メタプラネット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メタプラネット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するメタプラネットは、ビットコイン関連事業およびホテル事業を展開する企業です。直近の業績は、ビットコイン・インカム事業の成長により売上高が大幅な増収となった一方、一時的なビットコイン評価損の計上等により経常利益は大幅な減益となり赤字へ転落しています。


※本記事は、株式会社メタプラネットの有価証券報告書(第27期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. メタプラネットってどんな会社?


ビットコイン関連事業とホテル事業を展開し、ビットコイントレジャリー戦略を推進する企業です。

(1) 会社概要


1999年にダイキサウンドとして設立され、2004年に上場しました。2013年にホテル事業を開始し、レッド・プラネット・ジャパンへ商号変更を行いました。2023年にメタプラネットへと商号を変更し、2024年よりビットコイン関連事業へと大きく事業転換を図り、ビットコイン・スタンダード体制を採用しています。

同社グループの従業員数は連結で35名、単体で16名です。筆頭株主はSTATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001で、第2位はCLEARSTREAM BANKING S.A.、第3位はNATIONAL FINANCIAL SERVICES LLCなどの海外金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 13.07%
CLEARSTREAM BANKING S.A. 8.66%
NATIONAL FINANCIAL SERVICES LLC 8.38%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表執行役CEO取締役議長はサイモン・ゲロヴィッチ氏が務めており、社外取締役比率は90.0%です。

氏名 役職 主な経歴
サイモン・ゲロヴィッチ 代表執行役CEO取締役議長 ハーバード大卒後ゴールドマン・サックス証券入社。2013年同社取締役、2022年社長を経て2026年3月より現職。


社外取締役は、リチャード・キンケイド(ヘリオス 取締役兼執行役 CFO)、ドリュー・エドワーズ(Grantham Mayo Van Otterloo 日本株部門責任者)、桑島浩彰(K&アソシエイツ 代表取締役)、タイラー・エヴァンス(UTXO Management社 共同設立者兼マネージングパートナー)、ベンジャミン・ツァイ(Wave Digital Assets 共同創業者兼社長)、スウェイン・純子(Workiva Inc. SVP & Chief Accounting Officer 最高会計責任者)、クリストファー・ウェルズ(ACADAE SERVICES LLC Principal)、フレッド・トーファイ(Old Peak Asia Fund Ltd. 社外取締役)、成松淳(ミューゼオ 取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ビットコイン関連事業」および「ホテル事業」を展開しています。

ビットコイン関連事業


ビットコインを中核資産として保有・運用するトレジャリー事業および、現金担保付きオプション取引などを用いたビットコイン・インカム事業を展開しています。インフレ環境下における資産価値の保全や株主価値の向上を目的としています。

保有するビットコインを用いたオプションの売り戦略(プット・コールオプション)を通じてプレミアム(オプション料)収入を獲得し、安定的かつ継続的な収益機会を創出しています。運営はメタプラネットやMetaplanet Income Corp.などが担っています。

ホテル事業


国内外の旅行客などを主要な顧客とし、宿泊およびこれに付随する各種ホテルサービスを提供しています。現在は「ホテルロイヤルオーク五反田」等の施設運営を通じて事業を展開しています。

顧客に宿泊等の各種サービスを提供し、商品を引き渡した時点で収益を認識し、宿泊料金などを得ています。当該事業の運営は、子会社であるウェン東京が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高はビットコイン・インカム事業の立ち上がりにより直近で急拡大しています。一方、経常利益は会計上のビットコインの評価損益に大きく左右される傾向にあり、当期は一時的な評価損の計上により大幅な赤字となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 5.2億円 3.7億円 2.6億円 10.6億円 89.1億円
経常利益 -12.3億円 -8.4億円 -4.1億円 59.9億円 -961.4億円
利益率(%) -237.5% -228.4% -158.6% 564.3% -1079.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.6億円 -8.2億円 -9.4億円 40.2億円 -58.3億円

(2) 損益計算書


売上高、売上総利益ともに前期から大幅に増加し、売上総利益率は約99%という極めて高い水準で推移しています。営業利益も大きく拡大しており、事業の収益基盤が強固になりつつあります。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 10.6億円 89.1億円
売上総利益 10.0億円 88.2億円
売上総利益率(%) 93.8% 99.1%
営業利益 3.5億円 62.9億円
営業利益率(%) 33.0% 70.6%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が7.7億円(構成比31%)、支払報酬が3.1億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のビットコイン関連事業はオプション取引等のインカム収益が本格化し、全体の増収を強力に牽引しました。また、ホテル事業も客室単価や稼働率の維持・向上により堅調な売上推移を見せています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
ビットコイン関連事業 6.9億円 84.7億円
ホテル事業 3.7億円 4.4億円
連結(合計) 10.6億円 89.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、借入や増資によって積極投資を行う積極型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 6.2億円 66.2億円
投資CF -234.5億円 -5544.0億円
財務CF 225.7億円 5442.2億円


財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は90.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として「快適さ(Quality of Living)は自らチョイスする時代へよりよい選択肢を提供できる企業となる」ことを掲げています。急速に進化する技術を取り入れてビジネスモデルや資産をデジタル化し、新規事業を通じて株主価値の継続的かつ発展的な創出を目指しています。

(2) 企業文化


性別や年齢、国籍などに関係なく、多様な価値観を受け入れることを重視しています。また、コンプライアンスを経営の基本と認識し、単なる法令や社内ルールの遵守にとどまらず、社会倫理や道徳を尊重する公正かつ健全な企業風土の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


ビットコインを中核資産として位置付ける「2025—2027ビットコイン計画」を策定しており、希薄化を考慮した1株当たりのビットコイン保有数量の成長率(BTCイールド)を重要な経営指標(KPI)として管理しています。

* 2026年までのビットコイン保有数量目標:100,000BTC
* 2027年末までのビットコイン保有数量目標:210,000BTC

(4) 成長戦略と重点施策


ビットコインを中核資産とするトレジャリー企業として、事業面および財務面の両面から持続的な企業価値の向上を目指しています。資金調達を通じたビットコインの取得継続や、デリバティブ取引を活用したインカム事業の拡大に加え、永久型優先株式などのデジタル・クレジットを用いた資本政策の多様化に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な価値観を受け入れ、他業種からの中途採用を含めた幅広い人材を対象に採用活動を行っています。男女ともに全社員が活躍できる雇用環境の整備や、仕事と子育てを両立できる働きやすい環境の構築を通じて、すべての社員が能力を十分に発揮できる体制の実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 48.9歳 0.8年 16,000,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ビットコインの価格変動と予測困難性


ビットコインの価格は需給関係やマクロ経済情勢等により大きく変動する傾向があります。短期的な変動にとどまらず中長期的に下落基調で推移した場合、保有するビットコインの評価額が減少し、成長戦略や資金調達計画の遂行に影響を及ぼす可能性があります。

(2) カストディ(保管)とセキュリティ


保有するビットコインは機関投資家向けの保管業者を利用しオフライン環境で管理しています。しかし、ハッキングや不正アクセスによる盗難、秘密鍵の紛失等が万一発生した場合、資産を永久に喪失し、業績および財政状態に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

(3) mNAVプレミアムと資金調達の好循環


企業価値が保有ビットコインの時価総額を上回る状態(mNAV1倍超)を維持し、そのプレミアムを活用した資金調達を前提としています。市場環境の変化等によりこのプレミアムが低下・消失した場合、資金調達やビットコイン取得の進捗に遅延が生じるおそれがあります。

(4) ビットコイン収益化事業(オプション取引)


オプションの売り戦略によるプレミアム収入を目的とした事業を展開しています。しかし、ビットコイン価格の急激な変動により市場価格を上回る水準での取得義務や機会損失が発生し、想定する収益を確保できず損失が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。