オプテックスグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オプテックスグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オプテックスグループはプライム市場に上場し、防犯用や自動ドア用、産業機器用の各種センサー等の開発・製造・販売を主力事業としています。直近の業績では、大型重要施設向けのソリューション販売などが好調に推移した結果、売上高は659億円、経常利益は80億円となり、順調な増収増益を達成しています。


※本記事は、オプテックスグループ株式会社の有価証券報告書(第47期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オプテックスグループってどんな会社?


センサー技術を駆使し、防犯や自動ドア、FA分野に向けた製品を提供するグローバル企業です。

(1) 会社概要


同社は1979年に自動ドア用および防犯用センサーの開発・販売を目的として設立されました。1991年に店頭登録を果たした後、2001年に東証二部、2003年に東証一部へ上場しました。2017年には持株会社体制への移行に伴い、現在のオプテックスグループへと商号を変更し、直近ではミツテックなどの完全子会社化を通じて事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で2,162名、単体で17名となっています。筆頭株主は信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)で、第2位も同様に信託業務を担う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)です。上位株主には海外金融機関も名を連ねています。

氏名 持株比率
日本カストディ銀行(信託口) 12.90%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.29%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 5.86%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は中島達也氏が務めています。社外取締役は4名です。

氏名 役職 主な経歴
中島達也 代表取締役社長 2016年オプテックス・エフエー入社。2018年同社代表取締役社長。2023年同社代表取締役社長に就任。2024年オプテックス・エフエー取締役会長より現職。
上村透 代表取締役副社長 2006年同社入社。2014年同社取締役。2017年オプテックス代表取締役社長。2024年同社代表取締役副社長に就任。2025年オプテックス取締役会長より現職。
山名幸輝 取締役CFO 2005年オプテックス・エフエー入社。2017年同社取締役。2021年同社統括リーダー。2024年同社取締役兼CFOより現職。


社外取締役は、吉田和弘(元パナソニックエコソリューションズ社技術本部長付)、根岸祥子(同志社大学政策学部准教授)、木田稔(監査法人グラヴィタス最高経営責任者)、飯島敬子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「SS事業」「IA事業」「EMS事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) SS事業


防犯、自動ドア、社会・環境関連の各種センサーおよび同装置に関するシステムの開発・製造・販売を行っています。データセンターなどの重要インフラ向け侵入検知システムや、駐車場管理システム向けの車両検知センサーなどを提供しています。
顧客に対する製品およびソリューションの販売を主な収益源としています。事業の運営は主にオプテックスや技研トラステムなどの国内子会社が担うほか、海外でも多数の現地法人が展開しています。

(2) IA事業


ファクトリーオートメーション用光電センサー、画像処理用LED照明装置および制御装置、産業用コンピュータシステム、自動化機械装置などの開発・製造・販売を行っています。
顧客に対する製品およびシステムの販売を主な収益源としています。運営は主にオプテックス・エフエー、シーシーエス、サンリツオートメイション、ミツテックなどが担っています。

(3) EMS事業


同社グループ製品の製造および電子機器の受託生産サービスを提供しています。
グループ内および外部顧客からの生産受託を主な収益源としています。運営は主に国内のオプテックス・エムエフジーや、中国などの海外子会社が行っています。

(4) その他


アウトドアアクティビティおよび環境体験学習施設の運営を行っています。
施設の利用者からのサービス料金を主な収益源としています。運営はオーパルオプテックスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は459億円から659億円へと順調に拡大を続けています。経常利益も51億円から80億円へと成長しており、利益率は11%から12%台で安定して推移しています。ソリューション提案事業への移行が奏功し、堅調な業績拡大が続いています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 459億円 548億円 564億円 633億円 659億円
経常利益 51億円 70億円 63億円 77億円 80億円
利益率(%) 11.2% 12.8% 11.1% 12.2% 12.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.9億円 2.8億円 4.3億円 2.4億円 17.9億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も拡大しています。高収益製品であるソリューション関連の販売増などにより原価率が低減し、営業利益率も11%台から12%台へと向上しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 633億円 659億円
売上総利益 319億円 343億円
売上総利益率(%) 50.4% 52.1%
営業利益 71億円 82億円
営業利益率(%) 11.2% 12.4%

(3) セグメント収益


SS事業は、国内外における大型重要施設向けの防犯ソリューション販売や、駐車場向けの車両検知センサー販売が好調に推移し増収を牽引しました。IA事業は米国の関税政策の影響などで横ばいとなり、EMS事業は生産受託案件の低調により減収となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
SS事業 284億円 310億円
IA事業 337億円 337億円
EMS事業 10億円 10億円
その他 1億円 1億円
報告セグメント計およびその他 633億円 659億円
連結(合計) 633億円 659億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」の傾向を示しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 77億円 94億円
投資CF -9億円 -38億円
財務CF -38億円 -44億円


企業の収益力を測るROEは12.5%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も72.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ベンチャースピリット溢れる企業集団を目指す。」を企業理念に掲げています。自らの行動を変革し、新しい事業創出に挑戦することで、「安全・安心」また「快適」で「高効率」な社会を作り出すことを目指し、持続可能な社会の創出に寄与することを基本方針としています。

(2) 企業文化


社員一人一人の自己実現の場として、人と企業がともに成長していくことを重視しています。得意とするセンシング技術などを駆使し、世の中に存在するさまざまな不安や不快、不便から「不」を取り除く仕事を「ふとるビジネス」と位置づけ、課題解決を通じた社会貢献と企業価値の向上を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、企業価値の持続的な向上を目指し、以下の数値を目標とする経営指標として掲げています。
・連結売上高10%伸長
・営業利益率15%以上
・ROE15%以上

(4) 成長戦略と重点施策


従来のハードウェアとしての「モノ売り」から、顧客にトータルな課題解決策を提供する「ソリューション提案ビジネス」への移行を推進しています。各事業会社での選択と集中の徹底やグループシナジーの創出、新規事業の育成、M&Aの活用を通じて付加価値を高め、事業領域の拡大と収益性の向上を図っていきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、グループ全社員が安心して快適に働ける職場環境の整備を進めるとともに、多様な人材が能力を高め合い活躍できるダイバーシティ推進に注力しています。ワーク・ライフバランスと生産性向上の両立を目指す働き方改革や、階層別研修・語学研修などの人材育成にも多角的に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 47.5歳 19.3年 8,519,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.5%
男性育児休業取得率 75.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 67.5%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 74.5%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 44.9%

※数値は連結子会社であるオプテックスのものです。同社(提出会社)は公表義務の対象ではないため有報には記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 為替変動によるリスク


同社グループは連結売上高の約6割を海外で稼いでおり、米ドルやユーロなどの主要通貨および新興国通貨の為替レートの急激な変動が長期化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、海外生産の維持による外貨建支出のバランス改善などの為替ヘッジ策を講じています。

(2) 海外活動にかかる法的規制リスク


事業を展開する国や地域において、法令の重要な変更や税制、為替政策の変化、輸出入規制の強化などがあった場合、業績に影響を与える可能性があります。グローバルな経済状況を常に把握し、現地の拠点を通じて迅速に対応できる体制を構築しています。

(3) 生産用部材等の調達リスク


製品の生産に必要な部材等は国内外から調達しており、世界的な電子部品の需給逼迫や価格高騰が長期化した場合、生産活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。代替部材の検討や仕入先の複数化を進め、安定的な調達を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。