※本記事は、グリーンランドリゾート株式会社の有価証券報告書(第47期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. グリーンランドリゾートってどんな会社?
遊園地やゴルフ場、ホテルなどのレジャー事業を中心に多角的な事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1980年1月に三井鉱山土地建物から分離独立し、グリーンランドとして設立されました。1986年に北海道での遊園地営業を開始し、1991年に福岡証券取引所、翌年に大阪証券取引所市場第二部へ上場を果たしました。2006年7月に現在のグリーンランドリゾートへと社名変更し、事業を拡大しています。
現在の従業員数は連結で209名、単体で72名体制となっています。筆頭株主は事業会社の西部ガスホールディングスで、第2位も同社グループの西部ガス都市開発、第3位は取引金融機関である肥後銀行が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 西部ガスホールディングス | 14.63% |
| 西部ガス都市開発 | 4.84% |
| 肥後銀行 | 4.83% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長社長執行役員は松野隆徳氏が務めており、取締役7名のうち社外取締役は2名となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松野 隆徳 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1987年4月同社入社。総務部長、ゴルフ事業部総支配人、遊園地事業部長等を経て、2023年3月より現職。 |
| 寺田 尚文 | 取締役常務執行役員 | 1989年4月同社入社。経理部長、経営管理室長、遊園地事業部長等を経て、2025年3月より現職。 |
| 佐伯 賢二 | 取締役常務執行役員遊園地事業部長 | 1991年4月同社入社。経理部次長、総務部長、経営管理室長等を経て、2025年3月より現職。 |
| 田中 宏昌 | 取締役執行役員営業部長 | 1987年4月同社入社。営業部次長、グリーンランド開発代表取締役社長等を経て、2025年3月より現職。 |
| 冨山 裕人 | 取締役執行役員経営管理室長 | 1994年4月同社入社。遊園地事業部次長、遊園地事業部部長兼遊園地支配人等を経て、2025年3月より現職。 |
社外取締役は、山下秋史氏(西部ガスホールディングス顧問)、大塚晶子氏(肥後銀行取締役監査等委員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「遊園地事業」「ゴルフ事業」「ホテル事業」「不動産事業」「土木・建設資材事業」を展開しています。
■(1) 遊園地事業
九州の「グリーンランド」や北海道の「北海道グリーンランド遊園地」「北海道グリーンランドホワイトパーク(スキー場)」、いわみざわ公園等の経営と運営管理を行っています。幅広い世代の顧客に対し、アトラクション体験やイベント等のサービスを提供しています。
顧客からの入園料やフリーパスポート料金、施設利用料が主な収益源です。運営は同社のほか、空知リゾートシティ、有明リゾートシティ、グリーンランド開発が担っています。
■(2) ゴルフ事業
九州エリアにおいて「グリーンランドリゾートゴルフコース」「有明カントリークラブ大牟田ゴルフ場」「久留米カントリークラブ広川ゴルフ場」の経営を行っています。一般顧客や会員に対して、ゴルフ場施設の利用やキャディサービスを提供しています。
顧客からのゴルフ場施設利用料や、メンバーズゴルフ場における年会費などが主な収益源となります。当該事業の運営は同社が行っています。
■(3) ホテル事業
九州の「ホテルブランカ」「ホテルヴェルデ」、北海道の「ホテルサンプラザ」「北村温泉ホテル」の経営および運営管理業務を行っています。宿泊、レストラン、宴会、婚礼のサービス提供や商品の販売を行っています。
顧客からの宿泊料や飲食料、施設利用料などが主な収益源となります。運営は有明リゾートシティおよび空知リゾートシティが行っています。
■(4) 不動産事業
同社グループが保有する土地や建物などの不動産の売買および賃貸事業を展開しています。一般顧客やテナント企業に向けて不動産関連サービスを提供しています。
不動産の売却代金や、賃貸借契約に基づく賃貸収入が主な収益源となります。本事業の運営は同社が行っています。
■(5) 土木・建設資材事業
土木工事の受注のほか、建設資材の製造・販売・運搬事業を行っています。また、バイオマス火力発電所における燃料投入業務の受託などに伴う役務提供も手掛けています。
得意先企業からの工事代金や資材販売代金、業務受託料が主な収益源となります。本事業の運営はグリーンランド開発が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は緩やかな拡大傾向にあり、安定した事業基盤を維持しています。一方、経常利益や当期利益については、経済活動の回復により黒字転換を果たしたのち安定して推移していますが、直近では費用増加などの影響により利益率はやや低下傾向にあります。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 58億円 | 57億円 | 64億円 | 64億円 | 65億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 8億円 | 9億円 | 8億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 3.5% | 14.3% | 13.9% | 12.2% | 11.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -20億円 | 4億円 | 4億円 | 5億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前年比で微増となりましたが、売上総利益および営業利益はそれぞれ減少しています。物価高騰などの影響により原価や各種費用が増加したことが利益率を押し下げる要因となっており、収益力の強化が課題となっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 64億円 | 65億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 14億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.7% | 22.1% |
| 営業利益 | 8億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 12.1% | 11.4% |
販売費及び一般管理費のうち、人件費が3億円(構成比38%)、役員報酬が1億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である遊園地事業やホテル事業は天候不順などの影響もあり売上が伸び悩みましたが、ゴルフ事業や不動産事業、土木・建設資材事業が好調に推移し、グループ全体の売上を牽引しました。事業の多角化が収益の安定に寄与しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 遊園地事業 | 29億円 | 29億円 |
| ゴルフ事業 | 10億円 | 11億円 |
| ホテル事業 | 20億円 | 20億円 |
| 不動産事業 | 2億円 | 2億円 |
| 土木・建設資材事業 | 3億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 64億円 | 65億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 7億円 |
| 投資CF | -5億円 | -13億円 |
| 財務CF | -2億円 | 7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「ココロを『みどり』でいっぱいに。」をキャッチコピーとして掲げています。事業を通じてあらゆる世代の方々に「夢や感動を与える企業」であることを目指し、社会的責任を自覚の上で法令遵守や倫理に則った企業活動を実践することで、すべてのステークホルダーから「信頼」される企業となることを使命としています。
■(2) 企業文化
創業以来、たゆまぬ創造・革新によって顧客に常に満足を提供することを重んじています。スタッフ一人一人がいかなる状況の変化にも対応し、その状況を突破するための柔軟な発想と実行力を持つことに重点を置いており、自ら考え自発的に行動することで新しい付加価値を次々と創出していく企業文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は売上高経常利益率の向上を目標とする「中期経営計画2026」を推進しています。目まぐるしく変化する消費動向に対応し、常に変化し続ける営業体制作りを心がけ、様々な商品やサービスの提供に努めて集客を図ることで売上増加を目指すとともに、現状分析および関連設備の全面的な見直しを行い経費削減に努めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「中期経営計画2026」の重点施策として、各事業の収益力強化、経営の効率化、人的資本経営の推進、サステナビリティ経営の強化を掲げています。多様化する顧客ニーズに的確に対応することでインバウンドを含む集客拡大を図り、積極的な投資やDX推進による業務効率化を通じてさらなる企業価値向上を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材を最も大切な経営資源と位置づけ、従業員一人ひとりの能力や個性を最大限に発揮できる環境整備を推進しています。各種研修やジョブローテーションによる成長機会の提供をはじめ、新たなチャレンジを支援する制度の充実、積極的な賃金改定や福利厚生の拡充を通じた「働きやすさ」と「働き甲斐」の向上に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 37.2歳 | 9.0年 | 5,549,207円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 61.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 61.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | 65.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 天候不順や災害等による集客影響
台風や降雨・降雪などの悪天候、猛暑や暖冬による雪不足、想定を超える大規模災害や感染症の発生は、遊園地・ゴルフ場・スキー場などの利用者減少に直結し、同社グループの経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) ゴルフ場入会預託金の償還リスク
同社グループが運営する一部のゴルフ場は会員制であり、入会時に入会預託金を預かっています。ゴルフ需要の急激な低下や風評被害などにより預託金の償還要請が急増した場合、同社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 固定資産価値の下落リスク
遊園地やゴルフ場、ホテル事業を営む性質上、比較的多額の固定資産を保有しています。今後、固定資産の時価下落や収益性の低下に伴い資産価値が下落した場合には、同社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。



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