オリジナル設計 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリジナル設計 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリジナル設計は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、上下水道を中心とした建設コンサルタント事業と情報処理サービス事業を展開しています。直近の連結決算では売上高85.2億円、経常利益9.3億円を計上しました。主力事業の受注残高は過去最高を記録し、社会インフラの老朽化対策需要を背景に好調に推移しています。


※本記事は、オリジナル設計株式会社の有価証券報告書(第64期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オリジナル設計ってどんな会社?


上下水道インフラの調査・設計等のコンサルタント業務と情報処理サービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1962年1月に上下水道の計画や設計・施工監理を目的として設立されました。1964年に建設コンサルタントとして登録し、全国に事業所を展開しています。1998年に東京証券取引所に上場し、2025年にはクラックスシステムおよび日本技術サービスを子会社化して情報処理分野等へ事業領域を拡大しています。

同社の従業員数は連結で498名、単体で333名です。筆頭株主は東京スペックスで、第2位はUHPartners2、第3位は光通信となっています。資本提携などの具体的な関係性についての記載はありませんが、法人が上位株主を占める構成となっています。

氏名 持株比率
東京スペックス 33.66%
UHPartners2 9.08%
光通信 7.42%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は菅伸彦氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。

氏名 役職 主な経歴
菅 伸彦 代表取締役社長 1990年山一證券入社。1992年同社入社。2010年事業戦略本部企画部部長代理を経て、2012年11月より現職。
牧瀨 統 取締役執行役員技術統括 1992年同社入社。東京支社施設二部長、秋田事務所長、施設本部長などを経て、2024年4月より現職。
大東 達也 取締役執行役員西日本支社長 1984年機動建設工業入社。2012年同社入社。西日本営業部長等を経て2025年4月より現職。
井上 裕之 取締役執行役員西日本施設部長 1996年同社入社。施設部技術四課長、西日本施設部長などを経て、2026年3月より現職。


社外取締役は、上符勝弘(元みずほ信託銀行本店営業第四部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設コンサルタント事業」および「情報処理サービス事業」を展開しています。

建設コンサルタント事業


主に地方公共団体などを顧客とし、上下水道に関する調査、計画、実施設計、施工監理などのコンサルタントサービスを提供しています。高度成長期に整備された老朽化施設の改築や更新、自然災害対策などのニーズに対応しています。

収益源は、官公庁や日本下水道事業団などの発注者から受け取る業務委託料です。運営は主にオリジナル設計および子会社の日本技術サービスが行っています。

情報処理サービス事業


ITエンジニアによる自治体向けのGISシステムや、様々な産業分野の社会基盤システム、業務系システムのソフトウエア開発およびITエンジニアリングサービスを提供しています。

顧客へのシステム開発やエンジニアリングサービスの提供による対価を収益源としています。運営は主に子会社のクラックスシステムが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


当期より連結決算へ移行しており、売上高は85.2億円、経常利益は9.3億円となりました。上下水道施設の老朽化対策や耐震化など、官公庁からの受注が好調に推移し、受注残高は過去最高水準となっています。利益面でも徹底したプロジェクト管理により利益率11.0%を確保しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 - 85.2億円
経常利益 - 9.3億円
利益率(%) - 11.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 6.5億円 6.7億円

(2) 損益計算書


当期より連結決算に移行したため、売上高や利益率の推移については当期のみの記載となります。売上総利益は28.5億円、営業利益は9.2億円を計上し、営業利益率は10.8%となりました。受注案件の適切な予算管理と内製化・アウトソーシングの判断により、安定した収益性を維持しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 - 85.2億円
売上総利益 23.9億円 28.5億円
売上総利益率(%) - 33.5%
営業利益 8.5億円 9.2億円
営業利益率(%) - 10.8%


販売費及び一般管理費(19.3億円)のうち、従業員給与手当が5.7億円(構成比29%)、従業員賞与が1.9億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期よりクラックスシステムを子会社化し、報告セグメントを建設コンサルタント事業と情報処理サービス事業に変更しました。主力である建設コンサルタント事業は、能登半島地震に関係した災害復旧支援業務や国土強靱化計画を背景に堅調に推移しています。新たに加わった情報処理サービス事業も継続的な受注拡大の基盤を構築しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
建設コンサルタント事業 - 75.1億円
情報処理サービス事業 - 10.1億円
連結(合計) - 85.2億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

オリジナル設計は、企業結合に伴う子会社株式の取得や長期借入により、投資活動と財務活動で多額の資金移動がありました。営業活動では、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の増加により資金を獲得しました。投資活動では、企業結合に伴う子会社株式の取得で資金を使用しました。財務活動では、企業結合のための長期借入により資金を獲得しました。

項目 2025年12月期
営業CF 6.0億円
投資CF -15.0億円
財務CF 13.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「生活環境の保全に貢献する」「たゆまざる努力と先端技術の開発とによって卓越したテクノロジーを提供する」「社会の信頼を基盤として企業の発展と社員の福祉増進を追求する」を基本理念として掲げています。安全で安定的な水の供給や水質改善、資源・エネルギー循環の形成を通じて、上下水道インフラの持続・発展を支援し、地域社会やSDGsの達成への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、豊富な経験を積んだエンジニアが継続して自己研鑽に励むとともに、若手人材の育成に取り組む文化を重視しています。また、多様な選択肢を備えたウェルビーイング経営を推進し、テレワークや生成AIの積極的な活用、社員の希望する居住地で働けるカスタムメイド勤務制度などを取り入れ、社員が健康増進に取り組みながら生き生きと活躍できる環境づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は2029年を目途とした中期経営計画「ヴィジョナリーMAP2025」を策定し、その達成に向けた事業活動を展開しています。上水道事業の強化やウォーターPPPなどの官民連携の推進により、持続的に水コンサルティング事業を提供することを目標として掲げています。具体的な数値目標の記載はありませんが、総合原価の低減による利益率の向上を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、上下水道分野を軸に社会課題の解決に向けた受注拡大を図る方針です。市場ニーズに合わせた先端的サービスの開発や、執行体制が脆弱な中小自治体の広域化・共同化に対する官民連携事業に積極的に取り組みます。また、国内外の産官学ネットワークやシステム開発子会社の開発力を活用し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進関連事業への積極的な営業活動を展開します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、社員一人ひとりのスキルやノウハウを組織の総合力へと発展させることを人材育成の方針としています。若手への技術継承に向けた育成体制の強化や、管理職候補となる中堅職員の育成、管理職のマネジメント力向上に注力しています。また、社内環境整備として、個人に合わせた柔軟な働き方の実現や、表彰・評価制度の改善に取り組み、社員が定着し人が育つ仕組みづくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 40.0歳 11.4年 7,659,116円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.3%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 56.8%
男女賃金差異(正規雇用) 65.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 44.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ストレスチェック受診率(75.2%)、女性の育児休暇取得率(100.0%)、女性育児休業後復職率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 公共事業分野への依存リスク


同社グループの主要な発注者は地方公共団体などであり、公共事業分野の受注比率が高い割合を占めています。そのため、政府の予算編成動向や地方公共団体の税収・財政支出の変動が、同社の受注高や業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、既存顧客の深掘りや新規開拓により安定した受注確保を図っています。

(2) 成果品に対する契約不適合責任


同社グループは公共事業で毎年数百件の受注があり、品質保証の国際認証システム等を導入してチェック体制を構築しています。しかし、専門知識を要する複雑なプロジェクトにおいて成果図書に不備が発生した場合、修補対応が必要となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。シニアエンジニアによる定期審査で設計瑕疵の防止に努めています。

(3) 人材の確保・育成に関するリスク


同社の事業は高度な専門性を有するエンジニアに支えられており、優秀な人材の確保と育成が不可欠です。少子高齢化に伴う人材獲得競争の激化により、人材の確保や後進の育成が計画通りに進まない場合、生産体制が脆弱化し業績に影響する恐れがあります。処遇改善や多様な研修プログラムの充実により人材確保に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。