※本記事は、全保連株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
全保連は、賃貸物件の賃借人が家賃等の支払いを滞納した場合に、賃貸人へ代位弁済を行う家賃債務保証サービスを主軸事業としています。全国19拠点で不動産管理会社や仲介会社と連携し、累計58,524拠点に及ぶネットワークを構築しています。
同社の単体従業員数は575名です。セグメントは家賃債務保証事業の1つです。
全保連は、主に賃貸物件における賃借人の家賃等の支払いを賃貸人に保証する事業を営んでいます。全国の主要都市に配置した本社・営業所等を通じて、不動産管理会社や不動産仲介会社等(協定会社)に対する積極的な営業活動を展開し、幅広い協定会社ネットワークを構築しています。
同社は三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社となり、2026年2月には新商品「三菱UFJカードプラン」をリリースしました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
全保連は、家賃債務保証サービスを主軸に、新たな価値創造と持続的な企業価値向上を目指す企業です。社員の成長と多様性を重視し、働きやすい環境づくりにも力を入れています。ここでは、同社の給与水準や働き方に関する具体的なデータと、人材育成・活用への取り組みについてご紹介します。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、社員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する傾向が見られます。平均勤続年数と平均年齢から、一定の経験を積んだ社員が安定して活躍している様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,594,000円 |
| 平均勤続年数 | 10.8年 |
| 平均年齢 | 43.1歳 |
| 単体従業員数 | 575人 |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定拠出制度(DC)を採用しています。確定拠出型とは、会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は「QUALITY FOR THE FUTURE 新たな価値へ、新たな未来へ」という企業理念のもと、自律的に挑戦し成長し続ける人材の育成と、多様な人材が能力を最大限に発揮できる組織の実現を人材戦略の基本方針としています。人的資本を経営上重要な投資先と位置付け、DX推進や審査・回収業務の高度化を通じて、中長期的な収益力及び企業価値の向上に資する体制構築を目指しています。
人材育成においては、戦略的な人員計画のもと、社員一人ひとりが主体的に挑戦し成長できる体制の整備を重視しています。具体的には、管理職から非管理職までを対象とした階層別研修を基軸に、部門別の専門研修や全社員向け研修を組み合わせることで、組織全体の能力向上を図っています。また、マネジメント層人材の計画的な育成・拡充を進めるとともに、DXやデータ活用等の経営課題に対応する専門人材の育成・確保にも取り組んでいます。
多様性の確保も重要な経営課題の一つと位置付け、女性活躍の推進を軸とした施策を推進しています。仕事と育児の両立支援にも注力し、性別を問わず働きやすい職場環境の整備を進めています。社員エンゲージメントの向上と人材定着も重要な経営指標とし、エンゲージメント調査の実施頻度を高めることで、社員の意見を適時に把握し、人事施策や組織マネジメントの高度化に活用しています。
具体的な社内環境整備としては、連続休暇制度、育児休業制度、介護休業制度といった休暇制度を設けています。柔軟な働き方を実現するための制度として、短時間勤務や定年後再雇用制度も導入されています。手当面では、資格取得奨励制度、慶弔見舞金、帰省手当があり、その他にも定期健康診断、総合福祉団体定期保険、福利厚生倶楽部、確定拠出年金型退職金制度、永年勤続表彰制度などが整備されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データであり、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全従業員) | 66.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規社員) | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規社員) | 74.4% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性の育児休業取得率 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 離職率(2025年度) | 8.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
全保連は、賃貸物件における家賃債務保証サービスを主力事業として展開しています。不動産管理会社や仲介会社と連携し、賃貸マーケットの円滑な発展を支える役割を担っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、主に賃貸物件における賃借人の家賃等の支払いを賃貸人に保証する家賃債務保証サービスを提供しています。賃借人から保証委託料を受け取り、賃借人の家賃支払いが滞った場合には、賃貸人に対して同社が代位弁済を行います。代位弁済した金額は後日、賃借人に求償して回収する収益モデルです。
この事業では、賃貸物件の管理や仲介を担う不動産管理会社や不動産仲介会社(協定会社)との協力関係が不可欠です。同社は全国19拠点で協定会社に対する営業活動を展開し、累計58,524拠点にのぼる幅広いネットワークを構築しています。
商品開発にも注力しており、家賃等の概算払方式や賃借人向け見守りサービス「Z-Support Premium」を提供しています。また、三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社となった後には、家賃のカード払いが可能な新商品「三菱UFJカードプラン」をリリースしました。
DX戦略の一環として、独自開発した電子申込システム「Z-WEB2.0」の機能拡充を進め、協定会社による導入拠点数を増やしています。これにより、賃貸借保証委託契約の電子申込率や電子契約率が伸長しています。さらに、賃借人向けマイページ「YUIPASS」の提供を開始し、新たな収益ビジネスの確立にも取り組んでいます。
債権管理面では、AIを活用した審査の高度化により、早期入金控除後30日期間代位弁済率や代位弁済回収率の改善を図っています。同社の収益は、主に初回保証委託料収入、年間保証委託料収入、その他収入(保証事務手数料収入、収納代行手数料収入等)から構成されています。
同社の売上高は本邦の外部顧客へのものが大部分を占めており、国内事業が中心です。また、特定の相手先への販売実績が総販売実績の10%以上を占める相手先は存在しません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも過去最高を更新し、堅調に推移しています。三菱UFJフィナンシャル・グループ企業との資本業務提携に基づくシナジー効果の実現が、業績を押し上げる要因となりました。
当事業年度においては、退任取締役への退職慰労金贈呈に伴う特別損失を計上しましたが、それでもなお利益面でも過去最高を更新しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
従業員一人あたりの収益や利益は、企業の効率性や収益力を測る重要な指標です。これらの指標は、組織全体の生産性や、従業員が事業活動を通じて生み出す価値の大きさを示しています。企業の持続的な成長や、将来的な給与水準の維持・向上を検討する上で、生産性のトレンドを把握することは重要です。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
全保連は本業で安定的に資金を創出し、事業拡大のための投資も進めながら、財務基盤を強化している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
全保連の財務基盤を見ると、自己資本比率は当期で32.5%となっています。これは東京証券取引所プライム市場の非製造業平均と比較すると高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期で22.6%となっており、プライム市場平均と比較して高い水準です。手元資金を示す現金及び預金は当期で94.4億円となり、前期から増加しています。これらの状況は、同社が安定した財務体質を維持し、事業活動に必要な資金を確保していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 71.9億円 | 81.0億円 |
| 自己資本比率 | 31.6% | 32.5% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 22.6% |
| 現金及び預金 | 72.7億円 | 94.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
全保連のキャッシュフローは、本業で安定的に資金を創出している状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは当期に51.4億円の収入となり、前期から増加しています。これは主に税引前当期純利益や仮受金の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは当期に10.9億円の支出となっており、無形固定資産の取得や定期預金の預入による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは当期に18.9億円の支出となり、配当金の支払いや短期借入金の返済が行われています。
フリーキャッシュフローは当期に40.6億円のプラスとなっており、本業で得た資金を投資に回しつつも、手元に余剰資金を確保している状態です。このような資金の流れは、同社が安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続していることを示しており、雇用や給与の安定性にも寄与する基盤があると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 30.6億円 | 51.4億円 |
| 投資CF | △6.7億円 | △10.9億円 |
| 財務CF | △3.3億円 | △18.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 23.9億円 | 40.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、国内賃貸不動産市場の動向による影響を受けています。人口減少や経済状況の悪化等に伴い、賃貸不動産市場が低迷した場合、同社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、家賃債務保証業は参入障壁が低いため、他業種からの新規参入や同業他社の台頭によってシェアを失うことになれば、同社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、必要な人材の確保と育成に努める方針です。しかし、必要な人材の確保が計画どおり進まなかった場合や、現在在籍する人材の社外流出等により、事業拡大が制約を受ける可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
全保連は、家賃債務保証事業を通じて社会に貢献し、未来に向けた新たな価値創造を目指す企業です。三菱UFJフィナンシャル・グループの一員として、先進性と変革を追求する姿勢を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
全保連の企業理念は「QUALITY FOR THE FUTURE 新たな価値へ、新たな未来へ」です。
同社は、この企業理念を実現するため、先進性を追求し、変革する未来を乗り越え続けるリーディングカンパニーであり続けることを目指しています。
2025年4月4日に三菱UFJニコス株式会社による公開買付けが成立し、同社は株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループの一員となりました。
これにより、ブランド力の向上とリーディングカンパニーとしてのプレゼンスを確固たるものとすることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
全保連は、企業理念「QUALITY FOR THE FUTURE 新たな価値へ、新たな未来へ」を実現するため、以下の行動規範を定めています。
「誠実・信頼」として社会規範に則り、真心と責任をもって安心・安全を届けることを重視しています。
「品質・価値」では自由な発想で持続可能な未来標準となる品質と価値の創造を目指し、「変化・進化」では常に一歩先の未来を意識し、変化を恐れずスピーディーに行動することを求めています。
また、「挑戦・成長」としてこれまでの価値観にとらわれず未来へ挑戦し成長すること、「チームワーク」として社員がお互いを尊重し、風通しの良い職場で高い目標に向かうことを掲げています。
同社は、社員一人ひとりへの企業理念・行動規範の徹底が重要であると考えており、コーポレート・ガバナンスの充実を企業活動の中核と位置づけています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
全保連は、新たな価値創造のためのDX戦略を推進しており、社内業務の効率化や顧客向けデジタルサービスの提供を通じて「生活のプラットフォーマー」を目指しています。
また、持続的成長に貢献できる人材の確保及び育成も重要なテーマです。
公正な人事評価、人材育成体系の充実、社内環境整備を進める方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、企業理念の実現のため、ステークホルダーを尊重し、透明・公正・迅速・果断な意思決定を行うコーポレート・ガバナンスの基本精神を重視しています。
マネジメント・モデルに軸足を置く体制を敷き、実効性の高いガバナンス体制の構築と運用を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は事業会社である三菱UFJニコスです。
創業者の迫幸治氏や代表取締役会長兼社長執行役員の茨木英彦氏も上位株主として名を連ねています。
これにより、特定の事業会社と創業関係者が経営を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱UFJニコス | 51.13% |
| 迫 幸治 | 11.08% |
| 茨木 英彦 | 4.72% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。
代表取締役会長兼社長執行役員は茨木英彦氏が務めています。
社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 茨木 英彦 | 代表取締役会長兼社長執行役員 | 1981年3月神戸大学経営学部卒業、同年4月三和銀行入行。モルガン・スタンレー証券エグゼクティブ・ディレクター等を経て、2026年4月同社代表取締役会長兼社長執行役員より現職。 |
| 村上 宏太郎 | 取締役専務執行役員オペレーション本部長 | 1988年3月早稲田大学法学部卒業、同年4月三菱銀行入行。三菱UFJニコス取締役兼執行役員等を経て、2025年6月同社取締役専務執行役員オペレーション本部長より現職。 |
| 林 憲司 | 取締役専務執行役員コーポレート本部長兼審査本部長兼経営企画部長 | 1992年3月東京大学法学部卒業、同年4月三菱銀行入行。同社クレジット本部審査部長等を経て、2026年3月同社取締役専務執行役員コーポレート本部長兼審査本部長兼経営企画部長より現職。 |
| 村上 時弘 | 取締役 | 1991年3月同志社大学商学部卒業、同年4月三和銀行入行。三菱UFJニコス執行役員等を経て、2025年6月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、平野義之氏(オークラヤ住宅顧問)、松本拓生氏(恵比寿松本法律事務所代表弁護士)、菅隆志氏(沖縄セルラー電話代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、提出日現在の取締役会は7名(うち社外取締役3名)で構成されています。
社外取締役は、取締役会の意思決定機能や監督機能の強化に貢献しています。
また、社外監査役3名で構成される監査役会が、取締役の職務執行を監視する体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、企業価値の追求と持続的成長を促すことを基本方針としています。
取締役(非業務執行取締役及び社外取締役を除く)および執行役員に対しては、固定の基本報酬に加え、短期インセンティブとしての金銭報酬と中長期インセンティブとしての譲渡制限付株式報酬を支給しています。
非業務執行取締役および社外取締役は、独立した立場から経営を監督する役割を考慮し、基本報酬のみの固定報酬で構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 5.3億円 | 87.8百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 53百万円 | 6.6百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
個人別報酬が開示されている役員は、迫幸治氏(1.53億円)、茨木英彦氏(2.74億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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