※本記事は、デルソーレの有価証券報告書(第62期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. デルソーレってどんな会社?
ピザを中心とした食品の製造・販売と、外食・中食店舗を展開するトータルフードサービス企業です。
■(1) 会社概要
1964年に米国より冷凍ピザを輸入し販売を開始したのが同社の始まりです。1965年に自社製造を開始し、1982年にはピザの量産体制を確立しました。2003年に合併によりジェーシー・コムサを設立し、2004年にジャスダックに上場しました。2020年に現在のデルソーレへと商号を変更しています。
現在の従業員数は単体で241名です。筆頭株主ならびに第2位株主は創業家および役員の大河原氏で、第3位には食品等の事業会社であるPT INDOFOOD CBP SUKSES MAKMUR TBKが名を連ねており、安定した資本基盤を有しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大河原 愛子 | 25.40% |
| 大河原 毅 | 17.23% |
| PT INDOFOOD CBP SUKSES MAKMUR TBK(常任代理人SMBC日興証券) | 10.11% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOは大河原毅氏、代表取締役社長は武長栄治氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大河原 毅 | 代表取締役CEO | 1970年日本ケンタッキー・フライド・チキン入社。社長等を歴任後、2002年同社取締役に就任。2003年会長を経て、2007年より現職。 |
| 武長 栄治 | 代表取締役社長 | 2001年スターバックスコーヒージャパン入社。他社社長を経て2009年同社入社。千葉工場長等を歴任し、2026年1月より現職。 |
| アーネストM.比嘉 | 取締役 | 1976年ヒガ・インダストリーズ(現ドミノ・ピザ ジャパン)入社。同社社長等を経て、2010年より現職。 |
| 森山 敏治 | 取締役 | 1980年東京ビデオサービス入社。1984年同社入社。東日本支社長等を経て、2021年より現職。 |
| 印部 修一 | 取締役管理ユニット管掌 | 1990年三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。ビジネスローン部長等を経て、2019年同社入社。2021年より現職。 |
| 三枝 広幸 | 取締役管理ユニット担当 | 1986年東洋火災海上保険(現セコム損害保険)入社。2006年同社入社。総務・人事関連の要職を経て、2022年より現職。 |
社外取締役は、遠藤貢(元キユーピー常務)、近藤正樹(元日本KFC社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「食品事業」および「外食事業」を展開しています。
食品事業
ピザおよびナン、ピタ、トルティーヤなどのエスニックブレッド製品等の製造および販売を行っています。外食業界などを主要取引先とする業務用分野と、食品スーパーや生協などの一般家庭用分野の顧客に向けて、多様な食のニーズに応える製品を提供しています。
収益源は、製造・輸入した食品を卸売業者や小売店、外食チェーンなどに販売することで得る代金です。当事業の運営は同社が主体となって行っています。一部の商品および原材料の仕入れにおいては関連会社との取引も行われています。
外食事業
高級串焼・鶏惣菜の店舗や、テイクアウト業態の「おめで鯛焼き本舗」などの外食店舗を展開しています。訪日外国人をはじめとする幅広い消費者に向けて、直営店およびフランチャイズ(FC)店舗を通じてサービスを提供しています。
収益源は、直営店舗での飲食やテイクアウト商品の販売代金、デリバリーの代金のほか、FC加盟店への物品販売やロイヤリティ収入です。当事業の運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の売上高は154億円から178億円の間で推移し、直近では減収傾向にあります。経常利益は安定して計上されていますが、前々期に工場火災等の影響で当期純損失を計上し、当期は黒字に回復しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 155億円 | 169億円 | 178億円 | 154億円 | 146億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 5.2億円 | 13億円 | 5.4億円 | 3.8億円 |
| 利益率(%) | 6.5% | 3.1% | 7.1% | 3.5% | 2.6% |
| 当期純利益 | 6.4億円 | 3.0億円 | 6.0億円 | -4.2億円 | 2.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い売上総利益も減少しましたが、売上総利益率は37%台を維持しています。営業利益も減少していますが、利益率は安定した水準を保っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 154億円 | 146億円 |
| 売上総利益 | 57億円 | 54億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.0% | 37.2% |
| 営業利益 | 5.6億円 | 4.3億円 |
| 営業利益率(%) | 3.6% | 2.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が17億円(構成比33%)、荷造運搬費が8.9億円(同18%)を占めています。売上原価の多くは材料費37億円(構成比54%)と労務費17億円(同26%)で構成されています。
■(3) セグメント収益
食品事業は工場火災からの復旧途上で売上が減少し、外食事業も不採算店舗の整理によりわずかに減収となりましたが、利益面では食品事業が大幅な黒字転換を果たしました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 食品事業 | 123億円 | 116億円 | -1.9億円 | 8.9億円 | 7.6% |
| 外食事業 | 31億円 | 30億円 | 2.5億円 | 1.5億円 | 4.9% |
| 連結(合計) | 154億円 | 146億円 | 0.6億円 | 10億円 | 7.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.8%で市場平均を上回っています。
当期は本業・投資・財務のいずれのキャッシュ・フローもマイナスとなる末期型の兆候を示しています。ただし、火災損失に関連する支払い等による一時的な資金流出が含まれています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.0億円 | -1.2億円 |
| 投資CF | -2.5億円 | -7.0億円 |
| 財務CF | -1.7億円 | -1.9億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「食と食の文化を通じてお客様に満足と幸せを提供する」ことを経営理念として一貫して追い求めています。また、「食の安全・安心」を第一に掲げ、「“おいしい”で世界をつなぐ」ことをミッションとし、業績の向上と財務体質の改善、経営基盤の強化に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
日本におけるピザのパイオニアとして創業して以来、ナンやピタなど世界のおいしいパンの製造へと領域を広げてきた同社は、お客様に直接お届けできる外食・中食事業を展開するなど、「トータルフードサービス」として食のバリエーションを提供し、食卓を豊かにする文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2023年度から2026年度までの事業運営に関する「中期経営計画2026」を策定し、目標達成に向けて邁進しています。消費者の生活防衛意識や外部環境の変化をチャンスと捉え、収益基盤の再構築により持続的成長と中長期的な企業価値の向上を実現することを目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の重点施策として、「食の安全・安心」を最優先とした品質管理体制の充実を図ります。食品事業では完全復旧した生産力をフル活用し、業務用・家庭用双方での販路拡大と課題解決型の提案営業を強化します。外食事業ではテイクアウト業態のフランチャイズビジネスを拡大し、海外事業では新規市場の開拓を進めます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、事業環境の変化に対応し続けることが持続的成長を支えるとの認識のもと、人的資本を競争力に変える施策を推進しています。人材の多様性確保や業務適正化を図るほか、各自の特性やスキルを活かせるよう研修・育成プランの充実、柔軟なキャリア形成に向けた職場環境整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.0歳 | 14.0年 | 5,449,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 83.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 96.9% |
※女性管理職比率については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、基幹社員における女性の在籍比率(22.1%)、全従業員の一月当たり平均残業時間(6.4時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 災害、事故、疾病等の影響
生産拠点として国内に工場を有していますが、地震や台風等の災害や事故が発生し、複数の工場が重大な被害を受けた場合、同社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、疾病の蔓延によるサプライチェーンの混乱や従業員の感染などもリスクとなります。
■(2) 市場動向、価格変動の影響
ピザの主原料であるチーズは輸入品に依存しており、地政学リスクや気候変動により価格が乱高下することがあります。また、小麦粉の価格動向、輸入商品における為替変動、人手不足を背景とした物流コストの上昇を販売価格へ転嫁できない場合、業績に影響を及ぼします。
■(3) 取引先の信用リスク
同社は販売先や店舗オーナー等に対する与信管理を徹底し、債権保全に努めていますが、取引先の収益または財政状態の急激な悪化によっては、売掛債権や敷金・保証金等の回収に支障を来し、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) カントリーリスク
同社の海外進出は現地優良パートナーとの協業を主体とし、カントリーリスクを最小限に抑える体制をとっていますが、進出先の国の政治、経済、社会情勢に起因して予期せぬ事態が発生した場合には、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。



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