※本記事は、フジオフードグループ本社の有価証券報告書(第27期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フジオフードグループ本社ってどんな会社?
各種業態の飲食店の経営やフランチャイズ展開を主力事業とする企業です。
■(1) 会社概要
1979年に創業し、1986年に設立されました。1988年に「まいどおおきに食堂」、1997年に「串家物語」の1号店をオープンしました。2002年に上場を果たし、2006年には中国に海外1号店を出店しました。2020年には持株会社体制への移行に伴い現在の社名に変更しています。
従業員数は連結で600名、単体で27名です。筆頭株主は役員が兼任するエフエム商業計画で、第2位は創業者の藤尾政弘氏、第3位は事業会社のサッポロビールとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エフエム商業計画 | 13.28% |
| 藤尾 政弘 | 6.05% |
| サッポロビール | 5.84% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.1%です。代表取締役社長は藤尾政弘氏が務めています。社外取締役は4名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤尾 政弘 | 代表取締役社長 | 1979年に藤尾実業を創業し、1986年に設立された同社の代表取締役に就任しました。1999年より代表取締役社長を務め、現在はフジオフードシステムの代表取締役社長も兼任しています。 |
| 藤尾 英雄 | 取締役副社長 | 2003年に同社へ入社しました。商品管理本部長や営業本部長などを歴任し、2022年にフジオフードシステムの取締役副社長に就任しました。2023年より同社の取締役副社長を務めています。 |
| 仁田 英策 | 取締役財務経理統括 | 田辺製薬やステラケミファ、第一稀元素化学工業を経て、2014年に同社へ入社しました。執行役員財務経理部長や取締役財務経理本部長などを歴任し、2026年より現職。 |
| 新井 誠 | 取締役グループ開発管掌 | 2009年に同社へ入社しました。店長や営業部長を経て、執行役員西日本営業本部長や開発本部副本部長などを歴任しました。2024年より取締役グループ開発管掌を務めています。 |
| 田中 公博 | 取締役経営企画部長 | サンマルクカフェ常務取締役やトリドールホールディングス常務取締役などを経て、アトム代表取締役社長を務めました。2025年に同社へ入社し、2026年より現職。 |
| 岸上 裕一 | 取締役グループ営業管掌 | 2006年に同社へ入社しました。かっぽうぎ営業部長やカフェ事業部長、沖縄エリア担当などを経て、2022年にグレートイースタンの代表取締役に就任しました。2026年より現職。 |
| 九鬼 祐一郎 | 取締役 | 山一證券や日興証券などを経て、松井証券専務取締役やアーク取締役副社長を務めました。2011年に同社へ入社し、経営企画部長や東京支社長などを歴任。2024年より現職。 |
社外取締役は、伊東康孝(元すかいらーくホールディングス代表取締役社長)、百瀬裕規(元野村総合研究所取締役副会長)、越知覚子(弁護士法人梅ヶ枝中央法律事務所パートナー弁護士)、小郷三朗(元サントリー食品インターナショナル代表取締役会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「直営事業」および「FC事業」を展開しています。
■直営事業
直営事業では、国内および海外において多様なブランドの飲食店を運営しています。主な業態として、家庭料理を提供する「まいどおおきに食堂」、ビュッフェスタイルの「神楽食堂 串家物語」、セルフうどんの「麺乃庄 つるまる」などの主力ブランドを中心に、定食や天麩羅専門店、喫茶店、カフェなどを展開しています。
収益は、直営店舗に来店した顧客への飲食サービスの提供による販売代金から得ています。立地に応じた最適な店舗運営や、季節ごとのフェアを通じた集客施策などに取り組んでいます。運営は主にフジオフードシステムや上海藤尾餐飲管理有限公司などの連結子会社が行っています。
■FC事業
FC事業では、直営事業で培った飲食店経営のノウハウをもとにフランチャイズ加盟店を募集し、運営指導や支援を行っています。「まいどおおきに食堂」や「神楽食堂 串家物語」、「麺乃庄 つるまる」などの自社業態について、店舗設計ノウハウの指導や研修、プライベートブランド商品の提供などを実施しています。
収益は、加盟店から受け取るフランチャイズ加盟金や、店舗設備・消耗品等の販売代金、店舗の売上高に応じたロイヤリティ収入から構成されています。フランチャイズ加盟企業や営業委託者とのコミュニケーションを通じて集客と売上の向上を目指しています。運営は同社および連結子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高は継続して増加傾向にあります。一方で経常利益は、原材料価格やエネルギーコスト、人件費等の上昇が影響し、一時的に赤字を計上する時期もありましたが、その後は黒字に転換しています。直近では価格改定の効果などにより一定の利益水準を確保しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 255億円 | 265億円 | 298億円 | 313億円 | 319億円 |
| 経常利益 | 18億円 | -7億円 | 3億円 | 10億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 7.0% | -2.7% | 1.0% | 3.3% | 1.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2億円 | -28億円 | -4億円 | 5億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から微増となり、売上総利益も同水準を維持しています。しかし、事業活動に伴うコストが増加した影響により、営業利益は前期を下回る結果となりました。利益率の改善に向けて、原価と販管費の適正なコントロールが進められています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 313億円 | 319億円 |
| 売上総利益 | 203億円 | 206億円 |
| 売上総利益率(%) | 65.0% | 64.6% |
| 営業利益 | 12億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 3.9% | 2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が74億円(構成比37.4%)、地代家賃が44億円(同22.0%)を占めています。
■(3) セグメント収益
直営事業では、季節フェアやSNSを活用した集客施策、既存店舗の改装などにより既存店の底上げを図ったことで、売上高が前期を上回りました。FC事業は、直営店のフランチャイズへの売却などを進めたものの、売上高は前期から微減となりました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 直営事業 | 297億円 | 303億円 |
| FC事業 | 17億円 | 16億円 |
| 連結(合計) | 313億円 | 319億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業活動で得た資金で借入金の返済や投資を行っている健全型の状態を示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 22億円 | 10億円 |
| 投資CF | -7億円 | -38億円 |
| 財務CF | 49億円 | -20億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「大衆食のカテゴリーで日本一の外食企業になる」ことを基本方針として掲げています。「お客様に人のぬくもりを感じていただく」お店づくりをコンセプトとし、店内調理による安心・安全な食事を提供することで、顧客に喜ばれる店舗の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、品質・接客・清潔さ(QSCレベル)の向上を実現するため、「凡事徹底」を直営店およびFC店の全店共通の合言葉としています。飲食店として当たり前のことを当たり前に行う姿勢を重視し、顧客に満足してもらえるサービスを提供できる人材の育成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、将来に向けた成長と収益性の確保を目指し、利益率を重視した数値目標を掲げています。既存業態のブラッシュアップや新業態の開発を通じて、安定的な利益創出を図ります。
* 連結売上高経常利益率10%以上
* 自己資本利益率(ROE)15%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長戦略として、マルチ戦略を軸にブランドや立地、価格帯を分散させ、外的要因の影響を受けにくい事業体制を構築します。また、収益構造の安定化を図るため、直営事業に加えてFC事業の推進に注力します。
* 既存店の収益力向上(QSCレベルの向上)
* FC加盟店の出店促進と支援体制の強化
* 多様化するニーズに対応した新業態のスピーディーな開発
* 独自の教育プログラムによる人材の確保と育成
* メニュー開発・仕入から商品提供までの安全衛生管理体制の強化
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、人的資本への投資を強化することが中長期的な企業価値向上に寄与すると考えています。人材獲得競争に打ち勝つため、女性の採用や活躍を不可欠と位置づけ、仕事と生活を両立しながら長く働ける環境の整備を進めています。また、社員の自己実現を支援する「夢を持てるキャリアアッププラン制度」の再構築や、業務委託の形で独立を目指す「独立支援制度」など、独自の教育・評価プログラムを展開しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 48.2歳 | 9.2年 | 6,301,835円 |
※平均年間給与には、基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.4% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全従業員) | 86.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 71.5% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 113.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 新規出店と加盟店展開の遅延
同社グループは、直営店および加盟店による店舗網の拡大を基本戦略としています。しかし、条件に合致する物件が確保できない場合や、加盟店の個別事情・立地確保の遅れにより、出店数や時期が計画通りに進まない可能性があります。また、新規店舗の業績が計画を下回った場合、同社グループの経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) 外食産業における競争激化
外食産業は参入障壁が低く、新規参入が多いことに加え、産業の垣根を越えた価格競争が激しい業界です。同社グループは「大衆食」の業態に絞り、時代のニーズに合ったメニュー開発で差別化を図っていますが、同様のコンセプトを持つ競合他社の出店が増加した場合、競争力の低下を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 食材の安全性と価格変動
食材の調達において、伝染病や感染症、食品偽装問題など食の安全性を損なう問題が発生した場合、外食需要の低下や価格上昇につながる恐れがあります。また、農作物は天候等の影響により収穫量が変動するため、調達価格が変動するリスクを負っています。安全な食材の確保や価格上昇への対応が困難になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 人材の確保と育成
更なる成長に向けて出店を進める上で、優秀な人材の確保と育成は重要な課題です。同社グループは新卒・中途を問わず幅広い採用活動を行い、教育プログラムや人事評価制度の見直しなど従業員の定着に努めています。しかし、必要とする人材を十分に確保できなかった場合や、育成が予定通りに進まなかった場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。



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