※本記事は、日本エアーテック株式会社の有価証券報告書(第53期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日本エアーテックってどんな会社?
クリーンエアーシステム機器の専業メーカーとして、半導体やバイオ分野向けに事業を展開しています。
■(1) 会社概要
1973年に空気清浄機器の製造及び販売を目的に設立されました。1974年に標準型クリーンベンチを完成させ、以降エアーシャワーなど多様な製品を展開します。1991年に店頭売買銘柄に登録、1997年に上場を果たしました。海外へも進出し、中国や東南アジアで合弁会社の設立や技術供与を行っています。
同社の従業員数は単体で473名です。筆頭株主は役員が兼任する不動産管理会社のエアーテックアシストで、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は平和となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エアーテックアシスト | 15.94% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.23% |
| 平和 | 3.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は平沢真也氏が務めており、社外取締役比率は37.5%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平沢真也 | 代表取締役社長 | 1994年同社入社。設計部長、設計本部長を経て2003年に取締役に就任。2007年に取締役社長となり、2008年より現職。 |
| 高木顕二 | 取締役経営企画本部長 | 2003年入社。設計第4部長、アイソレーター部長、東日本営業本部長を経て、2021年に取締役に就任。2023年より現職。 |
| 東海林泰三 | 取締役生産統括本部長兼草加工場長兼越谷工場長 | 1996年入社。設計第1部長、第1設計本部長などを経て、2022年に取締役に就任し生産統括本部長に。2025年より現職。 |
| 北野雅之 | 取締役設計統括本部長兼設計本部長 | 1996年入社。設計第2部長、第2設計本部長、研究開発部長を経て2024年に設計本部長。2025年に取締役に就任し、2026年より現職。 |
社外取締役は、前川統一郎(元国際航業社長)、山﨑淳司(早稲田大学教授)、髙橋貢子(元サンワ・等松青木監査法人)です。
2. 事業内容
同社グループは、「クリーンエアーシステム事業」を展開しています。
半導体・電子工業分野および医薬品工業・再生医療などのバイオロジカル分野を主な需要先として、空気中の汚染制御に関する機器の製造や設置、保守サービスを提供しています。主要製品にはクリーンルーム、エアーシャワー、クリーンブース、クリーンベンチ、バイオ関連機器などがあります。
顧客に対する機器の販売やシステムのエンジニアリング、据付・保守サービスから収益を得ています。事業運営は主に日本エアーテックが担い、一部機器の製造においては、関連会社の蘇州安泰空気技術(中国)と技術供与や製造委託を通じた連携を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は概ね130億円から140億円台で安定的に推移しており、直近の2025年12月期は過去5年間で2番目に高い水準となりました。経常利益は一時的に落ち込む時期もありましたが、直近は持ち直し、利益率も再び10%台を回復して安定的な収益力を確保しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 143億円 | 132億円 | 136億円 | 135億円 | 142億円 |
| 経常利益 | 22億円 | 14億円 | 10億円 | 15億円 | 16億円 |
| 利益率(%) | 15.4% | 10.6% | 7.4% | 11.3% | 11.4% |
| 当期純利益 | 16億円 | 10億円 | 7億円 | 11億円 | 11億円 |
■(2) 損益計算書
当期は売上高の増加に伴い売上総利益も増加し、安定した利益水準を維持しています。原価低減や販売価格の改定によりコスト増加分を吸収したことで、営業利益も堅調に伸びています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 135億円 | 142億円 |
| 売上総利益 | 35億円 | 36億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.9% | 25.4% |
| 営業利益 | 11億円 | 12億円 |
| 営業利益率(%) | 8.1% | 8.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7億円(構成比27%)、荷造運賃が4億円(同18%)を占めています。当期総製造費用においては、材料費が43億円(構成比41%)、労務費が27億円(同26%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントであるため、事業全体の売上高を記載しています。半導体や電子工業分野、製薬分野向け設備投資が活発であり、クリーンルームや安全キャビネットの案件が順調に進捗したことで増収となりました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| クリーンエアーシステム | 135億円 | 142億円 |
| 連結(合計) | 135億円 | 142億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -7億円 | 16億円 |
| 投資CF | -9億円 | -9億円 |
| 財務CF | -10億円 | 3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.8%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も74.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「きれいな空気で、未来を支える。」というパーパスを掲げています。創業以来蓄積された技術力に基づき、顧客ニーズに合致した製品を連続的に創造する専業メーカーとして、社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会と企業の持続的成長の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、従業員の創造性を第一とし、自主性を重んじる文化を大切にしています。また、ESGやSDGs関連施策への取り組みを通じて、環境・社会の双方から持続可能な社会の実現を目指すとともに、ステークホルダーとの対話と情報開示を重視する透明性の高い企業経営を実践しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、中期経営計画(最終年度となる2028年12月期)において以下の数値目標を掲げています。
・売上高:180億円
・営業利益:14億円
・経常利益:18億円
・ROE:7%以上
・総還元性向:65%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、単なる価格競争に陥らないよう独自の技術力で差別化を図るとともに、省エネルギー性能を特徴とする標準品・準標準品の売上比率を80%に引き上げる方針です。また、東南アジアでの提携会社との連携強化によるグローバル展開や、電子・バイオ分野以外での新市場開拓にも積極的に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「きれいな空気で、未来を支える。」というパーパスのもと、社員一人ひとりの創造性に重点を置き、自ら学び、考え、行動する人材の育成を目指しています。また、多様な人材の多様な働き方と挑戦を支援するため、健康増進や職場環境の整備を進め、会社と社員がともに成長する環境づくりを推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 42.1歳 | 15.1年 | 6,558,984円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.4% |
| 男性育児休業取得率 | 87.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 72.2% |
| 男女賃金差異(臨時雇用者) | - |
※臨時雇用者の区分に男性の労働者はいないため、男女賃金差異は該当しません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
(1) 特定の業界への依存度
同社の売上は半導体や液晶などの電子工業分野、および医薬品や食品などのバイオロジカル分野に大きく依存しています。国内外におけるこれら特定の業界の設備投資動向が変化した場合、同社の業績に影響を与える可能性があります。
(2) 製品の競合と価格競争
同社製品は他社との競合が発生します。部品の内製化や生産性の向上で利益確保を図っていますが、競合による製品販売価格の下落や、資材コスト・労務費の上昇を適切に価格転嫁できない場合、収益性が悪化するリスクがあります。
(3) 品質管理・製造責任
同社は厳格な品質管理を行っていますが、万一装置の不具合や部品の不良等により顧客の生産に支障をきたし、損害が発生した場合、製品の信頼性低下や損害賠償請求等を通じて同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 取引先の信用リスク
同社は建築設備会社や装置メーカーなどへの直接販売を行っています。与信管理を徹底して不良債権の発生を抑えていますが、取引先の財政状況が急激に悪化し売掛債権の回収が困難になった場合、業績に影響を与える可能性があります。



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