ラオックスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ラオックスホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ラオックスホールディングスはスタンダード市場に上場し、ギフトソリューション事業や免税店等のリテール事業などを展開しています。直近の業績は、売上高が減少傾向にあり、経常利益も減益となるなど苦戦しています。主力事業への経営資源集中やコスト最適化を進め、持続的成長と収益性向上を目指しています。


※本記事は、ラオックスホールディングス株式会社の有価証券報告書(第50期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. ラオックスホールディングスってどんな会社?


ギフトソリューション事業と訪日観光客向け免税店などを展開する企業です。

(1) 会社概要


1976年に設立され、1999年に東京証券取引所市場第二部に上場しました。2009年には蘇寧雲商集団等と業務資本提携を締結しています。2018年にシャディを子会社化してギフト事業を強化し、2022年には会社分割により持株会社体制へ移行するなど、事業ポートフォリオの転換を進めてきました。

同社グループの連結従業員数は969名、単体では59名です。筆頭株主は蘇寧易購集団の孫会社であるGRANDA MAGIC LIMITEDで、第2位はWISEHUB INTERNATIONAL CO.,LIMITED、第3位は業務提携先である日本観光免税が名を連ねています。

氏名 持株比率
GRANDA MAGIC LIMITED 30.39%
WISEHUB INTERNATIONAL CO.,LIMITED 24.22%
日本観光免税 6.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.6%です。代表取締役会長兼社長CEOは羅怡文氏が務めており、社外取締役の比率は約46.2%となっています。

氏名 役職 主な経歴
羅怡文 代表取締役会長兼社長CEO 1995年中文産業を設立し代表取締役に就任。2009年同社入社後、代表取締役社長等を経て、2026年3月より現職。
谷口真隆 取締役 2001年ジャパンニューアルファ入社。2013年リラフル代表取締役社長を経て、2018年同社入社。2026年3月より現職。
郭昂 取締役 2007年NISグループ入社。2019年同社入社後、中国弁護士資格を取得。同社経営戦略室長を経て、2023年3月より現職。


社外取締役は、阿久津康弘(東京国際コンサルティング代表取締役)、陸耀(蘇寧易購集団副総裁)、中田吉昭(OMM法律事務所)、周斌(蘇寧易購集団CFO)、福田拓実(SDFキャピタル代表取締役)、林亜青(江蘇世紀同仁弁護士事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ギフトソリューション事業」「リテール事業」「トレーディング事業」「アセット・サービス事業」を展開しています。

ギフトソリューション事業


ギフト用品および生活関連用品の販売を事業の柱としています。主に贈答用洋菓子や雑貨を扱い、各種物流サービス、ECサイト運営、コールセンター運営なども提供しています。

全国に展開するフランチャイズ店などに向けた商品の卸売販売により収益を得ています。当事業は主にシャディやラオックス・ロジスティクスが運営を行っています。

リテール事業


国内外の顧客に向けた商品販売を行っています。訪日観光客を対象にした免税店事業に加え、紳士服や婦人服、雑貨用品などのアパレル販売を中心に事業を展開しています。

一般顧客への店舗およびオンラインでの商品販売や、法人に対する卸売販売によって収益を確保しています。事業の運営は主にバーニーズジャパンやラオックス・グローバルリテーリングが担っています。

トレーディング事業


プライベートブランド商品などの輸出入を通じた貿易事業や、グローバルECなどを展開しています。中国国内での日本料理店運営など飲食業も推進しています。

法人に対する卸売販売や一般個人向けの販売、および飲食サービスの提供によって対価を受け取っています。本事業は主に楽弘益(上海)企業管理有限公司などが運営しています。

アセット・サービス事業


複合商業施設の運営と管理、不動産売買、および仲介などを展開しています。テナントの入れ替えや新業態の誘致により、施設の入居率向上と収益性の改善を図っています。

施設へのテナント出店に伴う賃貸料収入や不動産売買による収益を得ています。事業の運営は主にラオックス・リアルエステートが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は550億円から680億円程度で推移していますが、直近では減収となっています。利益面では経常黒字を維持しているものの利益率は低水準にとどまり、当期利益は直近で黒字転換を果たしたものの、過去数年間は赤字が続くなど厳しい状況が窺えます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 681億円 551億円 602億円 615億円 575億円
経常利益 -22億円 5億円 6億円 2億円 0.4億円
利益率(%) -3.2% 0.9% 0.9% 0.4% 0.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -85億円 -6億円 -15億円 -7億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益や営業利益も減少しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移していますが、営業利益率は極めて低い水準にとどまっており、収益性の改善が課題となっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 615億円 575億円
売上総利益 204億円 197億円
売上総利益率(%) 33.2% 34.3%
営業利益 1億円 0.7億円
営業利益率(%) 0.2% 0.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が54億円(構成比27%)、地代家賃が29億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるギフトソリューション事業やリテール事業の売上高が減少しており、全体の減収に影響しています。アセット・サービス事業は前年比で増収となっており、グループ全体の収益基盤強化に貢献しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
ギフトソリューション事業 371億円 345億円
リテール事業 224億円 208億円
トレーディング事業 7億円 2億円
アセット・サービス事業 13億円 19億円
連結(合計) 615億円 575億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ラオックスホールディングスは、事業活動による資金創出に注力しつつ、将来の成長に向けた投資を継続しています。

営業活動では、事業運営に必要な資金の支出超過となりましたが、これは主に仕入れや人件費等の支払いによるものです。投資活動では、将来の事業拡大を見据えた設備投資や有価証券の取得等で資金の支出がありました。財務活動では、借入金の返済や株主への配当金の支払い等で資金の支出がありました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -0.7億円 -3億円
投資CF -7億円 -12億円
財務CF 2億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「豊かで多様なライフスタイル“Global Life Style”の提案とその進化・創造の支援」を基本理念として掲げています。国内・国外を問わず多様な顧客に対して、さまざまな価値ある商品やサービスを届け、世界中の人を笑顔にし、一人ひとりに価値あるものを見つけ出して発信していくことを使命として事業活動を展開しています。

(2) 企業文化


同社は「お客様の生活を彩る様々な物語を創造していくこと」や「お客様の日常に幸せをもたらす存在であること」をポリシーとして重視しています。新たな価値を探求し発信し続ける進取果敢な人材を最大の資産と考え、多様なバックグラウンドを持つ従業員が互いに尊重・協力し合い、個性と持ち味を最大限に発揮できるボーダレス社会の実現を目指す文化を推進しています。

(3) 経営計画・目標


変化の激しい経営環境に柔軟かつ迅速に対応するため、同社は2025年度から2027年度を対象とした中期経営計画を策定しています。「収益を優先した改革・成長投資」「更なる選択と集中」「顧客セグメントの拡大/シフト」「グループシナジーの最大化」の4つを重点戦略テーマとして掲げ、各施策を推進して持続的な企業価値向上を図っています。

(4) 成長戦略と重点施策


次世代成長戦略として、主力事業への経営資源集中による収益性向上と顧客セグメント拡大を推進します。ギフトソリューション事業では高単価ギフトの企画開発や海外直輸入商品の導入で差別化を図り、リテール事業ではインショップ出店による新規チャネル開拓やマーケティング活動の高度化に注力します。あわせて、事業の統廃合やコスト構造の最適化を進めていきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業成長の原動力となる人材育成に注力しており、次世代リーダーやマネジメント層の育成を重点課題としています。若手・ポテンシャル人材の抜擢や配置転換による成長機会の拡大を図るとともに、フレックスタイム制や在宅勤務などの多様な働き方を導入しています。従業員の可能性を可視化する人材プラットフォームの構築により、エンゲージメントと働きがいの向上を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 45.8歳 10.1年 7,592,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 35.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 58.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 69.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 11.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原燃材料の市況変化


ギフト事業におけるカタログやチラシなどの紙パルプ等の原材料市況が、世界的な需要や燃料価格の影響で高騰した場合、調達コストや運送事業者のコストが上昇し、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 売上高の季節変動


ギフト事業では中元期および歳暮期の売上比率が高く、アパレル事業でも秋冬物の重衣料を販売する時期に年間売上高が集中しています。この期間に大規模な自然災害や異常気象が発生した場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。

(3) カントリーリスクと国際情勢


中国を中心とするアジア地域において店舗展開や商品調達を行っているため、政治・社会不安や経済情勢の悪化、法令の変更などによりインバウンド需要が減少した場合、同社の経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(4) 個人情報漏洩のリスク


店舗およびECサイトでの商品販売において多くの顧客の個人情報を保有しています。厳重な管理体制を構築していますが、システムトラブルなどにより予期せぬ情報漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜を招く可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。