SBSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SBSホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

SBSホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場しており、物流を中核事業として不動産や人材、環境などの周辺事業も展開しています。直近の業績では、新規顧客の獲得やM&Aによる連結効果などにより、売上高が4903億円、経常利益が211億円となり、過去最高を更新して増収増益を達成しました。


※本記事は、SBSホールディングス株式会社の有価証券報告書(第40期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. SBSホールディングスってどんな会社?


物流を中心に不動産や人材派遣などを多角的に展開し、サプライチェーンを支える企業です。

(1) 会社概要


1987年に即配事業を行う関東即配として設立されました。その後、2003年の店頭登録を経て、2012年に東証二部、2013年に東証一部へ上場しました。2004年に雪印物流、2005年に東急ロジスティック、近年ではリコーロジスティクスや東芝ロジスティクスを傘下に収めるなど、M&Aで急成長しています。

現在は連結で11,772名、単体で310名の従業員を抱える企業グループに成長しています。筆頭株主は創業者であり代表取締役社長の鎌田正彦氏が代表を務める鎌田企画で、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねており、安定した資本基盤を有しています。

氏名 持株比率
鎌田企画 49.57%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.36%
日本カストディ銀行(信託口) 4.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長代表執行役員は鎌田正彦氏が務めています。社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
鎌田正彦 代表取締役社長代表執行役員 1979年東京佐川急便入社。1987年関東即配(現同社)取締役。雪印物流や東急ロジスティクスの代表を経て、1988年より現職。
星秀一 取締役専務執行役員(サステナビリティ推進部担当) 1979年伊藤忠商事入社。伊藤忠食品代表取締役社長等を経て、2018年同社非常勤顧問。2023年より現職。
泰地正人 取締役常務執行役員(監査部・人事部・総務部・物流品質管理部担当) 1984年東急運輸(現SBSロジコム)入社。同社人事部長等を経て、2013年同社執行役員。2019年より現職。
田中康仁 取締役常務執行役員(経営企画部・事業開発部・法務室担当) 1987年住友銀行入行。2010年同社入社。マーケティングパートナー代表等を経て、2024年より現職。
五味夏樹 取締役執行役員(最高財務責任者(CFO)・IR広報部・財務部・経理部担当) 1984年日本長期信用銀行入行。楽天執行役員、野村信託銀行常務等を経て、2021年同社執行役員。2023年より現職。
若松勝久 取締役執行役員(グループ事業戦略部担当) 1982年リコー入社。リコーロジスティクス代表取締役社長執行役員を経て、2019年同社取締役。2023年より現職。
川井裕也 取締役(常勤監査等委員) 1984年三愛運輸入社。同社執行役員等を経て、2025年より現職。


社外取締役は、岩﨑二郎(元JVCケンウッド取締役執行役員常務)、小杉善信(元日本テレビホールディングス代表取締役社長)、関根千津(元住化技術情報センター代表取締役社長)、辻さちえ(ビズサプリ代表取締役)、鷲尾英一郎(元外務副大臣)です。

2. 事業内容


同社グループは、「物流事業」「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。

物流事業


企業間物流の分野で総合的なサービスを展開し、荷主企業の物流業務を包括的に受託する3PLおよび4PL事業を提供しています。食品の三温度帯物流や運送、即配サービス、国際物流などを手がけています。

収益源は顧客からの運送料や物流センター運営に伴う受託料金などです。運営はSBS東芝ロジスティクスやSBSネクサード、SBSロジコムなどのグループ子会社が担っています。

不動産事業


オフィス、住居、倉庫などを用途とした施設の賃貸事業と、物流施設の開発および販売事業を展開しています。グループ内での物流事業推進のため、土地の取得から建設までを一貫して行っています。

収益源は保有不動産からの賃貸収益や、開発した物流施設の販売代金などです。運営はSBSロジコムやSBSアセットマネジメントなどのグループ子会社が担当しています。

その他事業


物流事業の周辺にある多様なニーズに応えるため、人材派遣、環境(廃棄物リサイクル)、マーケティング、太陽光発電などの事業を展開しています。

収益源は顧客企業からのスタッフ派遣料や各種サービス提供に対する対価です。運営はSBSスタッフ、マーケティングパートナーなどのグループ子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、積極的なM&A戦略と物流拠点の収支改善が奏功し、売上高は4000億円台から約4900億円規模へと右肩上がりで成長しています。経常利益も概ね200億円前後で安定して推移しており、堅調な利益創出力を保っています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 4035億円 4555億円 4319億円 4481億円 4903億円
経常利益 205億円 214億円 197億円 185億円 211億円
利益率(%) 5.1% 4.7% 4.6% 4.1% 4.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 28億円 80億円 98億円 83億円 80億円

(2) 損益計算書


新規顧客の獲得や新規連結効果により売上が順調に拡大しており、売上総利益率も改善傾向にあります。これに伴い、営業活動による利益水準も着実に向上しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 4481億円 4903億円
売上総利益 498億円 557億円
売上総利益率(%) 11.1% 11.4%
営業利益 177億円 213億円
営業利益率(%) 4.0% 4.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が110億円(構成比32%)、賞与引当金繰入額が9億円(同3%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の物流事業は、新規顧客の拡大やグループ入りした子会社の連結効果により大きく伸長しました。不動産事業とその他事業も堅調に売上を伸ばしており、全セグメントにおいて前年を上回る実績を残しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
物流事業 4203億円 4602億円
不動産事業 179億円 193億円
その他事業 99億円 108億円
連結(合計) 4481億円 4903億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを確保し、その資金で投資や借入金の返済を行っている健全な状態です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 158億円 354億円
投資CF -167億円 -285億円
財務CF -13億円 -149億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.7%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も27.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「全方位の物流機能を有する3PL企業集団」として、卓越した提案力や課題解決力をもとに、サプライチェーンの一翼を担い顧客の企業活動をサポートすることを掲げています。社会インフラである物流を担う企業として社会的責任を認識し、サステナビリティ経営に真摯に取り組むことで持続的な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


人を尊重し、社会的責任を貫くという精神のもと、「人・社会・地球」の3つの「つながり」を大切にする文化を醸成しています。多様な人材が互いを認め合い、安全で健康に働くことができる環境を提供するとともに、社会のルールを尊重し地域社会と相互に信頼しあう風土を重視しています。

(3) 経営計画・目標


中長期的な視点から事業の持続的成長と資本効率の向上を図る方針です。物流施設の自社開発と流動化サイクルを循環させるビジネスモデルを推進し、利益を伴った調和のとれた成長(Harmonized Growth)を志向しています。

* 連結売上高7,000億円
* 物流セグメントの営業利益率4.5%

(4) 成長戦略と重点施策


次期中期経営計画のもと、3PL事業の推進、海外での事業拡大、EC事業への注力を成長戦略の柱としています。「ロジスティクス×IT」をテコに業界トップティアの地位を固めるため、M&Aを活用した輸配送網の整備や物流DX化による省力化を進めます。同時に、外国人ドライバーの採用拡大など人的資本の充実にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「企業の永遠の繁栄は、人を大事にすることにある」という理念に基づき、人材を企業価値創造の最重要源泉と位置付けています。階層別・テーマ別研修によるキャリア開発支援や、誰もがいきいきと能力を発揮できるダイバーシティの推進に取り組み、持続的な成長を牽引する人材の確保と定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 45.1歳 5.9年 6,015,063円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.3%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 48.2%
男女賃金差異(正規雇用) 67.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 34.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(55.3%)、従業員エンゲージメントスコア(47.4)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気の変動によるリスク


同社の事業は国内外の経済動向や顧客企業の輸送需要に影響を受けます。消費の低迷や円高、海外景気の後退による輸出入量の減少などが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、事業の多様化や取引先企業の拡大によりリスクの分散を図っています。

(2) 燃料価格高騰によるリスク


主力事業である物流事業には軽油やガソリンが不可欠であり、原油価格の高騰や為替変動による燃料価格の上昇はコスト増加要因となります。同社は市場動向を注視し、エコドライブの推進や次世代自動車の段階的な導入などを進め、燃料効率の高い物流サービスへの転換を図っています。

(3) 金融環境悪化によるリスク


M&Aや3PL事業推進のための物流施設開発に必要な資金は、主に金融機関からの借入で調達しています。金融環境が悪化した場合、資金調達が困難になることや調達金利が上昇する恐れがあります。これに対し、物流施設の流動化による資金回収や借入金利の固定化などで対策を講じています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。