、市場での競争力低下や販売不振に繋がるリスクがあります。



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