ナ・デックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ナ・デックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。抵抗溶接制御装置を主軸とするプロセスソリューション事業やFAシステム、システムインテグレーション事業等を展開しています。2025年4月期は、自動車関連企業向けの設備投資需要を取り込み増収となった一方、M&A関連費用や特別損失の計上等により、各段階利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社ナ・デックス の有価証券報告書(第75期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ナ・デックスってどんな会社?


国内自動車業界で高いシェアを誇る抵抗溶接制御装置メーカーでありながら、商社機能も併せ持つ企業です。

(1) 会社概要


1950年に名古屋電元社として設立され、1957年より抵抗溶接制御装置の製作・販売を開始しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たし、近年では2019年に株式会社タマリ工業を完全子会社化するなどM&Aを推進しています。2024年には米国のUptime EV Charger, Inc.の株式を取得し、グローバル展開を加速させています。

2025年4月30日現在、連結従業員数は837名、単体では231名です。筆頭株主は株式会社アート・ギャラリー富士見で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行(BBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUND)となっています。

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は進藤大資氏が務めています。社外取締役比率は12.5%(取締役8名中1名)です。

氏名 役職 主な経歴
古川雅隆 取締役会長 1996年株式会社ダイシン入社。2005年同社入社。総務部長、役員室長、取締役、常務取締役を経て2021年7月より現職。
進藤大資 代表取締役社長 2008年同社入社。経営企画室長、執行役員管理副本部長、取締役、専務取締役を経て2023年7月より現職。
横地克典 常務取締役経営企画室長 1993年同社入社。機械部長、執行役員営業副本部長兼FAシステム事業部長、取締役を経て2021年7月より現職。
本田信之 取締役ソリューションセンター長 1981年川崎製鉄株式会社入社。2013年同社入社。営業副本部長、海外事業部長、執行役員等を経て2015年7月より現職。


社外取締役は、野口葉子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プロセスソリューション事業」「ファクトリーオートメーション事業」「システムインテグレーション事業」「制御部品事業」の4つの報告セグメントを展開しています。

**(1) プロセスソリューション事業**
国内自動車業界でトップシェアを誇る抵抗溶接制御装置を主軸に、レーザ加工技術、異材接合、ITを用いた次世代工法などの加工ソリューションを提供しています。自動車メーカーなどが主な顧客です。

収益は、顧客への製品販売による対価が主となります。運営は、ナ・デックス、株式会社ナ・デックスプロダクツ、株式会社タマリ工業、および北米・中国・東南アジアの海外子会社が行っています。

**(2) ファクトリーオートメーション事業**
ロボットやFA(ファクトリーオートメーション)システムを中心とした省人化・自動化設備を扱っています。単体機から製造ラインまでをワンストップで提供する代理店販売を行っています。

収益は、自動化設備の販売による対価となります。運営は、主にナ・デックス、ナ・デックスプロダクツ、タマリ工業、および海外子会社が担っています。

**(3) システムインテグレーション事業**
グループが保有するメーカー機能とエンジニアリング機能を活用し、顧客が求める生産システムを構想から形にするオーダーメイドのシステム構築を行っています。

収益は、生産システムの設計・製作・施工に対する対価となります。運営は、ナ・デックス、ナ・デックスプロダクツ、タマリ工業、株式会社N.Y.TEC、株式会社テクノシステムなどが連携して行っています。

**(4) 制御部品事業**
電子・電気制御部品の代理店販売を主軸としつつ、基板設計実装や制御盤製作などの提供を行っています。工作機械関連企業などが主な顧客です。

収益は、部品販売および加工サービスの対価となります。運営は、主にナ・デックスおよび海外子会社(タイ、中国)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年4月期から2025年4月期までの推移を見ると、売上高は300億円台で推移しており、直近の2025年4月期は過去最高の売上水準となっています。一方、利益面では2023年4月期をピークに減少傾向にあり、特に当期純利益は2025年4月期に大きく落ち込んでいます。

項目 2021年4月期 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期
売上高 307億円 346億円 362億円 344億円 369億円
経常利益 9億円 14億円 20億円 12億円 9億円
利益率(%) 2.9% 4.2% 5.6% 3.5% 2.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 9億円 13億円 8億円 6億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高は増加していますが、売上原価率の上昇により売上総利益は微減となりました。また、販売費及び一般管理費も増加しており、結果として営業利益率は低下しています。

項目 2024年4月期 2025年4月期
売上高 344億円 369億円
売上総利益 70億円 69億円
売上総利益率(%) 20.4% 18.7%
営業利益 10億円 8億円
営業利益率(%) 2.8% 2.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が21億円(構成比34.2%)、賞与が5億円(同8.2%)を占めています。

(3) セグメント収益


日本および東南アジアでは自動車関連向けの設備投資需要を取り込み増収となりましたが、中国では自動車関連向けの売上が減少し減収、北米は横ばいとなりました。利益面では日本と東南アジアが増益、北米と中国は減益または赤字となっています。

区分 売上(2024年4月期) 売上(2025年4月期)
日本 274億円 292億円
北米 37億円 37億円
中国 18億円 16億円
東南アジア 15億円 23億円
連結(合計) 344億円 369億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「健全型」です。本業の営業活動でキャッシュを獲得しつつ、投資活動や借入金の返済などの財務活動にお金を回している、財務的に健全な状態と言えます。

項目 2024年4月期 2025年4月期
営業CF 0.4億円 20億円
投資CF -6億円 -11億円
財務CF -4億円 -19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は創業以来、「企業の発展を通じて社員の幸福と社会の繁栄につくす」という社是を掲げています。社員の幸福と社会の繁栄を終局の使命とし、そのために会社として最大限の業績を維持し、企業価値の増大を図ることが必要であると考えています。

(2) 企業文化


同社は「安心をつなぐ企業グループへ」を経営の基本方針として掲げています。社員一人ひとりがたゆまぬ努力を重ね、個々に与えられた役割を果たすことで企業の発展を目指すとともに、コンプライアンス意識の向上やガバナンスの強化を通じて信頼回復に努める姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2027年4月期を最終年度とする中期経営計画において、以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:443億円
* 営業利益:22億円
* 自己資本利益率(ROE):8.0%

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では、人手不足や環境問題などの顧客課題に対し最適なソリューションを提案できるグループ体制の構築を目指しています。積極的な成長投資を行い、ソリューションの質的向上と領域拡大を図ることで、収益性向上と新分野開拓を進めます。

主な取り組み課題は以下の通りです。
1. 社会顧客課題に合致する「トータル・ソリューション」の深化
2. 人的資本経営による社員エンゲージメントの向上
3. グループ成長戦略と連動した機動的な財務体制への変革
4. 適切な情報開示・双方向の対話推進によるIR強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「企業の発展を通じて社員の幸福と社会の繁栄につくす」という社是に基づき、社員に対する「安心」の提供を重視しています。中核人材の多様性確保のため、女性・外国人・中途採用者等の確保に努めています。また、社員のスキル可視化や多様な働き方の実現を通じ、エンゲージメント向上と事業成長の連動を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年4月期 42.4歳 11.7年 5,942,037円


※平均年間給与は賞与および基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.0%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.1%
男女賃金差異(正規雇用) 62.8%
男女賃金差異(非正規) 105.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(83.9%)、女性比率(22.0%)、女性育児休業取得率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自動車関連企業への依存


同社グループの主要取引先は自動車関連企業です。同業界は電動化など大変革期を迎えており、設備投資動向や生産計画の変動は、同社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。これに対し、研究開発の強化や自動車関連以外の業種への取引先拡大に取り組んでいます。

(2) 原材料の調達


製品製造のために半導体等の電子部品や原材料を外部調達していますが、市況変化による品不足や価格高騰が発生した場合、生産遅延や製造原価上昇により業績に影響を及ぼす可能性があります。代替品の検討や長納期品の先行手配などにより、安定的な供給体制の確保に努めています。

(3) 新製品の開発


抵抗溶接やレーザ加工技術を主体に接合ソリューションの開発を行っていますが、開発の遅延や製品の市場優位性が維持できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。市場ニーズの調査や産学官連携による共同開発などを進め、競争力の維持・向上を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。