東邦レマック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東邦レマック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東邦レマックは東京証券取引所スタンダードに上場し、靴の企画から卸売、自社サイトでのEC小売を行うシューズ事業と、物件の売買や保有を行う不動産事業を展開しています。直近の業績は売上高45億円で前年比減収となり、事業撤退に伴う商品の評価減などが影響して営業赤字を計上し減益となりました。


※本記事は、東邦レマック株式会社の有価証券報告書(第68期、自 2024年12月21日 至 2025年12月20日、2026年3月17日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 東邦レマックってどんな会社?


靴の企画・卸売からEC小売までのシューズ事業と、物件売買や保有を行う不動産事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1958年に設立され、ゴム靴代理店向けの営業代行業務などを経て、1988年に東邦レマックへ商号変更しました。1994年に株式を店頭登録し、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。2024年には不動産事業へ参入するため不動産部を設置し、事業領域の拡大を図っています。

従業員数は74名です。筆頭株主は不動産事業などを手掛けるフロンティアグループで、第2位は同社役員の笠井庄治氏、第3位は社外取締役の金子将幸氏となっています。

氏名 持株比率
フロンティアグループ 18.55%
笠井庄治 13.48%
金子将幸 11.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長兼経営企画室長は笠井信剛氏が務めており、取締役8名のうち社外取締役は4名です。

氏名 役職 主な経歴
笠井信剛 代表取締役社長兼経営企画室長 2001年同社入社。執行役員経営企画室副室長、取締役経営企画室長兼営業本部長を経て、2025年より現職。
矢野浩司 代表取締役専務 SBY代表取締役社長、カーチスホールディングス経営企画部長等を経て、2024年同社取締役不動産事業部長。2026年より現職。
北山恵理子 取締役経営戦略室長 ダンアンドブラッドストリートジャパン代表取締役社長等を経て2015年同社社外取締役。2025年より現職。
那須友明 取締役管理本部長兼経理部長 1991年同社入社。経理部課長、執行役員経理部長、執行役員管理本部長兼経理部長を経て、2026年より現職。


社外取締役は、金子嘉德(フロンティアグループ代表取締役)、山形秀樹(フロンティアグループクラウドファンディング事業部長兼不動産部長)、金子将幸(ヌル代表取締役等)、小野聡(ライブラ法律会計事務所長)です。

2. 事業内容


同社は、「シューズ事業」および「不動産事業」を展開しています。

シューズ事業


靴の企画・販売(卸売)および自社サイトでのEC販売(小売)を行っています。主に婦人靴、紳士靴、子供靴やスニーカーなどのゴム・スニーカー・その他を取り扱い、全国の小売店等に向けてオリジナルブランドやライセンスブランドの商品を提供しています。

収益源は、取引先への商品の卸売による販売代金や、自社ECサイトを通じた一般消費者からの小売販売代金です。同事業の運営は同社が行っています。

不動産事業


2024年より新たに展開を開始した事業であり、収益不動産などの物件の売買および保有を行っています。賃貸用マンションや店舗、事務所などの不動産を取得し、資産価値の向上や安定的な収益基盤の構築を目指しています。

収益源は、保有する賃貸不動産からの賃貸収入や、取得した不動産の再販による販売代金です。同事業の運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の単体業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は64億円規模から45億円へと減少傾向にあります。利益面では過去に経常赤字が続いていましたが、2024年12月期には経常利益1億円と黒字化しました。しかし、2025年12月期は再び経常赤字となっています。当期利益は直近2期で黒字を確保しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 64億円 64億円 52億円 51億円 45億円
経常利益 -1億円 -0.2億円 -2億円 1億円 -1億円
利益率(%) -1.7% -0.3% -3.4% 2.6% -2.2%
当期利益 -2億円 -0.1億円 -1億円 1億円 0.2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の51億円から当期は45億円へ減少しました。売上総利益も15億円から13億円に減少していますが、売上総利益率は29.3%から28.9%と概ね同水準を維持しています。営業利益は前期の0.7億円から当期は-1億円と赤字に転落しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 51億円 45億円
売上総利益 15億円 13億円
売上総利益率(%) 29.3% 28.9%
営業利益 0.7億円 -1億円
営業利益率(%) 1.4% -2.7%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が4億円(構成比25%)、支払手数料が3億円(同19%)、運送費及び保管費が2億円(同14%)を占めています。売上原価の内訳としては、商品売上原価が32億円(構成比98%)と大半を占めています。

(3) セグメント収益


主力のシューズ事業は、紳士靴が伸長したものの婦人靴などが苦戦し、減収および営業赤字となりました。不動産事業は、再販売上の減少により大幅な減収となり、営業利益も減少しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期) 利益(2024年12月期) 利益(2025年12月期) 利益率
シューズ事業 48億円 45億円 0.1億円 -1億円 -3.0%
不動産事業 3億円 1億円 0.7億円 0.1億円 13.1%
合計 51億円 45億円 0.7億円 -1億円 -2.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

東邦レマックの当事業年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動で資金が流出し、投資活動でも資金が流出しましたが、財務活動で資金を調達した結果、現金及び現金同等物は減少しました。営業活動では、事業撤退損の計上等があった一方で、棚卸資産の増加等が資金流出の主な要因となりました。投資活動では、有形固定資産や投資有価証券の売却収入があったものの、有形固定資産や暗号資産の取得、定期預金の預入等により資金が流出しました。財務活動では、短期借入金や長期借入れによる収入が資金増加の主な要因となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 2億円 -5億円
投資CF -1億円 -3億円
財務CF -1億円 7億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「創造・開拓・奉仕」の経営理念のもと、事業の持続性と将来にわたる企業価値の向上を図っています。また、「すべての人に感動体験を提供する」というミッションを掲げ、フットウエアを通じて感動体験を創造することで、社会貢献と企業価値向上を実現することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、人材の長所や短所を見極め、事業に大いなる関心や情熱を抱き、適性が満ち溢れた人材を育成する文化を重視しています。国籍・性別・新卒・中途・学歴等にとらわれることなく、多種多様な人材が活躍できる環境を構築しており、従業員一人ひとりにとって働き甲斐があり、自己成長ができる職場環境を目指しています。

(3) 経営計画・目標


長期的かつ継続的な企業価値の向上と収益性向上のため、売上高および営業利益率を重要な指標として位置付けています。中長期的な目標として、売上高営業利益率2.0%、自己資本比率55.0%を掲げており、安定的かつ持続的な成長の実現を目指しています。

* 売上高営業利益率:2.0%
* 自己資本比率:55.0%

(4) 成長戦略と重点施策


ライフスタイルのカジュアル化などの市場環境の変化を踏まえ、商品そのものが持つ価値向上を重視した商品づくりへと転換しています。オリジナルブランドを中心とした自社企画商品の比率引き上げや、商品価値を正しく伝える提案型営業の強化を図っています。また、不採算取引の是正や在庫水準の適正化にも注力し、収益基盤の安定化を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


男女を問わず全従業員がやりがいと誇りを持ち、活躍できる職場環境の整備のため、事業環境に応じた多様性の確保に向けた取り組みを行っています。時短勤務や育児休暇をはじめとする様々な勤務体系や休暇制度を整備することで働きやすい職場環境づくりを進め、全従業員の生活向上と自己成長を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 45.3歳 21.6年 5,007,637円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.3%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.7%
男女賃金差異(正規雇用) 77.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 79.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 主要取引先の業績悪化


同社は特定の主要取引先に対する売上依存があり、取引先の経営状態の悪化により売掛債権の回収が滞った場合や、取引先が企業不祥事等の事件・事故を起こした場合には、同社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替相場の変動


同社は自社で企画した商品の多くを海外の協力工場に生産委託しており、輸入取引は人民元および米ドル建てで決済しています。そのため、円に対する為替相場が変動した場合、仕入コストの上昇などを通じて同社の業績に影響を与えるリスクがあります。これを回避するため為替予約取引を実施しています。

(3) 海外生産拠点の情勢変化


中国を中心とする海外の協力工場での生産比率が高いため、中国などの急激な情勢変化によって生産力の低下や価格の高騰が発生した場合、商品の供給体制や収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外でのテロや自然災害などによる操業停止リスクも存在します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。