※本記事は、デイトナの有価証券報告書(第54期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. デイトナってどんな会社?
同社は、二輪車部品や用品の企画・開発から販売までを総合的に手がける企業です。
■(1) 会社概要
同社は1972年に二輪車用品の輸出入を目的に阿部商事として設立され、1974年に「デイトナ」ブランドの使用を開始しました。1985年に現在のデイトナへ社名変更し、1997年に株式を店頭登録しました。その後、2007年のインドネシア子会社設立や2017年の関連会社買収などを経て事業を拡大しています。
現在の従業員数は連結で206名、単体で97名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は有限会社エービーイーで、第2位は同社の小売事業においてフランチャイズ契約を結んでいる事業会社のコシダテック、第3位はディーエフとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社エービーイー | 21.01% |
| コシダテック | 5.72% |
| ディーエフ | 4.79% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は織田哲司氏が務めています。取締役のうち社外取締役が占める割合は25.0%(8名中2名)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 織田 哲司 | 代表取締役社長 | トヨタビスタ入社後、1990年同社入社。国内事業部長等を経て、2016年より現職。 |
| 鈴木 紳一郎 | 取締役会長 | 1984年同社入社。代表取締役社長などを歴任し、2018年より現職。 |
| 阿部 修 | 取締役二輪事業部長 | 2000年同社入社。ツーリンググループリーダー等を経て、2016年より現職。 |
| 杉村 靖彦 | 取締役経営企画室長 | 1989年同社入社。管理部長等を経て、2023年より現職。 |
| 石田 敬一郎 | 取締役 | 1994年同社入社。ダートフリーク代表取締役等を経て、2022年より現職。 |
| 今頭 憲治 | 取締役海外統括・事業開発部長 | 1989年同社入社。海外事業部長、海外子会社代表等を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、馬場智巌(学園前総合法律事務所弁護士)、西尾正由紀(元河合楽器製作所専務取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内拠点卸売事業」「アジア拠点卸売事業」「小売事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 国内拠点卸売事業
日本を拠点に、二輪車用の部品や用品(ライディングギア、補修消耗品など)の企画・開発を行い、国内外の販売店に対して卸売を行っています。
販売店等からの商品卸売代金を主な収益源としています。運営は同社および連結子会社のダートフリークが行っています。
■(2) アジア拠点卸売事業
インドネシアおよびフィリピンを拠点として、二輪車用部品・用品やOEM商品の企画・開発を行い、現地の販売店などへ向けた卸売を展開しています。
現地のディストリビューターや小売店に対する商品の卸売代金を収益としています。運営はDAYTONA AZIAおよびDAYTONA Motorcycles Philippinesが行っています。
■(3) 小売事業
関東地方の店舗や小規模店舗、インターネット通販を通じて、一般のバイクユーザー向けに直接二輪車部品や用品、中古品の小売販売を行っています。
消費者からの商品購入代金や車検・修理等のサービス提供料が主な収益源です。運営はライダーズ・サポート・カンパニーやダートフリークが行っています。
■(4) その他
上記の報告セグメントに含まれない事業として、太陽光発電システムを活用した事業や、リユース品の販売などを手がけています。
太陽光発電による売電収入や、リユース商品の販売代金から収益を得ています。これらの事業は主に同社が運営を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高はアウトドア志向の高まりなどから一時的に大きく伸長し、その後は高水準を維持しながら安定的に推移しています。一方で、為替相場の円安基調による仕入コストの上昇などの影響を受け、利益面および利益率については直近数年間で緩やかな低下傾向が見られます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 125億円 | 146億円 | 140億円 | 146億円 | 144億円 |
| 経常利益 | 19億円 | 21億円 | 17億円 | 17億円 | 17億円 |
| 利益率(%) | 15.1% | 14.5% | 12.5% | 12.0% | 11.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 10億円 | 11億円 | 9億円 | 8億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高と各種利益はともに前年と同水準で推移していますが、わずかに減少しています。利益率に関しても大きな変動はなく、安定した収益構造を維持していることがわかります。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 146億円 | 144億円 |
| 売上総利益 | 56億円 | 55億円 |
| 売上総利益率(%) | 38.4% | 38.5% |
| 営業利益 | 17億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 11.8% | 11.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が10億円(構成比24%)、荷造運送費が5億円(同13%)、広告宣伝費が4億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である国内拠点卸売事業の売上は前年と同水準で堅調に推移しています。一方、アジア拠点卸売事業はインドネシア子会社の決算期変更により集計期間が9ヶ月となった影響で減収となり、小売事業も消費者の節約志向の高まりなどにより前年を下回りました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 国内拠点卸売事業 | 103億円 | 104億円 |
| アジア拠点卸売事業 | 17億円 | 16億円 |
| 小売事業 | 23億円 | 21億円 |
| その他 | 3億円 | 3億円 |
| 調整額 | -億円 | -億円 |
| 連結(合計) | 146億円 | 144億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
キャッシュ・フローの状況は、本業で得た資金内で投資活動と借入金の返済などの財務活動を賄っている「健全型」です。また、企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は80.1%となっており、いずれもスタンダード市場の平均を上回っています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 14億円 | 8億円 |
| 投資CF | -3億円 | -2億円 |
| 財務CF | -6億円 | -5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「常にお客様の立場で発想し、お客様と共感する商品・サービスを提供し続けるために、社員の成長を通して企業価値の向上に努め、法令遵守のもと企業の存在意義を高めていく」ことを経営理念に掲げています。独創的な商品の追求や、企業活動を通じた人間性の向上、そして企業の永続と発展による幸せの創造を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、社員一人ひとりの健康と安全を企業の成長の源と位置づけ、多様性を尊重し、すべての従業員に公正な活躍と成長の機会を提供する文化を持っています。また、これまで培ってきた「発想」「評価」「改善」の能力を活かし、顧客の要望や不満に迅速かつ誠実に対応することで、顧客との信頼関係を築く行動様式を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、市場環境やユーザー志向の変化に対応するため、毎年見直しを行うローリング方式で中期経営計画を策定しています。多品種小ロットの商品提供を実現するスキームを活かし、毎年投入する新商品による売上高構成比を重要な指標としています。また、他社と差別化された付加価値の高い商品により利益を確保することを目指しています。
* 営業利益率:10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、二輪事業の競争力強化と永続的な成長に向け、アセアン地域を中心とした海外市場への展開や、国内における「ユーザー支持率No.1ブランド」の確立を重点施策としています。また、人口減少に伴う市場縮小に備え、アウトドア事業やリユース事業などの新規事業への投資を積極的に進め、収益の柱を多様化する成長戦略を描いています。
* 二輪車アフターパーツ以外の売上構成比(中期目標):9.8%程度
* 二輪車アフターパーツ以外の売上構成比(将来目標):25%程度
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、新規事業領域における人材確保と次世代幹部の育成を重要課題としています。「社会の一員、そして仕事のプロフェッショナルとして真の人材となる教育、訓練の実施」を掲げ、リーダー研修やインナーブランディング研修を行っています。また、時短勤務やリモート勤務、社内FA制度などを導入し、多様な働き方をサポートしています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 45.1歳 | 17.4年 | 6,664,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は関連法令の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 天候不順による販売機会の喪失
同社の扱う二輪車用品は、ライダーがレジャーやツーリング目的で利用するものが多いため、シーズン最盛期である早春から初冬にかけての降雨や異常気象などの天候不順が発生した場合、商品の販売が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 為替相場の変動リスク
国内やアジアの卸売事業において外貨建ての取引を行っているため、外国為替相場の変動によるリスクが存在します。為替予約などによるリスクヘッジを実施しているものの、完全に回避することは難しく、急激な為替変動が仕入コストの上昇などを招く恐れがあります。
■(3) 過剰在庫に伴う棚卸資産の評価損
急激な市場環境の変化や需要の変動により、保有している商品に滞留が生じることがあります。過剰在庫に対する評価が実態と乖離し、正味売却価額が下落して棚卸資産の評価損が増大した場合、同社の利益を押し下げるリスクがあります。



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