CGSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

CGSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。CAD/CAMシステムの開発・販売および金型製造を主力事業として展開する企業です。直近の業績は、主力製品の販売拡大や新規子会社の連結化などが大きく寄与し、売上高が前期比で増収となり、各段階利益も大幅な増益を達成して好調な成長トレンドを描いています。


※本記事は、株式会社CGSホールディングス(旧会社名 株式会社C&Gシステムズ) の有価証券報告書(第19期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. CGSホールディングスってどんな会社?


CAD/CAMシステムの開発と金型製造を主力とし、日本のモノづくりを支える製造業DXインテグレーターです。

(1) 会社概要


2007年、コンピュータエンジニアリングとグラフィックプロダクツの共同株式移転で設立され、ジャスダックに上場しました。2010年に両社を合併しC&Gシステムズへ商号変更しました。2025年4月の持株会社体制移行に伴いCGSホールディングスとなり、同年10月にはNDESを子会社化して事業を拡大しています。

従業員数は連結で299名、単体で16名です。筆頭株主は代表取締役会長の関連会社である山口クリエイトで、第2位は日本生命保険相互会社、第3位はCGSグループ従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
山口クリエイト 17.23%
日本生命保険相互会社(常任代理人日本マスタートラスト信託銀行) 4.73%
CGSグループ従業員持株会 3.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は塩田聖一が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
山口 修司 取締役会長(代表取締役) コンピュータエンジニアリング社長を経て、2007年CGSホールディングス代表取締役会長。2025年9月よりCGS取締役相談役。
塩田 聖一 取締役社長(代表取締役) コンピュータエンジニアリング専務等を経て2012年同社代表取締役社長。2025年10月よりC&Gシステムズ取締役相談役。
伴野 裕之 常務取締役 グラフィックプロダクツ開発部門長等を経て2012年同社常務取締役。2025年10月よりC&Gシステムズ代表取締役社長。
寺﨑 和彦 取締役 グラフィックプロダクツで海外営業を牽引し、海外子会社代表等を歴任。2025年10月よりC&Gシステムズ常務取締役。
春日 勝人 取締役 グラフィックプロダクツ営業部門長を経て2014年同社取締役。2025年10月よりC&Gシステムズ常務取締役および北米子会社代表。
小島 利幸 取締役管理統括部長 コンピュータエンジニアリング入社後、総務・人事部門を歴任し、2018年より同社取締役管理統括部長。2025年4月よりC&Gシステムズ取締役。
田尻 哲夫 取締役監査等委員 コンピュータエンジニアリング入社後、技術・品質管理・内部監査部門長を経て、2025年3月より同社取締役常勤監査等委員。


社外取締役は、橋本光(元ジャスダック・サービスIR支援部長)、影山隆雄(元日本電気主席技師長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「CAD/CAMシステム等事業」および「金型製造事業」を展開しています。

CAD/CAMシステム等事業


主に自動車向け金型・部品製造業の顧客に対し、CAD/CAMシステムの開発・販売、保守サービス、およびハードウェアの販売や受託開発を提供しています。

ソフトウェアのライセンス販売やサブスクリプション利用料、保守契約に基づくサービス料が主な収益源です。運営はC&Gシステムズ、NDES、および北米・アジアの海外子会社が行っています。

金型製造事業


主に北米の自動車部品市場の顧客に対して、金型の製造・販売・請負サービスを提供しています。工場を持たないファブレス方式を採用しています。

顧客に引き渡した金型の販売代金から収益を獲得するビジネスモデルです。当事業は米国に拠点を置く子会社のTritech International,LLCが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、期によって波があるものの、当期は売上高が50億円に達し、経常利益も4億円まで回復して増収増益の傾向を示しています。特に当期は積極的な販売活動や新規子会社の連結が貢献し、業績が大きく伸長しました。

項目 第15期 第16期 第17期 第18期 第19期
売上高 37億円 44億円 38億円 39億円 50億円
経常利益 4億円 5億円 2億円 2億円 4億円
利益率(%) 10.1% 11.6% 3.9% 5.6% 7.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 2億円 2億円 2億円 0.3億円

(2) 損益計算書


当期は売上高が前期から大きく増加し、50億円となりました。売上総利益率はやや低下したものの、売上規模の拡大により営業利益は3億円に達し、営業利益率も6.9%へと改善しています。

項目 第18期 第19期
売上高 39億円 50億円
売上総利益 26億円 31億円
売上総利益率(%) 66.0% 61.7%
営業利益 2億円 3億円
営業利益率(%) 4.0% 6.9%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が7億円(構成比27%)、給与手当が6億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


CAD/CAMシステム等事業は、主力製品の機能強化や新規子会社の連結化が寄与し、大幅な増収となりました。金型製造事業も、北米の自動車部品市場での積極的な営業展開により受注が拡大し、大きく売上を伸ばしています。

区分 売上(第18期) 売上(第19期)
CAD/CAMシステム等事業 35億円 41億円
金型製造事業 4億円 8億円
連結(合計) 39億円 50億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は47.2%で市場平均を下回っています。営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状態です。

項目 第18期 第19期
営業CF 2億円 3億円
投資CF -1億円 -2億円
財務CF -1億円 -1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「生産性の限界に挑戦する」を企業理念とし、「グローバル・ニッチ・トップ」をグループビジョンに掲げています。日本のモノづくり技術を東アジアやASEAN地域、さらに欧米市場へと展開し、世界の製造業の課題解決に取り組むことで、持続可能な社会の実現と長期的な企業価値の増大を目指しています。

(2) 企業文化


「お客様の満足と安心を第一主義とする」「経営資源を効果的に活用し、継続的発展を図る」「笑顔を絶やさず信念と希望に満ちた行動を続ける」「豊かな創造力を育み働く喜びを持てる企業文化を創る」という4項目の活動方針を重視しています。柔軟かつ機動的な意思決定を可能にする組織風土を構築しています。

(3) 経営計画・目標


持株会社体制のもと、CAD/CAM事業を中核として組織再編のシナジーを早期に創出し、積極的なM&Aや新規事業戦略の推進によりグループ規模の拡大を図る計画です。

* 売上高70億円(2028年までの短期事業計画目標)
* 売上高100億円(2030年までの中長期事業計画目標)

(4) 成長戦略と重点施策


「製造業DXインテグレーター」への進化を掲げ、スマートファクトリー領域の拡大と既存システムのクラウド化を推進します。AI技術の活用による工程集約や自動化を支援し、部品加工システムや生産管理システムを含めたトータルソリューションの提供により、国内外で高付加価値化と市場開拓を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


お客様の事業生産性向上に貢献するため、高度な技術力と金属加工の深い知見を備えた「スペシャリスト人材」の獲得・育成に注力しています。少子高齢化への対応として属性にとらわれない多様な人材の積極採用や中核人材の登用を進め、研修制度の拡充や多様な働き方が可能な環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
第19期 42.8歳 14.3年 5,609,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -

※同社および連結子会社は公表義務の対象ではない、または公表項目として選択していないため、有報には本項の一部記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、スペシャリスト人材の割合(15.1%)、有休消化率(65.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済動向や海外市場の変動リスク


製造業の設備投資意欲の低下や、海外における予期せぬ規制変更、為替変動等が業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は保守やサービスなど景気変動を受けにくい安定収益基盤の拡充を図り、海外拠点との情報共有を強化してリスク低減に努めています。

(2) 特定人物への依存リスク


北米の金型製造子会社において、代表取締役の業務遂行に大きく依存している状況があります。同社は過度な依存を脱却すべく、人事採用や育成による経営体制の強化、親会社からの経営管理強化を進め、不測の事態に備えています。

(3) 価格競争の激化と知的財産権のリスク


ソフトウェア市場での開発競争や価格競争の激化が収益性を圧迫するリスクがあります。また、ソフトウェアの違法コピーや第三者の知的財産権の侵害、情報漏洩のリスクに対して、セキュリティ技術の強化や分散保管などの対策を講じています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。