※本記事は、コンバム株式会社の有価証券報告書(第75期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. コンバムってどんな会社?
真空発生器や吸着パッドなど、産業用ロボットや自動化設備に不可欠な真空機器等の製造・販売を主力とする企業です。
■(1) 会社概要
1951年4月に精密機械部品加工業として妙徳製作所を設立しました。1972年4月に空気エジェクタ式真空発生器「コンバム」を発売し、2004年10月にジャスダックに上場しました。その後、2022年1月に現在のコンバムに商号変更しています。また、海外展開も進め、韓国やタイに子会社を設立しています。
現在の体制として、従業員数は連結で91名、単体で67名となっています。筆頭株主は事業会社の伊勢興産で、第2位は個人の伊勢すが子氏、第3位は投資ファンドの光通信KK投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊勢興産 | 16.23% |
| 伊勢すが子 | 8.29% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.73% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐藤穣氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤穣 | 代表取締役社長(経営管理室兼開発担当) | 1984年4月同社入社。営業部長、開発部長、執行役員等を経て、2022年3月に取締役開発担当兼開発部長に就任し、2024年3月より現職。 |
| 國松孝行 | 専務取締役(営業担当) | 1996年4月同社入社。経営管理部課長、タイ子会社代表取締役、営業部長等を経て、2022年3月に取締役営業担当に就任し、2024年3月より現職。 |
社外取締役は、杉山達郎氏(元那須ニコン社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「韓国」の報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。
■日本
日本国内を中心に、真空発生器(コンバム)や真空吸着パッド、圧力センサなどの真空機器及び関連製品の製造・販売を行っています。主な顧客は、産業用ロボットや自動化設備のメーカーなどです。
製品の販売や技術サービスの提供による収益が主な収入源です。各種製造工場における各工程の自動化・省力化のニーズに応える製品を提供しており、事業の運営はコンバムが行っています。
■韓国
韓国市場において、半導体製造装置や電子部品分野などの顧客向けに、真空機器及び独自製品の開発と製造・販売を行っています。
製品の販売等により顧客から代金を受け取る収益モデルです。半導体業界の需要回復を見据え、新規顧客の獲得に向けた営業活動を展開しており、事業の運営は子会社のCONVUM KOREA CO.,LTD.が行っています。
■その他
タイなどの周辺諸国において、自動化設備向けの拡販活動を進め、現地のシステムインテグレーターなどに対して真空機器やロボットハンドの販売を行っています。
省力化に向けた設備への製品投入による販売収益が主な収入源です。労働力不足を背景とした設備投資意欲の高まりを受けて事業拡大を図っており、事業の運営は子会社のCONVUM(THAILAND) CO.,LTD.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、売上高は18億円から24億円の間で推移しています。経常利益率は16%から27%台と高い水準を維持していますが、直近2期は原材料価格の高騰などの影響により利益率がやや低下傾向にあります。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 24.7億円 | 23.8億円 | 19.2億円 | 18.5億円 | 19.8億円 |
| 経常利益 | 5.8億円 | 6.5億円 | 3.7億円 | 3.4億円 | 3.3億円 |
| 利益率(%) | 23.3% | 27.2% | 19.0% | 18.5% | 16.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.0億円 | 4.6億円 | 2.4億円 | 2.5億円 | 2.5億円 |
■(2) 損益計算書
前期と当期の損益構成を比較すると、当期は増収となった一方で、売上原価の増加などにより売上総利益率は50.8%から51.1%と微増にとどまり、営業利益はわずかに減少しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 18.5億円 | 19.8億円 |
| 売上総利益 | 9.4億円 | 10.1億円 |
| 売上総利益率(%) | 50.8% | 51.1% |
| 営業利益 | 3.0億円 | 2.9億円 |
| 営業利益率(%) | 16.4% | 14.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.0億円(構成比28%)、研究開発費が0.8億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
日本セグメントはロボットハンド関連製品などの拡販により増収となりましたが、利益は減少しました。韓国およびその他セグメントにおいても増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 14.8億円 | 15.6億円 | 3.0億円 | 2.8億円 | 17.9% |
| 韓国 | 3.3億円 | 3.7億円 | 0.2億円 | 0.2億円 | 4.2% |
| その他 | 0.4億円 | 0.5億円 | -0.1億円 | -0.0億円 | -1.6% |
| 連結(合計) | 18.5億円 | 19.8億円 | 3.0億円 | 2.9億円 | 14.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー・パターンとなっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.8億円 | 4.3億円 |
| 投資CF | -1.9億円 | -6.9億円 |
| 財務CF | -0.8億円 | -1.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は93.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
経営方針として「コンバム・パッドNo.1」と「お客様を大事にする」を掲げています。パイオニアメーカーとして蓄積されたノウハウと経験を活かして業界No.1を目指すとともに、自動化・省力化機器の発展に貢献する顧客のニーズに真心をもって対応し、役に立てる企業を目指しています。
■(2) 企業文化
法令の遵守に基づく企業倫理の重要性を認識し、周辺環境の変化に対応した迅速な経営判断と、経営の健全性の向上を図ることを企業経営の基礎としています。また、製品使用上での環境に及ぼす影響に配慮し、地球環境と調和した人間性豊かな社会の実現に貢献する環境保全への取り組みも進めています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的に売上および利益を伸長させ、企業価値を高めることを目指しており、目標とする重要な経営指標として以下の項目を掲げています。
・売上高
・経常利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
各業界のニーズを見極めた新製品開発を進め、顧客満足度の向上によるシェア拡大を目指しています。また、新規開発や生産効率改善に向けた生産設備と人材への積極投資を行い、将来を見据えた最適な生産体制を構築します。さらに、生産現場へのロボット導入の拡大を背景に、ロボットハンド事業の強化にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業の拡大に向けて、優秀な技術者の安定確保ならびに育成が重要であると認識しており、新卒および中途採用を積極的に進めています。また、技術者に対しては技術向上のための教育や支援を継続的に実施し、将来を見据えた人材への積極投資と人材の多様性確保に向けた方針の作成も検討しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 42.5歳 | 12.9年 | 4,732,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は関連法令の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 主力製品の需要予測と納期管理に関するリスク
同社製品のユーザーのほとんどは産業機械業界に属しており、短納期の要求が極めて高くなっています。そのため、ユーザーの需要予測に基づく計画生産を推進していますが、多品種であることから需要予測が困難であり、予測が外れた場合には納期に間に合わず失注となるリスクがあります。
■(2) 販売店経由の販売方法に伴うリスク
同社グループの売上高のほとんどは、FA機器の専門商社を中心とした販売店を経由した販売となっています。個々の販売店とは長期納入契約を締結していないため、主要販売先の購買方針の変更や、海外販売店に対する販売支援が期待通りの成果を上げられなかった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定事業所への生産集中と人材確保に関するリスク
同社グループの主たる生産拠点は岩手事業所1ヶ所に集中しており、自然災害等で操業に支障を来たした場合には製品供給が不可能になるリスクがあります。また、真空機器分野では専門知識を有する人材が少なく、必要な人材の確保が計画通りに進まない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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