※本記事は、静岡ガス株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
静岡ガスグループは、ガス事業を基盤とし、ガスの供給、販売、LNG販売を行っています。また、LPガスや電力販売、オンサイト・エネルギーサービスなど多角的なエネルギー事業を展開しています。
同社グループの単体従業員数は657名、連結従業員数は1,586名です。連結セグメントはガス、LPG・その他エネルギー、その他、全社(共通)の4つです。
主な国内グループ会社は、静岡ガスエネルギー(LPG・その他エネルギー)、静岡ガスサービス、静岡ガスリビング、グッドリビング、エネリア静岡などです。
当期は、SHIZUOKA GAS AMERICA CO.の事業を開始し、グッドリビングを連結子会社化するなど、事業領域の拡大を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
静岡ガスは、地域に根差したエネルギー供給を担う企業として、安定した事業基盤を持つ同社グループです。従業員の働き方においても、長期的な視点でのキャリア形成や、仕事と生活の調和を重視する環境がうかがえます。地域社会への貢献を掲げる同社グループでは、従業員が安心して働き続けられるような制度設計が期待されます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
静岡ガスでは、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、長期にわたって安定して働くことができる環境が整っていることがうかがえます。これは、従業員がキャリアを継続しやすい職場文化や制度が確立されている可能性を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,740,918円 |
| 平均勤続年数 | 20.9年 |
| 平均年齢 | 44.3歳 |
| 単体従業員数 | 657人 |
| 連結従業員数 | 1,586人 |
| 単体のグループ内比率 | 41.4% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。これらの制度は同社および連結子会社を対象としています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は58.1億円、年金資産は51.9億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
静岡ガスは、企業理念の実現と持続可能な社会への貢献を目指し、人材を重要な経営資源と位置付けています。事業環境の変化に対応できる人材育成を重視しており、個々の従業員が主体的にキャリア形成に取り組み、スキルや知識の高度化を図ることを支援しています。
また、女性の活躍推進や職域の拡大にも積極的に取り組む方針です。従業員がモチベーションを高く維持し、自身の経験とスキルを最大限に発揮できる職場環境の整備にも注力しています。仕事と生活の調和を支援する環境整備や、これに資する教育・研修、制度導入も推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定に基づき算出されており、出向者については出向先の従業員として集計されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 15.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 86.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 68.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 79.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 静岡ガスエネルギー
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 83.3% |
▼ 静岡ガスリビング
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 25.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 25.0% |
多様性・登用
同社が一般事業主行動計画に掲げている目標と実績です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.9% |
育児・介護支援
同社が一般事業主行動計画に掲げている目標と実績です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 86.7% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
静岡ガスグループは、ガス事業を基盤とし、電力・再生可能エネルギー、くらし・エンジニアリングサービス、海外など多角的な事業を展開しています。地域の持続可能性に貢献する「地域共創」を目指し、エネルギー供給に留まらない幅広いサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、都市ガスやLPガスといったエネルギーの供給・販売を主軸に、電力事業やオンサイト・エネルギーサービス、さらには住宅関連や介護、情報システムといった多様な事業を手掛けています。基盤となるエネルギー事業に加え、生活に密着したサービスや海外でのエネルギー事業開拓にも注力しています。
ガス
同社グループの主力事業であり、ガスの供給、販売、LNG(液化天然ガス)の販売を行っています。収益は、主に都市ガスやLNGの販売から得ています。運営は、静岡ガス、清水エル・エヌ・ジー、吉田ガス、中遠ガス、袋井ガス、島田ガス、御殿場ガス、信州ガス、下田ガス、佐渡ガス、SHIZUOKA GAS TRADING PTE. LTD.、SHIZUOKA GAS AMERICA CO.、SHIZUOKA GAS INDIA PTE. LTD.、SHIZUOKA GAS ASIA PTE. LTD.などが行っています。前期に比べて売上高は減少しています。
LPG・その他エネルギー
LPガス販売、電力販売、オンサイト・エネルギーサービス事業を展開しています。収益は、LPガスや電力の販売から得ています。運営は、静岡ガス&パワー、静岡ガスエネルギー、My son-Hoan Loc Viet Solar Energy Joint Stock Companyなどが行っています。前期に比べて売上高は減少しています。
その他の事業セグメント
ガス配管工事の施工、ガス機器の販売、リフォーム事業、リース業務、保険代理業、介護関連事業、情報処理・システム開発、人材派遣、清掃、警備事業など多岐にわたります。収益は、これらの各種サービス提供から得ています。運営は、静岡ガス・エンジニアリング、静岡ガスリビング、グッドリビング、静岡ガスアスライフデザイン、エネリア静岡、エネリア東部、静岡ガスクレジット、静岡ガス保険サービス、静岡ガスヘルスケア、静岡ガス・システムソリューション、静岡ガスヒューマンリソース、静岡ガスサービスなどが行っています。前期に比べて売上高は大きく増加しています。
同社グループの外部顧客への売上高は、その90%以上が本邦からのものであるため、国内市場が事業の中心となっています。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| ガス | 1,585億円 | 1,552億円 |
| LPG・その他エネルギー | 306億円 | 298億円 |
| その他の事業セグメント | 131億円 | 162億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5連結会計年度の業績を見ると、売上高は2023年12月期をピークにやや減少傾向にあります。一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、2023年12月期に大きく増加した後、2024年12月期に一時的に減少しましたが、2025年12月期には再び増加に転じています。当期は売上高が減少したものの、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は増加しました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,330億円 | 2,073億円 | 2,140億円 | 2,022億円 | 2,012億円 |
| 経常利益 | 64.7億円 | 94.9億円 | 201億円 | 131億円 | 148億円 |
| 経常利益率 | 4.9% | 4.6% | 9.4% | 6.5% | 7.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 41.1億円 | 59.8億円 | 141億円 | 87.8億円 | 100億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 55.55 | 80.60 | 190.19 | 116.98 | 133.42 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から増加しており、収益性の改善が見られます。これは、売上高の減少があったものの、利益率の向上や効率的な事業運営が進んだことを示しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 138.0百万円 | 126.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 7.0百万円 | 8.9百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、安定した財務基盤を築きながら、事業成長に向けた投資も行っている状況がうかがえます。本業で生み出した資金を適切に活用し、将来を見据えた経営を進めていることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が高く、安定した状態を示しています。これは、事業運営におけるリスク耐性の高さにつながります。ROEはプライム市場平均と比較してやや低い水準ですが、改善傾向にあります。手元資金も十分に確保されており、事業継続性への安心感があると言えます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,255億円 | 1,387億円 |
| 自己資本比率 | 69.4% | 67.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.8% | 8.1% |
| 現金及び預金 | 363億円 | 332億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期の営業活動によるキャッシュ・フローは345.6億円の収入となり、前期の109.8億円の収入から増加しています。これは減価償却前利益の増加、買掛金の増加や棚卸資産の減少によるものです。本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは△329.8億円の支出となり、前期の△86.8億円の支出から増加しています。米国シェールガス開発事業の権益取得や再生可能エネルギーへの設備投資、都市ガスの安定供給のためのガス導管建設工事など、将来に向けた積極的な投資を行っていることがうかがえます。
財務活動によるキャッシュ・フローは△54.6億円の支出となり、前期の△18.6億円の支出から増加しています。これは配当金の支払いや借入金の返済によるものです。営業活動で得た資金を成長投資に充てつつ、財務的な健全性も維持している状況が示されており、入社後の安定性や成長性への期待が持てる財務状況であると言えます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 109.8億円 | 345.6億円 |
| 投資CF | △86.8億円 | △329.8億円 |
| 財務CF | △18.6億円 | △54.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 23.0億円 | 15.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、LNGを全量海外から調達しているため、契約更改時の条件変更や価格体系の改定により原料調達コストが変動する可能性があります。また、原料費調整制度におけるスライドタイムラグが期間損益に影響を及ぼす可能性も示されています。
都市ガスの需要は気温動向に大きく影響される特性があり、猛暑や暖冬などの異常気象が発生した場合には、ガス需要が大きく変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業環境の変化や労働市場の流動化などにより、事業運営および成長戦略の実行に必要な人材を十分に確保・育成・定着できない可能性があります。これにより、事業推進力の低下や生産性の低下を通じて、企業価値に影響を及ぼすおそれがあるとしています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
静岡ガスは、エネルギーを中心としたグループ総合力で、豊かで持続可能な未来を追求する企業です。地域共創の実現を目指し、変化の激しい事業環境に対応しながら、持続的な成長と社会貢献に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
静岡ガスグループは、「エネルギーを中心としたグループ総合力で、豊かで持続可能な未来を追い求めます」を企業理念としています。同社グループは「グループ2030年ビジョン」において、地域共創の実現を目指しています。また、社員全員が新たな事業領域や成長分野に前向きに挑戦する意思と情熱を示す新ブランドスローガンとして「湧く想い、沸かせる未来。」を策定しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
静岡ガスグループは、「サステナビリティ基本方針」を策定し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しています。この方針では、お客さまや地域に寄り添った事業活動を通じた社会課題の解決、公正かつ透明な経営による信頼の維持、ステークホルダーとの対話を通じた持続可能な社会の実現への貢献を掲げています。また、新ブランドスローガン「湧く想い、沸かせる未来。」のもと、グループ一丸となって地域課題の解決や地域貢献活動に積極的に参加する企業風土を大切にしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
静岡ガスグループは、人口減少や少子高齢化、カーボンニュートラルの推進、デジタル化の進展といった環境変化を経営課題として認識しています。これらの課題に対し、経営基盤の強化を重点テーマとしています。具体的には、より高度なガバナンス体制とリスク管理体制の確立、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務の高度化・効率化を推進しています。また、人材育成プログラムの高度化やリスキリング教育の強化を通じて社員の自律的な成長を後押しし、キャリア採用やジョブローテーションによる多様性を持つ組織構築にも注力しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
静岡ガスでは、社外取締役を含む取締役会と監査役会が企業統治を担っています。業務執行機能の強化のため執行役員制度を導入し、客観性と透明性の高いガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
静岡ガスは、鈴与商事や鈴与建設といった事業会社が主要な株主として名を連ねています。特定の企業グループが上位を占める資本構成となっており、同業の東京瓦斯も大株主の一つです。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 鈴与商事 | 18.11% |
| 鈴与建設 | 14.07% |
| 東京瓦斯 | 6.63% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長執行役員は松本尚武氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岸田 裕之 | 代表取締役取締役会長 | 1981年4月同社入社、執行役員企画部長、代表取締役社長執行役員くらし事業本部長を経て、2024年1月同社代表取締役取締役会長より現職。 |
| 松本 尚武 | 代表取締役社長執行役員 | 1993年4月同社入社、執行役員グローバル・エネルギー本部副本部長兼電力・環境事業部長を経て、2025年1月同社代表取締役社長執行役員より現職。 |
| 杉山 武靖 | 取締役常務執行役員コーポレートサービス本部長 | 1989年4月同社入社、静岡ガスリビング代表取締役社長、常務執行役員コーポレートサービス本部長兼人事部長を経て、2025年3月同社取締役常務執行役員コーポレートサービス本部長より現職。 |
社外取締役は、中西勝則氏(しずおかフィナンシャルグループ代表取締役取締役会長)、平野肇氏(元三菱商事エネルギー事業グループCEO)、丸野孝一氏(第一生命経済研究所代表取締役社長)、平川理恵氏(アカデミア・ネクサス代表取締役・金蘭会学園副理事長常務理事)です。
同社は監査役会設置会社です。社外取締役4名と社外監査役3名を招聘し、客観性と透明性の高いガバナンス体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
静岡ガスの取締役報酬は、基本報酬、業績連動報酬、株式報酬の3つの要素で構成されています。基本報酬は月例の固定報酬で、役位や責務に応じて決定されます。業績連動報酬は単年度の業績指標に連動し、株式報酬は株主との価値共有と企業価値向上への貢献意欲を高める目的で導入されています。社外取締役と監査役の報酬は基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.5億円 | 37.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 16百万円 | 16.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 56百万円 | 7.0百万円 |
なお、2025年3月26日に退任した取締役1名に対し、退職慰労金として10,800千円が別途支給されました。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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