ウインテスト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウインテスト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ウインテストは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、半導体検査装置の開発・製造・販売を主力事業としています。イメージセンサーやディスプレイドライバIC向けの検査装置等を提供しています。直近の業績は、AI関連以外の半導体設備投資の低迷等により売上高は微増したものの、営業赤字となり減益傾向です。


※本記事は、ウインテスト株式会社の有価証券報告書(第33期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月31日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ウインテストってどんな会社?


ウインテストは、半導体検査市場において、主にディスプレイやイメージセンサー向けの検査装置を展開する企業です。

(1) 会社概要


1993年に有限会社として創業し、1995年にウインテストを設立して自動検査装置の開発を開始しました。2003年に東証マザーズへ上場し、2014年に東証二部へ市場変更、2022年にスタンダード市場へ移行しました。2019年にファブレスから自社製造工場所有へ転換し、中国武漢市に製造拠点を開設しています。

現在の従業員数は連結で68名、単体で49名です。大株主については、筆頭株主が中国の半導体検査装置メーカーであるWuhan Jingce Electronic Group Co., Ltd.であり、第2位はRAKUGEN OVERSEAS INTERNATIONAL (HK) LIMITEDとなっています。

氏名 持株比率
Wuhan Jingce Electronic Group Co., Ltd. 37.28%
RAKUGEN OVERSEAS INTERNATIONAL (HK) LIMITED 6.83%
楽天証券共有口 2.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役 開発部担当の姜輝氏が経営を牽引しています。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
姜輝 代表取締役開発部担当 1992年に上海中和軟件有限公司へ入社し、1997年に同社へ入社しました。開発部長などを経て2018年より現職。
樋口真康 専務取締役経営企画室CSR室営業部総務経理部担当 1979年にリコーへ入社し、テラダインなどを経て2003年に同社へ入社しました。2010年に専務取締役に就任し現在に至ります。
彭騫 取締役 広州愛斯佩克環境儀器有限公司などを経て、2006年に武漢精測電子集団の総経理などを歴任し現董事長。2019年より現職。
袁樹風 取締役 2000年にZTE上海研究所へ入社し、モトローラ等を経て2019年に武漢精測電子集団の董事総経理に就任。2024年より現職。
木名瀬昭一 取締役(監査等委員) 1974年に日立製作所へ入社し、グローバル事業推進センター長などを経て、2019年より現職。


社外取締役は、伊達雄介(新千代田総合法律事務所パートナー弁護士)、大堀浩(福八経営デザイン代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「半導体検査装置事業」を展開しています。

(1) 半導体検査装置事業


先端ロジックIC、イメージセンサーIC、ディスプレイのアレイおよびディスプレイドライバICの製造工程に使用される検査装置の開発、製造、販売、技術サポートを提供しています。シリコンウェーハ検査の前工程から、ICやディスプレイの組立後のパッケージ検査の後工程まで、幅広い電気的検査に対応しています。

顧客である半導体メーカーや検査受託会社に対し、検査装置の販売や付随する技術サポートを提供することで収益を得ています。事業の運営は、研究開発や次世代装置の開発を日本の同社(横浜本社および大阪事業所)が行い、既存装置の量産や品質管理、中国市場での販売サポートを子会社の偉恩測試技術(武漢)有限公司が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が2億円から4億円台で推移していますが、継続して経常赤字を計上しています。半導体市場におけるAI関連以外の設備投資凍結などの影響を受け、利益面では苦戦が続いています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 3.1億円 2.1億円 4.1億円 4.2億円 4.3億円
経常利益 -6.7億円 -6.8億円 -5.5億円 -10.9億円 -12.2億円
利益率(%) -217.4% -325.1% -135.5% -262.3% -283.9%
当期利益 -5.1億円 -5.5億円 -5.0億円 -13.9億円 -10.5億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となったものの、売上原価の増加により売上総利益の赤字幅が拡大しています。また、販売費及び一般管理費も高止まりしており、営業利益の赤字が続いています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 4.2億円 4.3億円
売上総利益 -3.4億円 -4.9億円
売上総利益率(%) -81.2% -114.4%
営業利益 -10.8億円 -12.2億円
営業利益率(%) -259.8% -284.0%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が2.2億円(構成比30%)、給料及び手当が1.7億円(同23%)を占めています。また、売上原価のうち棚卸資産評価損が6.0億円(構成比65%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社グループは半導体検査装置事業の単一セグメントです。AI関連以外の半導体市場における設備投資の凍結により受注が伸び悩んだものの、売上高は前期から微増となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
半導体検査装置事業 4.2億円 4.3億円
連結(合計) 4.2億円 4.3億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ウインテスト社のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純損失や売上債権の増加により減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出が主な要因で減少しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による株式発行収入が長期借入金の返済を上回ったため増加しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -6.6億円 -7.5億円
投資CF -0.0億円 -0.3億円
財務CF 1.7億円 6.7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「半導体の自動検査技術で人々の豊かな生活と幸せ、社会の発展に貢献します。」をミッションとして掲げています。また、ビジョンとして、人とデジタルを繋ぐ主要インターフェースであるディスプレイと周辺デバイス、およびイメージセンサーをはじめとする半導体の自動検査におけるトップリーダーを目指し、世界的企業へと成長することを目標としています。

(2) 企業文化


同社は、会社価値の創造において優先するバリューとして、顧客満足を第一にすることを定めています。また、自分の事業領域に常に創造・挑戦しNo.1を目指すこと、高い製品品質と持続的な改善を通じて顧客に貢献することを重視しています。さらに、PDCAを早く回してスピード感を持って目標を達成し、仕事を通じて豊かで生きがいのある人生を構築する行動様式を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、人とデジタルを繋ぐ最も重要な半導体を検査する事業を主軸に拡大を図り、「売上高経常利益率20%以上の確保と配当性向30%の回復」を中短期の目標として掲げています。

* 売上高経常利益率20%以上の確保
* 配当性向30%の回復

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、次世代ディスプレイドライバICやイメージセンサー、先端ロジックデバイス向け検査装置の設計開発と製造・販売を継続し、主要市場を中国や台湾へ移して既存事業の拡大を図ります。さらに、MGC機器事業(自重補償機構技術による昇降補助装置)やヘルスケア管理システム、強アルカリ水素イオン洗浄水など、周辺領域への事業多角化を推進して収益基盤の拡充と黒字化を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「人材は、持続可能な企業価値の向上の源泉」であると考え、人的資本への投資を推進しています。性別、国籍、年齢等にとらわれない人物本位の採用と登用を行い、適材適所の配置を進めています。また、技術の承継と新たな技術の習得、グローバル人材の育成に主眼を置き、階層別教育や職種別教育、全社共通教育などを通じて、事業発展の基礎となる人材の育成と獲得に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 53.6歳 19.8年 5,273,272円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.5%
男性育児休業取得率 -
男女の賃金の差異(全労働者) -
男女の賃金の差異(正規雇用労働者) -
男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女の賃金の差異の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、月間平均残業時間が20時間以上の従業員数(7名)、有給休暇年間取得実績が8日未満の従業員数(13名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 半導体検査装置市場の変動


同社の主力である半導体検査装置事業は、デジタル家電やスマートフォン、パソコンといった情報端末関連市場の動向に左右されます。一時的な在庫調整やシリコンサイクルの影響を受けやすく、感染症の発生や天変地異、金融市場の収縮が起きた場合、検査装置の売上が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 検査装置分野での競争激化


イメージセンサーやディスプレイドライバICの検査装置分野には強力な国内外の競合メーカーが存在し、簡易検査装置も台頭しています。同社はコストパフォーマンスの高い装置供給で差別化を図っていますが、競合他社が経営資源をさらに投入したり、新規参入があったりした場合、市場競争力やシェアが低下する可能性があります。

(3) 特定の販売先・地域への依存


同社は中国・台湾向けを主力市場と位置づけており、当期の売上比率は日本向けが約4割、中国・台湾向けが約6割を占めています。中国の子会社を窓口として直接営業体制への移行を進めるなどリスク分散を図っていますが、特定の販売地域において政治的・経済的な大きな変化が発生した場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。