千代田インテグレ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

千代田インテグレ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する千代田インテグレは、OA機器やAV機器、通信機器などの機構部品や機能部品の製造・販売をグローバルに展開しています。直近の業績トレンドは、主要分野の生産調整や中国経済の低迷による需要回復の遅れなどの影響を受け、前年同期比で減収減益となっています。


※本記事は、千代田インテグレ株式会社の有価証券報告書(第70期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 千代田インテグレってどんな会社?


機構部品や機能部品の製造・販売を中心に、アジアをはじめグローバルに事業を展開する部品メーカーです。

(1) 会社概要


1955年に千代田フエルトとして設立され、1988年に千代田インテグレへ社名変更しました。1978年のシンガポール進出を皮切りに、マレーシア、中国、米国などへ海外拠点を拡大しています。2002年には東京証券取引所市場第一部に上場し、2022年の市場再編でスタンダード市場へ移行しました。

従業員数は連結で2,756名、単体で223名です。筆頭株主は投資会社のいちごトラスト・ピーティーイー・リミテッドで、第2位および第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねており、機関投資家や信託口が上位を占める株主構成となっています。

氏名 持株比率
いちごトラスト・ピーティーイー・リミテッド(常任代理人 香港上海銀行東京支店) 32.21%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.48%
日本生命保険相互会社(常任代理人 日本マスタートラスト信託銀行) 4.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役会長兼社長は小池光明氏が務めています。取締役11名のうち4名が社外取締役であり、社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
小池光明 代表取締役会長兼社長 1969年同社入社。シンガポール現地法人の社長等を経て、2002年代表取締役社長に就任。2017年より代表取締役会長、2021年より現職。
村澤琢己 取締役専務執行役員商品開発部長 1983年同社入社。国内事業統括や東京支店長などを経て、2011年常務取締役に就任。関東事業所長や海外部長を歴任し、2023年より現職。
村田功 取締役常務執行役員管理本部長兼経理部長 1985年同社入社。2012年に経理部長となり、サンフェルト監査役等を歴任。2017年に取締役就任。2024年1月より管理本部長を兼任し、現職。
辻智晴 取締役執行役員品質保証部長 1982年リバーエレテック入社、同社取締役を経て2007年同社入社。関東営業所営業部長等を歴任し、2017年に取締役に就任。2025年より現職。
稲葉淳一 取締役執行役員海外部長 1982年日本電気入社、新光商事常務取締役等を経て2022年同社顧問。2023年社外取締役となり、2024年より取締役執行役員として現職。


社外取締役は、眞下修(元タカラトミー専務取締役事業統括本部長)、竹本雅則(東京中小企業投資育成常務取締役)、寺田由美(HRリスペクト代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「東南アジア」「中国」「北米」および「その他」の事業を展開しています。

(1) 日本


OA機器、AV機器、通信機器などの機構部品や機能部品を製造しています。また、子会社のサンフェルトにおいて、手芸関係や服飾雑貨等のメーカー向けにフェルト製品の加工・販売を行っています。

国内の電気メーカー等への製品販売が主な収益源です。また、海外子会社への原材料販売やロイヤリティーの受取も行っています。運営は親会社である千代田インテグレおよび子会社のサンフェルトが担っています。

(2) 東南アジア


東南アジア地域におけるOA機器やAV機器などの機構部品、機能部品の製造・販売を展開しています。一部の製品は東南アジアおよび中国の子会社に製造を委託し、完成品を購入・販売しています。

所在地国の電気メーカー等への製品販売が主な収益源です。運営はシンガポールのCHIYODA INTEGRE CO.(S)PTE.LTD.をはじめ、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンの各現地法人が行っています。

(3) 中国


香港および中国の電気メーカー等を顧客とし、各種機器の機構部品や機能部品の製造・販売を行っています。また、自動車メーカー等からの注文に応じた部品の購入・販売事業も手がけています。

中国国内および香港の電気メーカー等への販売が主な収益源です。運営は千代達電子製造(香港)有限公司を中心に、中山、東莞、大連、蘇州、山東の各製造子会社と、上海の貿易子会社が連携して行っています。

(4) 北米


北米地域において、OA機器、AV機器、通信機器などの機構部品や機能部品の製造・販売を行っています。また、メキシコの車両メーカー等向けの部品製造・販売も展開しています。

米国の電気製品メーカーやメキシコの車両メーカーへの製品販売が主な収益源です。運営は米国のCHIYODA INTEGRE OF AMERICA,INC.と、メキシコのCHIYODA INTEGRE DE BAJA CALIFORNIA S.A.DE C.V.などが担っています。

(5) その他


欧州地域の電気メーカー等を顧客として、OA機器、AV機器などの機構部品や機能部品の製造・販売を行っています。また、グループ全体の売上増加に向けた営業活動も実施しています。

欧州地域の顧客への製品販売による収益が柱となっています。運営はスロバキアの現地法人CHIYODA INTEGRE SLOVAKIA,s.r.o.と、ドイツの現地法人CHIYODA INTEGRE Europe GmbHが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は400億円前後で推移してきましたが、当期は需要回復の遅れなどの影響で減収となりました。一方、利益面は堅調に推移しており、一定水準の利益率を維持しています。当期純利益については特別利益の計上などもあり、大きく増加する結果となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 400億円 394億円 394億円 412億円 380億円
経常利益 30億円 38億円 38億円 47億円 33億円
利益率(%) 7.6% 9.6% 9.6% 11.3% 8.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 27億円 30億円 47億円 41億円 67億円

(2) 損益計算書


当期は減収に伴い売上総利益・営業利益ともに減少しています。利益率の観点では、売上総利益率はほぼ横ばいを維持しているものの、販管費の負担割合が相対的に高まったことで営業利益率は低下する結果となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 412億円 380億円
売上総利益 113億円 105億円
売上総利益率(%) 27.4% 27.5%
営業利益 39億円 30億円
営業利益率(%) 9.4% 7.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が30億円(構成比40%)、運送費が7億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上動向を見ると、北米およびその他地域は堅調に推移し増収となったものの、中国では市場の低迷によるOA・AV機器向けの落ち込みが響き、東南アジアや日本でも主要分野の低調が影響して減収となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
日本 101億円 97億円
東南アジア 149億円 137億円
中国 113億円 94億円
北米 42億円 43億円
その他 8億円 9億円
連結(合計) 412億円 380億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 52億円 41億円
投資CF -31億円 16億円
財務CF -34億円 -46億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は80.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、経営ビジョンとして「100年企業=『連邦経営』の継続」を掲げています。これは、各拠点のビジネスに必要な責任と権限を与え、グループ全体の相乗効果を最大化する独自の経営スタイルです。これを基盤に、ソフトプレスを柱としたグローバル企業を目指し、進出する全エリアでの成功を追求しています。

(2) 企業文化


同社は「経営信条」とともに、社会的責任を果たすための「CSRガイドライン」を定めています。従業員一人ひとりがコンプライアンスの意識を高め、倫理観に基づく誠実な行動を実践することを重視しています。また、環境問題への配慮やステークホルダーとの信頼関係構築を大切にする文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中期経営計画(2025年〜2027年)において以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:450億円
* 営業利益:42.5億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:34億円
* ROE:8.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「高付加価値ビジネスの拡大」を通じた持続的な成長と収益力の強化を成長戦略の基本方針としています。これを実現するため、以下の重点施策を掲げています。

* 企業間連携や協業を通じた新たな成長の柱の構築
* 主要顧客との関係強化によるシェア拡大
* 独自の加工技術と製品の複合化による競争優位性の確立
* 中長期の人材育成と最適な人事異動の実施
* 管理部門のDXによる生産性向上と企画・提案業務の推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、100年企業に向けた持続的な成長のため、従業員の可能性と創造性を引き出し、能力を最大限に発揮できる環境整備に取り組んでいます。具体的には、研修内容の刷新や教育制度の充実化、人事、能力開発、評価、福利厚生に関する諸制度の拡充を通じ、従業員エンゲージメントの向上と多様な人材の活躍を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 39.7歳 15.2年 7,414,720円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.3%
男性育児休業取得率 125.0%
男女賃金差異(全労働者) 49.3%
男女賃金差異(正規雇用) 71.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 98.6%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(86.7%)、GHG排出量削減実績(35.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 最終製品の販売動向等の影響


同社の取扱部品はOA・AV機器等の製品に使用されるため、これら最終製品の流行や競合状況による需要変動の影響を受けます。販売動向や在庫状況が納入価格に波及し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原材料調達の変動


原材料は国内外の複数メーカーから調達していますが、石油価格の高騰や急激な需要増加により需給バランスが崩れる懸念があります。調達が困難になったり価格が著しく上昇したりした場合、業績に影響するリスクがあります。

(3) 急速な技術革新への対応


同社が扱う電子・電気部品の分野では、技術革新や顧客ニーズの変化が頻繁に起こります。想定外の新技術や新部品が出現し、事業環境の変化に迅速に対応できない場合、競争力が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) カントリーリスクおよび為替相場の変動


同社はアジアを中心にグローバルに事業を展開しており、各国の政治・経済状況の変化や法律・税制の改正が業績に影響を及ぼすカントリーリスクがあります。また、外貨建て取引や現地法人の円換算に伴う為替相場の変動リスクを抱えています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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