立川ブラインド工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

立川ブラインド工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

立川ブラインド工業は東京証券取引所プライム市場に上場しており、ブラインド等の室内外装品関連事業を主力としつつ、駐車場装置関連事業や減速機関連事業も展開しています。直近の業績は、高付加価値製品の拡販や価格改定等による収益改善が奏功し、増収増益となり過去最高の当期利益を達成しています。


※本記事は、立川ブラインド工業株式会社の有価証券報告書(第80期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 立川ブラインド工業ってどんな会社?


室内外装品関連事業を核とし、機械式立体駐車装置や減速機の製造販売なども展開する企業です。

(1) 会社概要


1938年に立川工業所として設立され、1947年に立川ブラインド工業へと改組し、木製やアルミ合金製のブラインド製造販売を開始しました。1964年にはアコーデオンカーテンの製造を開始し、1987年に東京証券取引所市場第二部へ上場しました。2015年に同第一部銘柄へ指定され、2022年にプライム市場へ移行しています。2024年には富士変速機を完全子会社化しました。

従業員数は連結で1,264名、単体で812名です。筆頭株主は立川恒産で、第2位はタチカワブラインド取引先持株会、第3位は立川更生保護財団となっています。

氏名 持株比率
立川恒産 20.48%
タチカワブラインド取引先持株会 9.05%
立川更生保護財団 6.62%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役取締役社長は池崎久也氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
池崎久也 代表取締役取締役社長 1988年同社入社。東京支店第一営業部長、福岡支店長、営業推進部長、取締役マーケティング本部長等を経て、2022年3月より現職。
小野寿也 常務取締役社長室長 兼経営企画室長 兼グループシナジー担当 兼IR・サステナビリティ担当 1988年同社入社。経理部長、人事部長、取締役管理本部長、タチカワサービス代表取締役社長等を経て、2026年2月より現職。
立川孟視 取締役技術本部長 2013年同社入社。販売促進部長、取締役マーケティング本部長、取締役管理本部副本部長総務・人事担当等を経て、2025年8月より現職。
佐藤弘 取締役製造本部長 1983年同社入社。滋賀工場長、執行役員製造本部長等を経て、2025年3月より現職。
田中久晶 取締役営業統括本部長 1989年同社入社。高松支店長、広島支店長、名古屋支店長、大阪支店長、取締役西日本営業担当等を経て、2025年1月より現職。


社外取締役は、加藤昌子(東京弁護士会子どもの人権と少年法に関する特別委員会事務局長)、後藤英夫(ADワークスグループ専務取締役CFO)です。

2. 事業内容


同社グループは、室内外装品関連事業、駐車場装置関連事業および減速機関連事業を展開しています。

室内外装品関連事業


各種ブラインドや可動式間仕切などの室内外装関連製品の製造および販売を行っています。また、これらの製品に付随する設計施工や、製品および部品の輸出入に関する業務も広く手掛けています。

主な製品の製造ならびに販売は同社が行い、部品および一部製品の製造は立川機工や富士変速機が担っています。また、各種室内外装品の施工ならびに一部販売は立川装備、輸出入業務はタチカワトレーディングが行うなど、複数のグループ会社で展開しています。

駐車場装置関連事業


機械式立体駐車装置の製造や販売、ならびに保守点検業務を行っています。立体駐車場「パズルタワー」などの製品を提供し、新設だけでなく既設物件の改修工事やシステムの高度化にも対応しています。

本事業の運営は、主に富士変速機が行っています。

減速機関連事業


物流倉庫や工場向けの無人搬送台車(AGV)などに適した減速機類やサーボモータユニットの開発、製造ならびに販売を行っています。多様化する顧客のニーズに合わせた専用設計や特殊減速機の提案も実施しています。

本事業の運営は、主に富士変速機が行っており、製造した減速機の一部は電動ブラインドの部品として同社が購入しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は412億円から426億円へと安定的に推移しています。経常利益は一時的な足踏みがあったものの直近では46億円へと回復し、当期利益も増加傾向にあるなど、収益力の向上が伺えます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 412億円 413億円 413億円 414億円 426億円
経常利益 47億円 40億円 43億円 44億円 46億円
利益率(%) 11.3% 9.7% 10.5% 10.6% 10.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 24億円 22億円 22億円 23億円 25億円

(2) 損益計算書


直近の業績では、売上高が前期比で増加するとともに、売上総利益や営業利益も堅調な推移を見せています。主力製品の価格改定等による収益改善の取り組みが安定した利益の確保に寄与しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 414億円 426億円
売上総利益 171億円 175億円
売上総利益率(%) 41.3% 41.1%
営業利益 44億円 44億円
営業利益率(%) 10.5% 10.3%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が56億円(構成比43%)、運搬費が18億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


室内外装品関連事業は高付加価値製品の拡販や価格改定により増収を達成しました。駐車場装置関連事業は改修工事の増加で増収増益、減速機関連事業は汎用減速機が堅調に推移して増収となったものの、原材料高騰等の影響で減益となっています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
室内外装品関連事業 348億円 359億円 37億円 37億円 10.4%
駐車場装置関連事業 31億円 31億円 4億円 5億円 15.5%
減速機関連事業 35億円 36億円 2億円 2億円 5.7%
連結(合計) 414億円 426億円 44億円 44億円 10.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスであることから、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」と言えます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 16億円 45億円
投資CF -13億円 -33億円
財務CF -8億円 -11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は83.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、建築物の開口部、とりわけ窓まわり製品を事業の核とする建築内装品の総合メーカーとして、生活環境の改善を図り社会に貢献することを経営の基本方針としています。国内外の多様な要望に応える製品の研究開発と生産の充実、ならびに高品質なサービスの提供を通じて、顧客からの信頼を得ることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、人にも環境にもやさしいものづくりを追求し、事業活動における環境負荷低減を推進しています。また、「会社の繁栄と社員個人の幸福が一致する経営」を目指しており、社員の心身の健康を第一に考え、ワークライフバランスの最適化や多様な個性や価値観を尊重する職場環境づくりを進めています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2026年度から3年間の中期経営計画「タチカワビジョン2028~快適な暮らしの創造~」を策定し、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。最終年度である2028年12月期の連結業績目標として以下を掲げています。

* 売上高:458億円
* 営業利益:48億円
* 経常利益:50億円
* 当期純利益:35億円
* PBR:1.0倍以上
* ROE:7.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


メーカーとして「ものづくりと市場づくり」「成長に向けた投資」「社会貢献」に注力し、「成長・飛躍」へのステップアップを図ります。室内外装品関連事業では、調光ファブリック製品や電動製品の拡販、デジタル販促やショールームを活用した需要喚起、M&A等を通じた新規事業領域の拡大を進めます。減速機関連事業ではAGV向けサーボモータの拡販を強化し、駐車場装置関連事業では新設や改修案件の獲得に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


将来の企業成長において最も重要な資産は人材であると考え、社員個々の能力を十分に発揮できるよう適材適所の配置を行い、組織の好循環を創出することを目指しています。研修や資格取得支援の充実に加え、キャリアのロードマップを明示することで、社員が安心感とビジョンを持って働ける育成体制を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 41.9歳 17.6年 6,566,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.4%
男性育児休業取得率 14.3%
男女賃金差異(全労働者) 59.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 67.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 56.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得日数(12.1日)、定期健康診断受診率(98.0%)、ストレスチェック受検率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設・住宅業界の景気動向による影響


同社の売上高の大部分を占める室内外装品関連事業は、建設業界における景気動向や住宅着工戸数などの変動により、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。高機能製品の拡販や電動製品による新たな需要創造、リフォーム市場などの成長分野の開拓によりリスク対応を進めています。

(2) 原材料価格の変動リスク


取扱製品の原材料である鋼材やアルミ材などの価格は、市況の変化等により変動する可能性があり、業績に影響を及ぼすリスクがあります。原材料の調達先を複数確保して適正な価格での仕入れに努めるとともに、生産の効率化やコスト削減、必要に応じた販売価格の見直しにより収益確保を図っています。

(3) 情報セキュリティに関するリスク


事業活動を通じて個人情報をはじめとする多数の機密情報を保有しており、不測の事態による情報漏洩などが発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償責任の発生等により業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。情報セキュリティ対策ツールの導入や社内情報のアクセス制御を行い、機密情報の適切な管理に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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