クリヤマホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クリヤマホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クリヤマホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、世界各地で産業用ゴム・樹脂ホースや農機・建機向け部材、スポーツ・建設資材の製造販売を展開しています。直近の業績は売上高が887億円と増収となった一方、営業利益等は減益でしたが、特別利益の計上により当期利益は増益を確保しています。


※本記事は、クリヤマホールディングス株式会社の有価証券報告書(第86期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. クリヤマホールディングスってどんな会社?


世界各地で産業用ホースや建機向け部材、スポーツ・建設資材の製造販売をグローバルに展開するメーカーです。

(1) 会社概要


1939年に栗山ゴム商会として創業し、1968年に米国に販売会社を設立して海外展開を開始しました。その後も世界各地へ製造・販売拠点を広げ、2004年に東京証券取引所に上場しました。2012年に持株会社体制へ移行して現在の社名となり、2025年にはミトヨを子会社化して事業強化を図っています。

現在の従業員数はグループ全体で1,893名、単体で50名体制です。大株主の状況は、筆頭株主が個人の栗山博司氏であり、第2位には事業会社であるNOKが名を連ねています。また、第3位には従業員持株会が入っており、従業員も経営に参画する株主構成となっています。

氏名 持株比率
栗山 博司 7.39%
NOK 5.43%
クリヤマホールディングス従業員持株会 4.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役CEO社長執行役員は小貫成彦氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
小貫 成彦 代表取締役CEO社長執行役員 1991年に入社し、クリヤマの建設資材営業部長などを歴任。2018年に同社取締役に就任し、営業本部長等を経て、2022年より現職。
大村 暢彦 取締役上席執行役員 2000年にアイコットに入社し、中国の関連会社等で要職を歴任。2018年に同社取締役を経て、2023年より現職。
ブライアン ダットン 取締役執行役員 2002年にKuriyama of America, Inc.に入社し、取締役や副社長を歴任。2020年に同社執行役員に就き、2023年より現職。
花房 一郎 取締役(監査等委員)(常勤) 2006年に同社へ入社し、経理部長を務めました。クリヤマの執行役員経理部長やサンエーの常務執行役員などを歴任し、2024年より現職。


社外取締役は、酒谷佳弘(元センチュリー監査法人代表社員)、齋藤友紀(さくら法律事務所パートナー)、小林恵(神戸機材代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「アジア事業」「北米事業」「欧州・南米・オセアニア事業」の報告セグメントおよび「その他事業」を展開しています。

アジア事業


農機・建機向けの工業用ゴム・樹脂製品や尿素SCRセンサー等を提供する「産業資材事業」と、スポーツ施設や商業施設等の床材を提供する「スポーツ・建設資材事業」を展開しています。幅広い産業分野の顧客へ部材や施工サービスを提供しています。

産業資材事業は製品販売代金から収益を得ており、主にクリヤマジャパンやサンエー、ミトヨが運営を担っています。スポーツ・建設資材事業は資材販売や設置・施工代金から収益を得ており、主にクリヤマジャパンが運営しています。

北米事業


北米地域および中南米地域において、産業用樹脂ホース、ゴムホース、メタルホース、継手等の製造および販売を展開しています。農業、製造業、鉱業、オイルガス関連など、多岐にわたる産業分野の顧客に対して高機能なホース製品を供給しています。

各種ホースや継手の販売代金から収益を得ています。運営は主にKuriyama of America, Inc.などの販売子会社が行い、商品の大部分はKuriyama Canada Inc.等の製造子会社から供給される体制となっています。

欧州・南米・オセアニア事業


スペインをはじめとした欧州や南米のアルゼンチンにおいて、消防機関向けや農業・灌漑用のゴム製レイフラットホース、ノズル等の製造および販売を行っています。また、オーストラリアでも産業用ホースの販売事業を展開しています。

ホース製品等の販売代金から収益を得ています。欧州および南米地域では、スペインやアルゼンチンの製造子会社が製造販売を担い、オセアニア地域では販売子会社が展開しています。

その他事業


ダストコントロール用マット等の販売および不動産管理を行っています。

商品の販売代金等から収益を得ており、運営はクリヤマプリージアが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が概ね右肩上がりで推移しており、2025年12月期には887億円に達しています。経常利益は45億円から53億円の範囲で安定して推移し、利益率も5%から8%の間を維持しています。当期利益についても安定的な黒字を継続しています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 595億円 715億円 717億円 779億円 887億円
経常利益 48億円 50億円 45億円 53億円 48億円
利益率(%) 8.0% 7.0% 6.3% 6.7% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 38億円 36億円 38億円 35億円 39億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で大きく増加し、それに伴い売上総利益も増加しました。一方で、販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益は前期をやや下回る結果となりました。しかし、売上総利益率は約30%から31%台と安定した水準を維持しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 779億円 887億円
売上総利益 244億円 268億円
売上総利益率(%) 31.4% 30.2%
営業利益 45億円 41億円
営業利益率(%) 5.8% 4.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が67億円(構成比30%)、運賃荷造費が37億円(同16%)を占めています。売上原価は619億円であり、売上原価合計に対する構成比は製品製造や商品仕入に関わる費用が大部分を占めています。

(3) セグメント収益


アジア事業はミトヨのグループ化等の影響により大幅な増収となりました。北米事業は飲料用ホース等が堅調に推移しました。欧州・南米・オセアニア事業は超インフレ会計適用の影響等でやや減収となりました。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
産業資材事業 166億円 262億円
スポーツ・建設資材事業 99億円 111億円
その他事業 8億円 4億円
アジア事業 273億円 377億円
北米事業 446億円 453億円
欧州・南米・オセアニア事業 60億円 57億円
連結(合計) 779億円 887億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

クリヤマホールディングスグループは、運転資金を内部資金で賄い、不足時には短期借入金で調達しています。設備資金は、計画に基づき内部資金で不足する場合に長期借入金等で調達しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に商品の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用により変動します。投資活動によるキャッシュ・フローは、工場設立などによる固定資産の購入等に関連します。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や調達等により変動します。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 69億円 42億円
投資CF -16億円 -49億円
財務CF -39億円 27億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「顧客の信頼をもとに、たゆまなく発展する会社」を経営理念に掲げています。約85年の歴史で培った技術と信頼を基盤とし、株主、顧客、地域社会、全従業員との良好な信頼関係を築き、環境や安全のコンセプトを守りながら社会的貢献に努めることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「顧客のニーズをつかみ、持続可能な社会づくりに貢献する会社」という経営ビジョンを掲げています。多様な人財の価値を活かした地域に根差したグローバル経営の推進や、「KURIYAMA VALUE」のもと次世代を見据えたDX改革を通じて、果敢に独自の創意性を高める文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、創業100周年を迎える2039年に企業価値を最大化することを目指し、中期経営計画「KMP Action1(2025~2027年)」を展開しています。2026年12月期の連結経営目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:960億円
* 営業利益:48億円
* 経常利益:54億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:38億円

(4) 成長戦略と重点施策


各事業の競争優位性を高めるため、アジア事業ではミトヨとのシナジー効果を最大化し、スポーツ・建設資材では総合床材No.1ブランドを目指します。北米では物流機能の最適化やホース製造ラインの増強により地産地消を推進し、欧州等でもシェア拡大に取り組みます。また、研究開発機能の強化や人的資本投資も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「企業の生命は、社員の成長と発展によって支えられる」という社是を掲げています。「多様な人材の価値を活かし、個々の能力を発揮できる組織作りを目指す」ことを重要課題に位置づけ、人材育成とダイバーシティ、職場環境整備を推進しています。社員一人ひとりが主体的に考え行動し、グローバルで活躍できる人材の育成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 44.3歳 15.5年 10,746,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.4%
男性育児休業取得率 44.4%
男女賃金差異(全労働者) 63.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 72.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 37.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、日本からの海外派遣人数(14人)、日本での外国人雇用者数(8人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 公共投資の動向による影響


スポーツ・建設資材事業において、道路・土木等の公共投資向け販売が約5割を占めるため、公共投資の動向が業績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、オリジナル商品の民間商業施設向け販売を拡大し、受注減少リスクに備えています。

(2) 原材料価格の変動


樹脂ホースの主要原材料であるレジンの価格は原油価格の変動影響を受けます。安定調達や一括契約でコスト削減に努めていますが、価格高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。生産性の改善や価格転嫁により影響の低減を図っています。

(3) 海外事業への依存と為替変動


売上高の6割以上を海外が占めており、進出先の経済動向や政治情勢、法的規制の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、現地通貨建ての財務諸表の円換算や外貨建て取引により、中長期的な為替変動が経営成績に影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。