ホープ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ホープ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ホープは東証グロース市場および福証Q-Boardに上場しています。自治体の財源確保と経費削減を支援する広告事業や、官民連携を促進するジチタイワークス事業などを展開しています。直近の業績では、ジチタイワークス事業の成長が大きく寄与し、売上高は増収、営業利益および経常利益も増益となる好調なトレンドです。


※本記事は、株式会社ホープの有価証券報告書(第33期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ホープってどんな会社?


ホープは、自治体に特化したサービスを展開し、自治体の財源確保と官民連携の促進を支援する企業です。

(1) 会社概要


2005年に福岡県で創業し、2006年に自治体の広告化支援サービスを開始しました。2009年にホープへ商号変更し、2016年に東証マザーズ等に上場しています。2019年のジチタイワークス事業開始を経て、2021年に持株会社体制へ移行、2022年にチェンジホールディングスと資本業務提携を結びました。

現在の従業員数は連結で217名、単体で209名体制となっています。筆頭株主は資本業務提携先である事業会社のチェンジホールディングスで、第2位はE.T.、第3位には創業者の時津孝康氏が名を連ねており、事業パートナーとの協働体制と安定した経営基盤を構築しています。

氏名 持株比率
チェンジホールディングス 18.80%
E.T. 9.75%
時津孝康 9.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長CEOは時津孝康氏が務めており、取締役における社外取締役の割合は40.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
時津孝康 代表取締役社長CEO 2005年同社代表取締役社長に就任。ジチタイアド代表取締役社長などを経て、2017年より現職。マチイロ代表取締役社長なども兼任。
森新平 取締役副社長COO 2008年同社入社。取締役、人事部長兼経営企画部長等を経て、2017年取締役COOに就任。ジチタイワークス代表取締役社長などを兼任し、2026年より現職。
大島研介 専務取締役CFO 2011年同社入社。管理部長を経て同年に取締役に就任。ジチタイアド取締役などを兼任し、2026年より現職。


社外取締役は、平田えり(弁護士法人西村あさひ法律事務所福岡事務所)、櫻井慎也(チェンジホールディングス執行役員CFO室長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「広告事業」「ジチタイワークス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 広告事業


自治体が保有するホームページや広報紙などの広告枠を仕入れて民間企業に販売するサービスや、自治体と協働して住民向け情報冊子を制作・寄贈するサービスを展開しています。自治体の財源確保や経費削減を支援するとともに、民間企業には広告効果という付加価値を提供しています。

収益源は、民間企業への広告枠の販売や広告掲載に伴う役務提供の対価であり、広告掲載期間や媒体の発行時点で収益を得ています。本事業の運営は、主に同社および子会社のジチタイアドが行っています。

(2) ジチタイワークス事業


自治体と民間企業のニーズを繋ぎ、各種課題の解消を図るBtoGソリューションや、自治体職員向けの行政マガジン「ジチタイワークス」の無償提供を行っています。また、自治体向けに事業を展開したい民間企業へのマーケティング支援や、有益な民間サービスを比較できる情報流通プラットフォームも展開しています。

主な収益源は、行政マガジンにおける広告掲載枠の販売、広告掲載の役務提供、および官民連携のサービス提供による民間企業からの対価です。本事業の運営は、主に子会社のジチタイワークスが行っています。

(3) その他


企業版ふるさと納税制度の活用を促進し、自治体と民間企業をマッチングする支援活動や、空き家所有者からの総合相談窓口を担う空き家対策関連事業を行っています。また、自治体の広報紙やニュースをスマートフォンで閲覧できるアプリ「マチイロ」の運営も行っています。

主な収益源は、企業版ふるさと納税支援に伴うマッチングの対価や、空き家の流通サポートによるソリューション提供の対価、アプリの運営に伴う収益です。本事業の運営は、主に同社および子会社のマチイロが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一時的に減少を経験したものの、その後は着実な回復傾向を示し、36億円規模まで拡大しています。経常利益は大幅な赤字から黒字転換を果たし、以降は利益率の改善とともに順調に成長を続けています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 356億円 22億円 26億円 31億円 36億円
経常利益 -167億円 2億円 2億円 3億円 3億円
利益率(%) -47.0% 7.4% 8.9% 9.4% 9.6%
当期利益(親会社所有者帰属) -45億円 49億円 2億円 4億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益と営業利益も着実に成長しています。特に売上総利益率は約60%から66%近くまで改善し、高付加価値なサービスの拡大が利益率の向上に寄与していることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 31億円 36億円
売上総利益 19億円 24億円
売上総利益率(%) 60.0% 65.8%
営業利益 3億円 3億円
営業利益率(%) 9.3% 9.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が6.8億円(構成比33%)、外注費が3.3億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


広告事業は安定的な成長を目指しつつも微減収となりましたが、ジチタイワークス事業は官民連携の需要拡大やマーケティング支援の積極展開により大幅な増収を達成しました。また、その他事業も順調に売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
広告事業 19億円 18億円
ジチタイワークス事業 11億円 15億円
その他 2億円 3億円
調整額 -0億円 -0億円
連結(合計) 31億円 36億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金と、新たな資金調達によって事業拡大のための投資を積極的に行う「積極型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 2億円 2億円
投資CF 0億円 -2億円
財務CF -3億円 1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」を企業理念に掲げています。自治体が自ら新たな財源を生み出し、経費削減を実現するための提案を行い、確保した財源で住民サービスの向上に繋げることを目指しています。日本全国に暮らす人々全員に新たな価値を提供し、ともに成長することが同社グループの事業目的です。

(2) 企業文化


従業員との共通認識を形成することが、組織の一体感と自律的な成長を支える基盤であると考えており、経営陣との対話や相互理解を重視しています。経営陣と従業員が直接対話する「ななかい」や、気づきや学びを共有する「週報」の活用、相互理解を深める社内報など、独自のコミュニケーション施策を通じて企業文化を継続的に共有・醸成しています。

(3) 経営計画・目標


2025年3月期を初年度とする3か年の中期経営計画を策定しています。2024年3月期の営業利益を基準に、積極的な成長を目標として掲げています。また、営業利益成長率および従業員一人当たりの売上総利益を重要な経営指標として定め、それらの維持または向上を方針としています。

* 3か年の営業利益年平均成長率25%
* 2027年3月期の営業利益4.5億円

(4) 成長戦略と重点施策


適切な資源配分によるオーガニック成長の実現や、リスクマネジメント機能の強化、攻守兼ね備えた強固なミドル層の構築に積極的に取り組んでいます。中核事業であるジチタイワークス事業を花形事業と位置づけ、ブランド価値の向上と事業規模の拡大を牽引役とします。さらに、生産性向上に向けた業務改革とDX推進を通じ、継続的な競争力の強化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本を価値創造の源泉と位置づけ、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮できる組織づくりを推進しています。柔軟な働き方に関する制度の整備や、ミドル層の育成プログラム「ミドツク」、次世代管理職育成プログラム等の充実により、従業員が意欲を高めて主体的に成長できる環境を提供し、人的資本価値の向上に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 34.9歳 5.0年 5,085,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 41.2%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 83.4%
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男性育児休業取得率および正規・非正規別の男女賃金差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「従業員の状況」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者に占める女性労働者の割合(61.1%)、有給休暇取得率(77.5%)、離職率(6.90%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 広告入札と商品仕入に関するリスク


広告事業のSRサービスにおいて販売する広告枠の大部分は自治体からの入札により仕入れています。他社の応札金額の高騰により高い金額での落札となった場合や、最低落札価格の引き上げ等で十分に商品仕入が行えなくなった場合、売上原価の上昇などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 業績の季節変動によるリスク


広告事業の冊子発行(マチレット)等において、子育て情報冊子などの発行が特定の時期に集中する傾向があり、売上や利益が偏重することがあります。受注計画および制作計画が想定通りに進まなかった場合、安定的な収益確保に支障が生じ、事業運営や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 組織におけるマネジメント人材不足のリスク


事業規模の拡大に伴い、中核的な役割を担う人材の確保と育成を持続的な成長のための課題と認識しています。教育制度の構築やミドル層・経営者候補の育成に積極的に取り組んでいますが、人材の確保や育成が計画通りに進まなかった場合、将来的にマネジメント人材不足に陥り、業務執行に影響が生じる可能性があります。

(4) 個人情報の漏洩による信用リスク


事業運営において顧客の個人情報を取り扱っており、情報セキュリティマネジメントシステムの運用など厳重な対策を講じています。しかしながら、万が一個人情報が外部に流出した場合には、社会的信用の毀損や企業イメージの低下、さらには損害賠償請求等が発生し、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。