フジマック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フジマック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フジマックは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、業務用厨房機器の製造・販売および保守修理を主力事業として展開する企業です。直近の業績では、インバウンド需要や省人化ニーズを背景に厨房機器の需要が堅調に推移し、増収を達成しました。経費の増加により経常減益となったものの、最終増益を確保しています。


※本記事は、株式会社フジマックの有価証券報告書(第77期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. フジマックってどんな会社?


業務用厨房機器の製造から販売、保守修理までをトータルサポートする企業です。

(1) 会社概要


1950年に富士厨房設備として設立され、厨房機器の販売や設計、工事請負を開始しました。その後、国内外に製造・販売拠点を拡大し、1990年に現在のフジマックへと社名を変更しました。1998年に東京証券取引所市場第二部へ上場を果たし、中国や東南アジアなどグローバル展開を推進しながら事業基盤を強化しています。

現在の従業員数は連結で1,160名、単体で599名です。筆頭株主は役員が代表を務めるノヴァックスで、第2位は代表取締役会長の熊谷俊範氏、第3位はフジマック従業員持株会です。

氏名 持株比率
ノヴァックス 34.16%
熊谷俊範 8.09%
フジマック従業員持株会 4.44%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は熊谷光治氏が務めています。社外取締役は2名(比率20.0%)です。

氏名 役職 主な経歴
熊谷光治 代表取締役社長 2006年みずほ銀行入行。2011年同社入社。経営企画室長等を経て2018年より現職。
熊谷俊範 代表取締役会長 1974年同社入社。1990年代表取締役社長に就任し、日本厨房工業会会長等を歴任。2018年より現職。
力丸大成 取締役副社長執行役員営業本部長 1979年住友銀行(現三井住友銀行)入行。2010年同社入社。専務取締役等を経て2024年より現職。
熊谷勇人 取締役専務執行役員営業本部副本部長、市場開発部長、フードビジネス開発部長 2010年同社入社。市場開発部第一部長等を経て2016年取締役に就任。常務執行役員等を経て2024年より現職。
八田幸 取締役専務執行役員営業本部副本部長(西日本担当) 1978年同社入社。近畿事業部長等を経て2016年取締役に就任。常務取締役等を経て2025年より現職。
村岡哲 取締役常務執行役員中四国事業部長 1980年同社入社。広島支店長等を経て2013年執行役員に就任。2016年取締役に就任し2023年より現職。
蜂谷勝 取締役上席執行役員関東事業部長 1986年同社入社。北海道事業部長等を経て2018年執行役員に就任。2024年より現職。
久富正明 取締役(常勤監査等委員) 1977年ニチメン(現双日)入社。ゼンショー監査役等を経て2011年同社入社。2015年より現職。


社外取締役は、若海和明(若海税務会計事務所所長)、香川希理(香川総合法律事務所代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「業務用厨房機器事業」を展開しています。

(1) 業務用厨房機器の製造・販売


外食産業、宿泊施設、病院・老健施設、学校・企業内給食施設などを対象に、熱機器、冷機器、洗浄・消毒機器、サービス機器などの業務用厨房機器を製造・販売しています。顧客の多岐にわたるニーズに応えるため、厨房レイアウトのコンサルティングから設計・施工までの一貫体制を構築しています。

収益源は、顧客からの厨房機器の購入代金および設計・施工費用です。運営は主にフジマックが担うほか、製造をフジマックネオや海外子会社が担当し、販売をエピックや海外の販売子会社が各地域で展開しています。

(2) 保守修理


納入した業務用厨房機器が安全かつ衛生的に稼働し続けるよう、全国の事業部や各拠点を通じて地域に密着したアフターメンテナンスや保守修理サービスを提供しています。高い技術力と提案力を活かし、顧客の厨房環境の改善と生産性の向上を長期的にサポートしています。

収益源は、顧客と締結する保守契約に基づく定期的な保守修理サービス料や、スポットでの修理代金および部品代金です。運営は主にフジマックが主体となり、グループの各拠点が連携してサービスを提供しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は右肩上がりの成長を続けており、順調に事業規模を拡大しています。経常利益と当期利益も増加傾向にありましたが、直近では原材料価格の高騰や経費の増加などの影響により、増収ながら経常減益となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 294億円 324億円 385億円 456億円 474億円
経常利益 12億円 16億円 24億円 34億円 33億円
利益率(%) 4.1% 4.9% 6.2% 7.5% 6.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 9億円 14億円 17億円 15億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も拡大しましたが、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は減少しました。それに伴い、利益率はわずかに低下傾向にあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 456億円 474億円
売上総利益 153億円 158億円
売上総利益率(%) 33.5% 33.4%
営業利益 32億円 30億円
営業利益率(%) 7.0% 6.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が55億円(構成比43%)、その他が27億円(同21%)、運賃及び荷造費が10億円(同8%)を占めています。売上原価の具体的な内訳は開示されていませんが、売上原価合計の構成比は67%となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントであるため、製品・サービスごとの売上実績から製商品と保守修理の動向を比較します。製商品売上高、保守修理売上高ともに前期から増加し、全体の増収に寄与しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
製商品 373億円 387億円
保守修理 83億円 87億円
連結(合計) 456億円 474億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CF、投資CF、財務CFの推移から、同社は「健全型」に分類されます。営業活動で安定的に資金を獲得し、それを成長投資や借入金の返済に充てる健全な財務状態を維持しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 31億円 9億円
投資CF -27億円 -20億円
財務CF 1億円 -9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.4%で市場平均をわずかに下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


食に関わる全ての産業、業界の皆様の役に立つべく、厨房機器のリーディングカンパニーとして、お客様の様々なニーズに的確に対応し、「フードビジネスのトータルサポート」を実行し、「お客様満足の創造」を実現することを企業理念として掲げています。

(2) 企業文化


地域に密着した営業とアフターメンテナンスの徹底を重視しており、グループ各社が連携した生産、物流、設計、施工、営業、サービスの一貫体制を企業文化として根付かせています。また、全てのステークホルダーに対して積極的な情報公開を行い、健全で透明性の高いコンプライアンスに則った経営を実践しています。

(3) 経営計画・目標


環境配慮やサステナビリティの観点から、中長期的な環境目標を設定して事業を推進しています。
・2028年度までに2023年度比で温室効果ガス排出量10%削減
・2029年に業務用冷凍冷蔵庫の冷媒をGWP値150以下の自然冷媒へ転換
・2030年代には全冷機器へ低GWP冷媒化を展開

(4) 成長戦略と重点施策


国内外の3つの製造拠点(日本、中国、ベトナム)の連携を強化し、グローバルでフレキシブルな生産・供給体制を構築することで、コスト競争力と製品品質の向上を図ります。さらに、人手不足の解消や作業負担軽減を目指す「再加熱キャビネット」などの省人化製品の開発を推し進め、事業環境の変化にいち早く対応する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業の成長には従業員の能力とエンゲージメント向上が不可欠との考えから、従業員とのコミュニケーションを大切にし、集合研修やe-ラーニング等を通じて知識・スキル向上の機会を提供しています。また、有給休暇取得の推進や育児・介護と仕事の両立支援など、働きがいのある職場環境づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 42.8歳 16.3年 6,590,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.5%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 58.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 60.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 48.2%


また、同社は「人的資本に関する取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、厨房設備士1級(91人)、厨房設備士2級(408人)、管理栄養士(17人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場の需要変動リスク

国内の病院・老健施設、外食産業や宿泊施設などの市場動向や業績動向、さらに海外進出先での政治経済情勢の変動によって、厨房機器の需要が影響を受け、業績が変動するリスクがあります。

(2) 原材料価格等の高騰

主材料であるステンレスや主要な電子パーツなどの市場価格が上昇した場合、製造コストの増加に直結します。価格転嫁やコスト削減で吸収しきれない場合、収益を圧迫する可能性があります。

(3) 製品輸入に伴う為替リスク

主力製品の一部を海外から輸入しているため、為替相場の急激な変動により製品原価が大きな影響を受けます。為替の変動幅がコスト圧縮の努力を超えた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 専門人材の確保リスク

国内外での競争力強化や事業発展には専門性の高い優秀な人材が不可欠ですが、少子高齢化や労働人口の減少により人材確保の競争が激化しており、計画通りに人材が確保できないリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。