※本記事は、株式会社ナ・デックスの有価証券報告書(第76期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ナ・デックスってどんな会社?
同社は、自動車業界向けの抵抗溶接制御装置でトップシェアを誇る機械商社兼メーカーです。
■(1) 会社概要
1950年に名古屋電元社として設立され、1957年より主力の抵抗溶接制御装置の製作・販売を開始しました。1989年の米国進出を皮切りにグローバル展開を加速し、1995年に株式公開を果たしました。2024年には米国のEV充電関連企業を子会社化し、新たにスマートエナジー事業への展開を開始しています。
現在の従業員数はグループ全体で731名、単体で235名となっています。筆頭株主はアート・ギャラリー富士見で、第2位は外国法人のファンド、第3位は信託業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| アート・ギャラリー富士見 | 20.13% |
| BBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUND(常任代理人 三菱UFJ銀行) | 7.95% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口・80022口) | 5.08% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は進藤大資氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 進藤大資 | 代表取締役社長 | 2008年同社入社。経営企画室長、執行役員管理副本部長などを経て、2015年取締役就任。2021年専務取締役を経て、2023年より現職。 |
| 古川雅隆 | 取締役会長 | 1996年ダイシン入社後、名電産業を経て2005年同社入社。総務部長、役員室長、取締役、常務取締役などを経て、2021年より現職。 |
| 横地克典 | 常務取締役経営企画室長 | 1993年同社入社。機械部長、執行役員営業副本部長兼FAシステム事業部長を経て、2015年取締役就任。2021年より現職。 |
| 本田信之 | 取締役ソリューションセンター長 | 1981年川崎製鉄入社。九州松下電器を経て2013年同社入社。執行役員営業副本部長兼グローバル事業部長等を経て、2015年より現職。 |
社外取締役は、野口葉子(弁護士)、加藤康次(元アイホン代表取締役社長執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「北米」「中国」「東南アジア」の報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 日本
国内の自動車関連企業等を主要顧客とし、抵抗溶接制御装置等のプロセスソリューション事業、ロボット等のファクトリーオートメーション事業、システムインテグレーション事業などを展開しています。
収益は顧客からの設備や製品の販売対価として受け取ります。運営は主にナ・デックスやナ・デックスプロダクツ、タマリ工業などが行っています。
■(2) 北米
米国およびメキシコを中心に、自動車関連企業等へプロセスソリューション事業や、EVの普及に欠かせないインフラ整備を担うスマートエナジー事業などを提供しています。
収益源は製品販売やインフラ建設の対価などです。運営はNADEX OF AMERICA CORP.やUptime EV Charger, Inc.、NADEX MEXICANA, S.A. de C.V.などが行っています。
■(3) 中国
中国市場において、プロセスソリューション事業やファクトリーオートメーション事業などを中心に、現地の自動車関連企業等に向けて生産設備等を提供しています。
収益源は生産設備や製品の販売対価です。運営は那電久寿機器(上海)有限公司などが担当しています。
■(4) 東南アジア
タイやインドネシアにおいて、自動車関連企業等向けにプロセスソリューション事業やファクトリーオートメーション事業、システムインテグレーション事業などを展開しています。
収益源は現地顧客からの製品およびシステムの販売対価です。運営はNADEX ENGINEERING CO.,LTD.やPT. NADESCO INDONESIAなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は340億円から360億円台で安定的に推移しています。経常利益は一時的に落ち込みが見られたものの、直近では回復傾向にあり、利益率も3%台へと改善しています。強固な顧客基盤を背景に、底堅い業績を維持していることが伺えます。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 346億円 | 362億円 | 344億円 | 369億円 | 368億円 |
| 経常利益 | 14億円 | 20億円 | 12億円 | 9億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 4.2% | 5.6% | 3.5% | 2.4% | 3.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 11億円 | 6億円 | 3億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期並みで推移していますが、売上総利益および営業利益はともに増加しています。売上総利益率および営業利益率も改善を見せており、収益性の向上が進んでいることが確認できます。
| 項目 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 369億円 | 368億円 |
| 売上総利益 | 69億円 | 73億円 |
| 売上総利益率(%) | 18.7% | 19.8% |
| 営業利益 | 8億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 2.1% | 3.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が21億円(構成比35%)、賞与が4億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の日本セグメントは自動車関連企業向けの設備需要の減少などにより減収となりましたが、北米セグメントではM&Aの効果などにより大幅な増収を達成しました。東南アジアセグメントも堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2025年4月期) | 売上(2026年4月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 292億円 | 261億円 |
| 北米 | 37億円 | 68億円 |
| 中国 | 16億円 | 13億円 |
| 東南アジア | 23億円 | 26億円 |
| 連結(合計) | 369億円 | 368億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー・パターンを示しています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「企業の発展を通じて社員の幸福と社会の繁栄につくす」を社是として掲げています。社員の幸福と社会が繁栄することを終局の使命と考え、その実現のために企業価値の増大を図ることを基本方針としています。また、「安心をつなぐ企業グループへ」という方針のもと、ステークホルダーへの価値提供を目指しています。
■(2) 企業文化
「ナ・デックスウェイ」という社員共通の行動指針を基盤としています。誠実さと当事者意識を持ち、プロフェッショナルとして自己研鑽を続けながら、新たな価値創造に挑戦し、顧客や社会との信頼関係を築く「ナ・デックスらしさ」を体現する企業文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画(2027年4月期を最終年度)において、以下の業績目標を掲げています。
* 売上高:443億円
* 営業利益:22億円
* 自己資本利益率:8.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
顧客の課題に最適なソリューションの提案ができるグループ体制の構築を目指しています。特にスマートファクトリー化の推進を軸に高付加価値ソリューションの提供を強化するとともに、スマートエナジー事業の展開を加速させるなど新分野の開拓を進めています。提案型営業の高度化により既存事業の深化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「自律したプロフェッショナル人財の育成」を重要課題に位置付けています。社員のスキルの見える化による「人財のグループ内最適活用」、キャリアの将来像の明確化による「事業と社員の成長ベクトルの連動」、「多様な働き方」の実現を施策とし、事業と個人の成長の両輪による価値創造を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月期 | 41.3歳 | 10.9年 | 6,270,452円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.6% |
| 男性育児休業取得率 | 90.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.5% |
| 男女賃金差異(正規) | 66.8% |
| 男女賃金差異(非正規) | 116.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(91.3%)、女性比率(23.6%)、女性育児休業取得率(100.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 自動車関連企業への依存
同社の主要取引先は自動車関連企業であり、電動化など100年に一度の変革期を迎える同業界の設備投資動向や生産計画が、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、積極的な研究開発や自動車以外の取引先拡充を進めています。
■(2) 原材料の調達リスク
製品製造のための電子部品などの原材料を外部から調達しており、市況変化による品不足や価格高騰が発生した場合、生産遅延や製造原価の上昇につながるリスクがあります。代替品の検討や長納期品の先行手配などで安定供給に努めています。
■(3) 新製品の開発と技術革新
異種材料の接合など高度なニーズに対応するための開発活動を行っていますが、開発の遅延や市場での優位性が維持できなくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。産学官連携による共同開発等を通じて競争力維持を図っています。



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